地域密着型通所介護の処遇改善加算とは?

地域密着型通所介護の介護職員等処遇改善加算は、(Ⅰ)イが1000分の117、(Ⅰ)ロが127、(Ⅱ)イが115、(Ⅱ)ロが125、(Ⅲ)が105、(Ⅳ)が89です。所定単位数に区分ごとの割合を掛けて計算します。区分によって率が10ポイント以上変わるため、どの区分を取るかが収入に直結します。
この記事では、この加算を、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文を確認して整理しました。
- 6つの区分それぞれの加算率
- イとロの違いが何によるものか
- 他の加算をすべて反映した後に計算すること
- 計算の順番を間違えると請求額がずれること
- キャリアパス要件と職場環境等要件
- 月額賃金改善に関する要件
- 計画書と実績報告書の提出
- 返還につながるケース
地域密着型通所介護の介護職員等処遇改善加算とは?
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の賃金改善に取り組む事業所の収入を増やす仕組みです。令和6年度の改定で、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つが1本に統合されました。
加算として受け取った額は、全額を職員の賃金改善に充てることが条件です。事業所の運転資金には使えません。
介護職員等処遇改善加算の単位数
| 区分 | 加算率 |
|---|---|
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ | 所定単位数の1000分の117 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)ロ | 所定単位数の1000分の127 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)イ | 所定単位数の1000分の115 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)ロ | 所定単位数の1000分の125 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅲ) | 所定単位数の1000分の105 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅳ) | 所定単位数の1000分の89 |
興味深いのは、(Ⅰ)イの117より(Ⅰ)ロの127のほうが高い点です。イとロの違いは要件の組み合わせによるもので、単純に上下関係にあるわけではありません。(Ⅱ)ロの125は、(Ⅰ)イの117より高くなります。
127(Ⅰロ)> 125(Ⅱロ)> 117(Ⅰイ)> 115(Ⅱイ)> 105(Ⅲ)> 89(Ⅳ)
(Ⅱ)ロのほうが(Ⅰ)イより率が高いという逆転があります。自事業所がどの要件を満たせるかを確認したうえで、率の高い組み合わせを選んでください。
イとロを分ける具体的な要件は、厚生労働大臣が定める基準でご確認ください。
介護職員等処遇改善加算の算定要件
計算の順番
- 基本報酬(時間区分×要介護度)を出す
- 入浴介助加算、個別機能訓練加算、認知症加算などを加える
- サービス提供体制強化加算を加える
- 同一建物減算、送迎減算、虐待防止・業務継続計画の減算を反映する
- その合計に処遇改善加算の率を掛ける
告示は「イからニまでにより算定した単位数」に率を掛けると定めています。つまり基本報酬と各種加算・減算をすべて反映した後の数字が母数です。
キャリアパス要件
- 要件Ⅰ 職位・職責・職務内容に応じた任用等の要件と賃金体系を整備し、就業規則等で明確にして周知していること
- 要件Ⅱ 資質向上の目標と、研修の機会の提供または資格取得の支援等について計画を策定し、実施していること
- 要件Ⅲ 経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準にもとづき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること
- 要件Ⅳ 介護福祉士等の配置に関する要件
- 要件Ⅴ 介護職員等の年額賃金の改善に関する要件
職場環境等要件
入職促進、資質の向上、両立支援・働きやすい環境整備、心身の健康管理、生産性向上のための業務改善、やりがい・働きがいの醸成といった区分ごとに取り組みを行い、その内容をホームページへの掲載等により公表することが求められます。
月額賃金改善に関する要件
加算額の一定割合以上を月額賃金の改善に充てる必要があります。一時金だけの配分では要件を満たしません。
介護職員等処遇改善加算の注意点
- 処遇改善計画書を作成し、全職員に周知したうえで年度ごとに届け出ること
- 年度終了後に実績報告書を提出すること
- 加算額は全額を賃金改善に充てること
- 賃金改善の実施期間と加算の算定期間を対応させること
- 区分を変更する場合は変更の届出が必要です
- 実績報告で賃金改善が不足していた場合、返還を求められることがあります
研修もしている、腰痛対策もしている、それなのにホームページに載せていないだけで要件を満たさない——この形の指摘を何度も見てきました。
公表した画面のスクリーンショットと日付を残しておくと、確認がすぐ終わります。
ちびウルフ(Ⅳ)の89と(Ⅰ)ロの127って、そんなに違うの?
リハウルフ38ポイント差です。月の総単位数が20万単位の事業所なら、89で17,800単位、127で25,400単位。差は7,600単位で、1単位10円なら月7万6,000円になります。年間だと90万円以上です。
その全額が職員の賃金に回るわけですから、採用と定着への効果は小さくありません。要件の多くは書類の整備なので、まずどこまで満たせているかを棚卸ししてみてください。
介護職員等処遇改善加算のQ&A
介護職員等処遇改善加算のQ&A
加算率はいくつですか?
(Ⅰ)イ117、(Ⅰ)ロ127、(Ⅱ)イ115、(Ⅱ)ロ125、(Ⅲ)105、(Ⅳ)89で、いずれも1000分のいくつという率です。
(Ⅰ)が一番高いのではないのですか?
率で見ると(Ⅰ)ロの127が最も高く、(Ⅱ)ロの125は(Ⅰ)イの117より高くなります。
何に率を掛けますか?
基本報酬と各種加算・減算をすべて反映した後の所定単位数です。
加算額は何に使えますか?
全額を職員の賃金改善に充てる必要があります。
一時金でまとめて配ってもよいですか?
加算額の一定割合以上を月額賃金の改善に充てる要件があるため、一時金だけでは要件を満たしません。
届出は毎年必要ですか?
処遇改善計画書を年度ごとに届け出て、年度終了後に実績報告書を提出します。
職場環境等要件の公表とは?
取り組みの内容をホームページへの掲載等により公表することです。実施しただけでは足りません。
途中で区分を上げられますか?
変更の届出を行うことで可能です。提出期限は保険者にご確認ください。
賃金改善が不足したらどうなりますか?
実績報告で不足が判明した場合、返還を求められることがあります。
- 介護職員等処遇改善加算は6区分
- (Ⅰ)イ117、(Ⅰ)ロ127、(Ⅱ)イ115、(Ⅱ)ロ125、(Ⅲ)105、(Ⅳ)89(いずれも1000分の)
- 率で並べると(Ⅰ)ロが最も高い
- (Ⅱ)ロは(Ⅰ)イより率が高いという逆転がある
- 所定単位数に率を掛けて計算する
- 基本報酬と各種加算・減算をすべて反映した後が母数
- 計算の順番を間違えると請求額がずれる
- 令和6年度改定で3つの加算が1本に統合された
- キャリアパス要件は要件Ⅰ〜Ⅴ
- 職場環境等要件は取り組みの実施と公表が必要
- 公表を忘れて要件を満たさない事例が多い
- 加算額の一定割合以上を月額賃金の改善に充てる
- 処遇改善計画書を年度ごとに届け出る
- 年度終了後に実績報告書を提出する
- 賃金改善が不足すると返還を求められることがある
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)(地域密着型通所介護費 ホ)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(厚生労働省)
※本記事の加算率は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文にもとづいて整理したものです。イとロを分ける具体的な要件、キャリアパス要件の各区分と加算区分の対応、月額賃金改善に充てる割合の具体的な数値については、厚生労働大臣が定める基準および関係通知をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、届出の様式や期限が市町村によって異なります。2026年9月時点の内容として整理しています。





