言語聴覚士(ST)のおすすめ本は、学生は「領域別の教科書+ドリル」、受験生は「受験する年の国試対策本」、現役STは「持ち歩ける評価の本+生活期の実践書」から選ぶと失敗しません。迷ったら、現役STは『ST評価ポケット手帳 第2版』、受験生は『ST CHECK!言語聴覚士国家試験必修チェック2027』から始めてください。

この記事では、言語聴覚士法で定められたSTの業務を確認したうえで、臨床で使う本3冊、領域別の教科書4冊、ドリル・実習の本3冊、国家試験対策の本4冊、当事者の体験がわかる本3冊の計17冊を、目的別に紹介します。

この記事でわかること
  • 言語聴覚士法から見たSTの業務の範囲と本の選び方
  • 臨床・教科書・ドリル・国試・当事者の本の目的別17選
  • 立場別に最初の1冊がわかる早見表
  • 国試対策本を選ぶときの年度の注意点
  • 本で学んだことを臨床に生かすコツ
ちびウルフちびウルフ

STの本って、失語症とか嚥下とか分野がバラバラで、どこから読めばいいかわからないよ。

リハウルフリハウルフ

STは対象が子どもから高齢者まで、領域もとても広い職種なんだ。だから「いまの自分の立場と、強化したい領域」で絞るのが近道だよ。

目次
  1. 言語聴覚士のおすすめ本を選ぶ前に知っておきたいこと
  2. 現役STの臨床で使えるおすすめ本3選
  3. 言語聴覚士の教科書としておすすめの本4選
  4. 授業・実習に役立つドリルとテキスト3選
  5. 言語聴覚士国家試験の対策におすすめの本4選
  6. 当事者の体験がわかるおすすめの本3選
  7. 本で学んだことを言語聴覚士の臨床に生かすコツ
  8. よくある質問

言語聴覚士のおすすめ本を選ぶ前に知っておきたいこと

言語聴覚士の業務は、言語聴覚士法(平成9年法律第132号)で定められています。まずは定義の条文を確認しましょう。

この法律で「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。

出典:言語聴覚士法 第2条(e-Gov法令検索)

さらに第42条では、診療の補助として、医師または歯科医師の指示の下に「嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為」を行えることが定められています。つまりSTの守備範囲は、失語症・高次脳機能障害・発声発語障害・言語発達障害・聴覚障害に加えて、摂食嚥下障害まで広がっています。

①立場で選ぶ

学生なのか、国試を控えた受験生なのか、現場で働くSTなのかで、必要な本は変わります。学生は体系的な教科書とドリル、受験生は過去問と要点集、現役STは臨床ですぐ引ける本が中心です。

②領域で選ぶ

1冊ですべての領域をカバーする本はありません。いま担当している利用者が多い領域、または苦手な領域から1冊選ぶと、読んだ内容をすぐ臨床で試せます。

③国試対策本は受験する年度の版を選ぶ

国家試験の対策本は、出題基準や最新の出題を反映して毎年のように改訂されます。古い年度の本は、最新の出題傾向が反映されていないので、受験する年度の版があるかを必ず確認しましょう。

立場・目的まず読む本次に読む本
現場で評価をすぐ確認したいST評価ポケット手帳成人言語聴覚療法ハンドブック
訪問・通所など生活期で働く言語聴覚士の生活期リハビリテーション失語症 臨床標準テキスト
授業・領域の基礎を固めたい失語症学 第4版ドリルプラス 摂食嚥下障害
臨床実習が不安臨床実習テキスト 成人編ST評価ポケット手帳
国家試験に合格したいST CHECK!2027過去問題3年間 2027年版
当事者・家族の気持ちを知りたいこう見えて失語症ですこの脳で生きる。

現役STの臨床で使えるおすすめ本3選

現場で働くSTには、評価をすぐ確認できる本と、患者・利用者の全体像をとらえる実践書の組み合わせがおすすめです。

書名特徴発売日評価(件数)
ST評価ポケット手帳 第2版評価200を厳選・持ち歩ける2023/24.3(42)
実践力を高める 成人言語聴覚療法ハンドブック全体像をとらえる視点2021/64.5(15)
現場が伝える 言語聴覚士の生活期リハビリテーション生活期STの事例2018/63.8(5)

