「訪問看護でクレームをもらってしまって、ずっと落ち込んでいる」「自分は悪くないと思うのに、なぜか責められて辛い」——訪問看護師なら、一度はこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。利用者さんのお宅という”相手の生活空間”に入っていく仕事だからこそ、病棟とは違うクレームが起こりやすいものです。

この記事では、訪問看護師が落ち込みやすいクレームの具体例を「もらって当然・些細なこと・理不尽」の3タイプに分けて整理し、それぞれの正しい対応方法と、落ち込んでしまったときの立ち直り方まで解説します。新人さんもベテランさんも、明日からの現場で気持ちが少し軽くなるヒントになれば嬉しいです。

この記事でわかること
  • 訪問看護師が落ち込むクレームの具体例(3タイプ)
  • クレームの種類ごとの正しい対応方法
  • 「謝罪・傾聴・感謝・解決策」の使い分け方
  • クレームで落ち込んだときの立ち直り方とステーション選びのコツ

訪問看護師が落ち込むクレームの例【3タイプに分けて解説】

ちびウルフちびウルフ

クレームって、全部こちらが悪いものなの?

リハウルフリハウルフ

そんなことはないよ。クレームには「もらって当然のもの」から「理不尽なもの」まで幅がある。まずタイプを見分けることが、正しい対応の第一歩なんだ。

訪問看護のクレームは、内容によって対応の方向性が大きく変わります。まずは次の3タイプに分けて考えると整理しやすくなります。

タイプ特徴基本スタンス
もらって当然のクレームこちらに明確な非がある誠実に謝罪し、再発防止策を立てる
些細なことでのクレーム「え?これだけで?」と感じる相手の気持ちに配慮して対応を見直す
理不尽なクレーム「こんなことで?」と感じる個人で抱えず事業所単位で対応する

もらって当然の訪問看護のクレーム

こちらに明確な落ち度があるクレームです。たとえば次のようなケースです。

  • 利用者さんのお宅で車をぶつけてしまった
  • 利用者さんを転倒させ、怪我をさせてしまった
  • 利用者さんの家のものを壊してしまった
  • 個人情報を漏らしてしまい怒られた

このタイプは、素直に反省し、誠実に謝罪したうえで具体的な改善策を立てることが何より大切です。落ち込む気持ちは自然ですが、同じミスを繰り返さない仕組みづくりに目を向けましょう。

些細なことでの訪問看護のクレーム

こちらとしては「そんなことで?」と感じても、相手にとっては不快だったクレームです。

  • 扉を大きな音を立てて閉めたら怒られた
  • 手洗いで水を出しすぎて注意された
  • 数分遅れただけで怒られた
  • 「愛想がない」と言われた
  • 「馴れ馴れしい」と言われた

このタイプは、相手の生活感覚や価値観にもう一歩寄り添うことで防げることが多いです。自分の常識と相手の常識は違う、という前提で対応を見直してみましょう。

理不尽な訪問看護のクレーム

こちらに非がないにもかかわらず受けるクレームです。

  • 「男(女)は来るな」と言われた
  • 「経験が浅い人は来るな」と言われた
  • 容姿について心ない言葉を言われた
  • 「マッサージをしてくれない」と言われた
  • サービス提供範囲外のことを断ったら「来るな」と言われた
  • 感染対策のマスクを「外せ」と言われた
  • 頂き物を断ったら怒られた

このタイプは個人では解決が難しいものが多く、ときにハラスメントに該当することもあります。1人で抱え込まず、必ず事業所単位で共有し、組織として対応しましょう。

注意暴言・暴力・セクシュアルハラスメントなどは「カスタマーハラスメント」にあたる場合があります。我慢して訪問を続けるのではなく、管理者やケアマネジャーへ速やかに報告し、訪問体制の見直しを検討してください。看護師の安全が最優先です。

訪問看護におけるクレーム対応方法【謝罪・傾聴・感謝・解決策】

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クレームをもらったら、とにかくすぐ謝ればいいの?

リハウルフリハウルフ

そこが大事なポイント。やみくもに謝るのは逆効果なこともあるんだ。状況に応じて「謝罪・傾聴・感謝・解決策」を使い分けよう。

訪問看護のクレーム対応には、大きく4つの手段があります。状況に応じて組み合わせて使うのがコツです。

  1. 謝罪する:自分や事業所に非がある場合に、誠実に謝る。
  2. 傾聴する:相手が「何に怒っているのか」を明らかにする。
  3. 感謝を伝える:指摘してくれたことへの感謝で相手の気持ちを和らげる。
  4. 解決策を検討する:事業所・ケアマネ・行政と連携して根本解決を図る。

謝罪する|非があるときだけ、誠実に

最初にもっとも大切なことをお伝えします。どんなクレームにもとにかく謝る、というのは間違いです。非があるなら誠実に謝罪すべきですが、悪いことをしていないのに謝ると、非を認めたことになってしまいます。とくに理不尽なクレームに対しては、安易に謝罪しないよう注意しましょう。一方で、こちらに落ち度がある場合は、しっかり謝ることでクレームが収まることも多いです。

