物理療法の本は、養成校のテキストで原理・適応・禁忌を押さえ、そのあとエビデンスと臨床での使い方を学べる本に進むのがおすすめです。迷ったら、学生は動画付きの『最新理学療法学講座 物理療法学 第2版』、臨床で物理療法を使いこなしたいPTは『エビデンスから身につける物理療法 第2版』から読んでください。

この記事では、物理療法の本を「学生・国試向けのテキスト」「臨床で使いこなすための本」の2つに分けて7冊紹介します。書名・版・発行年は、出版社の紹介ページと国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。

この記事でわかること
  • 物理療法の本を選ぶときの3つのポイント
  • 2021年以降に改訂された物理療法学テキストの違い
  • ラジオ波・衝撃波など新しい物理療法を扱う本
  • 臨床でエビデンスにもとづいて使うための本
  • 学生・新人・臨床家の読む順番
ちびウルフちびウルフ

物理療法って、ホットパックや電気をかけるだけでしょ?本まで読む必要あるの?

リハウルフリハウルフ

それがけっこう奥が深いんだ。同じ電気刺激でも、痛みを和らげたいのか、筋力をつけたいのかで設定がまったく違う。禁忌を知らずに使うと危ないこともあるから、原理と根拠を学んでおく必要があるんだよ。

物理療法の本を選ぶ3つのポイント

物理療法の本は、養成校の教科書が中心で、似た書名の本がたくさんあります。次の3つの視点で選びましょう。

①新しい版で、新しい物理療法を扱っているか

物理療法は機器の進歩が早く、ここ数年で体外衝撃波療法やラジオ波療法、随意運動介助型電気刺激など新しい治療が教科書にも載るようになりました。国家試験や臨床で困らないよう、2021年以降に改訂された版を選ぶと安心です。

②授業・国試向けか、臨床向けか

養成校のテキストは、原理・適応・禁忌を網羅的に学ぶのに向いています。一方、臨床では「この患者さんにどの物理療法をどう使うか」を判断する力が必要です。学生はテキスト、臨床家はエビデンスや臨床推論を扱う本を選びましょう。

③動画や図で、機器の使い方をイメージできるか

電極の貼り方や超音波のプローブの動かし方は、文章だけではわかりにくいものです。QRコードから動画を見られる本を選ぶと、実習や臨床の前に手順を確認できます。

目的おすすめの本特徴
授業の予習・復習最新理学療法学講座 物理療法学 第2版箇条書きと動画で整理
実習の準備理学療法テキスト 物理療法学・実習 第2版実習の指導つき
国試と臨床の両方物理療法学 改訂第3版(金原出版)国試・臨床のマーク付き
臨床推論を学ぶ物理療法学テキスト 改訂第3版エネルギーの分類で整理
臨床で根拠を確かめるエビデンスから身につける物理療法 第2版痛みの評価・動画39本

学生・国試向けの物理療法の本4選

1. 最新理学療法学講座 物理療法学 第2版

烏野大氏・川村博文氏が編著した医歯薬出版の本です(2026年1月発行・306ページ)。全体を見直した改訂版で、「ラジオ波療法」と「拡散型圧力波療法」の章が新たに加わりました。各種物理療法の場面を収録した動画を、QRコードから見られます。

長い文章ではなく箇条書きと模式図で構成されていて、知識を簡潔に整理できます。温熱・寒冷・電磁波・超音波・電気刺激・光線・牽引・水治療法に加え、随意運動介助型電気刺激や効果判定の章もあります。今買う物理療法のテキストとして、もっとも新しい1冊です。

2. 理学療法テキスト 物理療法学・実習 第2版

藤野英己氏が責任編集した中山書店の本です(2025年3月発行・198ページ)。理学療法士の養成課程の学生に向けたテキストで、改訂で内容を全面的に刷新し、全ページをフルカラーにしています。