※発売日・評価は2026年10月26日時点のAmazon販売ページの表示。評価は5点満点。

1. ST評価ポケット手帳 第2版

「いつもポケットに持ち歩けて、困ったときに手が届き、すぐにポイントとコツがわかる」をコンセプトにした評価のガイドブックです(ヒューマン・プレス・2023年)。よく遭遇する疾患を想定して評価200項目を厳選し、検査データ、運動中止基準、離床開始基準、医療機器の設定などもまとめています。第2版ではガイドラインの改訂に合わせて各疾患に必要な評価が追加されました。約350ページで厚さは約1cmと薄く、評価に自信がないときにその場で確認できるのが強みです。

2. 実践力を高める 成人言語聴覚療法ハンドブック

臨床現場で働く言語聴覚士に向けた144ページの本です(建帛社・2021年)。出版社の紹介では、患者の全体像を包括的にとらえる視点を通じて、多様化するリハビリ現場のニーズに応える実践力につなげる内容とされています。若手STの人材育成にも向いているとされているので、新人指導を任された中堅STの手元に置く1冊としても使えます。

3. 現場が伝える 言語聴覚士の生活期リハビリテーション

言語聴覚士が生活期リハビリの現場でどのように専門性を生かせるのかを、豊富な事例で解説した実践書です(医歯薬出版・2018年)。目次には「すべての利用者の認知機能の評価」「これからの生活期失語リハ」「これからの生活期摂食嚥下リハ」などが並びます。訪問リハビリや通所リハビリ、施設で働くSTが、「なぜ」「何を」「どのように」行うかの考え方の軸を持つのに役立ちます。

ちびウルフちびウルフ

病院の教科書と、訪問や施設の現場って、そんなに違うものなの?

リハウルフリハウルフ

訪問の現場では、検査道具も時間も限られるし、家族や介護職と一緒に食事や会話の工夫を考える場面が多いんだ。生活期の本は、その「生活の中でどう関わるか」を補ってくれるよ。

言語聴覚士の教科書としておすすめの本4選

領域の基礎を体系的に学ぶなら、養成校でも使われる教科書が確実です。医学書院の「標準言語聴覚障害学」シリーズは、令和6年の言語聴覚士学校養成所指定規則の改正を踏まえて改訂された第4版が2025年に出ています。

書名領域発売日ページ数
失語症学 第4版失語症2025/11408
高次脳機能障害学 第4版高次脳機能障害2025/10432
発声発語障害学 第4版音声・構音障害2025/12372
失語症 臨床標準テキスト失語症2019/11176

※発売日・ページ数は2026年10月26日時点のAmazon販売ページの表示。

4. 失語症学 第4版(標準言語聴覚障害学)

失語症臨床の理論・技術を網羅し、体系化した標準的な教科書です(医学書院・2025年)。令和6年の指定規則の改正を踏まえて改訂され、第4版では新しい知見を盛り込みつつ、学生が通読できるボリュームとレベルに構成が見直されました。臨床実習や卒後の臨床につながる事例の紹介も充実しています。

5. 高次脳機能障害学 第4版(標準言語聴覚障害学)

高次脳機能障害学の理論・技術を体系化した教科書の第4版です(医学書院・2025年)。章の冒頭に「エピソードと臨床推論の視点」、章末に事例紹介があり、多彩な高次脳機能障害の臨床推論の過程を学べる構成になっています。一部の章には、視覚的にイメージできるグラフィック動画も収載されています。高次脳機能障害の本は高次脳機能障害のおすすめ本でも紹介しています。

6. 発声発語障害学 第4版(標準言語聴覚障害学)

言語聴覚士養成施設の『発声発語障害学』の講義向けテキストの第4版です(医学書院・2025年)。第1章「発声発語障害学の基礎知識」で生理と病理を一体的に記載するなど内容が刷新され、全面カラーで、キーポイントやコラム(Note)、Point欄を置いた読みやすい紙面になりました。構音障害や音声障害を担当するときの基礎の確認にも使えます。

7. 失語症 臨床標準テキスト

失語症の定義、言語症状と失語症候群、評価・診断、訓練・援助、小児失語まで、失語症の臨床の基本事項を網羅したテキストです(医歯薬出版・2019年)。176ページと厚すぎず、各章末に理解を深めるQ&Aが掲載されています。「言語聴覚士国家試験出題基準 平成30年4月版」に対応した内容なので、国試の出題基準は最新版で確認しましょう。

授業・実習に役立つドリルとテキスト3選

教科書で学んだ内容をおさらいするならドリル、実習の準備には実習用テキストが便利です。

8. 摂食嚥下障害(授業・実習・国試に役立つ 言語聴覚士ドリルプラス)

