グループホームの若年性認知症利用者受入加算とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の若年性認知症利用者受入加算は、1日につき120単位です。要件はシンプルで、受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別の担当者を定めていること。研修も人員配置基準の上乗せも求められていません。
注意点は2つあります。ひとつは対象者の定義。介護保険法施行令第2条第6号に規定する「初老期における認知症」によって要介護者・要支援者となった人であり、いわゆる第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が中心になります。65歳になった後も、その状態が続いていれば対象になるかは市町村の確認が要る論点です。
もうひとつは併算定です。短期利用で算定する認知症行動・心理症状緊急対応加算(200単位、7日限度)を算定している場合、この加算は算定できません。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費の注8、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第18号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 若年性認知症利用者受入加算の単位数(120単位/日)
- 要件が「個別の担当者を定めていること」だけであること
- 対象者が介護保険法施行令第2条第6号の「初老期における認知症」による要介護者等であること
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算と併算定できないこと
- 担当者に資格要件がないこと
- 1日120単位=月3,600単位というインパクト
- 介護予防(要支援2)でも算定できること
- 他サービスの若年性認知症利用者受入加算との違い
ちびウルフ担当者を決めるだけで120単位ですか?
リハウルフ条文上の要件はそれだけです。1日120単位なので、月にすると3,600単位。GHの加算のなかでは、日額としてサービス提供体制強化加算(Ⅰ)22単位より大きい部類です。ただし届出は必要なので、該当者を受け入れる前に手続きを確認してください。
グループホームの若年性認知症利用者受入加算とは?
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の若年性認知症利用者受入加算は、65歳未満で認知症を発症した人を受け入れ、その人に合わせた支援体制を組んでいることを評価する加算です。
若年性認知症の人は、体力があり就労経験も新しく、高齢の入居者とは生活のリズムも関心も違います。周囲にあわせるだけのケアでは合わないため、その人専任の担当者を決めて個別に組み立てることが要件になっています。
要件は「利用者ごとに個別の担当者を定めていること」だけで、研修も人員配置基準の上乗せもありません。要件が軽い一方で単位数は大きく、算定漏れの影響が出やすい加算です。
若年性認知症利用者受入加算の単位数
告示126号の注8は、次のとおりです。
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして(略)届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所において、若年性認知症利用者に対して、指定認知症対応型共同生活介護を行った場合は、若年性認知症利用者受入加算として、1日につき120単位を所定単位数に加算する。ただし、注7を算定している場合は、算定しない。
ただし書きの「注7」は、短期利用における認知症行動・心理症状緊急対応加算(1日200単位、入居開始日から7日限度)です。BPSDの緊急対応として短期利用で受け入れた期間は、そちらの200単位が優先され、この加算は算定できません。
若年性認知症利用者受入加算の算定要件|個別の担当者を定めること
告示95号第18号は、次の一文です。
受け入れた若年性認知症利用者(介護保険法施行令第2条第6号に規定する初老期における認知症によって要介護者又は要支援者となった者をいう。)ごとに個別の担当者を定めていること。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1日につき120単位 |
| 要件 | 利用者ごとに個別の担当者を定めていること |
| 担当者の資格 | 条文上の定めなし |
| 研修要件 | なし |
| 併算定不可 | 認知症行動・心理症状緊急対応加算(注7) |
| 届出 | 必要(市町村長) |
担当者に資格や研修修了の要件はありません。ただし「定めている」ことを示せる必要があるため、担当者名を記載した記録(ケア計画、担当表など)を整備してください。形だけ名前を書いておく運用は、加算の趣旨からも実地指導の観点からも避けるべきです。
対象者は「初老期における認知症」による要介護者等
介護保険法施行令第2条第6号は、第2号被保険者の特定疾病のひとつとして「初老期における認知症」を挙げています。40歳以上65歳未満で認知症により要介護・要支援となった人が典型例です。
条文は「初老期における認知症によって要介護者又は要支援者となった者」と定めており、年齢の上限を明示していません。65歳になった後も算定を継続できるかどうかは、自治体の解釈が分かれる論点です。該当者を受け入れる時点で、市町村に確認して回答を記録に残しておくことをおすすめします。
若年性認知症利用者受入加算の注意点|BPSD緊急対応加算とは併算定できない
| 場面 | 算定できる加算 |
|---|---|
| 本体入居で若年性認知症の人を受け入れている | 若年性認知症利用者受入加算 120単位/日 |
| 短期利用でBPSDの緊急対応として受け入れた最初の7日間 | 認知症行動・心理症状緊急対応加算 200単位/日(この間、若年性認知症利用者受入加算は算定不可) |
単位数は緊急対応加算のほうが大きいため、期間が重なる場面では実質的に不利にはなりません。7日を経過して緊急対応加算が終わった後、引き続き短期利用を継続している場合の扱いは市町村に確認してください。
他サービスの同名加算との違い
若年性認知症利用者受入加算は、通所介護・通所リハ・ショートステイ・小規模多機能・看多機など多くのサービスに設けられています。要件(個別の担当者を定めること)は共通ですが、単位数はサービスによって異なります。
グループホームは1日120単位。入居系サービスなので、在宅サービスと違って利用日数が多く、月あたりの金額は大きくなります。算定漏れが1か月続けば3,600単位の損失という規模感で管理してください。
介護予防(要支援2)でも算定できる
介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にも、同じ120単位の若年性認知症利用者受入加算が設けられています。要支援2の入居者でも、初老期における認知症により要支援者となった人であれば算定できます。
若年性認知症利用者受入加算のQ&A
担当者に資格は必要ですか?
条文上の資格要件はありません。利用者ごとに個別の担当者を定めていることが要件です。担当者を定めたことがわかる記録を整備してください。
担当者は1人で複数の利用者を担当できますか?
条文は「利用者ごとに個別の担当者を定めている」ことを求めています。運用上の可否は市町村の解釈によるため、事前に確認してください。
65歳になったら算定できなくなりますか?
条文に年齢上限の明示はありませんが、取扱いは自治体で判断が分かれる論点です。所在市町村に確認し、回答を記録に残しておくことをおすすめします。
認知症行動・心理症状緊急対応加算と同時に算定できますか?
できません。注8のただし書きにより、注7(認知症行動・心理症状緊急対応加算)を算定している場合は算定できません。
届出は必要ですか?
必要です。注8は「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして……市町村長に対し届出を行った事業所」と定めています。
認知症専門ケア加算と併算定できますか?
条文上、若年性認知症利用者受入加算と認知症専門ケア加算の併算定を禁じる規定はありません。それぞれの要件を満たせば算定できます。詳細は市町村に確認してください。
要支援2の入居者にも算定できますか?
できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも同じ120単位の加算が設けられています。
他のサービスと単位数は同じですか?
要件は共通ですが、単位数はサービスによって異なります。グループホームは1日120単位です。
- 若年性認知症利用者受入加算は1日120単位
- 要件は「受け入れた利用者ごとに個別の担当者を定めていること」のみ
- 担当者の資格要件や研修要件は条文にない
- 対象は介護保険法施行令第2条第6号の「初老期における認知症」により要介護者・要支援者となった人
- 65歳到達後の取扱いは市町村への確認が必要
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算(注7)を算定している場合は算定できない
- 1日120単位=月3,600単位。算定漏れの影響が大きい
- 届出先は市町村長
- 介護予防(要支援2)でも同じ120単位で算定できる
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費の注7・注8(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第18号(若年性認知症利用者受入加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条第6号(初老期における認知症)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費の注8(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および政令にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。とくに65歳到達後の取扱い、担当者の兼務の可否については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