物理学的エネルギーと病理学の知識をふまえて、治療手段の原理・方法・適応と禁忌を理解することを目標にしています。15のレクチャーで構成され、各レクチャーに実習に役立つ指導が含まれているので、学内実習の準備に向いています。リスク管理やマッサージ療法、新しい物理療法の回もあります。

3. 物理療法学 改訂第3版(金原出版)

松澤正氏・江口勝彦氏が監修した金原出版の本です(2021年3月発行・338ページ)。国家試験で必要な知識と、臨床で役立つ情報にそれぞれマークが付いているので、何を優先して覚えるべきかがわかります。

第3版では「圧迫療法・ショックウェーブ療法」の章が新設されました。各章の「目標」と「セルフチェック」で予習・復習ができ、巻末の「発展学習」には具体的な実習例が載っています。オールカラーで、卒前から卒後まで長く使えるテキストです。

4. 物理療法学テキスト 改訂第3版

細田多穂氏が監修し、木村貞治氏・沖田実氏・Goh Ah Cheng氏が編集した南江堂の本です(2021年1月発行・402ページ)。各種物理療法の生物学的・生理学的・臨床的な効果をふまえて、クリニカルリーズニング(臨床推論)を行う力を養う構成に見直されています。

エネルギーの種類(国際物理療法学会の分類に準拠)、使用する機器、運用方法、効果、エビデンスを階層的に整理しているので、物理療法を系統的に理解できます。テキストの中でも臨床寄りの1冊で、学生から若手PTまで使えます。

ちびウルフちびウルフ

学生のテキストは、学校で指定された本だけで足りるの?

リハウルフリハウルフ

授業はそれで十分だよ。ただ、わかりにくい章があったら、別の出版社の本で同じところを読むと理解が進むことがある。図の描き方や説明の順番が違うから、自分に合う説明に出合えるんだ。

臨床で物理療法を使いこなすための本3選

5. Crosslink理学療法学テキスト 物理療法学

吉田英樹氏が編集したメジカルビュー社の本です(2020年1月発行・360ページ)。理学療法学の専門科目に対応したテキストシリーズの1冊で、総論で物理療法の概要と、物理療法によって働く主な鎮痛のメカニズムを解説しています。

各種物理療法の章では、定義・作用と効果・実施手順・適応と禁忌が整理されています。巻末に各種療法を使った症例がまとめられているので、教科書の知識を臨床にどう結びつけるかをイメージしやすい本です。

6. エビデンスから身につける物理療法 第2版

庄本康治氏が編集した羊土社の本です(2023年3月発行・342ページ)。痛みのしくみや関節可動域制限、運動療法との関連、適応と効果、禁忌と注意点を根拠からわかるように解説しています。第2版では、リハビリ現場での痛みの評価と、体外衝撃波療法の項目が追加されました。

TENSやNMES、バイオフィードバック、創傷治癒のための電気刺激など電気を使った治療が詳しく、治療をイメージできる動画が39本付いています。国家試験対策のポイントも示されていますが、臨床で「なぜこの物理療法を選ぶのか」を説明できるようになりたいPTにとくにおすすめです。

7. イラストでわかる物理療法

上杉雅之氏が監修し、杉元雅晴氏・菅原仁氏が編集した医歯薬出版の本です(2019年6月発行・231ページ)。書名のとおりイラストを中心にした本で、物理療法をはじめて学ぶ人や、久しぶりに物理療法を担当する人が全体像をつかむのに向いています。新しい機器や治療法は、1〜6の新しい版で補いましょう。

立場別の物理療法の本を読む順番

7冊すべてをそろえる必要はありません。立場ごとに、次の順番で読むと無理なく身につきます。

PT学生の場合

  • 学校指定のテキストか『最新理学療法学講座 物理療法学 第2版』で、原理・適応・禁忌を押さえる
  • 動画や実習の指導で、機器の使い方と手順を確認する
  • 国家試験の前に、金原出版の『物理療法学』の国試マークの部分を見直す

