訪問リハビリの診療情報提供書|書式・記入例・250点の算定まで現役PTが徹底解説【令和6年度版】

「訪問リハビリの診療情報提供書って、結局どこから出てもらって、どんな書式で、どう書けばいいの?」——現場のセラピストなら一度は引っかかるテーマです。事業所の医師が3か月に1回診療できない利用者を受けたとき、外部の医療機関から情報を取り寄せる手順が曖昧なまま、なんとなく「指示書」と呼んで運用している事業所も少なくありません。
本記事では、現役の訪問リハ理学療法士として、訪問リハビリの診療情報提供書の正しい位置づけと、書式・記入例・有効期間・診療情報提供料(250点)の扱い、そして依頼の手順までを、令和6年度介護報酬改定の基準に沿って整理しました。読み終える頃には、「訪問リハ計画診療未実施減算」とセットで考えるべき診療情報提供書の運用が、迷いなくマネジメントできるようになるはずです。
- 訪問リハビリにおける「診療情報提供書」と「指示書」の違い
- 診療情報提供料250点(B009)の算定要件と利用者負担
- 診療情報提供書の有効期間(3か月ルール)と起算日の考え方
- 厚労省様式に準拠した記入項目(リハ計画書 別紙様式2-2-1)
- 訪問リハ計画診療未実施減算との連動と、現場での依頼手順
- セラピストがやりがちな運用ミスと回避策

リハウルフ先生、訪問リハの「指示書」と「診療情報提供書」って、結局同じものなんですか?うちの事業所は両方を混ぜて使っていて、よく分からなくなっちゃって…。

いい質問だね、ちびウルフ。結論からいうと、訪問リハに「指示書」という公式の書類は存在しないんだ。代わりに、外部医療機関の医師から情報をもらうときは「診療情報提供書」を使うのが正解。ここを最初に整理しないと、加算減算の判断がぶれちゃうんだよね。
訪問リハビリの診療情報提供書とは?指示書との違いを整理
訪問リハビリテーションは、必ず「事業所の医師」の指示のもとで提供するサービスです。事業所の医師が3か月に1回以上利用者を診療できていれば、その医師の指示がそのまま訪問リハの根拠となり、外部医療機関から書類を取り寄せる必要はありません。
一方で、現場では「事業所の医師が直接診療できない利用者」が一定数います。たとえば、訪問診療を別法人のクリニックが担当しているケース、もともと総合病院の外来に通院しているケース、地域の中核病院から退院してきて引き続きその主治医が診ているケースなどです。こうしたとき、「事業所外の医師から、利用者の心身状態に関する情報提供を受けて、それを踏まえて事業所の医師が計画を作る」という運用が必要になり、その情報のやり取りに使われるのが診療情報提供書です。
診療情報提供書が必要になる3つの場面
訪問リハで診療情報提供書を使う場面は、おおよそ次の3つに分けられます。
- 未実施減算で訪問リハを提供する場合(最頻出)事業所の医師が計画的な医学的管理(3か月に1回の診療)を行えず、訪問リハ計画診療未実施減算を算定するケース。実務でいちばん多いのがこのパターン。
- 最初の情報収集として取り寄せる場合これから事業所の医師が継続的に診療していくが、立ち上げの段階で他医療機関の主治医から心身状態の情報を引き継ぎたい場合。
- 専門的判断のために取り寄せる場合義肢装具の作成・VE/VF(嚥下機能評価)など、特定の専門医の所見が必要な場面で、その情報を文書で受け取る場合。
このうち、現場の頻度として圧倒的に多いのは①です。残りの記事では、この①を中心に「どの書類を、誰から、いつもらい、どう使うのか」を順番に整理していきます。
「指示書」と呼んでいるのは現場の呼び慣わし
厚生労働省の通知や告示を細かく読み込むと、訪問リハに関して「指示書」という用語は出てきません。「指示」「診療」「計画的な医学的管理」「診療情報の提供」といった言葉は登場しますが、書類名としての「指示書」は制度上存在しないのです。
では、なぜ現場で「訪問リハの指示書」と呼ばれているのか。これは、「外部医療機関の医師に情報をもらう」「事業所の医師がリハ計画を立ててセラピストに指示する」という一連の流れを、現場が省略して「指示書」と総称しているだけです。厳密には、外部医療機関から受け取る文書は「診療情報提供書」、事業所内でセラピストに対して出されるものは「リハビリテーション計画書とその指示記録」と整理するのが正しい姿です。
主治医や開業医に対して「訪問リハの指示書をください」と依頼すると、医療機関側で「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の指示書」「訪問看護指示書」と混同される可能性があります。介護保険の訪問リハで未実施減算を算定する場合は、厳密には「診療情報提供書」を依頼すると覚えておきましょう。
