介護医療院のリハビリ特別診療費|理学療法・作業療法の単位数を解説
「介護医療院でリハビリを行ったとき、理学療法や作業療法は何単位で算定できるのか」「特別診療費のリハビリはどんな要件で、1日に何回まで取れるのか」——介護医療院の運営やリハ提供に関わる方から、こうした声をよく聞きます。介護医療院のリハビリは、老健や通所リハとは算定の考え方が大きく異なり、「特別診療費」という独自の枠組みで算定します。
この記事では、介護医療院における理学療法・作業療法・言語聴覚療法の特別診療費について、単位数・算定回数・施設基準・主な加算を、厚生労働省の告示(厚生省告示第30号)をもとに整理します。現場のPT・OT・STはもちろん、算定を管理する事務・管理者の方にも役立つ内容です。
- 介護医療院の「特別診療費」とはそもそも何か
- 理学療法・作業療法・言語聴覚療法それぞれの単位数と算定回数
- 理学療法(Ⅰ)(Ⅱ)の違いと施設基準
- 短期集中リハ・認知症短期集中リハなど、リハ関連の主な特別診療費
- 令和6年度改定で新設されたLIFE活用の加算(20単位/33単位)
介護医療院の「特別診療費」とは
特別診療費とは、介護医療院サービス費(Ⅰ型・Ⅱ型・ユニット型)を算定している介護医療院だけが、基本報酬とは別に算定できる医学的な管理・処置・リハビリ等の費用のことです。かつての療養病床における「特定診療費」に相当し、感染対策指導管理や褥瘡対策指導管理、薬剤管理指導などとともに、リハビリテーション(理学療法・作業療法・言語聴覚療法など)もこの特別診療費の枠に含まれます。
ちびウルフ通所リハみたいに「リハビリ提供体制加算」で取るんじゃないんですか?
リハウルフ介護医療院は違うんだ。理学療法や作業療法は1回いくら(1回○単位)という特別診療費で個別に算定する。だから「誰に・何分・何回やったか」を記録で残すことがとても大事なんだよ。
理学療法・作業療法・言語聴覚療法の単位数一覧
介護医療院で個別に実施したリハビリの特別診療費は、次のとおりです(いずれも1回につき/出典:厚生省告示第30号 別表第二)。
| 区分 | 単位数 | 算定の考え方 |
|---|---|---|
| 理学療法(Ⅰ) | 123単位/回 | 施設基準を満たし届出をした介護医療院で個別実施 |
| 理学療法(Ⅱ) | 73単位/回 | (Ⅰ)以外の介護医療院で個別実施 |
| 作業療法 | 123単位/回 | 施設基準を満たす介護医療院で個別実施 |
| 言語聴覚療法 | 203単位/回 | 失語症・構音障害・難聴等に個別実施 |
| 集団コミュニケーション療法 | 50単位/回 | 複数の利用者へ集団で実施 |
| 摂食機能療法 | 208単位/日 | 1回30分以上・月4回まで |
理学療法・作業療法・言語聴覚療法は、いずれも利用者1人につき20分以上の個別(1対1)訓練を行った場合に1回として算定します。20分に満たない場合は算定できず、介護医療院サービス費に含まれる扱いです。
算定回数の上限は「1人1日合計4回まで」
特別診療費のリハビリで最も間違いやすいのが回数のルールです。理学療法・作業療法・言語聴覚療法は、合わせて利用者1人につき1日合計4回までと定められています。各療法単独では1日3回までで、3つを組み合わせても4回が上限、という考え方です。
集団コミュニケーション療法は1日3回まで、摂食機能療法は1日1回(月4回まで)と、療法ごとに上限が異なる点にも注意しましょう。
短期集中リハ・認知症短期集中リハ(1日240単位)
入所直後の集中的なリハビリには、次の特別診療費があります。
| 区分 | 単位数 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 短期集中リハビリテーション | 240単位/日 | 入所日から3か月以内・週おおむね3日以上の集中実施 |
| 認知症短期集中リハビリテーション | 240単位/日 | 認知症で生活機能改善が見込まれる入所者・入所日から3か月以内・週3日まで |
短期集中リハは、理学療法・作業療法・言語聴覚療法・摂食機能療法を算定する日には算定できません(併算定不可)。認知症短期集中リハは、原則として過去3か月に当該加算を算定していない入所者が対象で、MMSEまたはHDS-Rでおおむね5〜25点の方が想定されています。
