短期入所生活介護(ショートステイ)の医療連携強化加算は、1日につき58単位です。喀痰吸引や胃瘻の管理など、医療的な処置を必要とする利用者を受け入れたときに、その利用者について算定します。

この加算の最大のハードルは、単位数でも対象者でもありません。施設基準の1つ目に「看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)を算定していること」が置かれていることです。看護職員の配置が25:1に達していない事業所は、対象となる利用者を受け入れても算定できません。もう1つ、巡視の頻度が通知で「おおむね1日3回以上」と具体的に示されている点も、見落とされがちです。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注12、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第37号、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(同告示第94号)第20号、老企第40号 第二の3(14)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 医療連携強化加算の単位数(58単位/日)と算定の対象単位
  • 看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)の算定が前提要件になっていること
  • 施設基準4つ(看護体制・定期巡視・協力医療機関・利用者の合意)の中身
  • 「定期的な巡視」がおおむね1日3回以上と通知で示されていること
  • 対象となる9つの状態(喀痰吸引・人工呼吸器・胃瘻など)
  • 褥瘡は第二度以上かつ処置を行った場合に限られること
  • 請求明細書の摘要欄に該当状態を記載する必要があること
  • 在宅中重度者受入加算(413〜425単位)とは併算定できないこと
  • どちらを取るべきかの判断の順序
  • 要支援(介護予防短期入所生活介護)には存在しないこと

医療連携強化加算は1日58単位。対象利用者だけに算定する

告示19号の注12は、次のとおりです。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った指定短期入所生活介護事業所において、別に厚生労働大臣が定める状態にあるものに対して指定短期入所生活介護を行った場合は、医療連携強化加算として、1日につき58単位を所定単位数に加算する。ただし、ホの在宅中重度者受入加算を算定している場合は、算定しない。

条文の構造は「事業所の基準」と「利用者の状態」の二段構えです。

要素根拠内容
事業所側の要件告示95号 第37号看護体制加算(Ⅱ)(Ⅳ)の算定ほか4項目
利用者側の要件告示94号 第20号喀痰吸引など9つの状態のいずれかに該当
単位数告示19号 注121日58単位(該当利用者のみ)
併算定不可告示19号 注12ただし書き在宅中重度者受入加算

この加算は体制加算ではありません。届出をしても、対象となる状態の利用者を受け入れた日にしか算定できません。事業所の全利用者に付くサービス提供体制強化加算などとは、性格が違います。

最大の関門は「看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)の算定」

告示95号 第37号は、次の4つすべてに適合することを求めています。

  • 短期入所生活介護費の注11の看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)を算定していること
  • 利用者の急変の予測や早期発見等のため、看護職員による定期的な巡視を行っていること
  • 主治の医師と連絡が取れない等の場合に備えて、あらかじめ協力医療機関を定め、緊急やむを得ない場合の対応に係る取り決めを行っていること
  • 急変時の医療提供の方針について、利用者から合意を得ていること

1つ目が実質的な入口です。看護体制加算(Ⅱ)は、看護職員を常勤換算で利用者25:1以上配置し、24時間連絡できる体制を確保していることが要件です。(Ⅳ)は(Ⅱ)の看護体制要件に、要介護3以上の利用者割合という中重度者受入要件が加わった区分になります。

看護体制加算(Ⅰ)(Ⅲ)だけでは算定できない

(Ⅰ)(Ⅲ)は「常勤の看護師1名以上」を評価する区分です。医療連携強化加算の基準が求めているのは(Ⅱ)または(Ⅳ)、つまり看護職員の総量(25:1)と24時間連絡体制のほうです。

「常勤の看護師がいるから大丈夫」と考えて届出を出すと、ここで引っかかります。医療連携強化加算を検討するなら、順序は看護体制加算(Ⅱ)が先です。

「定期的な巡視」はおおむね1日3回以上

告示は「定期的な巡視」としか書いていませんが、老企第40号(14)②が具体化しています。

看護職員による定期的な巡視とは、急変の予測や早期発見等のために行うものであり、おおむね1日3回以上の頻度で当該利用者のもとを訪れてバイタルサインや状態変化の有無を確認するものであること。ただし、巡視の頻度については、利用者の状態に応じて適宜増加させるべきものであること。

1日58単位(おおむね580〜630円)に対して、看護職員が1日3回以上バイタルを確認するという水準です。しかも「利用者の状態に応じて適宜増加させるべき」とされています。単価だけを見ると割に合いにくい加算だ、というのが率直なところです。

協力医療機関との取り決めは「利用者への説明と同意」までがセット

老企第40号(14)③は、協力医療機関について次のように定めています。

  • あらかじめ協力医療機関を定める
    主治の医師と連絡が取れない等の場合に備えて、急変等が発生した場合の対応について取り決めを行う。
  • 提供開始時に利用者へ説明する
    取り決めの内容を、指定短期入所生活介護の提供開始時に利用者に説明する。
  • 同意を得る
    主治の医師との連携方法や搬送方法も含め、急変が生じた場合の対応について同意を得ておく。
  • 文書で記録する
    当該同意については、文書で記録すべきものであること、と明記されている。
同意の対象は「搬送方法」まで含む

