装具療法の本は、臨床で一番多い「脳卒中の下肢装具」の本を1冊と、装具全体を見渡せるテキストを1冊持っておくのがおすすめです。迷ったら、回復期や訪問で片麻痺の方を担当するPTは『脳卒中の下肢装具 第4版』、装具が苦手な人は漫画で読める『宇宙一簡単な下肢装具療法』から読んでください。

この記事では、装具療法の本を「脳卒中の下肢装具を学ぶ本」「装具と臨床をつなぐテキスト」「適合判定と用語を調べる本」の3つに分けて7冊紹介します。書名・版・発行年は、出版社の紹介ページと国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。

この記事でわかること
  • 装具療法の本を選ぶときの3つのポイント
  • 脳卒中の下肢装具の選び方を学べる本
  • 学生・新人が装具と臨床をつなげるテキスト
  • チェックアウトと用語を調べるための本
  • 立場別の読む順番
ちびウルフちびウルフ

装具って、義肢装具士さんがつくるものだよね。リハ職も詳しく知っておく必要があるの?

リハウルフリハウルフ

あるよ。装具をつくるのは義肢装具士だけど、どの装具が合うかを医師と一緒に考えたり、歩く練習で使いながら調整を相談したりするのはPTやOTなんだ。在宅では、装具が合わなくなったことに最初に気づくのが訪問リハの役目になることも多いよ。

装具療法の本を選ぶ3つのポイント

装具の本は、養成校の教科書から、医師向けの適合判定の本まで幅があります。次の3つの視点で選ぶと、自分に合った本が見つかります。

①部品の名前より「臨床とのつながり」がわかるか

装具の教科書は、パーツの名称や構成、チェックアウトの説明が中心になりがちです。臨床では、患者さんの病態に合わせてどの装具を選び、どう歩く練習をするかが求められます。疾患別の症例や歩行の写真がある本を選ぶと、臨床をイメージしやすくなります。

②動画で歩き方の変化を確認できるか

装具の効果は、歩き方の変化を見てはじめて実感できます。装具を着けた歩行や異常歩行の動画を見られる本を選ぶと、写真だけではわからない動きを確認できます。

③担当する疾患・場面に合っているか

回復期や訪問で多いのは脳卒中の片麻痺の方の短下肢装具・長下肢装具です。一方、整形外科では体幹装具や足底装具、手の外科では上肢装具を扱います。よく担当する疾患の章が充実している本を選びましょう。

脳卒中の下肢装具を学ぶ本2選

1. 宇宙一簡単な下肢装具療法

リハビリ専門医の新井秀宜氏が原作、理学療法士の新庄アキラ氏がマンガを担当したメジカルビュー社の本です(2026年4月発行・121ページ)。回復期リハビリテーションでの下肢装具療法を、オールカラーの漫画で説明した入門書です。

下肢装具療法のこれまでの常識や、教わる機会の少ないポイントを解説していて、装具の専門知識がなくても理解できるように作られています。理学療法士だけでなく、医師・作業療法士・看護師・義肢装具士も読者に想定されています。装具に苦手意識がある新人PTが最初に読む1冊として最適です。

2. 脳卒中の下肢装具 第4版

渡邉英夫氏・平山史朗氏・藤﨑拡憲氏による医学書院の本です(2022年10月発行・198ページ)。副題は「病態に対応した装具の選択法」。脳卒中の下肢装具は、短下肢装具だけで約30種類あり、長下肢装具や膝装具などもあるうえ、患者さんの病態もさまざまなので、合わせるのは簡単ではありません。

この本は、装具を機能で分類するだけでなく、片麻痺の患者さんの身体機能をふまえて、一人ひとりに合った装具の機能と選び方を紹介しています。第4版では、装具の特徴や症例の歩行訓練の様子を動画で見られるようになりました。片麻痺の方の装具を検討するときに必ず手元に置きたい定番書です。

ちびウルフちびウルフ

在宅で使っている装具が、合わなくなることってあるの?

