「訪問看護のみなし指定って、訪問看護ステーションと何が違うの?」「人員基準や料金、指示書はどうなるの?」――病院・診療所で在宅医療に関わる方や、これから訪問看護を始めたい方からよく聞かれる疑問です。

結論から言うと、みなし指定の訪問看護とは、病院・診療所が改めて指定申請をしなくても訪問看護を提供できる仕組みのこと。人員基準がゆるく始めやすい一方で、料金(単位数)や提供できる職種に違いがあります。この記事では令和6年度(2024年度)介護報酬改定後の最新単位数を踏まえ、みなし指定訪問看護の基準・料金・指示書・契約書・メリットまで、実務目線で徹底解説します。

この記事でわかること
  • 訪問看護のみなし指定とは何か(通常指定との違い)
  • みなし指定と訪問看護ステーションの違い(人員・設備・職種)
  • みなし訪問看護の料金(令和6年度改定後の最新単位数)
  • 指示書・契約書は必要なのか(医療保険・介護保険での違い)
  • みなし指定で訪問看護を行うメリットと注意点
ちびウルフちびウルフ

みなし指定って言葉は聞くけど、ちゃんと理解できてないなぁ…。

リハウルフリハウルフ

大丈夫、順番に整理すれば難しくないよ。まずは「みなし指定とは何か」から見ていこう。

訪問看護のみなし指定とは?

介護保険のサービス事業所を立ち上げるときは、通常、都道府県知事などから「指定(=許可)」を受ける必要があります。これを「通常指定」と呼びます。

ところが病院・診療所については、健康保険法上の保険医療機関として指定を受けた時点で、介護保険の訪問看護・訪問リハビリなどの指定も受けたものと「みなす」という特例があります。これが「みなし指定」です。つまり、病院・診療所は改めて訪問看護の指定申請をしなくても、訪問看護を提供できるというわけです。

ポイントみなし指定の対象は「病院・診療所」。訪問看護ステーションは別法人・別事業所として通常指定を受けて運営するため、みなし指定とは扱いが異なります。

みなし指定訪問看護と訪問看護ステーションの違い

両者の違いを一覧で整理すると、次のようになります。

項目みなし指定(病院・診療所)訪問看護ステーション
指定申請不要(保険医療機関の指定でみなす)必要(通常指定)
管理者設置不要原則必要
看護職員の人員基準適当数(明確な下限なし)常勤換算2.5以上・うち1名は常勤
PT・OT・STの訪問看護提供できない提供できる
設備院内の設備・備品を使用可専用区画・設備が必要
料金(単位数)訪問看護費Ⅱ(やや低い)訪問看護費Ⅰ

みなし訪問看護の人員基準

病院・診療所のみなし指定訪問看護の人員基準は、「指定訪問看護の提供に当たる看護職員を適当数」とされており、明確な人数の下限がありません。一方、訪問看護ステーションは保健師・看護師・准看護師を常勤換算2.5以上配置し、うち1名は常勤であることが求められます。この人員基準のゆるさが、みなし指定の大きな特徴です。

注意みなし指定の訪問看護では、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)による訪問看護は提供できません。リハ職による訪問を行いたい場合は、訪問看護ステーションの開設を検討する必要があります。

みなし訪問看護の設備基準

みなし指定(介護予防)訪問看護を行うには、必要な広さの専用区画を確保し、提供に必要な設備・備品を備える必要があります。ただし設備・備品については、当該医療機関の診療用に備え付けたものを使用できるため、新たに大きな投資をせずに始められます。

みなし訪問看護の料金(介護保険・令和6年度改定後)

みなし指定の訪問看護は、サービスコード上「訪問看護費Ⅱ」に区分され、訪問看護ステーション(訪問看護費Ⅰ)より単位数がやや低く設定されています。令和6年度(2024年度)介護報酬改定後の単位数は次のとおりです。

所要時間みなし指定(訪問看護費Ⅱ)訪問看護ステーション(Ⅰ)
20分未満266単位314単位
30分未満399単位471単位
30分以上1時間未満574単位823単位
1時間以上1時間30分未満844単位1,128単位

※令和6年度(2024年6月施行)介護報酬改定後の単位数。実際の請求額は地域区分(1単位あたりの単価)や各種加算により変動します。最新の数値・加算は厚生労働省の資料や自治体でご確認ください。

ちびウルフちびウルフ

みなしと訪問看護ステーションって、どのくらい料金が違うの?

リハウルフリハウルフ

時間が長くなるほど差が大きくなるんだ。下の表で見てみよう。

所要時間差(Ⅰ−Ⅱ)Ⅱはおよそ何割
20分未満48単位約85%
30分未満72単位約85%
30分以上1時間未満249単位約70%
1時間以上1時間30分未満284単位約75%

このように、訪問時間が長くなるほど単位数の差は広がります。短時間中心の訪問であれば差は小さいですが、長時間ケアが多い場合は収益面の影響を踏まえて運営方針を考える必要があります。

みなし訪問看護に指示書は必要なのか?

