緊急短期入所受入加算とは?90単位・7日(最大14日)の算定要件を解説

緊急短期入所受入加算は、1日につき90単位、原則7日(やむを得ない事情がある場合は14日)を限度として算定できる加算です。ケアプランに位置づけられていないショートステイを、緊急に受け入れたときに算定します。
この加算でいちばん誤解が多いのは「緊急なら算定できる」という理解です。条文上の対象者は「介護支援専門員が、緊急に利用することが必要と認めた者」であり、判断の主体は事業所ではなくケアマネジャーです。さらに、新規の利用者に限られない、事後の判断でもよい、といった実務上の緩和も通知に書かれています。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注19、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第21号、老企第40号 第二の3(23)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 緊急短期入所受入加算の単位数(90単位/日)と算定日数の限度
- 「緊急利用者」の定義と、判断するのがケアマネジャーであること
- 新規の利用者でなくても、算定実績のある利用者でも対象になること
- 事後にケアマネジャーが必要と判断した場合でも算定できること
- 7日を14日に延長できるのはどういう場合か
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算(200単位)とは併算定できないこと
- 若年性認知症利用者受入加算との関係
- 緊急受入れで定員を超えたときに定員超過減算がどうなるか
- 実地指導で見られる記録(利用理由・期間・変更前後のケアプラン)
- 要支援(介護予防短期入所生活介護)には存在しないこと
緊急短期入所受入加算は90単位。原則7日、最大14日
告示19号の注19は、次のとおりです。
別に厚生労働大臣が定める者に対し、居宅サービス計画において計画的に行うこととなっていない指定短期入所生活介護を緊急に行った場合は、緊急短期入所受入加算として、当該指定短期入所生活介護を行った日から起算して7日(利用者の日常生活上の世話を行う家族の疾病等やむを得ない事情がある場合は、14日)を限度として、1日につき90単位を所定単位数に加算する。ただし、注15を算定している場合は、算定しない。
要点を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1日につき90単位 |
| 算定日数 | 原則7日、やむを得ない事情がある場合は14日 |
| 起算日 | 当該短期入所生活介護を行った日 |
| 対象 | ケアプランに計画的に位置づけられていない緊急利用 |
| 併算定不可 | 認知症行動・心理症状緊急対応加算(注15・200単位) |
| 算定単位 | 緊急利用者本人のみ(事業所の全員ではない) |
老企第40号(23)①は「緊急短期入所受入加算は、緊急利用者を受け入れたときに、当該緊急利用者のみ加算する」としています。サービス提供体制強化加算のように全利用者に付くタイプではありません。
「緊急利用者」の判断はケアマネジャーが行う
告示94号 第21号は、注19の「厚生労働大臣が定める者」を次のように定義しています。
利用者の状態や家族等の事情により、指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が、緊急に指定短期入所生活介護を受けることが必要と認めた者
さらに老企第40号(23)②は、緊急利用者を次のように具体化しています。
- 介護を行う者が疾病にかかっていることその他やむを得ない理由により居宅で介護を受けることができない
- かつ、居宅サービス計画において当該日に利用することが計画されていない
2つを両方満たす必要があります。「ケアプランに無い日に急に入った」だけでは足りず、居宅で介護を受けられない事情が要ります。逆に、事情が切迫していてもその日がもともとケアプランに位置づけられていれば、緊急利用者ではありません。
告示は「指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が…必要と認めた者」と書いています。ショートステイ事業所が「これは緊急だ」と判断して算定する加算ではありません。
老企第40号(23)③も「あらかじめ、担当する指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が緊急の必要性及び利用を認めていること」を求めています。受け入れる前に、担当ケアマネジャーに連絡を入れて認めてもらう。これが原則の流れです。
事後の判断でも算定できる
とはいえ、深夜や休日の緊急連絡でケアマネジャーとすぐに連絡が取れないことはあります。通知③は、ただし書きでこう続けています。
ただし、やむを得ない事情により、事後に介護支援専門員により当該サービス提供が必要であったと判断された場合には、加算の算定は可能である。
事後承認でも算定できる、と明記されています。現場の実態に合わせた規定です。ただし「やむを得ない事情により」が前提なので、連絡できたのに後回しにした、という運用は認められません。
新規の利用者でなくてもよい
もう1つ、実務でよく取り違えられるのが対象者の範囲です。通知②は次のとおりです。
なお、新規の利用者に限られるものではなく、既に当該事業所で緊急短期入所受入加算の算定実績のある利用者も算定対象となるものである。
いつも使っている利用者でも、過去に同じ加算を算定した利用者でも、要件を満たせば算定できます。「前にも取ったから今回は取れない」という制限はありません。
ちびウルフ常連さんの家族が急に入院したときも、毎回90単位を取っていいんですか?