リハウルフリハウルフ

よくあるよ。退院してから歩き方が良くなって装具が強すぎると感じたり、逆に足のむくみや筋の緊張が変わってきつくなったりするんだ。ベルトが切れたまま使っている人もいるから、訪問のたびに装具の状態を見ることが大切なんだよ。

装具と臨床をつなぐテキスト3選

3. イラストでわかる装具療法

上杉雅之氏が監修し、長倉裕二氏・岩瀬弘明氏が編集した医歯薬出版の本です(2021年9月発行・230ページ)。前半で装具の基本的な知識を解説し、後半で臨床で出合う疾患・病態ごとの装具療法を扱っています。

疾患別の章では、脳血管疾患、踵骨骨折、脊髄損傷、頸・胸腰椎疾患、変形性膝関節症、末梢神経障害、関節リウマチなどの症例を示し、装具の選び方からチェックアウト、装具を使ったリハビリの方法までを説明しています。装具を使った歩行の連続写真とイラストが多く、初学者でも装具と臨床のつながりをイメージしやすい本です。

4. 義肢・装具学 第2版

高田治実氏が監修し、豊田輝氏・石垣栄司氏が編集した羊土社の本です(2023年2月発行・397ページ)。副題は「異常とその対応がわかる動画付き」。患者さんの協力を得た写真と動画、現場のエキスパートの解説で、義肢と装具を体系的に学べます。第2版で動画が大幅に追加され、計114本になりました。

義肢学の章では大腿義足・下腿義足のソケットやアライメント、装具学の章では下肢装具の構成部品と足継手の制御、脳血管障害片麻痺・脊髄損傷・整形外科疾患などの装具療法を扱っています。臨床でも使える教科書として、学生から若手PTまで長く使えます。

5. 義肢装具学テキスト 改訂第4版

細田多穂氏が監修し、磯崎弘司氏・両角昌実氏・横山茂樹氏が編集した南江堂の本です(2025年3月発行・471ページ)。学生が義肢学・装具学に興味をもち、理解を深められるように作られた教科書です。

今回の改訂で、「義肢・装具の製作工程」と「補装具」の章が新たに加わりました。大腿義足を使うときの異常歩行や、立位・歩行練習、製作所での製作工程などの動画も収載されています。義肢装具分野は国家試験で正解率が低い苦手分野とされているので、PT・OT学生の国試対策にも向いています。

適合判定と用語を調べる本2選

6. 義肢装具のチェックポイント 第9版

日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が監修した医学書院の本です(2021年8月発行・399ページ)。厚生労働省が主催する「義肢装具等適合判定医師研修会」のサブテキストとして使われてきたロングセラーです。

処方した義肢装具の適合判定に必要なポイントを図と箇条書きで解説しています。第9版から誌面がフルカラーになり、各論では項目ごとにチェックポイントの一覧がまとめられました。処方箋や意見書の書き方、立位・歩行の制御と転倒、材料学まで扱っていて、医師やPT・OT、義肢装具士が装具の基本を確認する1冊です。

7. 義肢装具便覧

芳賀信彦氏・高嶋孝倫氏が編集した医歯薬出版の本です(2026年7月発行・352ページ)。義肢・装具に関連する2,611の用語を、500以上のイラストでコンパクトに解説した用語集です。

義肢装具の用語だけでなく、解剖学、運動学、工学、リハビリテーション医学など周辺の分野の用語も収載しています。英語や略語から引ける索引があり、A5判で臨床にも持ち運びやすい大きさです。カンファレンスや装具の処方で出てきた用語をすぐ調べたい人に向いています。

立場別の装具療法の本を読む順番

7冊すべてをそろえる必要はありません。立場ごとに、次の順番で読むと無理なく身につきます。

回復期で働く新人PTの場合

  • 『宇宙一簡単な下肢装具療法』で、下肢装具療法の考え方をつかむ
  • 『脳卒中の下肢装具 第4版』で、病態ごとの装具の選び方を学ぶ
  • 担当患者さんの装具の検討の場に同席し、医師や義肢装具士の判断を聞く

