ショートステイの共生型短期入所生活介護とは?

ショートステイの共生型短期入所生活介護は、所定単位数の100分の92、つまり8%の減算です。減算という名前で早見表に並びますが、性格はまったく違います。障害福祉の短期入所事業所が、介護保険のショートステイも提供できるようにする仕組みであり、事業所の落ち度に対する罰則ではありません。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)の原文を確認して、単位数・対象になる事業所・共生型サービスの位置づけ・実務上の注意点を整理しました。
この記事でわかること
- ショートステイの共生型短期入所生活介護は所定単位数の92%だということ
- 実質8%減だが、事業所の落ち度への罰則ではないこと
- 障害福祉の短期入所事業所が介護保険のショートステイを提供する仕組みだということ
- 対象は指定障害者支援施設が母体の事業所に限られること
- 併設型(イ(2))が対象で、単独型・ユニット型ではないこと
- 65歳の壁への対応として創設されたこと
- 夜勤職員の基準も障害福祉側のものを使うこと
- 届出が必要なこと
ショートステイの共生型短期入所生活介護とは?
共生型短期入所生活介護は、障害福祉サービスの指定短期入所事業所が、介護保険のショートステイの指定も受けて提供するサービスです。平成30年度の制度改正で創設された「共生型サービス」の一つにあたります。
制度の背景にあるのは65歳の壁です。障害福祉サービスを使ってきた人が65歳になると、原則として介護保険が優先されます。長年通った事業所を離れ、知らない場所に移らなければならない。この断絶をなくすために、同じ事業所が両方の制度のサービスを提供できるようにしたのが共生型サービスです。
ちびウルフ減算されるということは、何か基準を満たしていないのですか。
リハウルフ違います。障害福祉の人員基準で介護保険のサービスを提供する仕組みなので、介護保険の基準をフルに満たす事業所より低く設定されている、というだけです。ペナルティではありません。
共生型短期入所生活介護の単位数
告示第19号の短期入所生活介護費の注6に定められています。
6 イ(2)について、共生型居宅サービスの事業を行い、かつ、(中略)届出を行った指定短期入所事業者(中略)が当該事業を行う事業所において共生型短期入所生活介護(中略)を行った場合は、所定単位数の100分の92に相当する単位数を算定する。
| 区分 | 算定する割合 | 実質 |
|---|---|---|
| 共生型短期入所生活介護 | 所定単位数の92% | 8%減 |
対象は「イ(2)」=併設型の従来型
注6は「イ(2)について」としています。短期入所生活介護費のイ(2)、つまり併設型短期入所生活介護費が対象です。単独型やユニット型の区分ではありません。障害者支援施設に併設される形が想定されているためです。
対象になる事業者
告示は対象となる事業者を細かく限定しています。整理すると次のとおりです。
- 共生型居宅サービスの事業を行い、届出を行った指定短期入所事業者(障害者総合支援法にもとづく指定短期入所事業者)であること
- そのうち、指定障害者支援施設が指定短期入所の事業を行う事業所として当該施設と一体的に運営を行う事業所、または
- 指定障害者支援施設が、その施設の全部または一部の空いている居室を利用して指定短期入所の事業を行う場合における、その事業所
いずれも指定障害者支援施設が母体であることが前提です。単独の短期入所事業所は含まれていません。
共生型サービスという仕組み
65歳の壁への対応
介護保険と障害福祉サービスが重なる場合、介護保険が優先されるのが原則です(介護保険優先原則)。障害のある人が65歳になった途端、使い慣れた事業所を離れることになる。この問題への制度的な回答が共生型サービスでした。
ちびウルフ65歳になっても同じ事業所を使い続けられるということですね。
リハウルフそうです。ただ、報酬は介護保険のショートステイとして請求することになります。事業所側から見ると、同じ人に同じ支援をしていても、65歳を境に請求先と単位数が変わるわけです。
介護保険側と障害福祉側の両方に指定がある
| 制度 | 位置づけ |
|---|---|
| 障害福祉サービス | 指定短期入所事業所として本来の指定を受けている |
| 介護保険 | 共生型短期入所生活介護として、居宅サービスの指定を受ける |
人員・設備の基準は障害福祉側のものを満たしていればよく、介護保険の基準をあらためて満たす必要はありません。その代わりに報酬が92%になるという設計です。
共生型短期入所生活介護の注意点
「減算」ではなく報酬区分