事業所の医師が診療できない場合の制度上の取り扱い
もう少し制度の中身に踏み込みます。介護保険の訪問リハビリテーションは、原則として「事業所の医師が利用者を診療したうえで、その診療日から3か月以内に提供する」ことが算定の前提です。事業所の医師の診療を起点に、リハビリテーション計画が作られ、セラピストへ指示が出されます。
ただし、例外規定があります。事業所の医師がやむを得ず直接診療できない場合は、別の医療機関で計画的な医学的管理を行っている医師から情報提供を受け、その情報を踏まえて事業所の医師がリハビリテーション計画を作成し、訪問リハを提供することが認められています。この場合の算定は、情報提供のもとになった外部医師の診療日から3か月以内に行う必要があります。
さらに、外部医師から情報提供を受けて訪問リハを実施した場合は、少なくとも3か月に1回、事業所の医師から情報提供元の医師に対して、訪問リハ計画等の情報をフィードバックすることも義務付けられています。情報の流れは一方通行ではなく、必ず双方向で循環させる設計です。
この一連の運用が、いわゆる「訪問リハ計画診療未実施減算」での算定です。減算の対象になりますが、適切に運用すれば訪問リハを継続提供できる重要な仕組みです。
未実施減算の単位数と基本ルール(令和6年度版)
訪問リハ計画診療未実施減算は、令和6年度介護報酬改定後も継続して設定されている減算です。事業所の医師が直接診療できない場合に、所定単位数から減算したうえで算定するという仕組みで、令和6年度改定では減算単位数の見直しも入りました。
未実施減算の細かい単位数や、減算を回避するための要件、3か月の起算日の数え方については、以下の記事に最新情報をまとめています。診療情報提供書の運用とセットで必ず押さえておきましょう。
訪問リハビリの診療情報提供書の料金(診療報酬250点)
訪問リハの診療情報提供書で、現場が一番気にするのが「お金がかかるのか、誰が払うのか」という点です。ここを利用者・家族に説明できないと、後々トラブルになります。
診療情報提供料は1通あたり250点
診療情報提供書を作成した医療機関は、診療報酬の「診療情報提供料(Ⅰ)(B009)」として、1通あたり250点を算定します。1点10円換算で、医療機関の請求は2,500円。これを医療保険の枠で利用者が自己負担割合(1〜3割)に応じて支払うことになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診療報酬区分 | 診療情報提供料(Ⅰ)(B009) |
| 点数 | 250点(1通につき) |
| 請求者 | 診療情報提供書を作成した医療機関 |
| 負担者 | 利用者(医療保険の自己負担割合で按分) |
| 負担例 | 1割負担=250円/3割負担=750円 |
| 請求のタイミング | 次回の診療時にまとめて請求されることが多い |
同一法人内の情報提供は算定不可
診療情報提供料には例外があります。同一の保険医療機関内、あるいは特別の関係にある医療機関同士でのやり取りでは算定できません。たとえば、訪問リハ事業所が併設されている病院の医師と、同じ病院の別の科の医師との間で情報提供をしても、原則として250点は算定できないということです。
ただし「特別の関係」の解釈は微妙な部分があるため、判断に迷う場合は事業所の医事課や、地域の社会保険事務所、都道府県の医療指導課に確認するのが安全です。
「同じ法人内だから無料でもらえる」というのは便利に思えますが、現場としては「無料で出してくれるからこそ、依頼の頻度を増やしすぎない」配慮も必要です。情報提供する医師の事務負担を軽くするため、依頼内容と書式は徹底的に整理しておきましょう。
利用者・家族への説明のポイント
診療情報提供料は利用者の自己負担になるため、訪問リハの開始前または依頼前に必ず説明と同意取得を行います。説明の最低ラインは次のとおりです。
- 事業所の医師が3か月に1回の診療を行えないため、外部医療機関の医師から情報提供を受ける必要があること
- 情報提供を受けるために、相手医療機関で診療情報提供料250点(医療保険)が算定されること
- 1〜3割の自己負担分が利用者の請求書に上乗せされること
- 3か月に1回程度の頻度で発生する継続的な負担であること
- これを行わない場合、訪問リハ自体が継続できなくなる可能性があること
口頭説明だけで終わらせず、「診療情報提供にかかる費用負担についての同意書」を作成して書面で残しておくと、後日のトラブル回避に役立ちます。利用者の意思決定支援という観点でも、書面同意は丁寧に進めましょう。