訪問・通所で働くPTの場合

  • 担当している利用者さんの装具の種類と、つくった時期を確認する
  • 『脳卒中の下肢装具 第4版』で、今の歩き方に合っているかを見直す
  • 合わなくなっていれば、主治医や義肢装具士に相談して再作製や修理を検討する

PT・OT学生の場合

  • 『義肢装具学テキスト 改訂第4版』で、義肢・装具の基礎と製作工程を学ぶ
  • 動画で異常歩行や装具の動きを確認する
  • 実習の前に『イラストでわかる装具療法』で、疾患別の装具療法を確認する
在宅では「装具を着けない時間」も見る

訪問リハで担当した片麻痺の方には、屋外では装具を着けているのに、家の中では外して歩いている人が少なくありませんでした。夜間のトイレなど、装具を着けない場面で転びやすいこともあります。装具を着けたときの歩き方だけでなく、生活のどの場面で使っているかを確かめることが大切です。

よくある質問

装具療法の本は、最初に何を読めばいいですか?

装具に苦手意識がある人は、漫画で読める『宇宙一簡単な下肢装具療法』がおすすめです。片麻痺の方の装具を担当しているPTは、病態に合わせた選び方がわかる『脳卒中の下肢装具 第4版』を読みましょう。

『脳卒中の下肢装具』は第4版を買うべきですか?

これから買うなら第4版(2022年)がおすすめです。第4版では、装具の特徴や症例の歩行訓練の様子を動画で確認できるようになっています。

学生の国家試験対策に向いている本はありますか?

『義肢装具学テキスト 改訂第4版』は、学生向けの教科書で、国家試験や臨床で重要な異常歩行などの動画も収載されています。写真と動画で理解したい人は『義肢・装具学 第2版』もあわせて使えます。

装具のチェックアウトを学べる本はありますか?

『義肢装具のチェックポイント 第9版』が定番です。適合判定に必要なポイントを図と箇条書きで解説し、項目ごとにチェックポイントの一覧がまとめられています。『イラストでわかる装具療法』にも部位ごとのチェックアウトの章があります。

作業療法士に向いている装具の本はありますか?

『イラストでわかる装具療法』に上肢装具とチェックアウトの章や、末梢神経障害の装具療法の章があります。義肢を含めて学ぶなら、上肢切断のリハビリテーションの章がある『義肢・装具学 第2版』も参考になります。

在宅で装具が合わなくなったときは、どうすればいいですか?

主治医に相談し、必要に応じて義肢装具士に修理や再作製を依頼します。装具をつくり直す費用は、医療保険や障害者総合支援法の補装具費の対象になる場合があるので、主治医や市区町村の窓口で確認しましょう。

義肢装具の用語を調べるのに便利な本はありますか?

『義肢装具便覧』は、義肢・装具に関連する2,611の用語をイラスト付きで解説した用語集です。英語や略語から引ける索引があるので、カンファレンスや処方で出てきた言葉を調べるのに便利です。

まとめ
  • 脳卒中の下肢装具の本と、装具全体を見渡すテキストを1冊ずつ持つ
  • 苦手意識がある人は『宇宙一簡単な下肢装具療法』から読む
  • 片麻痺の方を担当するPTは『脳卒中の下肢装具 第4版』が定番
  • 学生は『義肢装具学テキスト 改訂第4版』と動画で学ぶ
  • 適合判定は『義肢装具のチェックポイント 第9版』、用語は『義肢装具便覧』
参考にした情報

※書籍の書名・版・出版社・発行年は、2026年11月3日時点の国立国会図書館サーチの書誌と各出版社の紹介ページで確認したものです。在庫や価格、新しい版の刊行状況は変わる可能性があるため、購入時に販売ページでご確認ください。装具の処方・再作製と費用の扱いは、主治医と市区町村の窓口にご確認ください。本の選び方や読み方、現場の事例に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味