訪問介護の仕事内容|身体介護・生活援助とできないこと

先に結論をお伝えします。訪問介護(ホームヘルパー)の仕事内容は、利用者の体に触れて行う「身体介護」、掃除・洗濯・調理などの「生活援助」、通院時の「通院等乗降介助」の3つに分かれます。どの行為がどれに当たるかは、厚生労働省の通知(いわゆる老計第10号)で例示されています。家族の分の家事や、日常生活の援助といえない行為はできません。
この記事では、訪問介護の仕事内容を老計第10号の原文を確認して整理しました。ヘルパーとして働くのに必要な資格や、仕事の向き・不向きもあわせて解説します。
- 訪問介護の3つのサービス区分
- 身体介護の具体的な仕事内容
- 生活援助の具体的な仕事内容
- ヘルパーができないこと
- 訪問介護員として働くのに必要な資格
訪問介護の仕事内容は3つに分かれる
訪問介護は、内容に応じて次の3つに区分されます。身体介護と生活援助の考え方は、老計第10号(「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」)で示されています。
| 区分 | 考え方 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 身体介護 | 利用者の身体に直接触れて行う介助や、利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービスなど | 排せつ・食事・入浴・着替え・移乗・外出の介助、見守り的援助 |
| 生活援助 | 身体介護以外の、掃除・洗濯・調理などの日常生活の援助。本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行う | 掃除、洗濯、調理、買い物、薬の受け取り |
| 通院等乗降介助 | 通院などの際の、車への乗り降りの介助(介護報酬上は身体介護・生活援助と別の区分) | 車への乗り降り、移動の介助など |
通知は、身体介護を「仮に、介護等を要する状態が解消されたならば不要となる行為」、生活援助を「本人の代行的なサービス」と説明しています。入浴そのものは誰にでも必要ですが、入浴を「介助」することは介護が必要な状態だから必要になる、という考え方です。
身体介護の仕事内容
- 排せつ・食事の介助:トイレへの誘導、おむつ交換、食事の介助(きざむ・つぶすなどを含む)、嚥下困難な人の流動食などの調理
- 清拭・入浴・身体整容:全身清拭、手浴・足浴、洗髪、入浴介助、洗面、爪切り・髭の手入れ、更衣介助
- 体位変換・移乗・外出:寝返りの介助、ベッドから車いすへの移乗、通院・外出の介助
- 起床・就寝の介助:起き上がり、ベッドへの移動の介助
- 服薬介助:配剤された薬の確認、本人が薬を飲むのを手伝う
- 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助:常時介助できる状態で行う見守り
「見守り的援助」も身体介護になる
平成30年の通知改正で、見守り的援助の例が明確化されました。たとえば「利用者と一緒に手助けしながら行う調理(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)」や、「車イスでの移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助」することが例示されています。ヘルパーが代わりにやるのではなく、本人ができるように一緒に行うのが身体介護の見守り的援助です。
ちびウルフ掃除を一緒にやるのも身体介護になるの?
リハウルフ通知の例示に当てはまれば、身体介護として扱われます。ただし、ケアプランと訪問介護計画に「一緒に行う」目的が位置づけられていることが前提です。ヘルパーの判断だけで区分を変えることはできないので、サ責やケアマネとの共有が大切ですよ。
生活援助の仕事内容
- 掃除:居室内やトイレ、卓上などの清掃、ゴミ出し
- 洗濯:洗濯機または手洗いによる洗濯、物干し、取り入れと収納、アイロンがけ
- ベッドメイク:利用者不在のベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換
- 衣類の整理・被服の補修:夏物・冬物の入れ替え、ボタン付け
- 一般的な調理、配下膳
- 買い物・薬の受け取り:日用品の買い物(品物・釣り銭の確認を含む)
生活援助は、利用者が一人暮らしの場合や、家族が障害・疾病などで家事ができない場合に行うものとされています。同居家族がいる場合の扱いは同居家族がいると生活援助は使えない?で詳しく解説しています。
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ヘルパーができないこと
老計第10号では、次の行為は生活援助に含まれないとしています。
- 商品の販売・農作業など生業の援助的な行為
- 直接、本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為
家族の分の食事づくりや洗濯、来客の対応、庭の草むしり、ペットの世話、大掃除などは、本人の日常生活の援助とはいえないとして断ることが多い行為です。ただし、具体的な判断は保険者(市町村)によって違うことがあります。迷ったら自分で判断せず、サービス提供責任者に相談してください。
できないことの線引きは訪問介護でできないこと一覧で、行為ごとに詳しく解説しています。
また、医行為は原則としてできません。たん吸引や経管栄養は、研修を修了して認定を受けるなどの条件を満たした場合に限られます。運営面で指摘されやすい点は訪問介護の運営指導対策で整理しています。
訪問介護員として働くのに必要な資格
介護保険法では、訪問介護を行うのは介護福祉士か「政令で定める者」とされています。この「政令で定める者」が、初任者研修などの養成研修を修了して証明書の交付を受けた人です(介護保険法施行令第3条)。施設の介護職と違い、訪問介護は無資格では働けません。
- 介護職員初任者研修を受講・修了する
- 訪問介護事業所に就職し、ヘルパーとして働き始める
- 実務経験を積みながら実務者研修を修了する
- 介護福祉士の国家試験を受ける
資格の全体像は介護・福祉の資格おすすめ10選で紹介しています。訪問介護員とケアマネの兼務については訪問介護員とケアマネの兼務はできる?を参考にしてください。
よくある質問
身体介護と生活援助の違いは何ですか?
身体介護は利用者の体に直接触れて行う介助や、利用者と一緒に行う自立支援のためのサービスです。生活援助は掃除・洗濯・調理などの家事を本人に代わって行うサービスです。
ヘルパーに家族の食事も作ってもらえますか?
できません。生活援助は本人の日常生活の援助であり、家族の分の家事は「直接、本人の日常生活の援助に属しない行為」として対象外になります。
無資格でも訪問介護の仕事はできますか?
できません。訪問介護を行えるのは介護福祉士か、初任者研修などの養成研修を修了した人です。
一緒に料理をするのは身体介護ですか?
老計第10号では、「利用者と一緒に手助けしながら行う調理(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)」が、身体介護の見守り的援助として例示されています。ケアプランと訪問介護計画への位置づけが必要です。
ヘルパーができないことを頼まれたらどうすればいいですか?
その場で自分だけで判断せず、サービス提供責任者に報告・相談してください。必要に応じてケアマネジャーとも共有し、ほかのサービスや自費サービスを案内します。
- 訪問介護の仕事は身体介護・生活援助・通院等乗降介助の3つ
- 身体介護は体に触れる介助と、本人と一緒に行う見守り的援助
- 生活援助は掃除・洗濯・調理・買い物など本人に代わって行う家事
- 家族の分の家事など、本人の日常生活の援助といえない行為はできない
- 訪問介護員として働くには介護福祉士か初任者研修などの修了が必要
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。サービス行為の区分に関する記述は老計第10号(平成30年改正後)、訪問介護員の資格に関する記述は介護保険法施行令にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。通知に示された行為の流れはあくまで例示であり、実際の提供内容はケアプランと訪問介護計画、保険者(市町村)の判断によります。現場でよく相談される行為の例は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。