リハウルフ要件を満たしていれば算定できます。通知が明文で認めています。回数制限はありません。
ただし、担当したケースで実際に指摘を受けやすいのは「その日がケアプランに入っていなかったこと」の証明です。緊急で日程を足したのに、後からケアプランを差し替えて上書きしてしまうと、記録上は「計画されていた利用」に見えてしまう。だから通知は変更前後のケアプランを両方保存しろと書いているんです。
7日を14日に延ばせるのは「家族の疾病が長引いた」ようなとき
算定日数は原則7日以内です。老企第40号(23)⑥は、この7日間の使い方まで指定しています。
- 原則7日以内
その間に、緊急受入れ後に適切な介護を受けられるための方策について、担当ケアマネジャーと密接な連携を行い、相談する。 - 7日で方策が立たない場合
家族等の疾病が当初の予想を超えて長期間に及び在宅復帰が困難となったなど、やむを得ない事情があるときは、状況を記録したうえで14日を限度に延長できる。 - 延長中も漫然と続けない
利用者負担軽減に配慮する観点から、機械的に加算算定を継続するのではなく、随時、適切なアセスメントによる代替手段の確保等について十分に検討する。
通知は「その状況を記録した上で14日を限度に引き続き加算を算定することができる」としています。記録がなければ8日目以降は算定できない、と読める書きぶりです。
記録すべきは「なぜ7日で方策が立たなかったか」です。家族の入院が延びた、退院日が未定である、といった具体的な事実を、日付とともに残してください。
また通知⑤は、すでに緊急利用者を受け入れているために別の緊急希望者を受け入れられない場合、利用希望者に対して別の事業所を紹介するなど適切な対応を行うことを求めています。断って終わりにしない、という運営面の要請です。
認知症行動・心理症状緊急対応加算(200単位)とは併算定できない
注19のただし書きにある「注15」は、認知症行動・心理症状緊急対応加算です。ショートステイの緊急受入れには、性格の違う2つの加算があり、この2つは同時に算定できません。
| 比較項目 | 緊急短期入所受入加算 | 認知症行動・心理症状緊急対応加算 |
|---|---|---|
| 単位数 | 90単位/日 | 200単位/日 |
| 日数 | 7日(やむを得ない事情で14日) | 7日(延長なし) |
| 誰が判断するか | 担当の介護支援専門員 | 医師 |
| 判断の内容 | 状態や家族等の事情により緊急利用が必要 | 認知症の行動・心理症状が認められ、在宅生活が困難で、緊急利用が適当 |
| 起算日 | 当該サービスを行った日 | 利用を開始した日 |
| 届出 | 条文上、届出の定めなし | 条文上、届出の定めなし |
単位数だけを見れば認知症行動・心理症状緊急対応加算のほうが2倍以上です。ただし医師が「BPSDにより在宅生活が困難で、緊急に利用することが適当」と判断していることが要件なので、ケアマネジャー判断で受け入れたケースを後から振り替えることはできません。
若年性認知症利用者受入加算(注16)のただし書きは「注15を算定している場合は、算定しない」とだけ定めています。緊急短期入所受入加算(注19)を除外する規定はありません。
したがって条文上は、緊急短期入所受入加算90単位と若年性認知症利用者受入加算120単位は、両方算定できると読めます。逆に、認知症行動・心理症状緊急対応加算200単位を選ぶと若年性認知症利用者受入加算は算定できないため、合計額では前者のほうが大きくなる組み合わせがあります。届出や個別の解釈は指定権者に確認してください。
緊急受入れで定員を超えたときは、原則どおり定員超過減算になる
緊急受入れの現場でいちばん問題になるのは、空床がないケースです。ここで注意が必要なのは、緊急短期入所受入加算の対象者だからといって、定員超過減算が免除されるわけではないことです。
老企第40号 第二の2(2)は、定員超過の特例をこう限定しています。
利用者数が利用定員を超える場合は、原則として定員超過利用による減算の対象となり、所定単位数の100分の70を乗じて得た単位数を算定することとなるが、老人福祉法第10条の4第1項第3号の規定による市町村が行った措置(又は同法第11条第1項第2号の規定による市町村が行った措置(特別養護老人ホームの空床利用の場合のみ))によりやむを得ず利用定員を超える場合は、利用定員に100分の105を乗じて得た数(利用定員が40人を超える場合にあっては、利用定員に2を加えて得た数)までは減算が行われないものであること。