通知は「主治の医師との連携方法や搬送方法も含め」と書いています。急変時にどの医療機関へ、どういう手段で運ぶのか。ここまで説明して同意を得た記録が必要です。

重要事項説明書に協力医療機関名を書いてあるだけでは足りません。担当したケースでも、実地指導で確認されるのはこの同意書の有無でした。

対象となるのは9つの状態。摘要欄への記載も必要

告示94号 第20号は、対象となる状態を次のいずれかに該当する状態と定めています。老企第40号(14)④の補足とあわせて整理します。

状態通知による補足
イ 喀痰吸引を実施している状態利用中に喀痰吸引を要する状態であり、実際に実施したものであること
ロ 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態当該月において1週間以上、人工呼吸または間歇的陽圧呼吸を行っていること
ハ 中心静脈注射を実施している状態中心静脈注射により薬剤の投与をされている、または中心静脈栄養以外に栄養維持が困難な利用者
ニ 人工腎臓を実施している状態当該月において人工腎臓を実施していること
ホ 重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態重症不整脈発作を繰り返す、収縮期血圧90mmHg以下が持続、酸素吸入を行っても動脈血酸素飽和度90%以下のいずれかの状態で、心電図・血圧・動脈血酸素飽和度のいずれかを含む常時モニタリングを行っていること
ヘ 人工膀胱または人工肛門の処置を実施している状態皮膚の炎症等に対するケアを行った場合に算定できる
ト 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態経口摂取が困難で経腸栄養以外に栄養維持が困難な利用者に対して経腸栄養を行った場合
チ 褥瘡に対する治療を実施している状態第二度以上に該当し、かつ当該褥瘡に対して必要な処置を行った場合に限る
リ 気管切開が行われている状態気管切開に係るケアを行った場合に算定できる

共通しているのは、「その状態にある」だけでなく「実際に処置・ケアを行った」ことが求められている点です。人工肛門を造設している方でも、皮膚の炎症等に対するケアを行っていなければ対象になりません。気管切開も同じ構造です。

褥瘡の「第二度以上」の分類

チの褥瘡については、通知が分類まで示しています。

分類状態対象
第一度皮膚の発赤が持続している部分があり、圧迫を取り除いても消失しない(皮膚の損傷はない)×
第二度皮膚層の部分的喪失(びらん、水疱、浅いくぼみとして表れるもの)
第三度皮膚層がなくなり潰瘍が皮下組織にまで及ぶ
第四度皮膚層と皮下組織が失われ、筋肉や骨が露出している

発赤のみ(第一度)は対象外です。びらん・水疱以上、かつ処置を行っていることが条件になります。

請求明細書の摘要欄に状態を書く

老企第40号(14)④の本文は、次のように定めています。

請求明細書の摘要欄に該当する状態(利用者等告示第二十号のイからリまで)を記載することとするが、複数の状態に該当する場合は主たる状態のみを記載すること。

複数該当していても、書くのは主たる状態1つだけです。「喀痰吸引と経腸栄養の両方だから2つ書く」は誤りで、返戻の原因になります。

ちびウルフちびウルフ

吸引も胃瘻もある人だと、どっちを「主たる状態」にすればいいんですか?

リハウルフリハウルフ

通知に優先順位の定めはありません。その利用者の受入れにあたって、看護職員の手が最もかかっている処置を選ぶのが自然だと思います。

大事なのは、摘要欄に書いた状態と介護記録が一致していることです。摘要欄に「喀痰吸引」と書いたのに、その月の記録に吸引の実施が残っていない。これがいちばん危ない。記録が加算の裏づけになるので、選んだ状態については実施記録を確実に残してください。

在宅中重度者受入加算とは併算定できない。金額差は7倍以上

注12のただし書きは「ホの在宅中重度者受入加算を算定している場合は、算定しない」です。同じ日に両方を算定することはできません。

比較項目医療連携強化加算在宅中重度者受入加算
単位数58単位/日413〜425単位/日
対象者喀痰吸引など9状態のいずれかに該当する利用者居宅で訪問看護を受けていた利用者
ケアを担う人自事業所の看護職員もとの訪問看護事業所の看護職員
事業所の前提看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)の算定が必須看護体制加算の算定は不要(算定状況で単位数が変わるのみ)
事前準備協力医療機関との取り決め、利用者の合意(文書)訪問看護事業所との委託契約

単位数は7倍以上の差があります。要件を満たすなら、在宅中重度者受入加算のほうが圧倒的に有利です。

判断の順序はこう考える

①その利用者が居宅で訪問看護を使っていたかを確認する。使っていて、その事業所に来てもらえるなら在宅中重度者受入加算(413〜425単位)。

②訪問看護を使っていない、または委託の合意が取れない場合に、医療連携強化加算(58単位)を検討する。

両方の要件を満たす利用者について、あえて58単位のほうを選ぶ理由はありません。ただし在宅中重度者受入加算は訪問看護事業所の協力が前提です。相手のある話なので、事前に契約が整っていなければ医療連携強化加算しか道がない、という場面は現実にあります。

裏を返せば、医療連携強化加算が効いてくるのは「医療的ケアはあるが、居宅では訪問看護を使っていない利用者」です。家族が吸引や経管栄養を担っていて訪問看護が入っていない、というケースは少なくありません。そこがこの加算の本来の守備範囲だと考えるのが実務的です。

要支援(介護予防短期入所生活介護)には存在しない

介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第127号には、医療連携強化加算の規定がありません。前提となる看護体制加算も、在宅中重度者受入加算・緊急短期入所受入加算・夜勤職員配置加算も同様に、要支援には設けられていません。

医療的ケアの必要な方が要支援であることは多くありませんが、要支援1・2の方については、対象9状態に該当していても算定できません。

よくある質問
医療連携強化加算はいくらですか?

