グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の基本報酬は、(Ⅰ)1ユニットで765〜859単位/日、(Ⅱ)2ユニット以上で753〜845単位/日です。(Ⅰ)と(Ⅱ)を分けるのは要介護度でも人員でもなく、共同生活住居(ユニット)の数です。

そしてGHの基本報酬には、加算・減算の一覧表に載りにくい「引かれる仕組み」が3つあります。

  • 夜勤職員基準を満たさない場合……所定単位数の97%(注1ただし書)
  • 3ユニットで夜勤2人以上とする場合……1日50単位を控除(注5)
  • 定員超過利用・人員基準欠如……所定単位数の70%(通所介護費等算定方法)

とくに3つ目は3割減という重い取扱いで、しかもこの状態にあると夜間支援体制加算・栄養管理体制加算・サービス提供体制強化加算なども算定できなくなります。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費の注1・注5、厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第31号、通所介護費等の算定方法(平成12年厚生省告示第27号)第8号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 認知症対応型共同生活介護費(Ⅰ)(Ⅱ)の単位数
  • (Ⅰ)(Ⅱ)を分けるのが共同生活住居の数であること
  • 短期利用・介護予防の単位数
  • 夜勤職員基準を満たさない場合の97%の取扱い
  • 3ユニットで夜勤2人とする場合の50単位控除
  • 定員超過利用・人員基準欠如による70%算定
  • 70%算定中は多くの加算が算定できなくなること
  • 予防と介護の利用者数を合算して定員超過を判定すること
ちびウルフちびウルフ

3ユニットで夜勤を2人にできるのは、緩和ですよね? なのに50単位引かれるんですか?

リハウルフリハウルフ

そのとおりです。人員を減らせる代わりに報酬も下がる、という建て付けです。夜間支援体制加算(Ⅱ)の25単位を取っていても、差引きではマイナス25単位。採用状況だけで決めると、収支の見通しを外します。

基本報酬は(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分

要介護度(Ⅰ)1ユニット(Ⅱ)2ユニット以上
要介護1765単位753単位
要介護2801単位788単位
要介護3824単位812単位
要介護4841単位828単位
要介護5859単位845単位

施設基準告示第96号第31号が、共同生活住居の数が「一」なら(Ⅰ)、「二以上」なら(Ⅱ)と定めています。あわせて、基準第90条に定める従業者の員数を置いていることも要件です。

区分要介護1要介護5
短期利用(Ⅰ)1ユニット793単位887単位
短期利用(Ⅱ)2ユニット以上781単位874単位

介護予防(要支援2)は、(Ⅰ)761単位・(Ⅱ)749単位、短期利用は(Ⅰ)789単位・(Ⅱ)777単位です。

①夜勤職員基準を満たさない場合は97%

告示126号の注1のただし書きは、次のとおりです。

ただし、当該夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合は、所定単位数の100分の97に相当する単位数を算定する。

GHの夜勤基準は共同生活住居ごとに1人以上(平成12年厚生省告示第29号第3号)。3%減にとどまる一方、夜間支援体制加算(Ⅰ)50単位・(Ⅱ)25単位は当然算定できません。

②3ユニットで夜勤2人以上とする場合は50単位控除

イ(2)及びロ(2)について、共同生活住居の数が3である指定認知症対応型共同生活介護事業所が、夜勤を行う職員の員数を2人以上とする場合(指定地域密着型サービス基準第90条第1項ただし書に規定する場合に限る。)に、利用者に対して、指定認知症対応型共同生活介護を行った場合は、所定単位数から1日につき50単位を差し引いて得た単位数を算定する。

体制1日あたりの影響(要介護3・(Ⅱ)812単位の場合)
3ユニット・夜勤3人812単位(+夜間支援体制加算(Ⅱ)25単位の算定可能性)
3ユニット・夜勤2人(基準第90条第1項ただし書)812−50=762単位

入居者27人・30日で計算すると、50単位×27人×30日=月40,500単位の差になります。人件費1人分と比べてどうかを、必ず試算してから体制を決めてください。(試算は単位数を単純に乗じた概算です)

③定員超過利用・人員基準欠如は70%

通所介護費等の算定方法(平成12年厚生省告示第27号)第8号は、次のとおり定めています。

【利用者の数の基準】介護保険法施行規則第131条の6の規定に基づき市町村長に提出した運営規程に定められている利用定員を超えること
【従業者の員数の基準】指定地域密着型サービス基準第90条に定める員数を置いていないこと
いずれの場合も、所定単位数に100分の70を乗じて得た単位数を用いて算定する。

