在宅患者訪問点滴注射指示書の書き方|様式・期間・点数まで徹底解説

「在宅患者訪問点滴注射指示書って、結局どんなときに必要なの?」「様式はどれを使う?書き方は?」「点数や算定の流れがいまいち分からない…」――訪問看護の現場でも、医療事務でも、ここでつまずく方は本当に多い書類です。
この記事では、訪問看護ステーションで働く看護師・管理者さん向けに、在宅患者訪問点滴注射指示書の意味・期間・点数・様式・書き方・算定の落とし穴まで、令和8年度診療報酬改定後のルールに沿ってまるっと整理します。読み終える頃には、医師への依頼から請求までスムーズに動けるようになるはずです。
- 在宅患者訪問点滴注射指示書がどんな書類で、いつ必要になるのか
- 指示書の有効期間(7日間)と更新サイクルの考え方
- 関連する点数(訪問看護指示料300点・在宅患者訪問点滴注射管理指導料100点)の正しい名称と算定要件
- 別紙様式16の様式・書き方・記入例(ステーション運営目線の注意点つき)
- 特別管理加算(Ⅱ)・24時間持続点滴・IVH患者など現場で迷うケースの判断基準
ちびウルフリハウルフ先生、点滴の指示書って訪問看護指示書とは別に必要なんですか?週何回からだっけ…?
リハウルフいい質問だね。週3日以上の点滴注射が必要なときに追加で交付してもらう書類なんだ。順番に整理していこう。
在宅患者訪問点滴注射指示書とは?
在宅患者訪問点滴注射指示書とは、訪問看護師が在宅で「週3日以上」の点滴注射を実施するときに、主治医が交付する追加の指示書です。通常の訪問看護指示書だけでは、週3日以上の点滴注射を継続的に行うことはできません。
厚生労働省の解釈通知では「週3日以上の点滴注射を行う必要を認め、看護師等に指示する場合に、診療録に内容を記載するか、別紙様式16・17の2・18を参考に作成した在宅患者訪問点滴注射指示書に有効期間(7日以内)と指示内容を記載する」とされています。つまり「指示書」と書いていますが、記録方法は2通りあるのがポイントです。
「訪問看護指示書」と「点滴注射指示書」はセットで使う
大事なのは、点滴注射指示書「だけ」では訪問看護自体を提供できないこと。訪問看護指示書(有効期間6か月以内)が前提で、その上に7日ごとの点滴指示を上乗せするイメージです。
週1〜2回の点滴であれば、通常の訪問看護指示書に「点滴の内容・指示」を記載してもらえばOK。週3日以上のときだけ、別途「在宅患者訪問点滴注射指示書」が必要になる、と覚えておきましょう。
「指示書を出さずに診療録記載」でもOKなパターン
もう一つ見落としがちなのが、保険医療機関の医師が自院の看護師に指示する場合は、診療録に内容を記載すればよく、書面の指示書交付は必須ではないという点です。一方、外部の訪問看護ステーションへ指示する場合は、別紙様式16等を参考にした「在宅患者訪問点滴注射指示書」の交付が必須になります。ステーション側で受け取る場合は必ず書面で受領しましょう。
在宅患者訪問点滴注射指示書の有効期間は「7日間」
在宅患者訪問点滴注射指示書の有効期間は、指示日から7日以内(最長7日間)と決められています。これは厚労省の告示・解釈通知で明示されており、6か月有効の通常の訪問看護指示書とは大きく違うポイントです。
そのため、点滴注射が継続する場合は7日ごとに医師から指示を更新してもらう必要があります。1度の期間が7日以内なら、月に何回でも交付できます。
更新サイクルの実務例
- 初回指示の受領主治医からFAXまたは持参で在宅患者訪問点滴注射指示書を受領。開始日・終了日・薬剤・投与経路・回数を確認。
- 1週目の点滴注射と記録看護師が訪問のたびに、指示内容に基づき点滴を実施。バイタル・反応・副作用の有無を訪問看護記録書に残す。
- 7日目までに次週分の指示を依頼継続が必要なら、終了日の2〜3日前に医師へ連絡し、次の7日分の指示書発行を依頼。
- 変更・終了の連絡症状の悪化・副作用・終了見込みがあれば、電話等で速やかに主治医へ報告(電話連絡でも差し支えない、と通知で明記されています)。
指示書の空白期間ができないように管理することが重要です。指示書が切れた日に点滴を実施すると、その回の管理指導料は算定できないだけでなく、医療事故・トラブルにつながるリスクもあります。
「在宅患者訪問点滴注射指示料」は今は「管理指導料」|100点の正しい名称
古い情報源では「在宅患者訪問点滴注射指示料」と書かれていることがありますが、現在の正式名称は「在宅患者訪問点滴注射管理指導料」(C005-2)です。点数は1週間につき100点で、令和8年度診療報酬改定後も変わっていません。