摂食嚥下障害をテーマにした、言語聴覚士を目指す学生向けの問題集です(診断と治療社・2019年)。摂食嚥下障害の歴史、定義、解剖と生理、加齢による変化から、嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査などの評価、間接訓練・直接訓練まで、イラストや写真を多く使って幅広い領域をカバーしています。主要な用語は「読み解くためのKeyword」として解説されています。評価は4.9(15件)です。嚥下の本は嚥下障害の本おすすめ12選でも紹介しています。

9. 言語発達障害(授業・実習・国試に役立つ 言語聴覚士ドリルプラス)

同じシリーズの5冊目で、国試でも配点が高く範囲も広い「言語発達障害」をテーマにした問題集です(診断と治療社・2020年)。言語発達の段階ごとの特徴、知的障害や自閉症スペクトラム障害などに関連する言語の特徴、発達検査・知能検査、障害別の支援までを扱っています。小児領域が苦手な学生や、成人から小児に担当が変わったSTにも向いています。

10. 言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編

言語聴覚士養成課程の臨床実習に対応したテキストです(建帛社・2017年)。成人領域を対象に、実習で必要な知識を解説したうえで、症例報告書の作成について網羅的に扱っています。評価は4.5(31件)です。実習前の予習にも、実習中に報告書の書き方を確認するのにも使えます。

言語聴覚士国家試験の対策におすすめの本4選

国家試験の対策は、要点をまとめた本で全体像をつかみ、過去問で解く力をつけるのが基本です。2026年10月時点で、2027年受験向けの版が出ている本と、2026年版が最新の本があります。

書名種類発売日ページ数
必修ポイント ST専門科目 2026領域別過去問+要点2025/7450
必修ポイント ST基礎科目 2026領域別過去問+要点2025/7520
ST CHECK!必修チェック2027要点集2026/9380
過去問題3年間の解答と解説 2027年版過去問2026/6410

※発売日・ページ数は2026年10月26日時点のAmazon販売ページの表示。

11. 言語聴覚士国家試験必修ポイント ST専門科目 2026 オンラインテスト付

過去9年分(第18〜27回)の過去問を領域別に整理し、反復学習で合格圏をめざす問題集です(医歯薬出版)。専門科目版は、失語症、高次脳機能障害、言語発達障害学、発声発語・嚥下障害学、聴覚障害学、言語聴覚障害学総論の6章構成です。購入者特典としてスマホでも使えるオンラインテストと解答用紙のダウンロードがついています。2027年版が出ているかは購入前に確認してください。

12. 言語聴覚士国家試験必修ポイント ST基礎科目 2026 オンラインテスト付

同じシリーズの基礎科目版です(医歯薬出版)。基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育の7章で構成されています。専門科目版とセットで使うと、出題範囲をひととおりカバーできます。

13. ST CHECK!言語聴覚士国家試験必修チェック2027 分野別要点マスター

20年以上にわたり養成校で使われてきたチェックリストをもとに、必修知識の要点をコンパクトにまとめた本です(文光堂・2026年9月)。2027年版では、過去5年分(第24〜28回)の頻出キーワードがマークで表示され、項目は「出題基準」の大項目に準じて立てられています。2027年に受験する人が最初にそろえる1冊として向いています。

14. 2027年版 言語聴覚士国家試験過去問題3年間の解答と解説

最新の出題を含む過去3年間の問題を解説した過去問題集です(大揚社・2026年6月)。410ページで、出題傾向を知るための受験者向けの本です。要点集で知識を整理したあと、本番と同じ形式で解く練習に使いましょう。

当事者の体験がわかるおすすめの本3選

教科書では学べない「障害とともに生きる人の気持ち」を知ることは、評価や声かけの質を上げることにつながります。

15. こう見えて失語症です

47歳で脳出血の後遺症により失語症になった夫と、それを見守る妻が、発症から最初の2年半をどう過ごしたかをマンガと文章で紹介した本です(主婦の友社・2022年)。夫は仕事に復帰し、妻は失語症のリハビリをする言語聴覚士になったという経緯があり、文章部分は妻と言語聴覚士の両方の視点で書かれています。評価は4.8(66件)です。家族指導の参考にもなります。