予防と介護の利用者数は合算して判定する

告示27号第8号は、指定認知症対応型共同生活介護事業者が介護予防の指定も併せて受け、一体的に運営している場合は、両方の利用者数の合計で判定すると定めています。要支援2の入居者を別枠で数えることはできません。

70%算定中は加算も止まる

影響は基本報酬だけではありません。次の加算は、いずれも「通所介護費等算定方法第8号に規定する基準のいずれにも該当しないこと」を要件にしています。

  • 夜間支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)
  • 栄養管理体制加算
  • 口腔衛生管理体制加算
  • 口腔・栄養スクリーニング加算
  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)

3割減に加えて加算群が止まるため、実際の減収は3割では済みません。定員超過は緊急短期利用の例外などを除き、原則として起こしてはならない事態です。

基本報酬まわりの「引かれる仕組み」まとめ

事象取扱い根拠
夜勤職員基準を満たさない所定単位数の97%注1ただし書
3ユニットで夜勤2人以上とする1日50単位を控除注5
定員超過利用所定単位数の70%通所介護費等算定方法第8号
人員基準欠如(基準第90条の員数を置いていない)所定単位数の70%同上
身体拘束廃止未実施本体10%減/短期利用1%減注2
高齢者虐待防止措置未実施1%減注3
業務継続計画未策定3%減注4

よくある質問

(Ⅰ)と(Ⅱ)はどう決まりますか?

共同生活住居(ユニット)の数です。1なら(Ⅰ)、2以上なら(Ⅱ)。あわせて基準第90条の従業者の員数を置いていることが要件です。

夜勤職員基準を満たさない場合、加算はどうなりますか?

基本報酬が97%になるほか、夜間支援体制加算は要件を満たさないため算定できません。

3ユニットで夜勤2人にしたら必ず50単位引かれますか?

基準第90条第1項ただし書に該当する場合に、1日50単位を差し引きます。該当性の判断は市町村に確認してください。

2ユニットで夜勤1人にした場合はどうなりますか?

夜勤基準は共同生活住居ごとに1人以上です。満たさない場合は所定単位数の97%となります。具体的な取扱いは市町村に確認してください。

定員超過はどのくらい減りますか?

所定単位数の70%で算定します。加えて、夜間支援体制加算やサービス提供体制強化加算など、複数の加算が算定できなくなります。

要支援の入居者は定員の判定に含まれますか?

介護予防の指定も併せて受け一体的に運営している場合は、介護と予防の利用者数を合計して判定します。

緊急の短期利用で定員を超える場合も減算されますか?

施設基準には、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が緊急に必要と認めた場合等に、定員を超えて短期利用を行える旨の規定があります。適用の可否は市町村に確認してください。

複数の減算が同時に適用されることはありますか?

それぞれ別の規定であるため、要件に該当すれば重なり得ます。適用順序や計算方法は市町村に確認してください。

まとめ
  • 基本報酬は(Ⅰ)765〜859単位/日、(Ⅱ)753〜845単位/日
  • (Ⅰ)(Ⅱ)を分けるのは共同生活住居の数(1か、2以上か)
  • 短期利用は(Ⅰ)793〜887単位、(Ⅱ)781〜874単位
  • 介護予防(要支援2)は(Ⅰ)761単位、(Ⅱ)749単位
  • 夜勤職員基準を満たさない場合は所定単位数の97%
  • 3ユニットで夜勤2人以上とする場合は1日50単位を控除
  • 定員超過利用・人員基準欠如は所定単位数の70%
  • 70%算定中は夜間支援体制加算・サービス提供体制強化加算等も算定できない
  • 定員超過の判定は、介護と予防の利用者数を合算して行う
  • 未実施減算(身体拘束10%/虐待防止1%/BCP3%)とは別建て
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費(基本報酬・注1〜注5)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第31号(指定認知症対応型共同生活介護の施設基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成12年厚生省告示第27号)第8号(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)第3号(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・減算の取扱いは、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、取扱いが自治体によって異なる場合があります。夜勤体制の該当性、複数の減算が重なる場合の計算方法、緊急短期利用における定員超過の扱いについては所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の試算は単位数を単純に乗じた概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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