新人PTの場合

  • 勤務先にある機器の取扱説明書と、禁忌の確認方法を覚える
  • 『エビデンスから身につける物理療法 第2版』で、よく使う治療の根拠と設定を確認する
  • 担当患者さんの痛みや可動域の変化を記録し、効果を判定する

訪問・通所で働くPTの場合

  • 持ち運べる機器(低周波治療器など)で何ができるかを整理する
  • 『物理療法学テキスト 改訂第3版』で、適応と禁忌を見直す
  • 主治医の指示や事業所のルールを確認してから、運動療法と組み合わせる
物理療法は「禁忌」の確認から

心臓ペースメーカーを使っている人への電気刺激や、感覚が低下している部位への温熱など、物理療法には使ってはいけない、または注意が必要な場面があります。高齢の利用者さんは持病や体内の機器が多いので、実施前に必ず主治医の指示と既往歴を確認しましょう。

よくある質問

物理療法の本は、学生のうちに何を買えばいいですか?

まずは学校で指定されたテキストを使いましょう。自分で選ぶなら、2026年1月に出た『最新理学療法学講座 物理療法学 第2版』がもっとも新しく、ラジオ波療法や拡散型圧力波療法の章と動画が加わっています。

「物理療法学」という書名の本がいくつもありますが、どう違いますか?

出版社ごとに養成校向けのテキストシリーズがあり、同じ書名でも内容や構成が違います。医歯薬出版は箇条書きと動画、中山書店は実習の指導、金原出版は国試と臨床のマーク、南江堂は臨床推論、メジカルビュー社は症例のまとめが特徴です。

臨床で物理療法を学び直すなら、どの本がいいですか?

『エビデンスから身につける物理療法 第2版』がおすすめです。痛みのしくみや可動域制限との関連、適応と禁忌を根拠から解説していて、動画も39本付いています。

体外衝撃波療法について学べる本はありますか?

『エビデンスから身につける物理療法 第2版』に体外衝撃波療法の項目が追加されています。金原出版の『物理療法学 改訂第3版』にも「圧迫療法・ショックウェーブ療法」の章があり、医歯薬出版の『物理療法学 第2版』には拡散型圧力波療法の章があります。

作業療法士にも物理療法の本は必要ですか?

手の外科や上肢の機能訓練で、温熱療法や電気刺激を使う作業療法士もいます。担当する分野で物理療法を使う場合は、適応と禁忌を学べるテキストを1冊持っておくと安心です。

訪問リハで物理療法は使えますか?

持ち運べる機器であれば使える場合がありますが、事業所の方針や主治医の指示によって異なります。在宅では医師がすぐそばにいないため、禁忌の確認と、異常があったときの連絡方法を決めておくことが大切です。

古い版の物理療法の本でも勉強になりますか?

温熱や寒冷、超音波の原理など基本は変わらないため、古い版でも学べます。ただし、新しい治療法や機器、エビデンスは改訂で追加されているので、これから買うなら最新版を選びましょう。

まとめ
  • 物理療法の本は2021年以降に改訂された版を選ぶ
  • 学生はテキストで原理・適応・禁忌を押さえる
  • もっとも新しいのは『最新理学療法学講座 物理療法学 第2版』(2026年)
  • 臨床で根拠を確かめるなら『エビデンスから身につける物理療法 第2版』
  • 実施前には必ず禁忌と主治医の指示を確認する
参考にした情報

※書籍の書名・版・出版社・発行年は、2026年11月3日時点の国立国会図書館サーチの書誌と各出版社の紹介ページで確認したものです。『イラストでわかる物理療法』は国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。在庫や価格、新しい版の刊行状況は変わる可能性があるため、購入時に販売ページでご確認ください。物理療法の実施にあたっては、主治医の指示と機器の取扱説明書、勤務先の基準をご確認ください。本の選び方や読み方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味