16. この脳で生きる。脳損傷のスズキさん、今日も全滅

「軽度」と診断された高次脳機能障害の当事者が、日常のあらゆる当たり前が崩壊するような経験をどう感じ、どう理解し、どう助けを求めてきたかを掘り下げた本です(合同出版・2023年)。漫画家のいのうえさきこさんとともに、わかりにくい障害の可視化に取り組んでいます。見た目にはわかりにくい障害を理解するのに役立ちます。

17. 吃音の世界(光文社新書)

幼少期から吃音に悩んできた医師が、自身の吃音体験、吃音の発症の原因、吃音治療の歴史と現在などをつづった新書です(光文社・2019年)。吃音の3つの症状(連発・伸発・難発)の説明から、「吃音を治す」から「吃音とどう生きるか」へという考え方の変化までを扱っています。評価は4.5(187件)と、この記事で紹介する本の中で最も多く読まれています。

ちびウルフちびウルフ

当事者の本って、勉強というより読み物だよね。専門職が読む意味ってあるの?

リハウルフリハウルフ

大ありだよ。検査の点数ではわからない「どこで困って、何がつらいか」が見えると、訓練の目標や家族への説明が具体的になるんだ。

本で学んだことを言語聴覚士の臨床に生かすコツ

本は読むだけでなく、臨床で試して振り返ることで身につきます。次の流れで取り入れてみてください。

  • 担当している利用者の中で、いちばん悩んでいるケースを1つ決める
  • そのケースの領域の教科書で、評価と訓練の考え方を確認する
  • 評価の手順や訓練のアイデアを1つだけ選び、次の訓練で試す
  • 結果を記録し、先輩STや多職種と共有して意見をもらう
  • 当事者の本を読み、家族への説明や声かけを見直す
訓練教材もあわせてそろえる

失語症の訓練や会話の補助には、本だけでなく絵カードなどの教材も役立ちます。教材は失語症の絵カードおすすめ21選で紹介しています。

よくある質問

言語聴覚士が最初に買うべき本はどれですか?

現場で働くSTなら、評価をすぐ確認できる『ST評価ポケット手帳 第2版』がおすすめです。学生なら、苦手な領域の教科書とドリルから始めましょう。

言語聴覚士の国家試験対策は何冊必要ですか?

要点集1冊と過去問1冊が基本です。たとえば『ST CHECK!必修チェック2027』で知識を整理し、『過去問題3年間の解答と解説 2027年版』で解く練習をする組み合わせです。

古い年度の国試対策本を使っても大丈夫ですか?

おすすめしません。国試対策本は出題基準や最新の出題を反映して改訂されます。受験する年度の版があれば、そちらを選びましょう。

標準言語聴覚障害学シリーズは第3版と第4版のどちらを買えばいいですか?

これから買うなら第4版がおすすめです。失語症学・高次脳機能障害学・発声発語障害学の第4版は、令和6年の言語聴覚士学校養成所指定規則の改正を踏まえて2025年に改訂されています。

訪問リハビリで働くSTにおすすめの本はありますか?

『現場が伝える 言語聴覚士の生活期リハビリテーション』がおすすめです。生活期の失語・摂食嚥下リハの考え方を事例で学べます。訪問リハビリ全般の本は訪問リハビリのおすすめ本で紹介しています。

言語聴覚士は嚥下訓練を行えますか?

はい。言語聴覚士法第42条で、診療の補助として、医師または歯科医師の指示の下に嚥下訓練を行えることが定められています。

実習の症例報告書の書き方がわかりません。

『言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編』が、症例報告書の作成を網羅的に扱っています。実習前に目を通しておくと安心です。

失語症の家族に紹介できる本はありますか?

『こう見えて失語症です』は、失語症になった夫と妻の体験がマンガと文章で描かれていて、家族にも読みやすい本です。

まとめ
  • 言語聴覚士の業務は言語聴覚士法で定められ、嚥下訓練まで範囲が広い
  • 本は「立場」と「強化したい領域」で絞って選ぶ
  • 現役STは評価のポケット手帳と生活期の実践書、学生は第4版の教科書とドリルから始める
  • 国試対策は受験する年度の要点集と過去問をそろえる
  • 当事者の本で、検査ではわからない困りごとや気持ちを知る
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参考にした情報

※言語聴覚士の業務に関する記述は、言語聴覚士法の条文にもとづいて整理したものです。書籍の内容・評価・発売日・ページ数は2026年10月26日時点のAmazon販売ページの表示で、その後変わる可能性があります。国家試験の出題基準や受験の詳細は、試験実施機関の案内をご確認ください。本の選び方や活用のコツに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味