ショートステイの生活機能向上連携加算とは?

ショートステイ(短期入所生活介護)の生活機能向上連携加算は、(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位です。外部のリハビリ専門職と連携して個別機能訓練計画を作り、機能訓練を提供した場合に算定します。
この加算には、他の加算にはあまり見られない「算定頻度が区分によって違う」という特徴があります。(Ⅰ)は原則3月に1回を限度、(Ⅱ)は毎月。さらに個別機能訓練加算を算定していると(Ⅰ)は算定できず、(Ⅱ)は200単位ではなく100単位になる。条文を読まずに単位数だけ見ると、確実に取り違えます。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注8と、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第34号の5の原文を確認して整理しました。
- 生活機能向上連携加算(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位の違い
- (Ⅰ)は3月に1回、(Ⅱ)は毎月という算定頻度の違い
- (Ⅰ)は助言ベース、(Ⅱ)は訪問が要件であること
- 個別機能訓練加算を算定していると単位数が変わること
- 連携先となる事業所・施設の範囲
- 3月ごとの評価と本人・家族への説明が要件であること
- 急性増悪等で計画を見直した場合の例外
- ショートステイでリハ職と連携する実務上の難しさ
ちびウルフ(Ⅱ)のほうが2倍の単位数ですよね。どうして差がつくんですか?
リハウルフリハ職が実際に事業所を訪問するかどうかです。(Ⅰ)は助言でよく、(Ⅱ)は訪問して一緒に評価する。訪問リハをやっている側から言うと、この差は大きい。実際にその場で動作を見ないと、環境に合った訓練項目は組めません。単位数の差はそこを評価しています。
ショートステイの生活機能向上連携加算とは?
短期入所生活介護の生活機能向上連携加算は、外部のリハビリテーション専門職と連携して利用者の身体状況を評価し、個別機能訓練計画を作成して機能訓練を提供した場合に算定する加算です。告示19号 短期入所生活介護費の注8に規定されています。
ショートステイの事業所には、理学療法士等が常駐していないことが少なくありません。機能訓練指導員は配置されていても、専門的な評価にもとづく訓練計画を立てるノウハウがない、という状況が生じます。
この加算は、その不足を外部との連携で補うことを促すものです。訪問リハビリテーション事業所や通所リハビリテーション事業所、医療提供施設のリハ職の力を借りて、根拠のある機能訓練につなげる。自前で抱えられない専門性を、地域の資源で埋める仕組みです。
令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。
生活機能向上連携加算の単位数
8 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(略)届出を行った指定短期入所生活介護事業所において、外部との連携により、利用者の身体の状況等の評価を行い、かつ、個別機能訓練計画を作成した場合には、当該基準に掲げる区分に従い、イについては、利用者の急性増悪等により当該個別機能訓練計画を見直した場合を除き3月に1回を限度として、1月につき、ロについては1月につき、次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。また、注10を算定している場合、イは算定せず、ロは1月につき100単位を所定単位数に加算する。
イ 生活機能向上連携加算(Ⅰ) 100単位
ロ 生活機能向上連携加算(Ⅱ) 200単位
| 区分 | 単位数 | 算定頻度 | 個別機能訓練加算を算定している場合 |
|---|---|---|---|
| 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位 | 3月に1回を限度(1月につき) | 算定できない |
| 生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位 | 1月につき | 100単位になる |
(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定はできません。
個別機能訓練加算との組み合わせ
| 個別機能訓練加算(注10・56単位/日) | 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 生活機能向上連携加算(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 算定していない | 100単位(3月に1回) | 200単位(毎月) |
| 算定している | 算定不可 | 100単位(毎月) |
個別機能訓練加算を算定している事業所は、(Ⅰ)を選ぶ余地がありません。(Ⅱ)を100単位で算定するか、生活機能向上連携加算そのものを算定しないかの二択になります。
ただし個別機能訓練加算は1日56単位です。30日利用なら1,680単位。生活機能向上連携加算(Ⅱ)の100単位を大きく上回ります。まず個別機能訓練加算の要件を満たせるかを確認するのが順序でしょう。
年間の規模感
| 算定パターン | 1人あたり年間 |
|---|---|
| (Ⅰ)100単位・3月に1回 | 400単位 |
| (Ⅱ)200単位・毎月 | 2,400単位 |
