通所リハビリの若年性認知症利用者受入加算は1日につき60単位。算定要件は、告示上たった1行です。「受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別の担当者を定めていること」——人員の上乗せも、研修修了者の配置も、LIFE提出も要りません。

にもかかわらず算定されていないケースが目立ちます。理由の多くは「対象者に気づいていない」こと。そして、もうひとつの落とし穴が期限です。この加算は65歳の誕生日の前々日までしか算定できません。65歳の誕生日まででも、誕生日の前日まででもありません。

この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)通所リハビリテーション費 注14、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第18号、老企第36号、平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 単位数は1日につき60単位であること
  • 算定要件は「個別の担当者を定めること」だけであること
  • 対象者は介護保険法施行令第2条第6号の「初老期における認知症」によって要介護者となった者
  • 65歳の誕生日の前々日までしか算定できないこと
  • なぜ「前日」ではなく「前々日」なのか
  • 通所介護と違い、通所リハビリには認知症加算との排他規定がないこと
  • 担当者を中心に特性・ニーズに応じたサービス提供を行うことが求められること
  • 届出が必要であること
  • 他サービスの同名加算との単位数の違い(120単位のものがある)
  • 対象者を取りこぼさないための実務の組み立て方

若年性認知症利用者受入加算とは?単位数は60単位

若年性認知症利用者受入加算とは、若年性認知症の利用者を受け入れ、その人ごとに担当者を定めて特性やニーズに応じたサービスを提供した場合に算定できる加算です。

項目内容
単位数60単位
算定の単位1日につき
対象若年性認知症利用者
算定できる期間65歳の誕生日の前々日まで
届出必要
週2回利用で年間およそ6,000単位

1日60単位。週2回・年間約100日の利用なら6,000単位、1単位10円換算で約6万円です。

該当者は多くありませんが、追加コストがほぼゼロで算定できる加算であることを考えると、取りこぼす理由がありません。担当者を決めて届け出るだけです。

告示の原文で算定要件を確認する

通所リハビリテーション費 注14です。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った指定通所リハビリテーション事業所において、若年性認知症利用者に対して指定通所リハビリテーションを行った場合は、若年性認知症利用者受入加算として、1日につき60単位を所定単位数に加算する。

そして、厚生労働大臣が定める基準(告示第95号)第18号が要件の本体です。

十八 通所介護費、通所リハビリテーション費、短期入所生活介護費、(中略)における若年性認知症利用者受入加算の基準

受け入れた若年性認知症利用者(介護保険法施行令第二条第六号に規定する初老期における認知症によって要介護者又は要支援者となった者をいう。)ごとに個別の担当者を定めていること。

  • 要件は「個別の担当者を定めていること」の1つだけ
  • 担当者の資格要件は示されていない
  • 人員の上乗せ配置は不要
  • ただし届出は必要

老企第36号 通所介護費(16)(通所リハビリも同様の取扱い)が、担当者の役割を補っています。

受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別に担当者を定め、その者を中心に、当該利用者の特性やニーズに応じたサービス提供を行うこと。

「定めるだけ」では趣旨を満たさない

要件は担当者の指名ですが、通知は「その者を中心に、当該利用者の特性やニーズに応じたサービス提供を行うこと」まで求めています。

名簿に名前を書いて終わり、では通知の趣旨に反します。担当者名を通所リハビリテーション計画に記載し、その人の視点でニーズを整理した記録を残す——これが最低限の形です。

対象者は「初老期における認知症」によって要介護者となった者

定義の起点は介護保険法施行令第2条第6号、いわゆる第2号被保険者の特定疾病のひとつ「初老期における認知症」です。

要素内容
疾病介護保険法施行令第2条第6号に規定する初老期における認知症
状態それによって要介護者(要支援者)となった者
年齢実務上は65歳の誕生日の前々日まで
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どうやって対象者を見つければいいですか?

リハウルフリハウルフ

いちばん確実なのは被保険者証の「第2号被保険者かどうか」と、特定疾病名を見ること。40〜64歳で要介護認定を受けている人は、必ず特定疾病が特定されている。そこに「初老期における認知症」と書かれていれば、ほぼ該当する。

現場で取りこぼすのは、脳血管疾患で介護保険を使い始めた人が、後から認知症の診断を受けたようなケース。特定疾病の欄だけ見ていると気づけない。

だから40〜64歳の利用者は、加算の対象になり得る前提で一度全員洗い直すのが早い。人数はたかが知れているはずだから。

最大の注意点:65歳の誕生日の「前々日」まで

この加算の実務でいちばん間違えやすいのが期限です。厚生労働省のQ&Aが明言しています。

問40 若年性認知症利用者受入加算について、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護のように月単位の報酬が設定されている場合、65歳の誕生日の前々日が含まれる月はどのように取り扱うのか。

(答)本加算は65歳の誕生日の前々日までは対象であり、月単位の報酬が設定されている小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護については65歳の誕生日の前々日が含まれる月は月単位の加算が算定可能である。

(平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成30年3月23日)

