介護医療院の栄養マネジメント強化加算は、1日につき11単位です。管理栄養士を手厚く配置し、低栄養リスクのある入所者へ個別に踏み込んだ栄養管理を行うことを評価します。

要件の中心は管理栄養士の配置数です。入所者50人に対して1人以上(常勤の栄養士を1人以上配置し給食管理を行っている場合は70人に対して1人以上)。この人数を満たせるかどうかで、算定の可否がほぼ決まります。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのヲ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第100号の4(第65号の3を準用)の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 栄養マネジメント強化加算の単位数(11単位/日)
  • 管理栄養士の配置基準(50対1、条件付きで70対1)
  • 低栄養リスクのある入所者への「食事の観察」が要件であること
  • リスクのない入所者にも対応が求められること
  • LIFEへの提出と活用が要件に含まれること
  • 栄養管理の基準未達(14単位減算)とは両立しないこと
ちびウルフちびウルフ

1日11単位なら、100床の施設で月3万3千単位ですか?

リハウルフリハウルフ

単純計算ではそうなります。ただし100床なら管理栄養士が2人必要です(50対1)。人件費と加算収入を並べて判断することになりますが、栄養管理は誤嚥性肺炎や褥瘡の発生にも直結します。加算収入だけで測る性質のものではありません。

介護医療院の栄養マネジメント強化加算とは?

介護医療院の栄養マネジメント強化加算は、管理栄養士を手厚く配置し、多職種で作った栄養ケア計画に沿って、食事の観察と個別対応を継続することを評価する加算です。

栄養管理そのものは、令和3年度改定から基本報酬に組み込まれた「やって当たり前」の業務になりました。満たさなければ1日14単位の減算です。この加算は、そこからさらに踏み込んだ体制を評価します。

介護医療院の入所者は、経管栄養や嚥下調整食が必要な人が多く、体重の変化やわずかな食事量の低下が、そのまま状態悪化につながります。「食事の観察を定期的に行う」という要件は、書類の上の栄養管理ではなく、実際に食べている場面を見ることを求めています。

栄養マネジメント強化加算の単位数

項目内容
単位数1日につき11単位
届出必要(都道府県知事)
算定できない場合栄養管理の基準を満たさない場合(注7・1日14単位減算)

栄養マネジメント強化加算の算定要件

①管理栄養士の配置

管理栄養士を常勤換算方法で、入所者の数を50で除して得た数以上配置していること。ただし、常勤の栄養士を1名以上配置し、当該栄養士が給食管理を行っている場合にあっては、管理栄養士を常勤換算方法で、入所者の数を70で除して得た数以上配置していること。

入所者数原則(50対1)常勤栄養士が給食管理を行う場合(70対1)
50人1.0人以上約0.72人以上
70人1.4人以上1.0人以上
100人2.0人以上約1.43人以上

※常勤換算での必要数の目安です。端数処理の扱いは指定権者に確認してください。

②低栄養リスクのある入所者への対応

  • 多職種(医師・歯科医師・管理栄養士・看護師・介護支援専門員その他)が共同して作成した栄養ケア計画に従うこと
  • 栄養管理をするための食事の観察を定期的に行うこと
  • 入所者ごとの栄養状態、心身の状況、嗜好を踏まえた食事の調整等を実施すること

③リスクのない入所者への対応

条文は「ロに規定する入所者以外の入所者に対しても、食事の観察の際に変化を把握し、問題があると認められる場合は、早期に対応していること」と定めています。低栄養リスクがある人だけを見ていればよい加算ではありません。

④LIFEへの提出と活用

入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省へ提出し、継続的な栄養管理の実施にあたって活用することが要件です。

⑤減算に該当していないこと

定員超過利用・人員基準欠如等の減算に該当していないことが必要です。

栄養マネジメント強化加算の注意点

栄養管理の基準を満たさない状態とは両立しない

介護医療院サービスの注7は、栄養管理について基準を満たさない場合、1日14単位を減算すると定めています。この減算を受けている状態では、栄養マネジメント強化加算は算定できません。

まず注7の減算を受けない体制(栄養士または管理栄養士の配置と、基準に沿った栄養管理)を確保し、そのうえで強化加算を目指すという順序になります。

退所時栄養情報連携加算は算定できなくなる

退所時栄養情報連携加算(70単位)には、「栄養マネジメント強化加算を算定している場合は、算定しない」というただし書きがあります。強化加算を算定する施設は、退所のたびの70単位を算定できなくなります。

ただし1日11単位×入所者数と、退所時の70単位を比べれば、通常は強化加算のほうが大きくなります。

特別介護医療院サービス費では算定できない

注16により、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合は算定できません(ヲはワからヨまでの範囲外ですが、条文の対象範囲は請求時に確認してください)。

栄養マネジメント強化加算のQ&A

管理栄養士は何人必要ですか?

常勤換算で入所者数を50で除して得た数以上です。常勤の栄養士を1名以上配置し給食管理を行っている場合は、70で除して得た数以上となります。

栄養士でも要件を満たしますか?

配置が求められているのは管理栄養士です。栄養士は、70対1の緩和を受けるための条件として登場します。

低栄養リスクのない入所者は対象外ですか?

対象外ではありません。食事の観察の際に変化を把握し、問題があれば早期に対応することが要件に含まれています。

LIFEへの提出は必須ですか?

必須です。入所者ごとの栄養状態等の情報を提出し、継続的な栄養管理に活用することが要件です。

栄養管理の減算を受けていても算定できますか?

できません。注7(1日14単位の減算)を算定している場合は算定できないと定められています。

退所時栄養情報連携加算と両方算定できますか?

できません。退所時栄養情報連携加算の側に、栄養マネジメント強化加算を算定している場合は算定しないというただし書きがあります。

届出は必要ですか?

必要です。都道府県知事に対して届出を行います。

「食事の観察」はどのくらいの頻度で行いますか?

条文は「定期的に行う」としており、頻度の数値は示されていません。運用は指定権者に確認してください。

まとめ
  • 栄養マネジメント強化加算は1日11単位
  • 管理栄養士は常勤換算で入所者50人につき1人以上
  • 常勤の栄養士が給食管理を行っている場合は70人につき1人以上に緩和される
  • 低栄養リスクのある入所者には、栄養ケア計画に沿った食事の観察と個別対応が必要
  • リスクのない入所者にも、変化の把握と早期対応が求められる
  • LIFEへの提出と活用が要件
  • 栄養管理の基準未達(1日14単位減算)の状態では算定できない
  • 算定すると退所時栄養情報連携加算(70単位)は算定できなくなる
  • 届出先は都道府県知事
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのヲ(栄養マネジメント強化加算)、チ(退所時栄養情報連携加算)、注7、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第100号の4(第65号の3を準用)、第100号の3(注7の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第4条、第20条の2

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示・省令にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。常勤換算の端数処理、食事の観察の頻度、特別介護医療院サービス費を算定している場合の取扱いについては指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の必要人数の目安は単純計算による概算です。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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