療養通所介護の減算4つを解説|95%と70%の違い

療養通所介護には、報酬が下がる仕組みが4つあります。入浴介助を行わない場合の95%、平均利用回数が月5回未満の場合の70%、高齢者虐待防止措置未実施減算1%、業務継続計画未策定減算1%です。あわせて、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(5%)も整理します。
この記事では、これらを、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文を確認して整理しました。
- 療養通所介護に特有の2つの調整(95%・70%)
- 平均利用回数は事業所全体で判定すること
- 虐待防止・業務継続計画の減算が各1%であること
- 虐待防止に必要な4つの取り組み
- 業務継続計画に必要な5つの取り組み
- 中山間地域等の加算が5%であること
- 複数の率が重なる場合の考え方
- 揃えておくべき書類
療養通所介護の減算とは?
療養通所介護の報酬が下がる場面は、大きく2種類に分かれます。ひとつはサービスの提供状況によるもの(入浴介助の未実施、平均利用回数の不足)、もうひとつは体制が整っていないことによるもの(虐待防止・業務継続計画)です。
前者は月ごとの運営状況で変わるもの、後者は一度整えれば維持できるものです。性格が違うため、分けて管理してください。
減算・加算の幅
| 項目 | 幅 | 根拠 |
|---|---|---|
| 入浴介助を行っていない場合 | 所定単位数の100分の95 | 注6 |
| 利用者1人当たり平均利用回数が月5回未満 | 所定単位数の100分の70 | 注6 |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の100分の1 | 注4 |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の100分の1 | 注5 |
| 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 所定単位数の100分の5(加算) | 注12 |
最も影響が大きいのは、平均利用回数が月5回未満の場合の70%です。12,785単位が約8,950単位まで下がります。
療養通所介護に特有の2つの調整
- ロについて、入浴介助を行っていない場合は、所定単位数の100分の95に相当する単位数を算定する。また、指定療養通所介護事業所が提供する指定療養通所介護の算定月における提供回数について、利用者1人当たり平均回数が、月5回に満たない場合は、所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定する。
たとえば利用者が5人で、その月の提供回数の合計が24回なら平均4.8回。全員が70%の対象になります。
入院が2人重なっただけで平均は大きく動きます。月の中旬時点で累計回数を確認する仕組みを作ってください。請求時に気づいても手遅れです。
入浴介助については、行っていない場合に95%になります。利用者の状態によって入浴できない日があるのは当然ですが、月を通じてどうだったかで判断されます。実施状況の記録を必ず残してください。
高齢者虐待防止措置未実施減算
- 虐待の防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、結果を従業者に周知徹底すること
- 虐待の防止のための指針を整備すること
- 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
- これらの措置を適切に実施するための担当者を置くこと
4つすべてが必要です。委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができますが、開催記録と周知の記録は必要です。
業務継続計画未策定減算
- 感染症の発生・まん延時、および非常災害時の業務継続計画を策定していること
- 計画に従い必要な措置を講じていること
- 従業者に対し計画を周知していること
- 必要な研修および訓練を定期的に実施していること
- 定期的に計画の見直しを行い、必要に応じて変更していること
・非常用電源の確保と、その稼働時間
・医療機器のバッテリーの持続時間
・かかりつけ医療機関との連絡体制
・搬送が必要になった場合の手順
他のサービスの計画をそのまま流用できるものではありません。減算を避けるためではなく、実際に使える計画として作ってください。
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
- 利用者が厚生労働大臣が定める地域に居住していること
- 事業所が定めた通常の事業の実施地域を越えてサービスを行うこと
- 1日につき所定単位数の100分の5を加算します
告示は、この加算を指定地域密着型通所介護事業所と指定療養通所介護事業所の両方に適用すると定めています。2つの条件の両方を満たす必要があります。
ちびウルフいろんな率が出てきて、計算がわからなくなりそう…。
リハウルフ実際に複雑です。95%、70%、1%の減算が2つ、5%の加算。掛ける順序と端数処理によって、最終的な単位数は変わります。
順序は留意事項通知で定められているので、自己流で計算しないでください。請求ソフトの設定が正しいかを一度確認し、手計算と突き合わせておくと安心です。
とくに70%になった月は、他の加算の額もすべて連動します。年に一度でいいので、検算する機会を作ることをおすすめします。
揃えておくべき書類
- 月ごとの提供回数と利用者数がわかる一覧(平均回数の根拠)
- 入浴介助の実施状況がわかる記録
- 虐待防止委員会の議事録(開催日、出席者、検討内容、周知の方法)
- 虐待の防止のための指針
- 虐待防止研修の記録と、担当者を定めた記録
- 業務継続計画(感染症・非常災害の両方)と周知の記録
- 研修および訓練の記録、計画の見直しの記録
- 中山間地域等の加算を算定した場合、利用者の居住地と実施地域の範囲がわかる資料
減算・加算のQ&A
減算・加算のQ&A
最も影響が大きい減算は何ですか?
平均利用回数が月5回未満の場合の100分の70です。
平均回数は利用者ごとに見ますか?
いいえ。事業所全体の利用者1人当たり平均回数で判定します。
入院で回数が減った月も対象ですか?
理由を問わず平均回数で判定されます。月の途中での確認が重要です。
入浴介助をしない月はどうなりますか?
所定単位数の100分の95を算定します。
虐待防止の減算幅はいくらですか?
所定単位数の100分の1です。
2つの減算は同時に適用されますか?
それぞれ独立した減算のため、両方の要件を満たしていなければ両方が適用されます。
業務継続計画は他のサービスのものを流用できますか?
療養通所介護は医療機器を使用する利用者が含まれます。停電や搬送を想定した内容が必要です。
中山間地域の加算はいくらですか?
1日につき所定単位数の100分の5です。通常の事業の実施地域を越えることが条件です。
複数の率が重なったらどう計算しますか?
掛ける順序と端数処理は留意事項通知で定められています。請求ソフトの設定と保険者への確認を行ってください。
- 報酬が下がる仕組みは4つある
- 入浴介助を行っていない場合は100分の95
- 平均利用回数が月5回未満の場合は100分の70
- 高齢者虐待防止措置未実施減算は100分の1
- 業務継続計画未策定減算は100分の1
- 最も影響が大きいのは70%の調整
- 平均回数は事業所全体の利用者1人当たりで判定する
- 入院が重なると平均が5回を割ることがある
- 月の中旬時点で累計回数を確認する仕組みが必要
- 虐待防止は委員会・指針・研修・担当者の4つすべてが必要
- 業務継続計画は策定・周知・研修・訓練・見直しがセット
- 療養通所介護の計画は停電時の医療機器対応が欠かせない
- 他サービスの計画をそのまま流用できない
- 中山間地域等の加算は1日5%で、実施地域を越えることが条件
- 複数の率が重なる場合の計算順序は留意事項通知で確認する
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)(地域密着型通所介護費 注4・注5・注6・注12)
- 厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)e-Gov法令検索
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)e-Gov法令検索
※本記事の減算幅および加算率は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文にもとづいて整理したものです。平均利用回数の具体的な計算方法、入浴介助を行っていない場合の判定、複数の率が重なる場合の計算順序および端数処理、中山間地域等の対象となる地域の範囲については、留意事項通知および厚生労働大臣が定める地域をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の取扱いは、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。





