福祉用具の介護保険対象外品目一覧|購入が必要な物

「これも介護保険で借りられますか」——福祉用具の相談で、いちばん多く聞かれることです。答えは、品目名では決まりません。介護保険の対象になるかどうかは、告示と通知で細かく限定されているからです。同じ「入浴用いす」でも、対象になるものとならないものがあります。
この記事では、理学療法士・介護支援専門員として福祉用具の選定に関わってきた立場から、介護保険の対象外になるものを、厚生労働省の告示・解釈通知に「除かれる」と明記されている部分にしぼって整理します。実費で買う前に、ここを確認してください。
- 対象外になる3つのパターン
- 「除かれる」と明記されている品目・部分
- サイズや形状の条件で外れるもの
- 複数の機能を持つ用具の扱い
- 住宅改修で対象外になる工事の部分
- 実費で買う前の確認手順
介護保険の対象外になる3つのパターン
| ① 明文で「除かれる」もの | 告示・解釈通知に、はっきり除外と書かれているもの。消耗品や関連製品が代表例 |
|---|---|
| ② 限定条件から外れるもの | 「〜に限る」という要件を満たさないもの。サイズ、構造、形状で決まる |
| ③ 種目に該当しない機能を含むもの | 複合的な機能を持つ用具の扱い。後述します |
リハウルフこの3つを知っておくと、事業所やケアマネジャーの説明が理解できるようになります。「ダメと言われた」ではなく「なぜダメなのか」が分かれば、代わりの手も見えてきます。
消耗品・関連製品は対象外
解釈通知(老企第34号)に、明確に書かれています。
| 自動排泄処理装置 | 専用パッド、洗浄液等排泄の都度消費するものおよび専用パンツ、専用シーツ等の関連製品は除かれる |
|---|---|
| 排泄予測支援機器 | 専用ジェル等装着の都度、消費するものおよび専用シート等の関連製品は除かれる |
つまり、本体は保険で借りられても、日々使う消耗品は自費です。ランニングコストとして必ず見込んでおいてください。
条件から外れると対象外になるもの
「〜に限る」という限定が付いているものです。代表的なものを挙げます。
| 入浴用いす | 座面の高さが概ね35cm以上のもの、またはリクライニング機能を有するものに限る → 一般的な低い風呂いすは外れます |
|---|---|
| 浴槽用手すり | 浴槽の縁を挟み込んで固定することができるものに限る |
| 入浴台 | 浴槽の縁にかけて浴槽への出入りを容易にすることができるものに限る |
| 浴室内すのこ | 浴室内に置いて浴室の床の段差の解消を図ることができるものに限る |
| 浴槽内すのこ | 浴槽の中に置いて浴槽の底面の高さを補うものに限る |
| 簡易浴槽 | 使用しないときに立て掛ける等により収納できるもので、居室において必要があれば入浴が可能なものに限る |
| マットレス(特殊寝台付属品) | 背部・脚部の傾斜角度の調整を妨げないよう、折れ曲がり可能な柔軟性を有するものに限る → 普通の敷布団は外れます |
| 体位変換器 | 専ら体位を保持するためのものは除かれる |
ちびウルフ風呂いすに高さの条件があるなんて、知らなかった
リハウルフ座面が低いと、立ち上がれなくなるからです。要件には理由があります。ホームセンターで安い風呂いすを買ってきて、結局立てなくて使えなかった——という話は珍しくありません。
販売側の歩行器・スロープにも条件がある
- 歩行器(販売)|脚部が全て杖先ゴム等の形状となる固定式または交互式歩行器をいい、車輪・キャスターが付いている歩行車は除く
- スロープ(販売)|主に敷居等の小さい段差の解消に使用し、頻繁な持ち運びを要しないものをいい、便宜上設置や撤去、持ち運びができる可搬型のものは除く
複数の機能を持つ用具はどうなるか
ここは知られていませんが、重要な規定です。解釈通知は「複合的機能を有する福祉用具」について、次のように定めています。
- それぞれの機能を有する部分を区分できる場合には、部分ごとに一つの福祉用具として判断する
- 区分できない場合で、購入告示の種目に該当する機能が含まれているときは、福祉用具全体を当該特定福祉用具として判断する
- 貸与の種目・販売の種目に該当しない機能が含まれる場合は、法に基づく保険給付の対象外として取り扱う
最後の一文が効きます。「便利な機能」が付いているせいで、まるごと対象外になることがあるということです。多機能をうたう製品ほど、この判定に引っかかります。
ただし例外もあります。認知症老人徘徊感知機器について、用具の機能を高める外部との通信機能を有するもののうち、種目に相当する部分と通信機能に相当する部分が区分できる場合には、種目に相当する部分に限り給付対象とするとされています。
「対象外」ではなく「別の制度に移る」もの
混同されやすいのですが、次のものは給付されないのではなく、扱う制度が変わります。
| 工事を伴う手すり | 福祉用具貸与からは除かれ、住宅改修へ。ネジ等で取り付ける簡易なものも「工事」に含まれます |
|---|---|
| 工事を伴うスロープ | 同じく住宅改修(段差の解消)へ |
| 移動用リフトのつり具 | 本体は貸与、つり具の部分は販売。分かれています |
| 自動排泄処理装置の交換可能部品 | 本体は貸与、交換可能部品は販売 |
| ベッド上で使う手すり | 据置型の「手すり」ではなく、特殊寝台付属品のベッド用手すりとして扱われます |
| 入浴用介助ベルト | 特殊寝台付属品の介助用ベルトからは除かれ、販売の対象です |
ちびウルフ「ダメ」じゃなくて「窓口が違う」ってことか
住宅改修で対象外になる部分
工事全体は対象でも、一部の費用だけが対象外になるケースがあります。解釈通知に明記されているものです。
