親の終活で子どもができること|元気なうちに決めること

先に結論をお伝えします。親の終活で子どもが手伝うべきことは、「介護・医療の希望」「お金と財産の管理」「亡くなったあとの手続き」の3つを、親の判断能力があるうちに話し合って形にしておくことです。特に、財産管理の契約や遺言は、本人に判断能力がなければ有効にできません。
この記事では、親の終活で子どもが手伝えることを、民法と法務局の遺言書保管制度の案内を確認して整理しました。切り出し方や、介護の現場で家族が困りやすい点もまとめています。
- 親の終活で子どもが手伝えること
- 終活を「元気なうち」に進める理由
- 介護・医療の希望の聞き方
- お金と財産の管理の備え方
- 遺言書の種類と法務局の保管制度
親の終活で子どもが手伝えること
終活というと、身の回りの整理やお墓のことを思い浮かべるかもしれません。ただ、介護の現場で家族が本当に困るのは、次の3つが決まっていないときです。
| 分野 | 決めておくこと | 決まっていないと困ること |
|---|---|---|
| 介護・医療の希望 | 介護が必要になったときの暮らし方、延命治療の考え方 | 入院や施設入所のたびに、家族が本人の気持ちを推測して決めることになる |
| お金と財産の管理 | 預金・保険・不動産の把握、管理を任せる人 | 判断能力が落ちると、家族でも預金を引き出しにくくなる |
| 亡くなったあとの手続き | 遺言、葬儀やお墓の希望、連絡先 | 相続でもめる、誰に知らせればいいかわからない |
すべてを一度に決める必要はありません。まずは「親の希望を聞いて、紙に残す」ところから始めましょう。
終活を「元気なうち」に進める理由
民法第3条の2は、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」と定めています。つまり、認知症などで判断能力が十分でなくなってからでは、契約や遺言を有効にできないおそれがあるということです。
任意後見契約、家族信託、遺言書など、親の意思で決めておく方法は、どれも本人が内容を理解できることが前提です。物忘れが気になり始めてからでは、選べる方法が限られます。
ちびウルフ「終活しよう」なんて言ったら、親が気を悪くしない?
リハウルフいきなり「終活」と言うと身構えられますね。「もし入院したら、誰に連絡すればいい?」「通帳ってどこにある?」のように、具体的な困りごとから聞くと話しやすいです。親の友人の入院や、テレビの話題をきっかけにするのもおすすめですよ。
介護・医療の希望を聞いておく
介護が必要になったとき、どこで、どう暮らしたいか。治る見込みが少なくなったとき、どこまでの治療を望むか。こうした希望は、本人にしか決められません。
- 介護が必要になったら、自宅と施設のどちらで暮らしたいか
- 口から食べられなくなったときの胃ろうや点滴の考え方
- 最期を迎えたい場所(自宅・病院・施設)
- 自分で決められなくなったとき、代わりに意見を聞いてほしい人
- かかりつけ医、飲んでいる薬、持病
厚生労働省は、もしものときに望む医療やケアについて、前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い共有する取り組みを「人生会議」と呼んで普及を進めています。希望は変わってよいものなので、一度決めたら終わりではなく、折にふれて話し直してください。看取りまで対応できる施設については介護施設の看取り・ターミナルケア対応で解説しています。
お金と財産の管理を備える
介護の場面で家族が最も困りやすいのが、お金のことです。親の判断能力が落ちると、家族でも親の預金を自由に引き出すことはできません。
財産を一覧にしておく
- 預金口座(銀行名・支店)
- 年金の種類と振込口座
- 生命保険・医療保険
- 不動産(自宅・土地)
- 借入れ・ローン、毎月の引き落とし
暗証番号やパスワードを紙に書いておくのは避け、「どこに何があるか」を共有するだけで十分です。
管理を任せる方法を決めておく
判断能力が落ちたあとの財産管理には、任意後見契約、家族信託、法定後見(成年後見)などの方法があります。任意後見と家族信託は、親が元気なうちに契約しておく必要があります。それぞれの違いは認知症の親の財産管理|家族信託と成年後見の違いで比較しています。
終活の「お金」の部分は、
判断能力があるうちに専門家と
家族信託で預金の一部を信託しておくと、親の判断能力が落ちたあとでも、受託者の子どもが信託したお金から施設費用や医療費を支払えるようにできます。ただし契約は、親が内容を理解できるうちにしか結べません。おやとこは家族信託を専門にしたサービスで、司法書士などの専門家に無料で相談できます。