訪問リハビリの診療情報提供書の有効期間と起算日
診療情報提供書には「いつからいつまで有効か」という決まったルールが、実は明確に書類面に書いてあるわけではありません。しかし、訪問リハの算定要件と照らし合わせると、実務上は次のように考えるのが妥当です。
外部医療機関の医師が、診療情報提供書を作成する元となった診療を行った日から3か月以内に提供した訪問リハまでが算定可能。
3か月ルールの根拠
訪問リハの算定要件として、「事業所の医師の診療日から3か月以内」が原則です。例外として、外部医療機関の医師からの情報提供を受ける場合は、「その情報提供の基礎となる診療の日から3か月以内」と読み替えられます。つまり、診療情報提供書の「作成日」ではなく、「その元になった診療を行った日」が起算点になるのが厳密な解釈です。
ただし、診療情報提供書には作成日は記載されていても、「元になった診療日」が明記されていないことがほとんどです。そのため現場では、作成日(または送付日)から3か月以内を運用上の目安とする事業所が多くあります。厳密性を求めるならば、依頼の段階で「直近の診療日も併記してください」とお願いするのがベストです。
3か月を超えそうなときの対応
「あと2週間で診療情報提供書の3か月期限が切れそうだけど、外部医療機関の主治医がなかなか診療してくれない」——こうした場面は珍しくありません。対応の選択肢は次のとおりです。
- 外部医療機関に再度受診を依頼する利用者またはケアマネ経由で受診を促し、新たな診療を行ってもらう。診療後、改めて診療情報提供書を発行してもらう。
- 事業所の医師の臨時診療を入れる事業所の医師が直接利用者を診療できるタイミングがあれば、未実施減算を解除して通常の算定に戻す。
- 一時的に訪問リハの提供を見合わせる3か月を超えた状態で算定すると不適切請求になるため、期限が切れた瞬間からは提供を一時停止する。
「期限が切れていることに気づかず、そのまま算定し続けてしまう」パターン。集団指導や実地指導で指摘されると、過去分まで遡って返戻になります。ケアマネ・主治医・事業所の医師の3者で、診療日・情報提供日のスケジュールを共有する仕組みを作っておきましょう。
訪問リハビリの診療情報提供書の書式・記入例
診療情報提供書の書式は、医療機関ごとに自由に作ることができますが、訪問リハで使う場合は厚生労働省が示すリハビリテーション計画書の「別紙様式2-2-1」に必要な情報が網羅されている形が望ましいとされています。
厚労省が想定している情報項目
厚労省の通知「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」では、訪問リハの未実施減算で外部医療機関から情報提供を受ける場合、次の項目について事業所の医師が十分に判断できるだけの情報が必要だとされています。
| 項目区分 | 必須の情報 |
|---|---|
| 意向 | 本人の希望/家族の希望 |
| 医学的情報 | 健康状態/既往歴/現病歴/服薬状況 |
| 経過 | 発症・受傷からの経過、最近の体調変化 |
| 心身機能・身体構造 | 麻痺・関節可動域・筋力・痛み・認知機能など |
| 活動(基本動作) | 寝返り・起き上がり・座位・立位・移乗・移動 |
| 活動(ADL) | 食事・排泄・入浴・整容・更衣・移動 |
| リハの目標 | 短期・長期の目標、ゴール設定の根拠 |
| 留意点 | リスク管理・運動制限・中止基準など |
記入例:脳梗塞後の在宅利用者の場合
具体的に、脳梗塞後で外部の脳神経内科クリニックの主治医が3か月ごとに診察を続けている、80代女性のケースを想定した記入例を示します。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 本人の希望 | 「歩いてトイレに行きたい」「家の中を一人で動けるようになりたい」 |
| 家族の希望 | 転倒予防を最優先。介助負担を減らしたい。週末に家族で外出できる体力を維持してほしい。 |
| 健康状態 | 高血圧、糖尿病(HbA1c 6.8%)、心房細動。脳梗塞後遺症で右片麻痺。降圧薬・抗凝固薬を内服中。 |
| 経過 | R5.3に脳梗塞を発症、急性期病院で1か月、回復期病院で3か月リハ実施。R5.7退院後、当院外来で経過観察中。 |
| 心身機能 | 右上下肢Brs StageⅣ/関節可動域は右肩屈曲130°/握力 右7kg・左18kg/HDS-R 24点 |
| 活動(基本動作) | 寝返り・起き上がり自立。立ち上がりは手すり使用。室内移動は四点杖。屋外は車椅子。 |
| 活動(ADL) | 食事・整容自立/更衣・入浴一部介助/排泄は日中自立、夜間Pトイレ使用。 |
