訪問入浴介護の介護職員3人95%とは?主治医の意見確認が前提になる理由

訪問入浴介護を介護職員3人で行った場合は、所定単位数の95%(5%減)で算定します。1回1,266単位に対して約63単位の減額です。
ただし「人が集まらないから介護職員3人で行く」という運用は、条文が認めているものではありません。注4は、①入浴により利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合に、②その主治の医師の意見を確認した上で、③介護職員3人が行った場合と定めています。
主治医の意見の確認が、95%算定の前提条件です。この確認がないまま介護職員3人で実施した場合、95%算定の要件を満たしていないことになります。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問入浴介護費の注1・注4の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 介護職員3人で実施した場合が95%算定であること
- 主治医の意見の確認が要件に含まれていること
- 「支障を生ずるおそれがないと認められる場合」という前提
- 原則の体制が看護職員1人+介護職員2人であること
- 減算ではなく「95%で算定する」という書き方の意味
- 清拭・部分浴90%との違いと重なり
- 介護予防訪問入浴介護でも同様であること
ちびウルフ看護師が急に休んだ日は、95%で算定すればいいんですよね?
リハウルフ順序が逆です。先に「この人は看護職員がいなくても支障がない」という主治医の意見を確認しておく必要があります。当日の欠員を後追いで95%にする、という使い方は条文の想定とずれます。看護職員が確保できない日が出る前提なら、対象になり得る利用者について事前に確認を取っておくことです。
原則は看護職員1人+介護職員2人
まず基本形を確認します。告示19号の訪問入浴介護費の注1は次のとおりです。
利用者に対して、指定訪問入浴介護事業所の看護職員(看護師又は准看護師をいう。)1人及び介護職員2人が、指定訪問入浴介護を行った場合に算定する。
この3人体制が、1回1,266単位という基本報酬の前提です。准看護師でも要件を満たします。
注4——介護職員3人で行う場合
利用者に対して、入浴により当該利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合に、その主治の医師の意見を確認した上で、指定訪問入浴介護事業所の介護職員3人が指定訪問入浴介護を行った場合は、所定単位数の100分の95に相当する単位数を算定する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 算定率 | 所定単位数の95% |
| 条件① | 入浴により身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められること |
| 条件② | 主治の医師の意見を確認していること |
| 条件③ | 介護職員3人が行うこと |
条文は「減算する」ではなく「100分の95に相当する単位数を算定する」と書いています。ペナルティではなく、体制に応じた算定方法の切り替えという建て付けです。
したがって、要件を満たしていれば正当な算定です。逆に主治医の意見を確認していない状態で介護職員3人が実施した場合は、95%算定の要件を欠くことになります。その場合の請求の扱いは保険者に確認してください。
主治医の意見はどう確認・記録するか
条文に様式の定めはありません。実務では次のような形が考えられます。
- 対象になり得る利用者について、事前に主治医へ照会する(文書・診療情報提供書・連絡票など)
- 「入浴により身体の状況等に支障を生ずるおそれがない」旨の回答を得て、記録に残す
- サービス担当者会議やケアプランにも、その体制で提供し得ることを反映する
- 状態が変化した場合は、あらためて主治医に確認する
「いつ、誰に、どう確認し、どう回答があったか」が残っていれば根拠として説明できます。(記録方法は筆者の実務経験にもとづく整理で、制度上の定めではありません)
清拭・部分浴90%との違い
| 規定 | 算定率 | 着眼点 |
|---|---|---|
| 注4(介護職員3人) | 95% | 誰が行ったか(体制) |
| 注5(清拭・部分浴) | 90% | 何を行ったか(入浴方法) |
両方に該当する場面(介護職員3人で訪問し、状態から清拭に切り替えた)はあり得ます。その場合の計算方法は条文に明示がないため、保険者に確認してください。
同一建物減算・地域加算との関係
同一建物減算(90%・85%)や地域加算(15%・10%・5%)も所定単位数に対する率で計算されます。複数の率が同時に適用される場合の計算順序は請求上の取扱いによります。請求ソフトの計算結果と保険者の指示を照合しておいてください。
介護予防訪問入浴介護でも同様
介護予防訪問入浴介護費(平成18年厚生労働省告示第127号)にも同様の規定があります。要支援1・2の利用者でも、主治医の意見の確認を前提に介護職員3人での実施が想定されています。
よくある質問
看護職員は准看護師でもよいですか?
条文は「看護職員(看護師又は准看護師をいう。)」と定めています。准看護師でも要件を満たします。
主治医の意見はサービス提供の都度必要ですか?
条文は「主治の医師の意見を確認した上で」としており、頻度の明示はありません。状態変化があれば再確認するのが妥当です。運用は保険者に確認してください。
主治医の意見を確認していない場合はどうなりますか?
95%算定の要件を欠くことになります。請求の扱いは保険者に確認してください。
当日に看護職員が急病で来られない場合は?
条文は事前に支障がないと認められ、主治医の意見を確認していることを前提としています。急な欠員時の対応は保険者に確認してください。
清拭・部分浴の90%と同時に適用されますか?
両方の要件に該当する場面はあり得ますが、計算方法は条文に明示がありません。保険者に確認してください。
これは「減算」ですか?
条文は「100分の95に相当する単位数を算定する」という書き方です。体制に応じた算定方法の切り替えという建て付けです。
記録には何を残せばよいですか?
主治医への確認日時・方法・回答内容、実施した職員の職種と人数を残してください。様式の定めはありません。
要支援の人にも適用されますか?
介護予防訪問入浴介護費にも同様の規定があります。
- 介護職員3人で行った場合は所定単位数の95%で算定する
- 原則の体制は看護職員1人+介護職員2人(准看護師も可)
- 要件は、入浴により支障を生ずるおそれがないと認められること、主治の医師の意見を確認していること
- 主治医の意見の確認は事前に行うことが前提の書き方になっている
- 条文は「減算」ではなく「95%で算定する」と定めている
- 注5(清拭・部分浴90%)は入浴方法に着目した別の規定
- 複数の率が重なる場合の計算順序は保険者に確認する
- 介護予防訪問入浴介護でも同様の規定がある
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 訪問入浴介護費の注1・注4・注5・注6(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第45条(訪問入浴介護従業者の員数)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)別表 介護予防訪問入浴介護費(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
※本記事の算定率・要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および保険者の解釈をご確認ください。主治医の意見の確認頻度、急な欠員が生じた場合の取扱い、複数の率が重なる場合の計算順序については必ず保険者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。記録方法に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