あわせて押さえたいのが、訪問看護指示書を交付した医療機関側で算定する「訪問看護指示料(C007)」300点です。在宅患者訪問点滴注射指示書を交付した場合、医療機関側は次のような点数構成で請求します。
| 名称(区分番号) | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 訪問看護指示料(C007) | 300点 | 患者1人につき月1回まで |
| 在宅患者訪問点滴注射管理指導料(C005-2) | 100点 | 週1回まで(指示日から7日間に3日以上点滴実施した3日目に算定) |
算定の前提となる4つの条件
- 主治医が「週3日以上の点滴注射が必要」と認め、指示している
- 看護師(准看護師含む)が患家を訪問して点滴注射を実施している(医師が実施した点滴は対象外)
- 指示日から7日間のうち、実際に3日以上点滴を実施した
- 薬剤・回路・衛生材料を保険医療機関側が供与している
算定タイミングは「点滴を実施した3日目」です。1週間で3日に満たなかった週は、管理指導料は算定できませんが、使った分の薬剤料は別に算定できます。
算定できないケースに要注意
次の管理料を算定している場合は、在宅患者訪問点滴注射管理指導料は同時に算定できません。
- C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料
- C108 在宅麻薬等注射指導管理料
- C108-2 在宅腫瘍化学療法注射指導管理料
- C108-3 在宅強心剤持続投与指導管理料
- 看護師等遠隔診療注射実施料(第6部 通則10)
令和8年度改定後の留意事項通知では、この5つを算定した場合は管理指導料を算定できないとされています(旧「在宅悪性腫瘍等患者指導管理料」は名称・区分が見直されています)。IVH(中心静脈栄養)や在宅での麻薬・抗がん剤・強心剤の持続注射は、こちらの管理料で評価されます。請求漏れや二重算定を防ぐためにも、医療事務・管理者が前提疾患と管理料の関係を整理しておきましょう。
ちびウルフ「指示料」と「管理指導料」って違うものなんですね…!!ステーションが算定する点数なんですか?
リハウルフそう、ここを混同している人が本当に多いんだ。300点も100点もどちらも「医療機関」が算定する点数。訪問看護ステーション側が直接レセプトに乗せるものではないよ。ただ、ステーション側が指示の管理を怠ると、医療機関側が算定できなくなって関係が悪くなる。だからこそ実務側の理解が大事なんだ。
在宅患者訪問点滴注射指示書の様式と書き方|別紙様式16・17の2・18の使い分け
在宅患者訪問点滴注射指示書は単独の専用様式があるわけではなく、既存の訪問看護指示書の様式を兼用します。具体的には、厚生労働省が示している以下3つの「別紙様式」を参考に作成します。
| 様式番号 | 正式名称 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 別紙様式16 | 訪問看護指示書 兼 在宅患者訪問点滴注射指示書 | 通常の訪問看護指示書と兼用。最も多く使うフォーマット |
| 別紙様式17の2 | 精神科訪問看護指示書 兼 精神科特別訪問看護指示書 | 精神科訪問看護で点滴指示が必要なとき |
| 別紙様式18 | 特別訪問看護指示書 | 急性増悪等で14日間に限り交付。点滴指示を兼ねる場合 |
別紙様式16の書き方|タイトル欄「○」が最重要
別紙様式16は、上部に「訪問看護指示書/在宅患者訪問点滴注射指示書 ※該当する指示書を○で囲むこと」と記載されています。在宅患者訪問点滴注射指示書として使う場合は、必ずタイトル欄の「在宅患者訪問点滴注射指示書」を○で囲んでもらう必要があります。ここを丸囲みし忘れている書類は、ステーション側でも医療事務側でも「何の指示書か特定できない」ため、必ず確認しましょう。
記載が必須の項目
別紙様式16を在宅患者訪問点滴注射指示書として使う場合、最低限ここを医師に書いてもらう必要があります。
| 項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 患者氏名・生年月日・住所 | 山田 太郎 様(1948年5月12日生・◯◯市◯◯町1-2-3) |
| 主たる傷病名 | 誤嚥性肺炎、低栄養、認知症 など |
| 点滴注射指示期間 | 令和8年6月3日 〜 令和8年6月9日(7日以内) |
| 点滴注射に関する留意事項及び指示事項 | ソリタT3号 500mL/日、末梢静脈ライン留置、滴下60mL/h、刺入部観察、発熱・嘔気・血圧低下時は連絡 等 |