| リハの目標 | 短期(3か月):屋内T字杖歩行の安定。長期(6か月):屋外短距離歩行と通院動作の獲得。 |
| 留意点 | 血圧180mmHg超で中止。労作時SpO2 92%未満で運動強度低下。抗凝固薬服用中のため転倒・打撲リスクに注意。 |
事業所独自の依頼用テンプレートを用意する
外部の医療機関は、訪問リハの細かい運用ルールまでは把握していないことが多いです。そのため、こちらから「こちらの書式に沿って記入していただけると助かります」と、空欄が記入しやすい依頼用テンプレートを添付するのが現実的です。
テンプレートを作るときのポイントは次の3つ。
- A4・1枚に収まる分量にして、医師の記入負担を最小化する
- 選択式(チェックボックス)にできるところは選択式にする
- 自由記述欄は「リハ実施上の留意点」など、医師にしか書けない項目に絞る
事業所独自テンプレートを添付すると同時に、「もちろん貴院ご使用の書式でも構いません」と添えておくと、医療機関側の運用にも配慮できて関係性が悪化しません。
診療情報提供書の依頼の流れ|現場の標準フロー
ここからは、実際に診療情報提供書を取り寄せるための実務フローを、ステップごとに整理します。事業所内のマニュアル化に使えるように、抜け漏れのない順番で並べました。
- 事業所の医師が直接診療できないことを確認する事業所の医師が訪問診療や外来対応ができないか、あるいは利用者・家族が来院を希望しないかなど、未実施減算の対象になる理由を整理する。
- 外部の主治医の有無を確認する3か月に1回以上計画的な医学的管理を行っている医師がほかにいるかを、本人・家族・ケアマネ経由で確認。複数の医療機関にかかっている場合は、リハ計画に影響する主治医を1人に絞る。
- 利用者・家族に費用と同意の説明をする診療情報提供料250点(1〜3割の自己負担)が発生することを口頭+書面で説明し、同意書をもらう。
- 外部医療機関に依頼書と書式テンプレートを送付する事業所からの依頼文・同意書のコピー・記入用テンプレートをまとめて郵送またはFAX。電話で事前にひと言かけておくとスムーズ。
- 診療情報提供書を受領する郵送・院内受け取り・利用者経由のいずれかで受領。受領日と作成日を記録に残す。
- 事業所の医師がリハ計画を作成する受け取った診療情報提供書をもとに、事業所の医師がリハビリテーション計画書を作成し、セラピストへ指示を出す。
- 3か月以内に情報提供元へフィードバックする少なくとも3か月に1回、事業所の医師から情報提供元の医師に対して、訪問リハ計画書や状態の変化を返書として返す。

STEP7のフィードバックって、忘れがちじゃないですか?うっかり3か月過ぎちゃうと、減算じゃなくて算定そのものができなくなっちゃうんですよね?

そのとおり。実地指導で一番指摘されやすいのが、ちょうどこのフィードバックの抜けなんだ。カレンダーアプリやレセコンに「次回情報提供日」を必ず登録する。チームで二重チェックする運用にしておくと安心だよ。
セラピストが知っておくべき診療情報提供書の運用ミス
診療情報提供書まわりで起きやすい運用ミスを、現場で実際に見聞きするものに絞って整理します。集団指導や実地指導で指摘されないように、自分の事業所がどのパターンに当てはまるかセルフチェックしてみてください。
ミス1:作成日と診療日を混同する
診療情報提供書の3か月の起算日は「作成日」ではなく「元になった診療日」です。作成日だけを見て3か月ルールを判断すると、知らないうちに期限切れになっていることがあります。必ず「直近の診療日」を欄に書いてもらう運用にしておきましょう。
ミス2:減算の算定漏れ
外部医療機関の情報提供で訪問リハを提供している期間は、訪問リハ計画診療未実施減算の対象です。事業所の医師が「自分が指示を出しているから減算は要らないだろう」と判断してしまい、減算をかけずに通常単位で請求してしまうケースがあります。事業所内の医師が直接診療していなければ、未実施減算の算定が原則です。
ミス3:フィードバック(返書)の未実施
外部医療機関から情報をもらいっぱなしで、こちらから3か月ごとの返書を送っていないケース。形式は問いませんが、訪問リハ計画書のコピーや、ADL・心身機能の変化をまとめた書面を返すのが一般的です。返書履歴は記録として必ず保管しておきましょう。
ミス4:利用者の同意書未取得
利用者への口頭説明だけで済ませて、書面の同意書を残していないケース。同意書がないと、後から「そんな費用負担は聞いていない」とトラブルになりやすいです。事業所のテンプレート同意書を整備しておきましょう。
診療情報提供書をめぐるよくある質問(FAQ)
診療情報提供書は、ケアマネにも渡す必要がありますか?