減算されないのは「市町村が行った措置」による受入れの場合だけです。ケアマネジャーの判断による緊急利用は、これに当たりません。
| 受入れの形 | 定員超過減算 |
|---|---|
| 市町村の措置(老人福祉法10条の4第1項3号等) | 定員の105%(定員40人超は+2人)まで減算されない |
| ケアマネジャー判断による緊急利用 | 原則どおり減算の対象(所定単位数の70%) |
しかも定員超過減算は、超過した利用者だけでなく事業所の利用者全員に、翌月から解消月までかかります。90単位の加算のために全員が30%減算されれば、まったく割に合いません。
虐待事案などで市町村が措置に切り替えられるケースもあります。空床がない状態で緊急依頼を受けたときは、まず市町村(高齢福祉課・地域包括支援センター)に相談するのが実務上の順序です。措置になるかどうかで、減算の扱いがまったく変わります。
実地指導で見られるのは4種類の記録
老企第40号(23)④は、記録について次のように定めています。
緊急利用した者に関する利用の理由、期間、緊急受入れ後の対応などの事項を記録しておくこと。また、緊急利用者にかかる変更前後の居宅サービス計画を保存するなどして、適正な緊急利用に努めること。
- 利用の理由(居宅で介護を受けられなくなった事情)
- 期間(開始日と終了日。8日目以降に延長した場合はその理由も)
- 緊急受入れ後の対応(ケアマネジャーとの相談内容、代替手段の検討経過)
- 変更前後の居宅サービス計画(緊急利用が計画外だったことを示す資料)
とくに4つ目が抜けやすい項目です。緊急利用に合わせてケアプランを更新すると、更新後のプランしか残らないことがあります。「その日は計画されていなかった」ことを示せるのは、変更前のケアプランだけです。加算の根拠そのものなので、必ず両方を保存してください。
短期入所療養介護(老健ショート等)にも同じ加算がある
緊急短期入所受入加算は、短期入所生活介護だけの加算ではありません。短期入所療養介護(老健・介護医療院・病院等のショート)にも、同じ90単位・7日(やむを得ない事情で14日)の加算が設けられています。認知症行動・心理症状緊急対応加算200単位と併算定できない点も同じ構造です。
ただし起算日の書きぶりが少し違います。短期入所生活介護は「当該指定短期入所生活介護を行った日から起算して」、短期入所療養介護は「利用を開始した日から起算して」です。緊急受入れの日と利用開始日がずれる場面はまれですが、算定期間の数え方が問われたときは、それぞれの条文の文言で確認してください。
要支援(介護予防短期入所生活介護)には存在しない
介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第127号には、緊急短期入所受入加算の規定がありません。看護体制加算・医療連携強化加算・在宅中重度者受入加算・夜勤職員配置加算も同様です。
要支援1・2の方を緊急に受け入れても、この加算は算定できません。要介護認定を受けている方に限られる加算です。
緊急短期入所受入加算はいくらですか?
1日につき90単位です。原則7日を限度とし、利用者の日常生活上の世話を行う家族の疾病等やむを得ない事情がある場合は14日まで算定できます。
誰が「緊急」と判断するのですか?
担当する指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員です。告示94号第21号が「介護支援専門員が、緊急に指定短期入所生活介護を受けることが必要と認めた者」と定めています。事業所側の判断だけでは算定できません。
夜間の受入れでケアマネジャーに連絡が取れませんでした。算定できますか?
算定できる場合があります。老企第40号は「やむを得ない事情により、事後に介護支援専門員により当該サービス提供が必要であったと判断された場合には、加算の算定は可能である」としています。事後判断の経緯を記録に残してください。
いつも利用している方でも算定できますか?