告示の書き方は「所定単位数の100分の92に相当する単位数を算定する」です。身体拘束廃止未実施減算のように「減算する」とは書かれていません。最初からその単位数である、という構造です。
早見表では減算の欄に並ぶが性格は別物
加算・減算の一覧表では、率が引かれる項目として減算側に整理されることが多くなります。ただ、これは要件を満たせば回避できる性質のものではありません。共生型として指定を受けている限り、常にこの単位数です。表を見て「何か基準を満たしていないのか」と誤解しないでください。
夜勤職員の基準も障害福祉側
共生型短期入所生活介護を行う事業所の夜勤職員の基準は、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)において、「夜勤を行う生活支援員の数が、指定障害者支援施設として必要とされる生活支援員の数以上であること」と定められています。介護保険の一般的な夜勤基準(利用者数に応じた階段)ではありません。
届出が必要
告示は「共生型居宅サービスの事業を行い、かつ、(中略)届出を行った」事業者を対象としています。障害福祉側の指定があるだけでは足りず、介護保険側の届出が必要です。
加算は別に確認する
基本報酬が92%になることと、各種加算を算定できるかどうかは別の話です。サービス提供体制強化加算や処遇改善加算など、それぞれの要件を個別に確認してください。
リハビリ職の関わり
障害者支援施設には、生活支援員のほかにPT・OTが配置されていることがあります。介護保険のショートステイとして提供する場合でも、機能訓練の視点を持ち込めるのは共生型の強みです。個別機能訓練加算などの算定可否は、人員配置と要件を照らして確認する価値があります。
共生型短期入所生活介護のQ&A
なぜ92%なのですか?
障害福祉サービスの人員・設備基準で介護保険のサービスを提供する仕組みのため、介護保険の基準をフルに満たす事業所より低く設定されています。要件を満たせば回避できる減算ではありません。
どんな事業所が対象ですか?
指定障害者支援施設と一体的に運営する指定短期入所事業所、または指定障害者支援施設が空いている居室を利用して短期入所の事業を行う事業所です。
単独型でも対象になりますか?
注6は「イ(2)」=併設型短期入所生活介護費を対象としています。
ユニット型でも算定できますか?
注6が対象としているのはイ(2)です。ユニット型の区分は含まれていません。
届出は必要ですか?
必要です。障害福祉側の指定に加えて、介護保険側の届出が求められます。
夜勤職員の基準はどうなりますか?
夜勤を行う生活支援員の数が、指定障害者支援施設として必要とされる生活支援員の数以上であることとされています。
加算は算定できますか?
基本報酬が92%になることと加算の算定可否は別です。それぞれの要件を確認してください。
65歳になったら必ず共生型に移るのですか?
介護保険優先原則により介護保険が優先されますが、個別の判断は保険者・自治体の取扱いによります。
障害福祉の報酬で請求できますか?
共生型短期入所生活介護として提供した場合は、介護保険の報酬として請求します。
まとめ
- ショートステイの共生型短期入所生活介護は所定単位数の92%(実質8%減)
- 事業所の落ち度に対する罰則ではなく、報酬区分の設定
- 告示は「減算する」ではなく「算定する」と書いている
- 要件を満たせば回避できる性質のものではない
- 障害福祉の指定短期入所事業所が介護保険のショートステイを提供する仕組み
- 対象は指定障害者支援施設と一体的に運営する事業所、または空き居室を使う事業所
- 単独の短期入所事業所は含まれない
- 対象の区分は「イ(2)」=併設型短期入所生活介護費
- 平成30年度の制度改正で創設された共生型サービスの一つ
- 背景にあるのは65歳の壁(介護保険優先原則)
- 人員・設備基準は障害福祉側のものを満たせばよい
- 夜勤職員の基準も指定障害者支援施設として必要な生活支援員の数以上
- 介護保険側の届出が必要
- 各種加算の算定可否は別に確認する
参考にした情報
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費 注6
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第140条の14
※本記事の単位数・要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。共生型サービスの指定要件や障害福祉制度との関係については、障害者総合支援法にもとづく基準もあわせてご確認ください。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