みなし訪問看護でも訪問看護指示書は必要ですが、医療保険と介護保険で扱いが異なります。

  1. 医療保険のみなし訪問看護:自院の医師からの指示のみで行います。他の医療機関の医師から指示書をもらうことはできません。
  2. 介護保険のみなし訪問看護:自院はもちろん、他の医療機関の医師から訪問看護指示書を交付してもらって訪問看護を行うこともできます。
ポイント「医療保険は自院の医師のみ/介護保険は他院の医師からも可」――この違いはよく問われるポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

みなし訪問看護に契約書は必要?

みなし訪問看護も、訪問看護ステーションと同様に利用者との契約書は必要です。自宅という生活の場でケアを行う以上、サービス内容・料金・キャンセル・個人情報の取り扱いなどを明確にし、トラブルを防ぐために重要事項説明書とあわせて契約を交わしましょう。

みなし指定で訪問看護を行うメリットと注意点

みなし指定で訪問看護を行うメリットを整理すると、次のとおりです。

みなし指定のメリット ①管理者を別に設けなくてよい/②人員基準がゆるく、常勤換算2.5(看護師等3名前後)を確保しなくても始められる/③院内の設備・備品を活用できる/④指定申請や更新の手続きが簡素。

一方で、注意したい点もあります。PT・OT・STによる訪問看護ができないこと、訪問看護費Ⅱのため長時間ケアでは単位数がステーションより低くなること、院内業務との兼務で訪問体制の確保が難しくなりやすいことなどです。「始めやすさ」と「提供できる範囲・収益性」を天秤にかけて、自院の体制に合った形を選ぶことが大切です。

ちびウルフちびウルフ

始めやすいけど、できることに制限もあるんだね。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。小さく始めたいならみなし指定、リハ職も入れて幅広く展開したいならステーション、と考えると分かりやすいよ。

みなし指定とステーション、どちらを選ぶべき?

「自院で訪問看護を始めたいが、みなし指定と訪問看護ステーションのどちらが良いのか」という相談はとても多いです。判断の軸を整理すると、次のように考えると分かりやすくなります。

こんな方針なら向いている形態
外来・入院患者の在宅移行を院内体制の延長で支えたいみなし指定
まずは小さく・低コストで訪問看護を始めたいみなし指定
PT・OT・STも含めてリハビリ訪問を展開したい訪問看護ステーション
24時間対応や緊急時加算などで本格的に運営したい訪問看護ステーション
看護職員を専従で十分に確保できる訪問看護ステーション

みなし指定は「院内の医療資源を活かして、まず始める」のに向いています。一方、訪問看護ステーションは初期の体制づくりに手間はかかるものの、提供できるサービスの幅や算定できる加算が広く、収益性や事業拡大の面で有利です。自院の患者層・人員体制・将来の方向性を踏まえて選びましょう。

注意みなし指定でも、訪問看護を実際に行う際は運営基準(記録・衛生管理・緊急時対応など)を満たす必要があります。「申請が不要=何も整えなくてよい」ではない点に注意してください。最新の基準は厚生労働省の告示・通知や自治体の手引きで確認しましょう。
ちびウルフちびウルフ

自院の状況に合わせて選べばいいんだね!

リハウルフリハウルフ

その通り。迷ったら、まずみなし指定で小さく始めて、ニーズが増えたらステーション化を検討する、という進め方もあるよ。

よくある質問(FAQ)

みなし指定の訪問看護でリハビリ職員は訪問できますか?
できません。みなし指定の訪問看護では、PT・OT・STによる訪問看護は提供できません。リハ職による訪問を行いたい場合は、訪問看護ステーションの開設が必要です。
みなし訪問看護に管理者は必要ですか?
訪問看護ステーションのような専従の管理者設置は求められません。これがみなし指定のメリットの一つです。
料金は訪問看護ステーションよりどのくらい安いですか?
令和6年度改定後で、20〜30分未満なら約85%、30分以上1時間未満では約70%程度の水準です。訪問時間が長くなるほど単位数の差が大きくなります。
介護保険のみなし訪問看護で他院の医師の指示書は使えますか?
介護保険であれば、自院だけでなく他の医療機関の医師から訪問看護指示書を交付してもらって訪問看護を行えます。医療保険の場合は自院の医師の指示のみです。
みなし指定でも契約書は交わす必要がありますか?
必要です。訪問看護ステーションと同様に、重要事項説明書とあわせて利用者と契約を交わしましょう。
まとめ
  • みなし指定訪問看護とは、病院・診療所が改めて指定申請をせずに訪問看護を提供できる仕組み。
  • 人員基準がゆるく、管理者も不要で始めやすいが、PT・OT・STによる訪問看護はできない。
  • 料金は「訪問看護費Ⅱ」で、令和6年度改定後は20分未満266単位〜1時間半未満844単位。ステーション(Ⅰ)より低い。
  • 指示書は医療保険=自院の医師のみ、介護保険=他院の医師も可。契約書はどちらも必要。
  • 始めやすさと提供範囲・収益性のバランスで、みなし指定とステーションを選び分けることが重要。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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