| 使用薬剤・回路 | ソリタT3号500mL×7本、輸液セット、留置針 等 |
| 緊急時の連絡先 | ◯◯医院 (TEL ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯) 平日◯時〜◯時/時間外: ◯◯ |
| 医師の署名・押印・交付年月日 | ◯◯医院 院長 鈴木 一郎 印(令和8年6月3日) |
指示期間欄は必ず開始日と終了日の両方を「年月日」で記載してもらいましょう。終了日が抜けていたり「1週間」とだけ書かれているような書類は、保険者から問い合わせが入る原因になります。
ステーション側の受領チェックリスト
- タイトル欄「在宅患者訪問点滴注射指示書」が○で囲まれているか
- 指示期間が7日以内に収まっているか(8日以上はNG)
- 薬剤名・投与量・滴下速度・経路が明記されているか
- 緊急時の連絡先と連絡可能時間が分かるか
- 医師署名・押印(または電子署名)・交付日が入っているか
- 原本は保管、コピーを訪問看護記録書とともにファイリング
特別管理加算(Ⅱ)・24時間持続点滴との関係
週3日以上の点滴注射=特別管理加算(Ⅱ)の対象
介護保険・医療保険ともに、「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」は、訪問看護の特別管理加算(Ⅱ)の対象に含まれます。介護保険では月250単位、医療保険の訪問看護療養費では月2,500円で評価されます。
ただし、対象になる条件は同じではありません。介護保険は、主治医が週3日以上の点滴注射を指示し、事業所の看護職員が実際に週3日以上点滴を実施している状態が対象です(老企第36号)。医療保険は、告示(別表第八)で「在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者」と定められています。つまり、医療機関側で管理指導料が算定されていることが前提です。
ここで現場の悩みが「特別管理加算を算定するには在宅患者訪問点滴注射指示書が必須なのか?」というもの。厚労省Q&A(介護保険最新情報 vol.267)では、必ずしも「在宅患者訪問点滴注射指示書」である必要はなく、医師の指示が確認できれば通常の訪問看護指示書その他の様式でも差し支えないとされています。ただし指示は7日ごとに更新される必要がある点は変わりません。
24時間持続点滴・IVHの患者はどう扱う?
IVH(中心静脈栄養)の患者は、C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料が算定されるため、在宅患者訪問点滴注射管理指導料は算定できません。在宅での麻薬・抗がん剤・強心剤の持続注射(C108・C108-2・C108-3)も同様です。
一方、末梢からの持続点滴(補液など)で、上の管理料を算定していない場合は、除外の対象ではありません。週3日以上の点滴注射として、点滴注射指示書と管理指導料の対象になり得ます。「24時間持続だから対象外」と決めつけず、医療機関がどの管理料を算定しているかを確認しましょう。
判断の軸は「点滴の時間の長さ」ではなく、「除外される管理料(C104・C108・C108-2・C108-3等)を算定しているかどうか」です。
ステーション運営者目線で押さえたい3つの実務ポイント
① 主治医との指示更新ルートを「型」にしておく
指示書の有効期間が7日と短いため、毎週同じ流れで指示更新ができる仕組みが必須です。「終了日2日前にFAXで依頼書送付 → 翌日までに新しい指示書受領」など、クリニックごとのルールを電子カルテに登録しておくと、担当看護師が変わっても抜け漏れを防げます。
② 訪問看護記録書に「指示書番号と期間」を毎回明記
監査・実地指導で必ず確認されるのが、「その日の訪問時点で、点滴指示が有効期間内だったか」です。訪問看護記録書に毎回「在宅患者訪問点滴注射指示書 期間 ◯月◯日〜◯月◯日」を1行入れる運用にしておくと、レセプト点検時にも医療機関への報告時にも便利です。
③ 算定漏れを防ぐため、医療機関にも「3日目」を共有する
管理指導料100点は「実際に3日目に点滴を実施した日」に算定するため、ステーション側で「今週は◯月◯日に3日目クリアしました」とFAX1枚共有するだけで、医療機関側の算定漏れが減ります。連携の質が上がり、点滴依頼がもらいやすくなる副次効果も。
ちびウルフ看護師としても、点数の話を主治医や事務さんと共有できると、依頼や連携が回りやすくなりそうですね!