| (Ⅱ)100単位・毎月(個別機能訓練加算あり) | 1,200単位 |
生活機能向上連携加算の算定要件
告示95号 第34号の5が定める要件です。(Ⅰ)と(Ⅱ)で異なるのは(1)だけで、(2)(3)は共通です。
(Ⅰ)100単位=助言にもとづく評価と計画作成
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| (1) 評価と計画作成 | 理学療法士等の助言に基づき、当該事業所の機能訓練指導員等が共同して利用者の身体状況等の評価および個別機能訓練計画の作成を行っていること |
| (2) 訓練の提供 | 個別機能訓練計画に基づき、身体機能または生活機能の向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員等が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること |
| (3) 評価と説明 | (1)の評価に基づき、個別機能訓練計画の進捗状況等を3月ごとに1回以上評価し、利用者またはその家族に対し、機能訓練の内容と進捗状況等を説明し、必要に応じて訓練内容の見直し等を行っていること |
(Ⅱ)200単位=訪問による評価と計画作成
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| (1) 評価と計画作成 | 理学療法士等が当該指定短期入所生活介護事業所を訪問し、当該事業所の機能訓練指導員等が共同して利用者の身体状況等の評価および個別機能訓練計画の作成を行っていること |
| (2)(3) | (Ⅰ)と同じ |
違いは「助言に基づき」か「訪問し」かの一点です。(Ⅱ)はリハ職が実際に事業所へ足を運ぶことが要件になっています。
連携先となる事業所・施設
| 連携先 | 職種 |
|---|---|
| 指定訪問リハビリテーション事業所 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師 |
| 指定通所リハビリテーション事業所 | |
| リハビリテーションを実施している医療提供施設 |
条文では、この4職種をまとめて「理学療法士等」と呼んでいます。医師も含まれる点は見落とされやすいところです。
3月ごとの評価と説明
(3)は、(Ⅰ)(Ⅱ)に共通する要件です。3つの動作がセットになっています。
- 個別機能訓練計画の進捗状況等を3月ごとに1回以上評価する
- 利用者またはその家族に、機能訓練の内容と進捗状況等を説明する
- 必要に応じて訓練内容の見直し等を行う
評価しただけでは足りず、本人・家族への説明が要件に含まれています。説明した日付・相手・内容を記録に残してください。
「急性増悪等により計画を見直した場合」の例外
(Ⅰ)は原則3月に1回が限度ですが、注8には「利用者の急性増悪等により当該個別機能訓練計画を見直した場合を除き」という例外が書かれています。
状態が急に悪化して計画を作り直した場合は、3月を待たずに再び算定できると読めます。ただし「急性増悪等」の範囲は告示本文から確定できません。指定権者の取扱いを確認してください。
ショートステイで連携する実務上の難しさ
この加算がショートステイで算定しづらいのには理由があります。
| 難しさ | 内容 |
|---|---|
| 利用が断続的 | 週に数日、月に数日という利用が多く、継続的な機能訓練を組みにくい |
| 3月ごとの評価との相性 | 3月の間に数回しか利用がない方について、進捗をどう評価するか |
| 連携先の確保 | 訪問リハ・通所リハの事業所に、ショートステイまで手を伸ばす余力があるか |
| (Ⅱ)の訪問 | リハ職が事業所を訪問する時間をどう確保するか |
担当したケースでも、訪問リハで関わっている方がショートステイを利用する場面はよくありました。その方の自宅での動作をいちばん知っているのは訪問リハの担当者です。ショートステイ側から「自宅ではどう動いていますか」と聞かれることは、正直あまり多くありません。
同一法人内に訪問リハや通所リハがある事業所は、この加算を取りやすい位置にいます。連携の実態を作れるかが分かれ目です。
生活機能向上連携加算の注意点
「機能訓練指導員等」の範囲
条文は「機能訓練指導員等」としており、機能訓練指導員だけに限定していません。「等」に誰が含まれるかは告示本文から確定できません。指定権者の取扱いを確認してください。
個別機能訓練計画は共同で作成する
(1)は「理学療法士等の助言に基づき(訪問し)、当該事業所の機能訓練指導員等が共同して」評価と計画作成を行うとしています。リハ職が一方的に計画を作って渡す形では要件を満たしません。
訓練項目を「準備」することが要件
(2)は「機能訓練の項目を準備し」という表現です。計画に書いた訓練を実際に提供できる体制になっているかが問われます。
届出が必要
注8は「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届出を行った事業所」を前提としています。都道府県知事等への届出が必要です。
- 都道府県知事等への届出を済ませているか
- 連携先が訪問リハ・通所リハ・リハを実施している医療提供施設のいずれかか
- (Ⅱ)を算定するならリハ職が事業所を訪問しているか
- 評価と計画作成を共同で行った記録があるか
- 3月ごとの評価と本人・家族への説明を記録しているか
- 個別機能訓練加算を算定していないか((Ⅰ)は算定不可、(Ⅱ)は100単位)
よくある質問
ショートステイの生活機能向上連携加算はいくらですか?