傾聴する|「何に怒っているのか」を見極める

傾聴が有効なのは、利用者さんや家族が何に対して怒っているのかを明確にするためです。クレームは、いくつもの不満が積み重なって爆発することがよくあります。

ポイント(積み重なるクレームの例) ①毎回少し遅刻してくることにイライラしていた → ②職員のタメ口にも普段から不満があった → ③ケアの手際が悪くて怒りが爆発、という流れの場合、③だけ直しても①②が残っていれば再発します。傾聴で本当の原因を見つけることが、繰り返しを防ぐカギです。

感謝を伝える|「分かってくれた」で気持ちが収まる

「ご指摘いただきありがとうございます。以後気をつけます」と伝えるだけで、クレームが収まることがあります。人は、自分の気持ちを「理解してくれた」と感じると怒りが和らぐものです。相手の苦しみや不満を受け止める姿勢を見せることが、解決への近道になります。

解決策を検討する|1人で抱えず連携する

謝罪・傾聴・感謝を尽くしても収まらないクレームもあります。その場合は、事業所・ケアマネジャー・他事業所・行政などと連携し、チームで解決策を話し合うことが必要です。「相手は何を望んでいるのか」を軸に向き合えば、糸口は見えてきます。

訪問看護師がクレームで落ち込んだときの立ち直り方

どんなクレームであっても、訪問看護師の心はダメージを受けます。悪いことをしていないと分かっていても、拒否されればやはり辛いものです。ここでは、落ち込んだときの立ち直り方をお伝えします。

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落ち込んだときって、どうやって気持ちを切り替えればいいの?

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趣味で気分転換するのも大事。でも何より効くのは「理解してくれる人がいる環境」で働くことだよ。

趣味や好きなことで気分転換するのも有効です。ただ、もっとも大きく左右するのは「理解のある人がいる訪問看護ステーションで働けているか」です。クレームをもらったときに「あなたが悪い」と責められるのか、「本当の原因は何だろう」と一緒に考えてくれる人がいるのかで、立ち直りやすさはまるで違います。

利用者さんや家族が「理解してもらえない辛さ」を抱えるのと同じで、訪問看護師も自分の気持ちを理解してほしいものです。同じ目線で一緒に考えてくれる管理者・先輩・同僚がいるステーションを選ぶことを強くおすすめします。もし今の職場が「個人の責任」で片付ける雰囲気なら、環境を変える選択肢も視野に入れてよいでしょう。

ポイントクレーム対応がしんどい職場は、報告・相談しやすい風土が弱いことが多いです。面接や見学のときに「クレームやハラスメントにどう対応していますか?」と質問してみると、ステーションの姿勢が見えてきます。

訪問看護のクレームを減らす3つの予防策

クレームは起きてから対応するだけでなく、日ごろの関わり方で減らすことができます。完全になくすのは難しくても、いくつかの工夫でトラブルの芽を小さくできます。

  1. 「報・連・相」を丁寧にする:訪問時間の変更や担当交代は、事前にひと言伝えるだけで不信感を防げます。小さな連絡の積み重ねが信頼につながります。
  2. 相手の生活ルールを尊重する:靴の脱ぎ方、物の置き場所、声のトーンなど、その家の流儀に合わせる意識を持つと、些細なクレームが起きにくくなります。
  3. 気づいた違和感はチームで共有する:「最近少し機嫌が悪い」など小さなサインを早めに共有しておくと、爆発する前に手を打てます。
ポイントクレームの多くは「コミュニケーションのズレ」から生まれます。技術以上に、相手を尊重する姿勢が予防のカギです。とはいえ、どれだけ丁寧でも理不尽なクレームはゼロにはできないので、「予防」と「組織での対応」は両輪で考えましょう。

訪問看護のクレームに関するよくある質問

理不尽なクレームでも謝った方がいいですか?
非がないのに謝ると、非を認めたことになり状況が悪化することがあります。理不尽なクレームは安易に謝らず、事実を確認し、事業所として対応しましょう。
クレームを管理者に報告するのは大げさでしょうか?
大げさではありません。とくにハラスメントや理不尽なクレームは、早めの共有が再発防止と看護師の安全につながります。報告は「仕事の一部」と考えてください。
クレームが怖くて訪問が辛いです。どうすれば?
まずは信頼できる先輩や管理者に気持ちを話しましょう。担当替えや同行訪問など、体制で守ってくれる職場であれば負担は大きく減ります。改善が難しいなら環境を変えるのも一つの方法です。
新人のうちはクレームをもらいやすいですか?
経験が浅いうちは対応に戸惑いやすいですが、多くは経験とともに減っていきます。1人で抱えず、チームで振り返る習慣をつけることが成長の近道です。
まとめ
  • 訪問看護のクレームは「もらって当然・些細なこと・理不尽」の3タイプに分けると対応しやすい。
  • 対応の基本は「謝罪・傾聴・感謝・解決策」。非がないのにやみくもに謝らないことが重要。
  • 傾聴で「本当に怒っている原因」を見極めると、クレームの繰り返しを防げる。
  • 理不尽なクレームやハラスメントは個人で抱えず、必ず事業所単位で対応する。
  • 落ち込んだときに効くのは、理解して一緒に考えてくれる人がいるステーションで働くこと。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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