訪問リハビリの1日の件数の平均は?理想件数と売上の決め方

「訪問リハビリで、1日にどれくらいの件数を回るのが普通なの?」「事業所として、1日の理想の件数や売上はどう設定すればいい?」。訪問リハ事業所を立ち上げた方や、目標設定に悩む管理者からよく聞かれる疑問です。
この記事では、訪問リハ歴10年以上の理学療法士の視点から、1日の訪問件数の目安・理想の件数の決め方・売上(損益分岐)からの逆算までを具体的に解説します。「みんなが○件だからウチも○件」ではなく、根拠を持って目標を立てるための考え方をまとめました。
- 訪問リハビリの1日の件数の現場感覚(おおよその目安)
- 件数だけで判断してはいけない理由
- 理想の件数を決める8つの因子
- 人件費率と損益分岐から件数・売上を逆算する具体例
ちびウルフ1日何件が正解なのか、ずっと気になってたんだ!
リハウルフ実は「件数だけ」では正解が出ないんだ。時間や移動も含めて考える必要があるよ。順番に見ていこう。
訪問リハビリの1日の件数の目安
これまで500名以上の訪問セラピストと関わってきた経験から言うと、1日の訪問件数はおおよそ1件〜10件と幅があり、平均すると5〜7件のセラピストが多い印象です。ただし、これはあくまで現場で見聞きした感覚値であり、「正解の件数」ではありません。
件数だけで判断してはいけない理由
「平均が5〜7件だから、ウチもそれに合わせよう」という発想はおすすめしません。なぜなら、件数が同じでも、業務量がまったく違ってくるからです。
1回あたりの訪問時間で変わる
訪問リハビリは1回20分・40分・60分など時間が異なります。
| パターン | 合計訪問時間 |
|---|---|
| 40分の訪問 × 6件 | 240分 |
| 60分の訪問 × 6件 | 360分 |
同じ6件でも、合計で2時間も差が出ます。
移動時間で変わる
1件ごとの移動時間も地域差が大きく、サービス付き高齢者向け住宅の中や都市部では短く、郊外では長くなります。
| パターン | 移動込みの合計 |
|---|---|
| 移動10分+40分訪問 × 6件 | 300分 |
| 移動30分+40分訪問 × 6件 | 420分 |
移動だけで2時間の差。トータルの忙しさはまるで違ってきます。
理想の件数を決める8つの因子
1日の理想の訪問件数は、次の8つの因子を踏まえて決めます。
ちびウルフそれぞれ、なんで重要なのか教えて!
リハウルフどれも目標設定に直結する大事な因子だよ。一覧で見てみよう。
| 因子 | 重要な理由 |
|---|---|
| 1回の訪問時間 | 20分・40分・60分で忙しさが大きく異なるため |
| 移動距離 | 移動が長いほど書類業務などにしわ寄せが出るため |
| 週・月の平均件数 | 1日多くても、週・月平均が下がっては意味がないため |
| 訪問以外の業務 | 契約・担当者会議・リハ会議などの時間も業務量に影響するため |
| 新規を受けた数 | 新規が増えると初回の計画書作成などで負担が増えるため |
| 担当数 | 担当が多いほど書類・連携業務が付随して増えるため |
| 売上(利益) | 利益を出さなければ事業が存続しないため |
| 加算・減算 | 加算・減算が売上に直接影響するため |
訪問リハビリでは、1日の件数だけを見るのではなく、これらを踏まえて目標を設定することが大切です。
売上から逆算する目標件数の具体例
「考え方はわかったけれど、具体的な数字が知りたい」という方へ、逆算の一例を紹介します。目標件数や売上に唯一の正解はなく、事業所ごとに異なる点は前提としてお読みください。
人件費率とは
人件費率とは、売上高に対する人件費の割合のことです。
医療・介護業界は人件費率が高めになりやすく、なかでも訪問系は人件費以外の経費(建物・設備など)が少ないため、人件費率が高くても赤字になりにくいのが特徴です。
損益分岐の試算(概算例)
| 項目 | 金額(仮) |
|---|---|
| 訪問セラピストの年収 | 450万円 |
| 会社が負担する法定福利費(約16%) | 72万円 |
| 人件費合計 | 522万円 |
| 人件費率(仮) | 65% |
| 必要売上(522万円 ÷ 0.65) | 約803万円/年 |
| 月あたり必要売上(803万円 ÷ 12) | 約67万円/月 |
この試算では、年収450万円のセラピストが黒字化(損益分岐点に到達)するには、月におよそ67万円の売上が必要という計算になります。これを件数に置きかえると次のようになります。
| 1件あたり単価 | 月の必要件数(67万円 ÷ 単価) |
|---|---|
| 6,000円 | 約111件 |
| 8,000円 | 約83件 |
このように根拠を持った目標件数・売上を職員に示すことができれば、スタッフも納得しやすく、事業所運営も安定しやすくなります。
件数を追うより「単価と継続」で売上を考える
売上を伸ばそうとすると、つい「もっと件数を回そう」と考えがちです。しかし件数を無理に増やすと、移動や書類業務が圧迫され、結果的に週・月の平均が下がったり、離職につながったりします。持続可能な経営のカギは、件数の量だけでなく「1件あたりの単価」と「利用者の継続」にあります。
加算で1件あたりの単価を底上げする
同じ訪問1件でも、算定できる加算によって単価は変わります。リハビリテーションマネジメント加算など、要件を満たせる加算を適切に算定することで、件数を増やさずに売上を底上げできます。加算は介護報酬改定で見直されるため、最新の要件を厚生労働省や自治体の資料で確認することが前提です。
稼働率と継続率を意識する
1日のピーク件数より、週・月を通した稼働の安定(平均件数の底上げ)の方が経営には効きます。キャンセル対応のルール化、利用者の状態に合わせた目標設定、丁寧な関わりによる継続率の向上が、結果的に売上の安定につながります。
よくある質問
訪問リハビリの1日の件数の平均は何件ですか?
件数を増やせば売上は上がりますか?
目標件数はどう決めればいいですか?
新規が増えると件数の調整は必要ですか?
- 1日の件数は現場感覚で平均5〜7件。ただし目安にすぎない。
- 件数が同じでも、訪問時間と移動時間で忙しさはまるで違う。
- 理想の件数は8つの因子(時間・移動・平均・付随業務・新規・担当数・売上・加算減算)で決める。
- 人件費率と損益分岐から必要売上を逆算し、単価で割れば目標件数が出せる。
- 根拠ある目標はスタッフの納得と事業所の安定につながる。




