ショートステイの若年性認知症利用者受入加算とは?120単位の算定要件を解説

短期入所生活介護(ショートステイ)の若年性認知症利用者受入加算は、1日につき120単位です。通所介護の同名加算が60単位であるのに対し、ショートステイは2倍の設定になっています。
そして、この加算の施設基準はたった1行しかありません。
「受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別の担当者を定めていること」――これだけです。研修の受講も、人員の増配も、加算のための計画書も求められていません。要件の軽さに対して単位数が大きいため、取りこぼしがもっとも惜しい加算のひとつです。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注16、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第18号、老企第40号 第二の2(18)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 若年性認知症利用者受入加算の単位数(120単位/日)とサービス間の差
- 施設基準が「個別の担当者を定めること」の1つだけであること
- 「若年性認知症利用者」の条文上の定義
- 担当者に求められる役割
- 届出が必要であること
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算との排他関係
- 認知症専門ケア加算とは併算定できること
- 要支援(介護予防短期入所生活介護)でも120単位で算定できること
- 65歳到達後の取扱いについて注意すべき点
ショートステイは120単位。通所介護の2倍
告示19号の注16は、次のとおりです。
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った指定短期入所生活介護事業所において、若年性認知症利用者に対して指定短期入所生活介護を行った場合は、若年性認知症利用者受入加算として1日につき120単位を所定単位数に加算する。ただし、注15を算定している場合は、算定しない。
同じ名前の加算がさまざまなサービスにありますが、単位数は分かれています。
| サービス | 単位数 |
|---|---|
| 短期入所生活介護 | 120単位/日 |
| 介護予防短期入所生活介護 | 120単位/日 |
| 短期入所療養介護(区分により) | 120単位/日(一部区分は60単位) |
| 通所介護 | 60単位/日 |
宿泊を伴うサービスのほうが高く設定されています。1日120単位は、7日利用すれば840単位。決して小さい額ではありません。
施設基準は「個別の担当者を定めていること」だけ
告示95号 第18号は、通所介護費・短期入所生活介護費・認知症対応型共同生活介護費など多くのサービスをまとめて規定しており、その内容は次の1文です。
受け入れた若年性認知症利用者(介護保険法施行令第二条第六号に規定する初老期における認知症によって要介護者又は要支援者となった者をいう。)ごとに個別の担当者を定めていること。
加算の要件はこれだけです。老企第40号 第二の2(18)が、担当者の役割を補足しています。
受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別に担当者を定め、その者を中心に、当該利用者の特性やニーズに応じたサービス提供を行うこと。
この加算には、次のものが要件として定められていません。
- 認知症介護実践者研修などの研修受講(認知症専門ケア加算とは別物)
- 人員の増配
- 加算専用の計画書の作成
- 利用者数や割合の要件
「担当者を決め、その人を中心にサービスを組み立てる」ことが要件のすべてです。ハードルは低い一方、担当者を決めていなければ算定できません。
担当者の決め方は定められていない
通知は「個別に担当者を定め」としか書いておらず、資格・職種・人数の指定はありません。介護職員でも生活相談員でも構いません。
ただし「その者を中心に、特性やニーズに応じたサービス提供を行う」ことが求められている以上、担当者名を記録に残し、その担当者が関与した記録が残っている状態にしておく必要があります。名簿に名前を書いただけで、ケアの記録にその担当者が一切出てこない、という状態は説明が難しくなります。
「若年性認知症利用者」とは誰か
条文上の定義は「介護保険法施行令第2条第6号に規定する初老期における認知症によって要介護者又は要支援者となった者」です。
介護保険法施行令第2条は、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が介護保険を利用できる特定疾病を列挙した条文で、その第6号が「初老期における認知症」です。
- 40歳以上65歳未満で介護保険の給付を受けている(第2号被保険者)
- その原因となった特定疾病が初老期における認知症である
この2つを満たす方が典型的な対象です。介護保険被保険者証や認定結果で、特定疾病名を確認するのが実務上の入口になります。
条文の定義は「初老期における認知症によって要介護者又は要支援者となった者」であり、年齢の上限を明示していません。一方で、65歳の誕生日を境に算定できなくなるという説明も広く流通しています。
筆者が確認した範囲では、この点について国が示した公式なQ&Aの原文にはたどり着けませんでした。断定を避けます。65歳到達前後の利用者について算定を続けるかどうかは、必ず指定権者(都道府県・指定都市)に確認してください。
ちびウルフ担当者を決めるだけで120単位なら、取っていない事業所は損してますよね?
