老健の夜勤職員配置加算とは?

老健の夜勤職員配置加算は、1日につき24単位です。100床なら1日2,400単位、年間で876,000単位になります。老健の加算のなかでは単価が大きい部類です。ただし判定に使うのはその日の夜勤者数ではなく、暦月ごとに計算した「1日平均夜勤職員数」で、ここを取り違えると届出後に基準を割ります。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)、老企第40号の原文を確認して、単位数・必要な夜勤者数・計算方法・実務でつまずく点を整理しました。
この記事でわかること
- 老健の夜勤職員配置加算は1日24単位という単位数
- 入所者等の数が41人以上と40人以下で基準が変わること
- 「2を超えている」は2人ちょうどでは足りないという意味であること
- 1日平均夜勤職員数の計算式(延夜勤時間数÷(当月の日数×16))
- 夜勤時間帯は22時から翌5時を含む連続16時間だということ
- 小数点第3位以下は切り捨てになること
- 認知症ケア加算を算定していると基準が2倍に厳しくなること
- 夜勤職員基準を満たさない場合の減算(所定単位数の97%)との関係
老健の夜勤職員配置加算とは?
夜勤職員配置加算は、夜間の看護職員・介護職員を人員基準より手厚く配置していることを評価する加算です。夜間の安全確保と、緊急時に対応できる体制を整えている施設を評価する趣旨で置かれています。
老健には、夜勤に関する規定が2つあります。ひとつは基本報酬を算定するための夜勤職員の基準で、これを満たさないと所定単位数の97%に減算されます。もうひとつがこの夜勤職員配置加算で、基本の基準を満たしたうえで、さらに手厚い配置をしている場合に加算されます。床を守るための基準と、上乗せを取るための基準は別物です。
ちびウルフ毎晩3人体制にしていれば算定できる、という理解でいいですか。
リハウルフその日ごとの人数ではなく、月単位の平均で判定します。夜勤の時間が短い日が混ざると平均が落ちるので、シフト表の人数だけを見ていると危ないんです。
夜勤職員配置加算の単位数
告示第21号の介護保健施設サービスの注9に定められています。
9 別に厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たすものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った介護老人保健施設については、夜勤職員配置加算として、1日につき24単位を所定単位数に加算する。
| 区分 | 単位数 | 算定頻度 |
|---|---|---|
| 夜勤職員配置加算 | 24単位 | 1日 |
| 1人あたり30日分の目安 | 720単位 | — |
| 100床・年間の目安 | 876,000単位 | — |
区分はなく、24単位の1本です。入所者ごとに1日単位で算定するため、床数が多いほど金額のインパクトが大きくなります。
夜勤職員配置加算の算定要件
「別に厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」は、告示第29号の第6号ハにあります。ここは第2号イ(3)を準用する形になっており、実体は次の内容です。
夜勤を行う看護職員又は介護職員の数が次の基準に適合していること。
(一) 利用者等の数が四十一以上の介護老人保健施設にあっては、利用者等の数が二十又はその端数を増すごとに一以上であり、かつ、二を超えていること。
(二) 利用者等の数が四十以下の介護老人保健施設にあっては、利用者等の数が二十又はその端数を増すごとに一以上であり、かつ、一を超えていること。
必要な夜勤職員数
「20またはその端数を増すごとに1以上」という条件と、「2を超えている」(または「1を超えている」)という条件の両方を満たす必要があります。実際の人数に置き換えると次のとおりです。
| 入所者等の数 | 20人ごとの条件 | 下限の条件 | 必要な1日平均夜勤職員数 |
|---|---|---|---|
| 1〜20人 | 1以上 | 1を超える | 1.01以上 |
| 21〜40人 | 2以上 | 1を超える | 2以上 |
| 41〜60人 | 3以上 | 2を超える | 3以上 |
| 61〜80人 | 4以上 | 2を超える | 4以上 |
| 81〜100人 | 5以上 | 2を超える | 5以上 |
| 101〜120人 | 6以上 | 2を超える | 6以上 |
「2を超えている」は2.00では足りない
条文は「二以上」ではなく「二を超えていること」です。1日平均夜勤職員数がちょうど2.00の場合、この条件を満たしません。もっとも41人以上の施設では20人ごとの条件で3以上が求められるため、実務上この差が効いてくるのは40人以下の小規模施設(1を超えること=1.01以上)です。
なお「利用者等の数」とは、短期入所療養介護の利用者の数と当該老健の入所者の数の合計です。ショートステイの空床利用を行っている老健では、ショート利用者を含めて数えます。
1日平均夜勤職員数の計算方法
老企第40号 8の(13)①は3の(2)を準用しており、その中身は次のとおりです。
夜勤を行う職員の数は、一日平均夜勤職員数とする。一日平均夜勤職員数は、暦月ごとに夜勤時間帯(午後十時から翌日の午前五時までの時間を含めた連続する一六時間をいう。)における延夜勤時間数を、当該月の日数に一六を乗じて得た数で除することによって算定し、小数点第三位以下は切り捨てるものとする。
計算式
1日平均夜勤職員数 = その月の夜勤時間帯における延夜勤時間数 ÷(当月の日数 × 16)
※小数点第3位以下は切り捨て
計算例
入所者等80人の老健が、30日の月に毎晩4人の夜勤者を16時間ずつ配置した場合。
- 延夜勤時間数=4人 × 16時間 × 30日 = 1,920時間
- 分母=30日 × 16 = 480
- 1日平均夜勤職員数=1,920 ÷ 480 = 4.00
81〜100人なら5以上が必要なので、80人であれば4以上で足ります。この例は基準を満たします。