リハウルフそうなんだ。「ステーションが理解している」と医師に伝わると、点滴・在宅医療の依頼そのものが増えていく。算定や様式の知識はそのまま営業力にもなるよ。
よくある質問(FAQ)
「在宅患者訪問点滴注射指示書」だけで訪問看護はできますか?
できません。通常の訪問看護指示書が前提で、点滴注射指示書はそこに「7日間の点滴指示」を上乗せする位置付けです。両方が揃ってはじめて、週3日以上の点滴を含む訪問看護が提供できます。
医師から週1回だけの点滴指示が出ました。点滴注射指示書は必要ですか?
週1〜2回の点滴であれば、通常の訪問看護指示書のみで対応できます。ただし、薬剤名・滴下速度・観察項目・緊急時の対応など点滴の指示内容は、訪問看護指示書本体や指示書の備考欄にしっかり書いてもらいましょう。
特別訪問看護指示書(別紙様式18)が出ている期間に点滴も追加するには?
特別訪問看護指示書の交付期間中(14日間)に、週3日以上の点滴注射が必要になった場合は、その様式内で点滴指示を兼ねるか、別途在宅患者訪問点滴注射指示書として別紙様式16等を交付してもらいます。いずれも有効期間は7日以内です。
指示書がFAX原本ではなく、電子的に届いた場合は有効ですか?
電子署名や保険医療機関の管理下で発行された電子データであれば原則有効ですが、ステーション側では受信日時・発行医療機関・指示期間が明確に分かる形で保管しましょう。実地指導では「いつ・誰から・どの様式で受領したか」が確認されます。
1週間のうち3日に届かなかったら、点滴の費用は全部請求できないのですか?
在宅患者訪問点滴注射管理指導料(100点)は算定できませんが、実際に使用した薬剤の費用は別に算定可能です。回路や衛生材料は管理指導料に含まれるため、算定できなかった週は医療機関側の収益が下がる構造になっています。
同一月内で何回まで指示書を出してもらえますか?
1回の有効期間が7日以内であれば、同じ月内で複数回交付してもらえます。月をまたいで継続することももちろん可能です。ただし、訪問看護指示料300点は「月1回まで」なので、医療機関の請求頻度との混同に注意してください。
まとめ|在宅患者訪問点滴注射指示書を正しく扱えると、現場も請求も強くなる
在宅患者訪問点滴注射指示書は、「週3日以上の点滴注射」を在宅で安全に続けるためのカギになる書類です。様式は別紙様式16等の兼用フォーマット、有効期間は7日間、関連する点数は訪問看護指示料300点と在宅患者訪問点滴注射管理指導料100点――この3つを押さえれば、医師依頼から請求までブレずに動けます。
- 在宅患者訪問点滴注射指示書は、週3日以上の点滴注射が必要な場合に追加で必要になる書類
- 有効期間は7日間。継続するなら7日ごとに更新してもらう
- 関連点数は「訪問看護指示料300点(月1回)」+「在宅患者訪問点滴注射管理指導料100点(週1回)」
- 様式は別紙様式16・17の2・18の兼用。タイトル欄の○囲みと指示期間の書き方が要
- C104・C108・C108-2・C108-3等を算定している患者(IVH、在宅の麻薬・抗がん剤・強心剤の持続注射など)は管理指導料を算定できない
- 特別管理加算(Ⅱ)の根拠としては、通常の訪問看護指示書でもOK(指示は7日ごと更新が必要)
制度の正確な理解は、安全な医療と安定した請求の両方を支えます。チーム全員で共有していきましょう。
- 診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)C005-2・C007
- 特掲診療料の施設基準等(別表第八:特別な管理を要する状態等)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準…の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年老企第36号)全老健 法令・Q&A検索
- C005-2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料(令和8年度 告示・留意事項通知の掲載)
※本記事の点数・算定要件は、令和8年度診療報酬改定後の告示・留意事項通知と、介護報酬の留意事項通知にもとづいて整理したものです。特別管理加算の指示様式に関するQ&A(介護保険最新情報Vol.267)は原文を再確認できていないため、算定にあたっては保険者にご確認ください。制度に関する記述は2026年10月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。依頼フロー・記録の工夫に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




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