制度上の義務はありませんが、ケアマネジャーは利用者の情報を統括する立場にあるため、共有しておくのが望ましいです。ただし個人情報なので、利用者・家族の同意のもとで提供してください。
外部医療機関の医師が、なかなか書いてくれません。どうすれば?
記入負担を軽くするテンプレートを用意し、必須項目だけにシンプル化することが第一です。それでも難しい場合は、事業所の医師が直接電話・面談で情報を引き継ぎ、その内容をカルテ・診療録に記録するという代替案も視野に。ただし制度上は、書面による情報提供が原則であることを忘れずに。
診療情報提供書はFAXでも有効ですか?原本郵送が必要ですか?
制度上、原本/写し/電子のいずれと明記されてはいません。実務的にはFAX・郵送どちらでも運用可能で、近年は電子化(PDF送付)も増えています。ただし、医師の印鑑や署名が必要な書類なので、最終的には原本またはそれに準ずる写しの保管が望ましいでしょう。
同一法人内で診療情報提供料が算定できないとは、どこまでの範囲ですか?
「同一の保険医療機関内」と「特別の関係にある医療機関」が対象です。特別の関係は、開設者が同一・代表者が同一・親族関係などで判断されます。判断に迷う場合は、地方厚生局や都道府県の医療指導課に確認してください。
診療情報提供書がないまま訪問リハを提供してしまった場合、どうなりますか?
事業所の医師の診療もなく、外部医療機関からの情報提供もない状態で訪問リハを提供すると、算定要件を満たしていないことになります。実地指導で発覚すると、過去に遡って返戻の対象になる可能性があります。新規利用者の受け入れ時には、必ず診療情報提供書の到着を確認してから初回訪問を行いましょう。
退院直後の利用者の場合、退院時サマリーで代用できますか?
退院時サマリーは「診療情報提供書」の一種として運用される場合がありますが、訪問リハの未実施減算で求められる情報項目(本人・家族の希望、リハ実施上の留意点など)が網羅されているかが鍵です。情報が不足している場合は、退院時サマリーに加えて、改めて訪問リハ用の診療情報提供書を依頼するか、聞き取りで補完したうえで記録に残します。
まとめ|診療情報提供書を正しく運用して、訪問リハの算定を守る
訪問リハビリの診療情報提供書は、「事業所の医師が3か月に1回診療できない利用者でも、訪問リハを継続提供するための制度的な橋渡し」です。書類1枚の話に見えて、実は未実施減算の算定可否・利用者の費用負担・実地指導での指摘リスクのすべてに関わる、訪問リハの運営の根幹をなす書類です。
- 訪問リハに「指示書」という公式書類はなく、外部医療機関とのやり取りは「診療情報提供書」が正解。
- 事業所の医師が3か月に1回診療できない場合は、診療情報提供書を取り寄せたうえで、訪問リハ計画診療未実施減算で算定する。
- 診療情報提供料は1通250点。利用者の自己負担になるため、書面同意を取る。同一法人・特別の関係では算定不可。
- 有効期間は「元になった診療日から3か月以内」。作成日ではないので注意。
- 書式は厚労省様式(別紙様式2-2-1)相当の情報項目を網羅する。事業所独自のテンプレートを用意するとスムーズ。
- 3か月に1回、事業所の医師から情報提供元の医師へフィードバックを返す運用も必須。
制度の細部を押さえれば、診療情報提供書は「面倒な書類」ではなく、訪問リハを安定して継続するための強力な仕組みになります。利用者・家族・主治医・ケアマネ・事業所の医師という多職種をつなぐハブとして、丁寧に運用していきましょう。




