「失語症の利用者さんと、どうやってコミュニケーションを取ればいいんだろう」

「嚥下や構音の評価、現場でパッと使える1冊が欲しい」——そんなふうに、目の前の患者さん・利用者さんへのアプローチに悩む言語聴覚士(ST)の方は多いですよね。

この記事では、現役STはもちろん、養成校の実習生や国家試験を控えた学生まで役立つおすすめ本を7冊、「学習・国試・実習編」と「当事者・現場理解を深める編」の2つに分けて紹介します。それぞれ「どんな人に向くか」までわかるので、自分にいま必要な1冊がきっと見つかります。

この記事でわかること
  • 言語聴覚士(ST)とはどんな仕事か・現場での具体的な関わり方
  • 失敗しないST向け書籍の選び方(4つの視点+比較表)
  • 学習・国試・実習に役立つおすすめ本4冊
  • 当事者・現場理解を深めるおすすめ本3冊
  • 買った本を現場で活かすコツとよくある質問

言語聴覚士(ST)とはどんな仕事?

ちびウルフちびウルフ

言語聴覚士って、結局なにをする人なの?

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ひとことで言うと「話す・聞く・食べる」の専門家だよ。小児から高齢者まで、とても幅広く関わるんだ。

言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)は、「話す」「聞く」「食べる」を支える専門職です。失語症をはじめとする高次脳機能障害、摂食・嚥下障害、音声障害、構音障害、聴覚障害、ことばの発達の遅れなど、小児から高齢者まで幅広い対象に関わります。

たとえば、早口でかすれ声になり、食事中に舌をうまく動かせず送り込みができず、周囲が気になって動作が止まってしまうパーキンソン病の方。STは、姿勢をクッションや足台で整え、呼吸・発声練習を行い、リズムを取りながら会話したり、食形態をまとまりのあるものに調整したりと、「構音」「嚥下」「注意」それぞれに具体的なアプローチを重ねていきます。

関わり方は本人の状態や環境、施設の設備、STの考え方によって変わります。だからこそ、引き出しを増やすための「本」が大きな武器になります。

失敗しない言語聴覚士向け本の選び方

ちびウルフちびウルフ

本がたくさんありすぎて、どれを買えばいいか迷っちゃう…

リハウルフリハウルフ

「いまの自分の目的」で選ぶのが失敗しないコツ。次の4つを意識してみて。

STの本は数多くありますが、選ぶときは次の4つの視点で考えると失敗しにくいです。

本選び・4つの視点

目的(国試対策/実習対策/臨床の即戦力/患者・家族理解)/②レベル(学生・新人向けか、応用編か)/③領域(嚥下・構音・失語・吃音など、いま強化したい分野)/④使う場面(持ち運ぶ手帳タイプか、じっくり読む読み物か)。

とくに「いまの自分の目的」と「本のレベル」がズレていると、せっかく買っても読み切れません。下の比較表で、自分に合うタイプを確認してみてください。

タイプこんな人に本記事の該当書
持ち歩く実務ガイド現場で評価値や検査をすぐ確認したい①ST評価ポケット手帳
国試対策受験生・効率よく得点したい②国試必修ポイント2026
実習・授業対策実習生・分野を体系的に固めたい③ドリルプラス/④臨床実習テキスト
当事者・家族理解障害の「体験」を理解したい⑤こう見えて失語症です/⑥この脳で生きる/⑦吃音の世界

言語聴覚士のおすすめ本【学習・国試・実習編】

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まずは現場・実習・国試で「使える」4冊から。学生さんも新人STも要チェックだよ。

1. ST評価ポケット手帳(第2版)

言語聴覚療法でよく使う評価・検査データ、医療機器の設定、薬剤などを1冊にまとめた持ち運べる実務ガイドです(白波瀬元道 編・ヒューマン・プレス)。約336ページのボリュームながら厚さ約11mmと薄くて軽く、白衣のポケットに入ります。

若手STや学生が、評価・治療を標準的かつ安全に進められるよう、経験豊富な専門家の視点やコツも解説。「現場でサッと確認できる1冊が欲しい」という方の最初の相棒におすすめです。

2. 言語聴覚士国家試験必修ポイント ST専門科目 2026(オンラインテスト付)

国家試験対策の定番シリーズ。過去9年分の問題を分野別に整理し、繰り返し学習で合格ラインへ導く構成です(医歯薬出版・約450ページ)。購入特典としてオンラインテストが付き、スキマ時間の演習にも使えます。

「専門科目」を集中的に固めたい受験生向け。基礎科目版もあるので、苦手分野に合わせて組み合わせると効率よく学べます。

3. 摂食嚥下障害(授業・実習・国試に役立つ 言語聴覚士ドリルプラス)

摂食嚥下障害を、基礎から臨床まで問題演習で固められるドリルです(福岡達之・大塚裕一 著/診断と治療社)。定義・解剖・生理などの基礎知識から、嚥下造影・嚥下内視鏡などの評価、間接訓練・直接訓練、栄養管理・嚥下調整食、チームアプローチまでを章立てでカバーします。

重要語には「読み解くためのKeyword」解説付き。授業・実習・国試のどれにも役立つので、嚥下分野を一気に底上げしたい学生・新人STにぴったりです。

4. 言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編

はじめての臨床実習に不安を抱える学生に向けた、成人領域の実習“道しるべ”となるテキストです。評価の進め方、記録・報告、症例の捉え方など、実習現場で何をどう動けばよいかを具体的に解説します。

「実習で何を見て、どう書けばいいか分からない」という方の不安を減らしてくれる1冊。実習前の予習にも、実習中の確認用にも使えます。

言語聴覚士のおすすめ本【当事者・現場理解を深める編】

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教科書だけじゃ分からない「本人の気持ち」って、どう学べばいいの?