できます。通知に「新規の利用者に限られるものではなく、既に当該事業所で緊急短期入所受入加算の算定実績のある利用者も算定対象となる」と明記されています。回数の制限もありません。
もともとケアプランに入っていた日を延長した場合は算定できますか?
算定できません。要件は「居宅サービス計画において当該日に利用することが計画されていない」ことです。計画されていた日については、事情が緊急であっても対象外です。
8日目以降も算定するには何が必要ですか?
家族等の疾病が当初の予想を超えて長期間に及び在宅復帰が困難となったなど、やむを得ない事情があること、そしてその状況を記録することです。記録を残したうえで、14日を限度に算定できます。
認知症行動・心理症状緊急対応加算と両方算定できますか?
できません。注19に「注15を算定している場合は、算定しない」とあります。認知症行動・心理症状緊急対応加算は200単位ですが、医師が「BPSDにより在宅生活が困難で緊急利用が適当」と判断していることが要件です。
若年性認知症利用者受入加算とは併算定できますか?
若年性認知症利用者受入加算のただし書きは「注15(認知症行動・心理症状緊急対応加算)を算定している場合は算定しない」とだけ定めており、緊急短期入所受入加算を除外していません。条文上は併算定できると読めますが、運用は指定権者にご確認ください。
定員がいっぱいですが、緊急なら定員を超えて受け入れても減算されませんか?
減算されます。定員超過減算が免除されるのは、老人福祉法にもとづく市町村の措置による受入れの場合(定員の105%、定員40人超は+2人まで)です。ケアマネジャー判断の緊急利用は原則どおり減算の対象で、しかも利用者全員が翌月から30%減算されます。
受け入れられない緊急依頼が来たらどうすればよいですか?
通知⑤が「利用希望者に対し、別の事業所を紹介するなど適切な対応を行うこと」を求めています。断るだけで終わらせない対応が要請されています。
要支援でも算定できますか?
できません。介護予防短期入所生活介護の報酬を定める告示127号に、緊急短期入所受入加算の規定はありません。
- 緊急短期入所受入加算は1日90単位、原則7日・最大14日
- 加算が付くのは緊急利用者本人のみで、全利用者には付かない
- 対象者は「介護支援専門員が緊急に利用が必要と認めた者」
- 「居宅で介護を受けられない事情」と「その日が計画されていないこと」の両方が必要
- 判断の主体は事業所ではなく担当ケアマネジャー
- 原則は事前の承認だが、やむを得ない事情があれば事後判断でも算定できる
- 新規利用者に限られず、過去に同加算を算定した利用者も対象になる
- 7日以内にケアマネジャーと今後の方策を相談することが求められる
- 14日への延長には、7日で方策が立たなかった状況の記録が必要
- 延長中も機械的に継続せず、代替手段の確保を随時検討する
- 受け入れられない場合は、別の事業所を紹介するなどの対応が求められる
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算200単位とは併算定できない
- 200単位のほうは医師の判断が要件で、起算日も「利用を開始した日」
- 若年性認知症利用者受入加算120単位は、条文上は併算定を妨げられていない
- 緊急受入れで定員を超えた場合、原則どおり定員超過減算(70%)の対象
- 減算が緩和されるのは市町村の措置による受入れの場合のみ
- 空床がないときは、まず市町村に相談して措置の可否を確認する
- 記録は利用の理由・期間・受入れ後の対応・変更前後のケアプランの4点
- 変更前のケアプランは「計画外だった」ことを示す唯一の資料になる
- 短期入所療養介護にも同じ90単位の加算がある(起算日の文言のみ異なる)
- 要支援(介護予防短期入所生活介護)には存在しない
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「短期入所生活介護費」注15・注16・注19、「短期入所療養介護費」各注(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日老企第40号)第二の2(2)やむを得ない措置による定員の超過、第二の3(23)緊急短期入所受入加算について(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第21号・第25号(厚生労働省法令等データベース)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。事後判断が認められる範囲、記録の様式、若年性認知症利用者受入加算との併算定の可否は、都道府県・指定都市によって解釈が分かれる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。市町村への相談の進め方や記録の残し方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