ここで気をつけたいのは、夜勤者が16時間フルで勤務していない場合です。たとえば4人のうち1人が8時間しか夜勤時間帯にかからない日が10日あると、延夜勤時間数は1,920−(8×10)=1,840時間となり、1,840÷480=3.83となります。人数の見た目は4人でも、平均は4を割ります。
ちびウルフ早出や遅出の職員が夜勤時間帯に少しかかっている場合はどうなるんですか。
リハウルフ夜勤時間帯にかかった時間は延夜勤時間数に入ります。逆に言えば、16時間の枠外の勤務は入りません。夜勤時間帯をどこに設定しているかを先に確定させないと、計算が始められません。
夜勤時間帯の設定
夜勤時間帯は「午後10時から翌日の午前5時までの時間を含めた連続する16時間」です。22時〜5時の7時間を必ず含む16時間であればよいため、施設によって設定は異なります。たとえば17時〜翌9時、あるいは16時〜翌8時といった置き方になります。この16時間の外側の勤務時間は、延夜勤時間数に算入されません。
夜勤職員配置加算の注意点
認知症ケア加算を算定していると基準が別々になる
老企第40号 8の(13)②は、次のように定めています。
認知症ケア加算を算定している介護老人保健施設の場合にあっては、夜勤職員配置加算の基準は、認知症専門棟とそれ以外の部分のそれぞれで満たさなければならない。
施設全体の平均で満たしていても、認知症専門棟だけを取り出したときに基準を割っていれば算定できません。認知症ケア加算(1日76単位)と夜勤職員配置加算(1日24単位)を両方取りにいく場合、夜勤シフトは棟ごとに組み立てる必要があります。認知症ケア加算を新たに取る検討をするときは、夜勤体制への影響を必ず併せて確認してください。
基本報酬の夜勤基準とは別物
老健には、夜勤職員の基準を満たさない場合に所定単位数の97%に減算される規定があります。こちらは告示第29号の第6号イ・ロの基準で、加算の基準(第6号ハ)とは別の条文です。
| 区分 | 根拠 | 効果 |
|---|---|---|
| 夜勤職員基準を満たさない場合の減算 | 告示第29号 第6号イ・ロ | 所定単位数の97% |
| 夜勤職員配置加算 | 告示第29号 第6号ハ | 1日24単位を加算 |
基本の基準は「2以上(要件を満たせば1.6以上)」といった水準で、加算の基準はそれより高く設定されています。減算を回避できている=加算が取れる、ではありません。
届出後も毎月の確認が必要
1日平均夜勤職員数は暦月ごとに計算します。入退所やショートステイの利用状況で「利用者等の数」が変われば、必要な人数の階段も変わります。80人と81人では必要人数が1人違うため、定員に近い稼働で運営している施設ほど、毎月の実績確認が欠かせません。
夜勤職員配置加算のQ&A
特養のように(Ⅰ)〜(Ⅳ)の区分はありますか?
老健にはありません。24単位の1区分だけです。特養は見守り機器等の活用の有無などで8区分に分かれますが、老健の夜勤職員配置加算にその枝分かれはありません。
看護職員と介護職員のどちらでも数えられますか?
告示は「夜勤を行う看護職員又は介護職員の数」としており、どちらでも算入できます。夜勤職員配置加算の基準に看護職員の人数指定はありません。
ショートステイの利用者は数に含めますか?
含めます。「利用者等の数」は短期入所療養介護の利用者の数と入所者の数の合計です。
夜勤時間帯は何時から何時に設定すればよいですか?
22時から翌5時までを含む連続16時間であれば、施設で設定できます。一度決めたら、その枠を基準に延夜勤時間数を計算します。
宿直は夜勤に含まれますか?
夜勤と宿直は別の勤務形態です。夜勤職員として算入できるかは勤務の実態によるため、指定権者に確認してください。
小数点はどう処理しますか?
小数点第3位以下を切り捨てます。3.999は3.99として扱うことになり、4以上が必要な場合は基準を満たしません。
1か月だけ基準を割った場合はどうなりますか?
1日平均夜勤職員数は暦月ごとに算定するため、その月は基準を満たさないことになります。届出内容と実態が異なる場合の取扱いは指定権者の判断によるので、割った時点で相談してください。
ユニット型でも算定できますか?
算定できます。告示第29号 第6号ハは、ユニット型を含む介護保健施設サービス全体に適用されます。
認知症専門棟がある場合、どちらか一方で満たせば足りますか?
足りません。認知症ケア加算を算定している場合は、認知症専門棟とそれ以外の部分のそれぞれで基準を満たす必要があります。
まとめ
- 老健の夜勤職員配置加算は1日につき24単位、区分は1つだけ
- 特養のような(Ⅰ)〜(Ⅳ)の区分はない
- 基準は入所者等の数が41人以上と40人以下で分かれる
- 41人以上は「20またはその端数ごとに1以上」かつ「2を超えていること」
- 40人以下は「20またはその端数ごとに1以上」かつ「1を超えていること」
- 「2を超える」であって「2以上」ではない
- 判定は1日平均夜勤職員数で行い、その日ごとの人数では見ない
- 計算式は延夜勤時間数÷(当月の日数×16)
- 夜勤時間帯は22時から翌5時を含む連続16時間
- 枠外の勤務時間は延夜勤時間数に算入されない
- 小数点第3位以下は切り捨て
- 看護職員・介護職員のどちらでも算入できる
- ショートステイの利用者も「利用者等の数」に含める
- 認知症ケア加算を算定している場合は、認知症専門棟とそれ以外でそれぞれ基準を満たす必要がある
- 基本報酬の夜勤職員基準(満たさないと97%に減算)とは別の基準
参考にした情報
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)第6号・第2号
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準等に関する留意事項について(老企第40号)3の(2)、8の(13)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。