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当事者や家族が書いた本が一番だよ。読むと、明日からの声かけが変わるんだ。

知識だけでなく、当事者・家族の“体験”を知ることは、STの関わりを大きく変えます。読み物として読みやすい3冊を紹介します。

5. こう見えて失語症です

脳出血で失語症になった夫と、それを支えた妻の記録をマンガとエッセイでつづった1冊です(米谷瑞恵 著/あらいぴろよ マンガ・主婦の友社)。失語症とは何か、家族はどうすればいいか、退院後の生活やコミュニケーションはどう変わるかが、当事者家族の目線で率直に描かれます。

著者はのちに49歳でST養成校に入学し、国家試験に合格してST資格を取得。家族の視点と専門職の視点が両方入っているので、当事者家族にも、STにも読みやすい入門書です。

6. この脳で生きる。脳損傷のスズキさん、今日も全滅

脳梗塞をきっかけに高次脳機能障害となったルポライター・鈴木大介さんが、「見えにくい障害」を当事者目線で描いた1冊です(いのうえさきこ マンガ/合同出版)。心理職・医師の解説も加わり、マンガと文章で当事者の困りごとを分かりやすく伝えます。

高次脳機能障害は外から分かりにくく、誤解されやすい障害です。「なぜできないのか」を本人の言葉で知れるので、評価や声かけのヒントが詰まっています。

7. 吃音の世界

幼少期から吃音に悩み続けてきた医師・菊池良和さんが、自身の吃音体験と外来の現場をつづった新書です(光文社新書)。連発・伸発・難発という症状、発症の原因、「治す」から「どう生きるか」へと変わってきた治療の歴史までを、当事者かつ専門家の視点で解説します。

吃音は100人に1人といわれ、決して珍しくありません。本人や周囲がどう向き合うかのヒントが得られ、小児から成人まで吃音に関わるSTに役立ちます。

買った本を現場で活かす3ステップ

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買って満足、で終わっちゃうことが多いんだよね…

リハウルフリハウルフ

“1人の利用者さん”に紐づけて読むと、知識が一気に使える形になるよ。

  1. 目的に合わせて1冊を決める:いまの課題(嚥下評価が不安/国試が近い等)に直結する本を最優先で選ぶ。
  2. 担当する1ケースに当てはめて読む:実際の利用者さんを思い浮かべ、「この方ならどう評価・訓練するか」を本と照らし合わせる。
  3. 明日の現場で1つだけ試す:学んだことを翌日の評価や訓練で必ず1つ実践し、反応を記録して次につなげる。
注意

本の内容はあくまで一般的な知識です。実際の評価・訓練は、必ず主治医の指示や本人・家族の状態をふまえ、所属施設の方針に沿って行ってください。

よくある質問(FAQ)

新人STは、まずどの本から読めばいいですか?
現場ですぐ確認できる「①ST評価ポケット手帳」と、いま担当が多い領域の本(嚥下なら「③ドリルプラス」)の2冊から始めるのがおすすめです。持ち運べる手帳+強化したい分野、の組み合わせが実務で活きます。
国家試験対策にはどれが向いていますか?
「②言語聴覚士国家試験必修ポイント ST専門科目 2026」が定番です。過去問を分野別に整理でき、オンラインテスト特典も付きます。基礎科目版と併用すると、苦手分野を効率よくつぶせます。
学生・実習生にもおすすめはありますか?
「④言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編」と「③摂食嚥下障害ドリルプラス」が役立ちます。実習で何を見てどう記録するか、分野の知識をどう体系化するかの土台づくりに向いています。
当事者の気持ちを学べる本はどれですか?
「⑤こう見えて失語症です」「⑥この脳で生きる」「⑦吃音の世界」の3冊です。失語症・高次脳機能障害・吃音それぞれの“体験”を当事者・家族の言葉で知れるので、声かけや関わり方のヒントになります。
家族や他職種が読んでも分かりますか?
「当事者・現場理解を深める編」の3冊は、マンガや新書で読みやすく、専門外の家族・他職種にもおすすめです。利用者さんのご家族にそっと紹介するのにも向いています。
まとめ
  • STの本は「目的・レベル・領域・使う場面」の4視点で選ぶと失敗しにくい。
  • 学習・国試・実習には①ST評価ポケット手帳/②国試必修ポイント2026/③ドリルプラス摂食嚥下障害/④臨床実習テキスト成人編。
  • 当事者・現場理解には⑤こう見えて失語症です/⑥この脳で生きる/⑦吃音の世界。
  • 本は「担当する1ケースに当てはめて読み、明日1つ試す」と現場で活きる。

参考:各書籍の出版社・販売ページ(ヒューマン・プレス/医歯薬出版/診断と治療社/主婦の友社/合同出版/光文社)の情報をもとに作成。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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