「ショートステイ中に訪問看護は使えるの?」「ショートステイと訪問看護は同じ日に併用・同日算定できるのか知りたい」——訪問看護ステーションの管理者や看護師、そしてケアマネジャーから、毎年のように寄せられる質問です。同日算定は介護保険と医療保険でルールが分かれ、さらに入所日・退所日・滞在中で扱いが変わるため、現場でも判断に迷いやすいポイントです。

この記事では、令和6年度(2024年度)時点の制度をふまえ、ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)と訪問看護の併用・同日算定のルールを、入所日・滞在中・退所日に分けて整理します。末期がんなど例外的に医療保険の訪問看護が認められるケースや、ケアマネ・看護師が押さえておきたい実務上の注意点まで、まとめて確認していきましょう。

この記事でわかること
  • ショートステイ「滞在中」に訪問看護が使えるかどうかの結論
  • 介護保険・医療保険それぞれの訪問看護と、入所日・退所日の同日算定の可否
  • 末期がんなど、例外的に医療保険の訪問看護が認められるケース
  • ケアマネ・訪問看護師が現場で間違えやすい注意点と確認の手順

ショートステイ利用中に訪問看護は利用できる?

まず前提として、ショートステイ(短期入所)は「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類に分かれます。どちらに入所しているかで、訪問看護の扱いが変わってきます。

区分主な施設特徴
短期入所生活介護特別養護老人ホーム・有料老人ホームのショートステイ生活の場が中心。医師の常駐は必須ではない
短期入所療養介護介護老人保健施設(老健)・病院・診療所のショートステイ医学的管理下での看護・リハビリが受けられる
ちびウルフちびウルフ

ショートステイに泊まっている間も、いつもの訪問看護に来てもらえるの?

リハウルフリハウルフ

結論から言うと、滞在している「中日」は原則むずかしいんだ。施設のなかで看護や健康管理が提供されるからだね。理由を順番に見ていこう。

滞在中(中日)は原則として訪問看護を算定できない

ショートステイの滞在期間中(入所日・退所日を除いた、いわゆる「中日」)は、施設側が利用者の健康管理・看護を担う体制になっています。そのため、滞在中に介護保険の訪問看護を入れて算定することは原則できません。同じ目的のサービスが二重に提供される「サービスの重複(二重給付)」を避けるという、介護保険・医療保険共通の考え方が背景にあります。

ポイント「中日は施設が看護を担う」という考え方が基本。だからこそ、入所日・退所日のように施設サービスと訪問サービスが両方発生しうる日だけ、扱いが細かく分かれます。

例外:末期がんなど、医療保険の訪問看護が認められる場合がある

例外として、末期の悪性腫瘍(末期がん)など、医療保険の訪問看護の対象となる状態の方については、短期入所生活介護を利用している間であっても、医療保険の訪問看護が認められるケースがあります。治療管理や急変時の医療的な対応が必要と判断される場合に、医療保険側で対応するという整理です。

ただし、この取り扱いは利用者の状態や施設の体制、そして保険者(市町村)の判断によって異なることがあります。「末期がんなら必ず使える」と一律に考えるのではなく、必ず事前に保険者・主治医・施設と確認するようにしてください。

ショートステイと訪問看護の併用・同日算定の考え方

同日算定を整理するうえで大切なのは、「どのショートステイか」×「どの保険の訪問看護か」の組み合わせで考えることです。次の4パターンに分けると理解しやすくなります。

  • 短期入所生活介護 × 介護保険の訪問看護
  • 短期入所生活介護 × 医療保険の訪問看護
  • 短期入所療養介護 × 介護保険の訪問看護
  • 短期入所療養介護 × 医療保険の訪問看護
注意「訪問看護」とひとくくりにせず、介護保険(訪問看護費)なのか医療保険(訪問看護療養費・精神科訪問看護など)なのかを必ず区別しましょう。ここを混同すると、同日算定の判断を誤ります。

ショートステイ入所日に訪問看護は同日算定できる?

ちびウルフちびウルフ

入所する日の午前中に訪問看護、午後からショートステイ…みたいなのはアリなの?

リハウルフリハウルフ

入所日は、介護保険の訪問看護なら算定できる組み合わせが多いよ。逆に医療保険の訪問看護は、入所日は原則できないんだ。表で見てみよう。

入所日の同日算定の可否は、おおむね次のとおりです。介護保険か医療保険かで扱いが分かれる点に注意してください。

組み合わせ(入所日)同日算定の可否
短期入所生活介護 × 介護保険の訪問看護算定できる
短期入所生活介護 × 医療保険の訪問看護原則できない
短期入所療養介護 × 介護保険の訪問看護算定できる
短期入所療養介護 × 医療保険の訪問看護原則できない

ポイントは、介護保険の訪問看護は入所日に算定できる組み合わせがある一方で、医療保険の訪問看護は入所日には原則として算定できないという整理です。

ショートステイ退所日に訪問看護は同日算定できる?