リハウルフ取りこぼしは実際に多いと思います。理由は単純で、若年性認知症の方の利用自体がまれだからです。年に1人来るかどうかの加算のために、届出を出していない事業所は珍しくありません。
ただし届出は事前に出しておかないと算定できません。利用が決まってから慌てても間に合わないので、該当者がいなくても先に届出だけ済ませておくのが正解です。要件は担当者を決めることだけなので、届出を出しておいて不利益になることもありません。
認知症行動・心理症状緊急対応加算とは併算定できない
注16のただし書きにある「注15」は、認知症行動・心理症状緊急対応加算(200単位・7日限度)です。この2つは同時に算定できません。
| 加算 | 単位数 | 期間 | 併算定 |
|---|---|---|---|
| 認知症行動・心理症状緊急対応加算 | 200単位/日 | 7日限度 | 不可 |
| 若年性認知症利用者受入加算 | 120単位/日 | 期間の定めなし |
若年性認知症の方をBPSDで緊急に受け入れた場合、次の選択になります。
- ①認知症行動・心理症状緊急対応加算200単位(7日限度・医師の判断が必要)
- ②若年性認知症利用者受入加算120単位+緊急短期入所受入加算90単位=210単位(緊急短期入所受入加算は7日、やむを得ない事情があれば14日)
緊急短期入所受入加算(注19)のただし書きも「注15を算定している場合は、算定しない」であり、若年性認知症利用者受入加算を除外していません。条文上は②の組み合わせが可能と読め、金額でも上回ります。ただし②は緊急短期入所受入加算の要件(ケアマネジャーが緊急利用を認めた、その日がケアプランに位置づけられていない)を満たす必要があります。組み合わせの可否は指定権者にご確認ください。
また8日目以降を考えると、①は算定できなくなるのに対し、若年性認知症利用者受入加算には期間の定めがありません。長めの利用になるほど、若年性認知症利用者受入加算を軸にしたほうが有利になります。
認知症専門ケア加算とは併算定できる
ショートステイの認知症専門ケア加算は(Ⅰ)3単位・(Ⅱ)4単位で、こちらは事業所の体制(認知症介護実践リーダー研修修了者等の配置、対象者の割合など)を評価する加算です。
告示19号のヘ(認知症専門ケア加算)の注は、(Ⅰ)と(Ⅱ)の相互排他を定めているだけで、若年性認知症利用者受入加算を除外していません。要件を満たせば両方算定できます。
| 加算 | 単位数 | 評価しているもの |
|---|---|---|
| 若年性認知症利用者受入加算 | 120単位/日 | 若年性認知症利用者ごとの担当者配置 |
| 認知症専門ケア加算(Ⅰ) | 3単位/日 | 研修修了者の配置等の事業所体制 |
| 認知症専門ケア加算(Ⅱ) | 4単位/日 | 同上(より上位の体制) |
評価している対象がまったく違うため、重複調整の対象になっていません。単位数の桁も違い、若年性認知症利用者受入加算のほうが圧倒的に大きいことは押さえておいてよいと思います。
要支援(介護予防短期入所生活介護)でも120単位
介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第127号にも、介護予防短期入所生活介護費 注12として120単位の若年性認知症利用者受入加算が置かれています。基準を定める告示95号第18号も、介護予防短期入所生活介護費を対象に含めています。
定義の条文も「要介護者又は要支援者となった者」となっており、要支援が明示的に含まれています。
| 加算 | 要支援での算定 |
|---|---|
| 若年性認知症利用者受入加算 | ○(120単位) |
| 認知症行動・心理症状緊急対応加算 | ○(200単位・7日) |
| 送迎加算 | ○(片道184単位) |
| 療養食加算 | ○(8単位・1日3回まで) |
| 緊急短期入所受入加算・看護体制加算・医療連携強化加算など | × |
ショートステイの若年性認知症利用者受入加算はいくらですか?
