グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の高齢者施設等感染対策向上加算は、(Ⅰ)10単位/月、(Ⅱ)5単位/月です。令和6年度改定で新設されました。

単位数は小さいものの、要件は外部の医療機関との関係づくりそのものです。(Ⅰ)は第二種協定指定医療機関との体制確保、協力医療機関等との発生時対応の取決め、そして院内感染対策に関する研修又は訓練への年1回以上の参加。(Ⅱ)は感染対策向上加算の届出医療機関から3年に1回以上の実地指導を受けることです。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は要件が独立しているため、条文上、両方を算定することを妨げる規定はありません。あわせて15単位/月です。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のヨ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の7の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)10単位・(Ⅱ)5単位という単位数
  • (Ⅰ)の3要件(第二種協定指定医療機関、協力医療機関等との取決め、研修・訓練への年1回以上の参加)
  • (Ⅱ)の要件(3年に1回以上の実地指導)
  • 新興感染症等施設療養費(240単位/日)との違い
  • 運営基準第105条第4項・第5項との関係
  • 短期利用でも算定できること
  • 介護予防(要支援2)でも算定できること
ちびウルフちびウルフ

月10単位のために、そこまでやる意味はありますか?

リハウルフリハウルフ

金額で見れば小さいです。ただ要件の中身は、感染症が出たときに実際に助けを呼べる相手を確保しておくことそのものです。GHは看護職員がいない時間帯が長いので、平時に関係を作れているかどうかが有事の対応を分けます。加算は結果としてついてくる、という順序で考えるべき項目です。

単位数は(Ⅰ)10単位・(Ⅱ)5単位(1月につき)

告示126号の「ヨ 高齢者施設等感染対策向上加算」の注は、次のとおりです。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして(略)届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所が、利用者に対して指定認知症対応型共同生活介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1月につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。
(1) 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ) 10単位
(2) 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ) 5単位

他の多くの加算と違い、この注には「イについて」という限定がありません。したがって短期利用(ロ)の利用者についても算定できると読めます。

(Ⅰ)の3要件

(1) 第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を行う体制を確保していること。
(2) 指定地域密着型サービス基準第105条第1項本文に規定する協力医療機関その他の医療機関との間で、感染症(新興感染症を除く。)の発生時等の対応を取り決めるとともに、感染症の発生時等に、協力医療機関等と連携し適切に対応していること。
(3) 感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関等が行う院内感染対策に関する研修又は訓練に一年に一回以上参加していること。

要件相手やること
(1)第二種協定指定医療機関新興感染症発生時等の対応体制の確保
(2)協力医療機関その他の医療機関感染症発生時等の対応の取決めと、実際の連携・対応
(3)感染対策向上加算等の届出医療機関院内感染対策の研修・訓練に年1回以上参加

(2)は「取り決める」だけでなく「発生時等に、協力医療機関等と連携し適切に対応していること」まで求めています。取決め書があっても、実際に発生した際に連携していなければ要件を満たしません。

(Ⅱ)の要件は実地指導

感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関から、三年に一回以上、事業所内で感染者が発生した場合の対応に係る実地指導を受けていること。

ポイントは2つ。①相手は「感染対策向上加算」の届出医療機関(外来感染対策向上加算は含まれない)、②実地指導=実際に事業所へ来てもらうことです。(Ⅰ)の(3)は「外来感染対策向上加算」の届出医療機関でもよいのに対し、(Ⅱ)は含まれていません。この差は見落とされやすい部分です。

新興感染症等施設療養費との違い

報酬単位性質
高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)10単位/月、5単位/月平時の体制を評価する加算
新興感染症等施設療養費240単位/日(月1回、連続5日限度)実際に感染者が出たときの療養に対する費用

体制を作っておく加算と、実際に発生したときの費用は別建てです。新興感染症等施設療養費は240単位/日と大きいため、対象感染症が発生した場合の算定を落とさないよう手順を決めておいてください。

運営基準の義務との関係

指定地域密着型サービス基準第105条は、加算とは別に次のことを定めています。

  • 第4項:第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を取り決めるよう努めなければならない(努力義務)
  • 第5項:協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合は、新興感染症の発生時等の対応について協議を行わなければならない(義務)

第5項は義務規定です。協力医療機関が第二種協定指定医療機関であるなら、加算を算定するかどうかにかかわらず協議が必要です。まず自事業所の協力医療機関が第二種協定指定医療機関かどうかを確認するところから始めてください。

介護予防(要支援2)でも算定できる

介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にも高齢者施設等感染対策向上加算(ワ)が設けられており、同じ単位数で算定できます。

よくある質問

(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?

条文上、両者の併算定を禁じる規定はありません。それぞれの要件を満たせば、合計15単位/月となります。取扱いは市町村に確認してください。

第二種協定指定医療機関はどこで確認できますか?

都道府県が公表している一覧で確認できます。自事業所の協力医療機関が該当するかを、まず確認してください。

研修と訓練はどちらでもよいですか?

(Ⅰ)の(3)は「研修又は訓練に一年に一回以上参加していること」です。いずれかへの参加で要件を満たします。

(Ⅱ)の実地指導はオンラインでもよいですか?

条文は「実地指導」としています。オンラインでの可否は市町村の解釈によるため確認してください。

(Ⅱ)は外来感染対策向上加算の医療機関でもよいですか?

(Ⅱ)の条文は「感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関」としており、外来感染対策向上加算は含まれていません。(Ⅰ)の(3)は両方が対象です。

短期利用の利用者にも算定できますか?

この加算の注には「イについて」という限定がないため、短期利用でも算定できると読めます。取扱いは市町村に確認してください。

新興感染症等施設療養費と同時に算定できますか?

両者は別の報酬で、条文上の併算定禁止規定はありません。それぞれの要件に従って算定します。

要支援2の入居者にも算定できますか?

できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも同じ加算が設けられています。

まとめ
  • 高齢者施設等感染対策向上加算は(Ⅰ)10単位/月、(Ⅱ)5単位/月
  • 令和6年度改定で新設された
  • (Ⅰ)の要件は、第二種協定指定医療機関との体制確保、協力医療機関等との取決めと実際の連携、研修・訓練への年1回以上の参加
  • (Ⅱ)の要件は、感染対策向上加算の届出医療機関から3年に1回以上の実地指導を受けること
  • (Ⅱ)では外来感染対策向上加算の医療機関は対象に含まれない
  • 注に「イについて」の限定がなく、短期利用でも算定できると読める
  • 新興感染症等施設療養費(240単位/日)は別建ての報酬
  • 協力医療機関が第二種協定指定医療機関なら、基準第105条第5項により協議が義務
  • 介護予防(要支援2)でも算定できる
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のヨ(高齢者施設等感染対策向上加算)、タ(新興感染症等施設療養費)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の7(高齢者施設等感染対策向上加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第105条第4項・第5項(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)の新設

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示・省令および改定資料にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。(Ⅰ)と(Ⅱ)の同時算定、実地指導の方法、短期利用での算定可否については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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