1日につき58単位です。対象となる状態に該当する利用者についてのみ算定します。事業所の全利用者に付く体制加算ではありません。

看護体制加算を算定していなくても算定できますか?

できません。告示95号第37号イが「看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)を算定していること」を要件としています。(Ⅰ)(Ⅲ)だけでは要件を満たしません。

巡視は1日何回必要ですか?

老企第40号は「おおむね1日3回以上の頻度で当該利用者のもとを訪れてバイタルサインや状態変化の有無を確認する」としています。さらに利用者の状態に応じて適宜増加させるべきものとされています。

協力医療機関を決めていれば要件を満たしますか?

足りません。取り決めの内容を提供開始時に利用者へ説明し、主治の医師との連携方法や搬送方法も含めて同意を得たうえで、その同意を文書で記録しておく必要があります。

胃瘻がある利用者なら常に算定できますか?

できません。「経口摂取が困難で経腸栄養以外に栄養維持が困難な利用者に対して、経腸栄養を行った場合」に算定できるものとされています。実際に経腸栄養を行っていることが必要です。

発赤だけの褥瘡は対象になりますか?

なりません。通知の分類で第二度(びらん、水疱、浅いくぼみ)以上に該当し、かつ当該褥瘡に対して必要な処置を行った場合に限られます。第一度の発赤のみは対象外です。

人工呼吸器を使用していれば日数に関係なく算定できますか?

ロについては「当該月において1週間以上、人工呼吸又は間歇的陽圧呼吸を行っていること」とされています。当該月の実施期間が判定要素になります。

複数の状態に該当する場合、摘要欄はどう書きますか?

主たる状態のみを記載します。通知が「複数の状態に該当する場合は主たる状態のみを記載すること」と定めています。記載した状態については、実施記録を残しておいてください。

在宅中重度者受入加算と両方算定できますか?

できません。注12に「ホの在宅中重度者受入加算を算定している場合は、算定しない」とあります。在宅中重度者受入加算は413〜425単位なので、要件を満たすならそちらが有利です。

どちらの加算を狙うべきですか?

まず利用者が居宅で訪問看護を使っていたかを確認してください。使っていて、その事業所に健康管理を委託できるなら在宅中重度者受入加算です。訪問看護が入っていない利用者の受入れが、医療連携強化加算の本来の守備範囲になります。

要支援でも算定できますか?

できません。介護予防短期入所生活介護の報酬を定める告示127号に、医療連携強化加算の規定はありません。

まとめ
  • 医療連携強化加算は1日58単位。対象状態の利用者だけに算定する
  • 事業所側の要件(告示95号第37号)と利用者側の状態(告示94号第20号)の二段構え
  • 施設基準の1つ目が「看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)の算定」
  • 看護体制加算(Ⅰ)(Ⅲ)だけでは要件を満たさない
  • 検討の順序は、看護体制加算(Ⅱ)の取得が先
  • 定期的な巡視はおおむね1日3回以上、状態に応じて増やす
  • 協力医療機関をあらかじめ定め、急変時対応の取り決めを行う
  • 取り決めは提供開始時に説明し、搬送方法まで含めて同意を得る
  • 同意は文書で記録することが通知に明記されている
  • 対象は喀痰吸引・人工呼吸器・中心静脈注射・人工腎臓・常時モニター・人工膀胱/人工肛門・経腸栄養・褥瘡治療・気管切開の9状態
  • いずれも「実際に処置・ケアを行った」ことが求められる
  • 褥瘡は第二度(びらん・水疱)以上かつ処置を行った場合に限る
  • 人工呼吸器は当該月に1週間以上の実施が必要
  • 請求明細書の摘要欄には主たる状態のみを記載する
  • 摘要欄の状態と介護記録が一致していることが実務上の要
  • 在宅中重度者受入加算(413〜425単位)とは併算定できない
  • 単位数の差は7倍以上で、要件を満たすなら在宅中重度者受入加算が有利
  • 医療連携強化加算の守備範囲は「訪問看護を使っていない医療的ケアの利用者」
  • 要支援(介護予防短期入所生活介護)には存在しない
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。巡視の頻度や記録の様式、対象状態の該当性の判断は、都道府県・指定都市によって解釈が分かれる場合があります。本文中の金額換算は地域区分の単価を用いた概算です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。摘要欄に記載する状態の選び方や、加算の取得順序に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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