行動援護従業者養成研修とは?24時間の内容と違い

先に結論をお伝えします。行動援護従業者養成研修は、知的障害や精神障害により行動上著しい困難がある人を支援するための研修で、講義と演習の合計24時間です。強度行動障害の理解に加えて、アセスメント、環境調整、記録にもとづく支援の評価、危機対応と虐待防止まで学びます。
この記事では、行動援護従業者養成研修の目的・カリキュラム・重度訪問介護の行動障害支援課程との違いを、平成18年厚生労働省告示第538号の原文を確認して整理しました。
- 行動援護従業者養成研修とはどんな研修か
- 24時間のカリキュラムの内訳
- 重度訪問介護の行動障害支援課程との違い
- 研修で身につく支援の考え方
- 受講前に確認したいこと
行動援護従業者養成研修とは?
告示第538号では、行動援護従業者養成研修を次の内容の研修としています。
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等の特性の理解や評価、支援計画シート等の作成及び居宅内や外出時における危険を伴う行動を予防又は回避するために必要な援護等に関する知識及び技術を習得することを目的として行われる研修
行動援護は、障害福祉サービスの1つです。本人の特性を理解して、危険を伴う行動を「起こさないように」支援することが中心になります。
行動援護従業者養成研修のカリキュラム(24時間)
| 区分 | 科目 | 時間数 |
|---|---|---|
| 講義 | 強度行動障害がある者の基本的理解 | 1.5時間 |
| 強度行動障害に関する制度及び支援技術の基礎的な知識 | 5時間 | |
| 強度行動障害がある者へのチーム支援 | 3時間 | |
| 強度行動障害と生活の組立て | 0.5時間 | |
| 演習 | 基本的な情報収集と記録等の共有 | 1時間 |
| 行動障害がある者の固有のコミュニケーションの理解 | 3時間 | |
| 行動障害の背景にある特性の理解 | 1.5時間 | |
| 障害特性の理解とアセスメント | 3時間 | |
| 環境調整による強度行動障害の支援 | 3時間 | |
| 記録に基づく支援の評価 | 1.5時間 | |
| 危機対応と虐待防止 | 1時間 | |
| 合計 | 24時間 | |
講義10時間・演習14時間で、演習の比重が大きいのが特徴です。告示上、実習の科目はありません。
ちびウルフ強度行動障害って、どんな状態のこと?
リハウルフ自分や他人を傷つけてしまう、物を壊す、こだわりが強くて生活が回らない、といった行動が高い頻度で続く状態を指すことが多いです。研修では、その行動を「問題」として抑えるより、背景にある特性や環境を見直して、起こりにくくする考え方を学びます。
重度訪問介護の行動障害支援課程との違い
重度訪問介護従業者養成研修にも、強度行動障害に関する課程(告示の別表第五・12時間)があります。2つを比べると次のとおりです。
| 科目 | 行動援護(24時間) | 重度訪問介護 行動障害支援課程(12時間) |
|---|---|---|
| 強度行動障害がある者の基本的理解 | ○ | ○ |
| 制度及び支援技術の基礎的な知識 | ○ | ○ |
| 基本的な情報収集と記録等の共有 | ○ | ○ |
| 固有のコミュニケーションの理解 | ○ | ○ |
| 行動障害の背景にある特性の理解 | ○ | ○ |
| チーム支援、生活の組立て | ○ | - |
| アセスメント、環境調整、記録に基づく評価 | ○ | - |
| 危機対応と虐待防止 | ○ | - |
行動障害支援課程の5科目は、すべて行動援護のカリキュラムにも含まれています。行動援護は、そこにアセスメントや環境調整、支援の評価など、支援を組み立てる力を加えた内容です。視覚障害者の外出支援の研修は同行援護従業者養成研修とは?で解説しています。
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研修で身につく支援の考え方
- 行動の背景を見る:行動そのものではなく、感覚の過敏さやコミュニケーションの困難など、背景にある特性を理解する
- 環境を整える:見通しが持てるスケジュール、刺激の少ない環境など、行動が起こりにくい環境をつくる
- 記録で振り返る:いつ・どこで・何があったかを記録し、支援がうまくいったかをチームで評価する
- チームで同じ支援をする:支援者によって対応が変わらないよう、支援の手順を共有する
- 危機対応と虐待防止:危険な場面での対応と、身体拘束や虐待につながらない支援を学ぶ
受講前に確認したいこと
- 研修機関が都道府県の指定を受けているか:修了証明書を受け取れる研修かどうかを確認する
- 行動援護に従事するためのほかの要件:研修の修了以外に実務経験などの要件が定められている場合があるため、勤務先や指定権者に確認する
- 費用と日程:研修機関ごとに異なる。演習が多いため、通学日数も確認する
- 重度訪問介護の研修との関係:行動障害支援課程を修了している場合の扱いを研修機関に確認する
障害福祉サービスと介護保険の関係は65歳問題とは?で解説しています。
よくある質問
行動援護従業者養成研修は何時間ですか?
告示では、講義10時間と演習14時間の合計24時間と定められています。
実習はありますか?
告示のカリキュラムは講義と演習で構成されており、実習の科目はありません。
研修を修了すれば行動援護に従事できますか?
研修の修了以外にも、実務経験などの要件が定められている場合があります。勤務先や指定権者に確認してください。
重度訪問介護の行動障害支援課程との違いは何ですか?
行動障害支援課程(12時間)の5科目は、すべて行動援護のカリキュラムに含まれています。行動援護はそれに加えて、チーム支援、アセスメント、環境調整、支援の評価、危機対応と虐待防止を学びます。
介護保険のサービスでも役立ちますか?
認知症の人の行動・心理症状への対応など、行動の背景を理解して環境を整える考え方は介護の現場でも役立ちます。ただし、介護保険の訪問介護員の資格要件とは別の研修です。
- 行動援護従業者養成研修は、行動上著しい困難がある人を支援するための24時間の研修
- 講義10時間・演習14時間。演習の比重が大きく、実習の科目はない
- 重度訪問介護の行動障害支援課程(12時間)の内容をすべて含む
- アセスメント・環境調整・記録にもとづく評価など、支援を組み立てる力を学ぶ
- 従事要件や研修機関の指定は、勤務先と指定権者に確認する
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。研修の目的・カリキュラム・時間数は告示第538号にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。行動援護に従事するための要件、研修の費用や日程は、都道府県や研修機関によって異なるためご確認ください。支援の考え方と強度行動障害の説明に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。