退所日は、令和3年度介護報酬改定で取り扱いが見直されたポイントがあり、入所日とは少し条件が変わります。令和6年度時点でもこの考え方が引き継がれています。

組み合わせ(退所日)同日算定の可否
短期入所生活介護 × 介護保険の訪問看護算定できる
短期入所生活介護 × 医療保険の訪問看護原則できない
短期入所療養介護 × 介護保険の訪問看護一部可能(主治の医師が必要と認める場合)
短期入所療養介護 × 医療保険の訪問看護原則できない
ポイント短期入所療養介護(老健等)の退所日に介護保険の訪問看護を算定する場合は、主治の医師が必要と認めることが条件になります。「必要性の医学的判断」がカギになる点を押さえておきましょう。

ケアマネ・訪問看護師が押さえておきたい実務の注意点

制度の表を覚えるだけでなく、現場で算定ミスや返戻を防ぐための手順をおさえておくと安心です。リハウルフがおすすめする確認の流れは次のとおりです。

  1. 利用者がどのショートステイ(短期入所生活介護/療養介護)を使うかを確認する
  2. 訪問看護が介護保険か医療保険か(末期がん等の医療保険対象かどうか)を確認する
  3. 同日算定したいのが入所日・退所日・中日のどれかを特定する
  4. 退所日に老健等の介護保険訪問看護を入れる場合は、主治医の必要性の判断を得る
  5. 最終的な算定可否は、保険者(市町村)に事前確認しておく
ちびウルフちびウルフ

表で「できる」ってなっていても、最後は保険者に聞いたほうがいいの?

リハウルフリハウルフ

そうだね。同日算定や末期がんの取り扱いは、保険者ごとにQ&Aや解釈が出ていることがあるんだ。迷ったら自治体に確認するのが、結局いちばん確実で安全だよ。

なぜ同日算定のルールはこれほど複雑なのか

「入所日は良くて、退所日は条件付き」「介護保険は可で、医療保険は不可」——一見ややこしいこのルールも、背景にある考え方を押さえると整理しやすくなります。ポイントは「同じ目的の看護サービスが、同じ日に二重に給付されないようにする」という原則です。

ショートステイ滞在中は、施設の看護職員が利用者の健康管理を担います。そこへ在宅の訪問看護が重ねて入ると、同じ役割のサービスが重複してしまいます。一方で、入所日・退所日は「在宅で過ごす時間」と「施設で過ごす時間」が同じ日のなかに混在するため、在宅側の訪問看護にも必要性が生じうる——だからこそ、保険種別・施設種別ごとに細かく可否が決められているのです。

注意医療保険の訪問看護が入所日・退所日に原則認められないのは、医療保険の訪問看護が「在宅で療養する利用者」を対象としているためです。施設入所中は施設側の医療・看護でカバーするという整理になっています。末期がん等の例外も、あくまで個別の必要性と保険者判断が前提です。

訪問看護指示書・特別訪問看護指示書の扱いも確認を

末期の悪性腫瘍などで医療保険の訪問看護を検討する場合は、主治医からの訪問看護指示書や特別訪問看護指示書の有無・期間も確認が必要です。指示書の対象期間とショートステイの利用期間が重なるケースでは、どの保険でどのサービスを提供するのか、事業所・施設・主治医・ケアマネで早めに情報共有しておくと、算定トラブルを防げます。

よくある質問(FAQ)

ショートステイ滞在中でも訪問リハビリは入れますか?
訪問看護と同様に、滞在中は施設側でリハビリ・看護が提供される前提のため、原則として訪問のサービスは算定できません。組み合わせや日にちで扱いが変わるため、保険者に確認しましょう。
末期がんなら必ずショートステイ中に医療保険の訪問看護が使えますか?
「必ず使える」とは言い切れません。状態や施設体制、保険者の判断によって異なります。主治医・施設・保険者と事前に相談したうえで利用してください。
入所日と退所日で扱いが違うのはなぜですか?
入所日・退所日は施設サービスと在宅サービスが同じ日に発生しうるため、サービスの重複を避ける観点から、保険種別や施設種別ごとに細かく可否が決められています。
同日算定の可否はどの資料で確認できますか?
厚生労働省の介護報酬改定資料や解釈通知・Q&A、各市町村が公表する介護給付に関するQ&Aで確認できます。最終的な算定可否は保険者への確認が確実です。
まとめ
  • ショートステイ滞在中(中日)は、原則として介護保険の訪問看護は算定できない
  • 例外として、末期がん等では医療保険の訪問看護が認められる場合があるが、保険者・主治医・施設への確認が必須
  • 入所日は、介護保険の訪問看護なら算定できる組み合わせがあり、医療保険は原則不可
  • 退所日は、老健等(短期入所療養介護)×介護保険訪問看護が「主治医が必要と認める場合」に算定可能
  • 表はあくまで目安。最終的な可否は保険者(市町村)に事前確認するのが確実

※本記事は令和6年度(2024年度)時点の制度をもとに作成しています。同日算定・併用の取り扱いは保険者により解釈が分かれる場合があるため、実際の算定にあたっては厚生労働省の通知・Q&Aおよび各市町村の介護給付Q&Aをご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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