ちびウルフ短期集中リハと、普通の理学療法って一緒に取れないんですね。
リハウルフそう。同じ日に重ねて算定できないから、どちらで算定するのが利用者さんと事業所にとって適切か、計画段階で整理しておくのが大切なんだ。実地指導でも「短期集中リハの算定期間中に理学療法も算定していた」という不適正事例が指摘されているよ。
摂食機能療法・集団コミュニケーション療法のポイント
個別の理学療法・作業療法・言語聴覚療法に加えて、介護医療院では嚥下や集団訓練に関する特別診療費も算定できます。
摂食機能療法(1日208単位・月4回まで)は、発達遅滞・顎切除・舌切除の手術後や脳血管疾患等の後遺症により摂食機能に障害がある方が対象です。医師・歯科医師、またはその指示を受けた言語聴覚士・看護師・准看護師・歯科衛生士・理学療法士・作業療法士が、1回30分以上の訓練指導を行った場合に算定します。医師・歯科医師の指示のもとで行う嚥下訓練も、摂食機能療法として算定できます。
集団コミュニケーション療法(1回50単位・1日3回まで)は、失語症・構音障害・難聴等で言語聴覚機能に障害を持つ複数の利用者に対し、言語聴覚士が集団で20分以上の訓練を行った場合に算定します。1人ひとりに対応できる適切な人数で行うことが求められます。
PT・OT・STが押さえておきたい主なリハ関連加算
理学療法・作業療法・言語聴覚療法には、質を高める取り組みへの加算が複数あります。現場で関わるリハ職・管理者が押さえておきたいものを整理します。
- リハビリテーション計画に基づく初回加算(480単位):理学療法(Ⅰ)・作業療法で、医師・看護師・療法士が共同でリハ計画を策定し、退院・退所日や要介護認定日から初めて利用した月に限り、月1回480単位を加算。
- 入所生活リハビリテーション管理指導(300単位):療養棟で、起居・食事・整容・移動等の日常動作訓練・指導を月2回以上行った場合、月1回300単位を加算。
- 専従常勤2名以上の配置加算(1回35単位):専従する常勤の理学療法士(作業療法士・言語聴覚士)を2名以上配置して実施した場合、1回35単位を加算。
- LIFE活用加算(月33単位):入所者ごとのリハ実施計画等の情報をLIFEに提出し、フィードバックを活用している場合、月1回33単位を加算。
特別診療費のリハビリで算定を守るための実務ポイント
特別診療費のリハビリは単価が明確な反面、記録と計画の整備が算定の前提になります。監査・実地指導で指摘されないために、次の点を徹底しましょう。
- 医師・療法士・看護職員等が共同でリハビリテーション実施計画を作成し、施設サービス計画と整合させる(計画は施設サービス計画への記載で代えることも可)。
- 開始時とその後おおむね3か月ごとに評価し、内容を利用者・家族に説明して同意を得る。
- 個別訓練は1対1で20分以上。20分未満は算定不可。実施時間・訓練内容・担当者を利用者ごとに記録する。
- 療法士は、看護・介護職に対して日常生活上の留意点や介護の工夫を伝達し、生活場面につなげる。
よくある質問(FAQ)
理学療法(Ⅰ)と(Ⅱ)は何が違うのですか?
1日に理学療法と作業療法を両方行った場合、それぞれ算定できますか?
言語聴覚療法は誰に対して算定できますか?
短期集中リハと理学療法は同じ日に両方算定できますか?
特別診療費のリハビリは、要支援の利用者にも算定できますか?
- 介護医療院のリハビリは「特別診療費」で1回○単位として個別に算定する。
- 理学療法(Ⅰ)123・(Ⅱ)73/作業療法123/言語聴覚療法203単位(いずれも1回/20分以上の個別訓練)。
- 理学・作業・言語聴覚療法は合わせて1人1日合計4回まで。入所4か月超で月11回以上は11回目以降70%。
- 短期集中リハ・認知症短期集中リハは1日240単位(併算定不可)。
- 令和6年度改定でLIFE活用の加算(33単位・新設20単位)が拡充。計画・記録・PDCAの整備が算定の前提。
出典:厚生労働大臣が定める特定診療費及び特別診療費に係る指導管理等及び単位数(平成12年厚生省告示第30号)、令和6年度介護報酬改定(厚生労働省)
