グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の業務継続計画未策定減算は、所定単位数の3%減です。令和6年度改定で導入され、経過措置は令和7年3月31日で終了しています。

根拠は指定地域密着型サービス基準第108条で準用する第3条の30の2第1項。求められているのは感染症と非常災害の両方について業務継続計画(BCP)を策定し、計画に従い必要な措置を講じていることです。

3%は、虐待防止措置未実施減算(1%)の3倍。要介護3・1ユニット(824単位/日)なら1日約25単位、9人ユニット全員で月約6,700単位の影響になります。計画書がないというだけで、これだけの減算が続きます。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費の注4、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第3条の30の2の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 業務継続計画未策定減算が3%であること
  • 経過措置が令和7年3月31日で終了していること
  • 感染症と非常災害の「両方」の計画が必要であること
  • 策定だけでなく、周知・研修・訓練・見直しまでが基準であること
  • 他の未実施減算(身体拘束10%、虐待防止1%)との比較
  • 本体・短期利用で率の区別がないこと
  • 介護予防(要支援2)でも同じ3%であること
  • GHでBCPを作るときに落としやすい視点
ちびウルフちびウルフ

計画は作ってあります。それで大丈夫ですよね?

リハウルフリハウルフ

条文は「策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない」としています。加えて周知・研修・訓練を定期的に実施すること、定期的に見直すことまで書かれています。ファイルに綴じてあるだけでは、基準を満たしていると説明しづらいです。

減算率は3%

告示126号の注4は、次のとおりです。

別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、業務継続計画未策定減算として、所定単位数の100分の3に相当する単位数を所定単位数から減算する。

減算要介護3(824単位/日)の1日あたり
身体拘束廃止未実施減算(本体)10%約82単位減
業務継続計画未策定減算3%約25単位減
高齢者虐待防止措置未実施減算1%約8単位減

※端数処理は請求時の取扱いによります。

経過措置は令和7年3月末で終了

告示の附則(業務継続計画未策定減算に係る経過措置)は、令和7年3月31日までの間は減算規定を適用しないと定めていました。ただし、感染症の予防及びまん延の防止のための指針と、非常災害に関する具体的計画を策定していない場合は、経過措置の対象外とされていました。

この経過措置はすでに終了しています。現在は、計画がなければそのまま3%減算です。

基準は「策定」だけではない

準用される第3条の30の2は、3項構成です。

1 ……感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定認知症対応型共同生活介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない
2 ……従業者に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
3 ……定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

減算の基準(告示95号第58号の4の3)が引いているのは第1項ですが、第2項・第3項は運営基準上の義務です。減算を免れることと、基準を満たすことは別だと考えてください。

内容
第1項感染症・非常災害に係る業務継続計画の策定と、計画に従った措置
第2項従業者への周知、研修及び訓練の定期的な実施
第3項定期的な見直しと必要に応じた変更

感染症と非常災害の「両方」が必要

条文は「感染症や非常災害の発生時において」と両方を挙げています。感染症のBCPだけ、あるいは自然災害のBCPだけでは足りません。2つを1つの計画にまとめる形でも、別冊にする形でも構いませんが、いずれの事象もカバーされている必要があります。

GHのBCPで落としやすい視点

GHは9人前後のユニットを、夜間は職員1人で見る構造です。特養や病院向けのひな型をそのまま使うと、実際の場面に合いません。

  • 夜勤者1人のときに発災したら、9人をどう避難させるか(垂直避難の可否、避難先までの動線)
  • 認知症のある人が避難所生活に耐えられない場合、どこへ移るか
  • 職員が感染して出勤停止になったとき、法人内の他事業所からどう応援を得るか
  • 共用スペースが多い構造で、感染者が出たときのゾーニングをどう作るか
  • 断水時に、9人分の飲料水とトイレをどう確保するか

「誰が来られないか」を先に想定すると、GHのBCPは具体的になります。(この整理は筆者の実務経験にもとづくもので、制度上の定めではありません)

本体・短期利用で率の区別はない

身体拘束廃止未実施減算のような区別はなく、本体(イ)も短期利用(ロ)も3%です。

介護予防(要支援2)でも同じ3%

介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)の注4にも同じ規定があり、基準は告示95号第127号の4の3が定めています。

よくある質問

経過措置はまだありますか?

令和7年3月31日で終了しています。現在は計画がなければ3%の減算が適用されます。

感染症のBCPだけでもよいですか?

足りません。条文は感染症や非常災害の発生時における継続的なサービス提供と早期の業務再開を図る計画を求めており、両方をカバーする必要があります。

計画を作れば減算されませんか?

減算の基準が引いているのは第1項(策定と計画に従った措置)ですが、第2項の周知・研修・訓練、第3項の見直しも運営基準上の義務です。実地指導では一体で確認されます。

研修と訓練はどのくらいの頻度ですか?

条文は「定期的に実施」としており、回数の明示はありません。市町村が目安を示している場合があるため確認してください。

法人共通の計画でもよいですか?

事業所の実情(夜勤体制、建物構造、地域の災害リスク)を反映している必要があります。法人共通部分と事業所固有部分を分けて整理する運用が現実的です。

短期利用も3%ですか?

そのとおりです。本体・短期利用で率の区別はありません。

見直しはいつ行えばよいですか?

「定期的に見直しを行い、必要に応じて変更を行う」とされています。訓練の実施後に振り返り、計画に反映する運用が実務的です。

要支援2の入居者も同じ率ですか?

同じです。介護予防認知症対応型共同生活介護費でも3%です。

まとめ
  • 業務継続計画未策定減算は所定単位数の3%減
  • 経過措置は令和7年3月31日で終了している
  • 感染症と非常災害の両方を対象とする業務継続計画が必要
  • 基準は策定と、計画に従った必要な措置を講じること
  • 運営基準上は、従業者への周知、研修・訓練の定期実施、定期的な見直しも義務
  • 身体拘束廃止未実施減算10%、虐待防止措置未実施減算1%と比べると中間の重さ
  • 本体・短期利用で率の区別はない
  • GHでは夜勤1人体制を前提にした計画になっているかが要点
  • 介護予防(要支援2)でも同じ3%
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費の注4、附則(業務継続計画未策定減算に係る経過措置)(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第3条の30の2(業務継続計画の策定等)、第108条(準用)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の4の3、第127号の4の3(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)1.(5)④ 業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入

※本記事の減算率・基準は、厚生労働省の告示・省令および改定資料にもとづいて整理したものです。実際の取扱いにあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、運用が自治体によって異なる場合があります。研修・訓練の頻度、法人共通計画の扱い、減算の適用期間については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の減算額の試算は単位数を単純に計算した概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。BCPの作成に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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