- 昇降機、リフト、段差解消機等、動力により段差を解消する機器を設置する工事|段差の解消から除かれます
- 自動ドアの動力部分|扉の取替えにあわせて自動ドアにした場合、動力部分の費用相当額は保険給付の対象になりません
- 既に洋式便器である場合の暖房便座・洗浄機能等の付加|和式から機能付き洋式への取替えは含まれますが、既に洋式なら機能の追加は含まれません
- 水洗化または簡易水洗化の部分|非水洗和式便器から水洗洋式便器に取り替える場合、水洗化の部分の費用相当額は対象になりません
- 腰掛便座の設置に要する費用|腰掛便座そのものは販売の対象ですが、設置に要する費用は保険給付の対象となりません
ちびウルフ「一式」って書かれた見積もり、そのままハンコ押しちゃいそう
つえの取扱いについて
ひとつ、正直に書いておきます。いわゆるT字型の一本杖(単点杖)の扱いは、公表資料の記載に幅があります。
- 解釈通知が示す販売の「歩行補助つえ」は、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限るとされています
- 一方、厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、貸与と販売の選択制の対象として「単点杖(松葉づえは除く)」が挙げられています
この2つの記載は表現が一致していません。制度改正の経緯が関わっている可能性がありますが、私の側で確定的な結論を出せないため、断定は避けます。T字杖の可否は、必ず市町村または福祉用具事業所に確認してください。
リハウルフネット記事では「T字杖は対象外」と断定しているものが多いのですが、公表資料同士で表現が食い違っている以上、私は言い切りません。数百円〜数千円の話ではありますが、間違った情報で判断させたくない。窓口で聞くのが確実です。
実費で用意することになる主なもの
制度の除外規定から整理すると、次のようなものは自費で用意することになります。
- 紙おむつ、尿とりパッド、専用パンツ、専用シーツ|排泄の都度消費するもの・関連製品として除外されています
- 洗浄液、専用ジェル|同上
- 寝具類(シーツ、布団、枕)|特殊寝台付属品のマットレスの要件に該当しないもの
- 座面の低い風呂いす、一般の浴室用マット|入浴補助用具の要件から外れるもの
- 介護食、とろみ剤、栄養補助食品|福祉用具の種目に含まれません
- 見守りカメラ、GPS端末|徘徊感知機器の種目に該当するかは製品と運用によるため、必ず事前確認を
買う前の確認手順
商品名から入らない。「浴槽をまたげない」「夜トイレで転ぶ」という形にします。
貸与か、販売か、住宅改修か、対象外か。ここで振り分けが決まります。買う前に聞くこと。
要件を満たす製品を知っているのはこの人たちです。複数の候補を出してもらいます。
介護保険で無理でも、別の制度があるかもしれません。
安いものを買って使えないより、合うものを買うほうが結果的に安く済みます。
紙おむつは介護保険で買えますか?
ホームセンターで買った風呂いすは対象になりますか?
多機能な福祉用具は不利ですか?
階段昇降機は使えませんか?
トイレを直したいのですが、どこまで保険で見てもらえますか?
- 対象外は「明文で除かれるもの」「限定条件から外れるもの」「種目にない機能を含むもの」の3パターン。
- 排泄の都度消費するもの、専用パッド・パンツ・シーツ等の関連製品は除外されている。
- 本体が保険対象でも、消耗品は自費。月いくらかかるかを必ず確認する。
- 入浴用いすは座面の高さが概ね35cm以上、またはリクライニング機能を有するものに限る。
- マットレスは折れ曲がり可能な柔軟性が要件。普通の敷布団は外れる。
- 体位変換器は、専ら体位を保持するためのものが除かれる。
- 販売の歩行器から歩行車は除かれ、販売のスロープから可搬型は除かれる。
- 種目にない機能が含まれると、まるごと保険給付の対象外になり得る。
- 工事を伴う手すり・スロープは対象外ではなく、住宅改修へ移る。
- 住宅改修では、昇降機等の設置、自動ドアの動力部分、水洗化部分、既存洋式への機能付加、腰掛便座の設置費用が対象外。
- T字杖(単点杖)の扱いは公表資料の記載に幅があるため、市町村・事業所に確認する。
- 介護保険で対象外でも、市町村独自の助成があるか確認してから実費購入を判断する。
- 厚生労働省「告示に関する解釈通知(介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて/平成12年1月31日老企第34号)」(PDF。各種目の限定要件、消耗品・関連製品の除外、複合的機能を有する福祉用具の取扱い、住宅改修で対象外となる部分)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目(平成11年3月31日厚生省告示第93号)」(貸与13品目の定義と除外規定)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類(平成11年3月31日厚生省告示第95号)」(住宅改修6種類)
- 厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与」「– 特定福祉用具販売」(介護サービス情報公表システム。対象品目、選択制、償還払い)
※本記事は、厚生労働省の告示および解釈通知に「除かれる」「〜に限る」等と明記されている内容にもとづいて整理したものです。個別の製品が要件を満たすかどうかの判定、市町村独自の助成制度の有無、T字杖等の取扱いは、市区町村および事業所によって異なります。実費で購入する前に、必ず担当ケアマネジャー・福祉用具専門相談員・市区町村にご確認ください。制度は改正されることがあります。内容は2026年8月時点で確認できた情報です。