- 家族信託の専門家(司法書士など)に無料で相談できる
- 家族信託の契約件数No.1(公式サイトの表記)
- 全国7拠点。年間数千件の問い合わせに対応
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家族信託の無料相談を申し込む※すでに判断能力が失われている場合、家族信託の契約は結べません。相談は無料です。契約の費用は財産の内容によって変わります。詳しくは公式サイトでご確認ください
遺言書と法務局の保管制度
相続でのもめごとを防ぐには、親に遺言書を書いてもらうのが有効です。主な遺言書は次の2種類です。
| 種類 | 作り方 | ポイント |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 本人が全文・日付・氏名を自書し、押印する(民法第968条) | 財産目録は自書しなくてよい(各ページに署名・押印が必要) |
| 公正証書遺言 | 証人2人以上の立会いのもと、公証人が作成する(民法第969条) | 形式の不備が起きにくい。公証役場での手続きが必要 |
自筆証書遺言の法務局保管制度
自筆証書遺言は、法務局(遺言書保管所)に預けることができます。保管の申請手数料は遺言書1通につき3,900円です(法務省)。法務局に保管された遺言書は、相続のときに家庭裁判所での「検認」が不要になります(法務局における遺言書の保管等に関する法律第11条)。自宅で保管するより、紛失や書き換えの心配が少なくなる点もメリットです。
亡くなったあとのことを共有しておく
- 亡くなったときに知らせてほしい親族・友人の連絡先
- 葬儀の規模や形式、宗教・宗派
- お墓の場所、納骨の希望
- スマートフォンやネットのサービス(解約が必要なもの)
こうした内容は、市販のエンディングノートを使うと整理しやすくなります。エンディングノートには法的な効力はないため、財産の分け方は遺言書で残してください。
よくある質問
親の終活は何歳から始めるべきですか?
年齢の決まりはありません。財産管理の契約や遺言は本人の判断能力が前提なので、親が元気なうちに少しずつ始めるのが安心です。
親が終活を嫌がるときはどうすればいいですか?
「終活」という言葉を使わず、「入院したら誰に連絡する?」「通帳はどこ?」など、具体的な困りごとから聞くと話しやすくなります。一度に全部を聞こうとしないことも大切です。
エンディングノートに書けば遺言の代わりになりますか?
なりません。エンディングノートに法的な効力はないため、財産の分け方を決めたい場合は、民法の方式にしたがった遺言書を作成してください。
法務局で遺言書を保管するといくらかかりますか?
法務省によると、保管の申請手数料は遺言書1通につき3,900円です。保管された遺言書は、家庭裁判所での検認が不要になります。
認知症と診断されたら、もう遺言書は書けませんか?
診断されただけで直ちに書けなくなるわけではありませんが、遺言をする時点で内容を理解できる能力が必要です。有効性が争われることもあるため、早めに専門家に相談してください。
- 親の終活は「介護・医療の希望」「お金と財産」「亡くなったあと」の3つを整理する
- 判断能力がないと契約や遺言は有効にできないため、元気なうちに進める
- 介護・医療の希望は、繰り返し話し合って共有する
- 財産の一覧と、管理を任せる方法を決めておく
- 自筆証書遺言は法務局で保管でき、検認が不要になる(手数料3,900円)
- 民法(e-Gov法令検索)第3条の2・第968条・第969条
- 法務局における遺言書の保管等に関する法律(e-Gov法令検索)第11条
- 「人生会議」してみませんか(厚生労働省)
- 自筆証書遺言書保管制度(法務省)
- 遺言書保管制度の手数料(法務省)
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。意思能力・遺言の方式に関する記述は民法の条文、遺言書保管制度に関する記述は法務省の案内と法令の条文、人生会議に関する記述は厚生労働省の案内にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。手数料などは改定されることがあります。個別の相続・財産管理の判断は、司法書士・弁護士・公証役場などの専門家にご確認ください。家族の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。