(Ⅰ)が100単位、(Ⅱ)が200単位です。(Ⅰ)は原則3月に1回を限度、(Ⅱ)は1月につき算定します。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは何ですか?
(Ⅰ)は理学療法士等の助言にもとづいて評価・計画作成を行う場合、(Ⅱ)は理学療法士等が事業所を訪問して共同で行う場合です。
(Ⅰ)はなぜ3月に1回なのですか?
注8がそう定めています。ただし利用者の急性増悪等により個別機能訓練計画を見直した場合はこの限りではありません。
個別機能訓練加算を算定していると?
(Ⅰ)は算定できません。(Ⅱ)は200単位ではなく1月につき100単位になります。
どちらを優先すべきですか?
個別機能訓練加算は1日56単位で、30日利用なら1,680単位です。まず個別機能訓練加算の要件を満たせるか確認するのが順序です。
連携先はどこでもよいですか?
指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所、リハビリテーションを実施している医療提供施設に限られます。
連携する職種は?
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師です。医師も含まれます。
リハ職が計画を作って渡す形でよいですか?
いけません。事業所の機能訓練指導員等が共同して評価と計画作成を行うことが要件です。
本人や家族への説明は必要ですか?
必要です。3月ごとの評価とあわせて、機能訓練の内容と進捗状況等を説明することが要件に含まれます。
(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?
できません。いずれかを算定している場合はその他を算定できません。
「急性増悪等」の範囲は?
告示本文から確定できません。指定権者の取扱いを確認してください。
届出は必要ですか?
必要です。都道府県知事等への届出を行った事業所が対象です。
- ショートステイの生活機能向上連携加算は(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位
- (Ⅰ)は原則3月に1回を限度、(Ⅱ)は1月につき算定する
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
- (Ⅰ)はリハ職の助言にもとづく評価・計画作成
- (Ⅱ)はリハ職が事業所を訪問して共同で行うこと
- 個別機能訓練加算を算定していると(Ⅰ)は算定できず、(Ⅱ)は100単位になる
- 個別機能訓練加算は1日56単位で、まずそちらの要件充足を確認するのが順序
- 連携先は訪問リハ・通所リハ・リハを実施している医療提供施設
- 連携する職種はPT・OT・ST・医師の4つ
- 評価と計画作成は事業所の機能訓練指導員等と共同で行う
- 3月ごとの評価と、本人・家族への説明が要件に含まれる
- 急性増悪等により計画を見直した場合は(Ⅰ)の3月の制限から外れる
- 断続的な利用というショートステイの性質上、算定のハードルは高い
- 同一法人内に訪問リハ・通所リハがある事業所は取りやすい
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第19号)別表「短期入所生活介護費」注8、注9、注10(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)第34号の5(短期入所生活介護費における生活機能向上連携加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第121条第1項(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに「機能訓練指導員等」の範囲、「急性増悪等」に該当する状態、「助言」の具体的な方法(オンラインの可否等)、訪問の頻度については告示本文に明記がなく、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