1日につき120単位です。通所介護の同名加算は60単位なので、ショートステイは2倍の設定になっています。
算定要件は何ですか?
「受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別の担当者を定めていること」の1つだけです。あわせて事前の届出が必要です。
担当者に資格要件はありますか?
ありません。職種・資格・人数の指定はなく、介護職員でも生活相談員でも構いません。ただし、その担当者を中心に特性やニーズに応じたサービス提供を行うことが求められます。
認知症介護実践者研修などの受講は必要ですか?
この加算では必要ありません。研修修了者の配置が要件になっているのは認知症専門ケア加算のほうです。
「若年性認知症利用者」とはどういう人ですか?
介護保険法施行令第2条第6号に規定する「初老期における認知症」によって要介護者または要支援者となった方です。第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の特定疾病のひとつです。
65歳になったら算定できなくなりますか?
条文の定義に年齢の上限は明示されていませんが、65歳到達で対象外とする説明も流通しています。国の公式な回答を確認できていないため、指定権者(都道府県・指定都市)に確認してください。
届出は必要ですか?
必要です。注16に「届出を行った指定短期入所生活介護事業所において」とあります。該当者が現れてからでは間に合わないため、事前に届出を済ませておくことをおすすめします。
認知症行動・心理症状緊急対応加算と両方算定できますか?
できません。注16に「注15を算定している場合は、算定しない」とあります。
緊急短期入所受入加算とは併算定できますか?
緊急短期入所受入加算のただし書きは注15(認知症行動・心理症状緊急対応加算)のみを除外しており、この加算を除外していません。条文上は併算定できると読めますが、運用は指定権者にご確認ください。
認知症専門ケア加算と両方算定できますか?
できます。評価している対象が異なり、併算定を禁じる規定もありません。
算定できる日数に上限はありますか?
ありません。緊急対応系の加算と違い、期間の定めはなく、利用日ごとに算定できます。
要支援でも算定できますか?
できます。介護予防短期入所生活介護にも120単位の規定があり、定義も「要介護者又は要支援者となった者」と明記されています。
- ショートステイの若年性認知症利用者受入加算は1日120単位
- 通所介護の同名加算は60単位で、ショートステイは2倍
- 施設基準は「受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別の担当者を定めていること」の1つだけ
- 研修受講・人員増配・加算専用の計画書は要件になっていない
- 担当者の資格・職種の指定はない
- 担当者を中心に、特性やニーズに応じたサービス提供を行うことが求められる
- 担当者名と、その担当者が関与した記録を残しておく
- 対象は介護保険法施行令第2条第6号の「初老期における認知症」による要介護者・要支援者
- 被保険者証や認定結果で特定疾病名を確認するのが入口になる
- 65歳到達後の取扱いは国の公式回答を確認できず、指定権者への確認が必要
- 事前の届出が必要で、該当者が出てからでは間に合わない
- 該当者がいなくても、先に届出だけ済ませておくのが現実的
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算(200単位)とは併算定できない
- 緊急短期入所受入加算90単位との組み合わせは条文上除外されていない
- その場合の合計210単位は、200単位を上回る
- 8日目以降は緊急対応系が切れるため、この加算を軸にしたほうが有利になる
- 認知症専門ケア加算(3・4単位)とは併算定できる
- 算定できる日数に上限はない
- 要支援(介護予防短期入所生活介護)でも120単位で算定できる
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「短期入所生活介護費」注15・注16・注19、ヘ(認知症専門ケア加算)、「通所介護費」注16(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第18号(若年性認知症利用者受入加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日老企第40号)第二の2(18)若年性認知症利用者受入加算について(厚生労働省法令等データベース)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)介護予防短期入所生活介護費 注11・注12(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。65歳到達後の算定可否、加算の組み合わせの可否、担当者の記録水準の判断は、都道府県・指定都市によって取扱いが異なる場合があります。65歳到達後の取扱いについては、本記事執筆時点で国の公式なQ&Aの原文を確認できていないため、断定的な記述を避けています。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。届出のタイミングや記録の残し方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