なぜ「前々日」なのか

年齢計算に関する法令上、人は誕生日の前日に年齢が1つ上がります。介護保険で「65歳到達日=誕生日の前日」とされているのはこのためです。

年齢の扱い加算
誕生日の前々日64歳算定できる
誕生日の前日(=65歳到達日)65歳算定できない
誕生日当日65歳算定できない

つまり「64歳である最後の日」が誕生日の前々日、というだけの話です。誕生日の前日はもう65歳なので算定できません。

日額の通所リハビリは日単位で切れる

上記Q&Aは、月単位報酬の小多機・看多機について「前々日が含まれる月は月単位の加算が算定可能」と回答したものです。

通所リハビリは1日につき60単位の日額加算なので、この救済は関係ありません。誕生日の前々日までの利用日に算定し、前日以降の利用日には算定しない——それだけです。

なお介護予防通所リハビリは月額包括報酬ですが、上記Q&Aが名指ししているのは小多機・看多機です。予防の取扱いは指定権者に確認してください。

65歳の誕生月は要注意

対象者の65歳の誕生日は、届出時点で必ず把握できます。誕生日の前々日を「算定終了日」としてカレンダーに登録しておくのが確実です。

この加算は該当者が少ないぶん、請求ソフトの自動判定に頼れないことがあります。過誤請求が起きやすい典型的な場面です。

通所介護との違い:認知症加算との排他規定がない

通所介護の若年性認知症利用者受入加算(同じく60単位/日)には、告示注16に「ただし、認知症加算を算定している場合は、算定しない」というただし書きがあります。

一方、通所リハビリの注14にこのただし書きはありません。通所リハビリには認知症加算そのものが存在しないためです。

サービス単位数認知症加算との関係
通所リハビリ60単位/日認知症加算が存在しない(排他規定なし)
通所介護60単位/日認知症加算(60単位/日)を算定している場合は算定不可

通所介護では「認知症加算を取っている事業所は、若年性認知症利用者受入加算を重ねられない」という判断が必要になりますが、通所リハビリではその検討自体が不要です。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは併算定できる

通所リハビリで認知症に関わる加算といえば、認知症短期集中リハビリテーション実施加算です。両者に排他規定はありません。

加算若年性認知症利用者受入加算との併算定
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)(Ⅱ)
リハビリテーションマネジメント加算
中重度者ケア体制加算
科学的介護推進体制加算

若年性認知症で通所開始から3月以内であれば、若年性認知症利用者受入加算60単位/日+認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)240単位/日という組み合わせも成り立ちます。

他サービスの同名加算との比較

サービス単位数
通所リハビリ60単位/日
通所介護60単位/日
短期入所生活介護120単位/日
短期入所療養介護120単位/日(一部60単位)
特定施設入居者生活介護(若年性認知症入居者受入加算)120単位/日

通所系は60単位、宿泊・入居系は120単位という整理です。要件はいずれも「個別の担当者を定めていること」で共通しています。

算定にあたっての実務ステップ

  • 40〜64歳の利用者について、被保険者証と特定疾病を確認する
  • 「初老期における認知症」によって要介護者となっているかを確認する
  • 脳血管疾患等の他の特定疾病で認定を受けた後に認知症の診断を受けた人がいないか、あわせて洗い直す
  • 該当者ごとに個別の担当者を1名決める
  • 担当者名を通所リハビリテーション計画に記載する
  • 担当者を中心に、その人の特性・ニーズに応じたサービス内容を整理し、記録に残す
  • 都道府県知事へ届け出る
  • 65歳の誕生日の前々日を「算定終了日」としてカレンダーと請求ソフトに登録する
  • 誕生日の前日以降の利用日には算定しない

1つ目と8つ目が実務の要です。見つけること止めること——この加算の失敗は、ほぼこの2点に集約されます。

よくある質問

若年性認知症利用者受入加算の単位数は?

通所リハビリでは1日につき60単位です。

算定要件は何ですか?

受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別の担当者を定めていることです。人員の上乗せ配置や研修修了者の配置は求められていません。

担当者に資格要件はありますか?

告示に資格の定めはありません。ただし通知は、その担当者を中心に利用者の特性やニーズに応じたサービス提供を行うことを求めています。

届出は必要ですか?

必要です。告示の注に、都道府県知事への届出を行った事業所が算定するものと定められています。

対象者はどのように判断しますか?

介護保険法施行令第2条第6号に規定する「初老期における認知症」によって要介護者となった者です。第2号被保険者の特定疾病の確認が出発点になります。

いつまで算定できますか?

65歳の誕生日の前々日までです。厚生労働省のQ&Aが「本加算は65歳の誕生日の前々日までは対象であり」と明記しています。

なぜ誕生日の前日ではないのですか?

年齢は誕生日の前日に1つ上がるためです。誕生日の前日はすでに65歳に達しているため、64歳である最後の日である誕生日の前々日が算定の最終日になります。

65歳の誕生月は月末まで算定できますか?

通所リハビリは日額の加算なので、できません。月単位の加算が誕生日の前々日を含む月まで算定できるとされているのは、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護についての取扱いです。

認知症加算と併算定できませんか?

通所リハビリには認知症加算がないため、その検討は不要です。認知症加算との排他規定があるのは通所介護です。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算と併算定できますか?

できます。両者に排他規定は置かれていません。

通所介護と単位数は同じですか?

同じ60単位/日です。ただし通所介護には認知症加算を算定している場合は算定しないというただし書きがあります。

ショートステイと単位数が違うのはなぜですか?

短期入所生活介護・短期入所療養介護は120単位/日で、通所系の60単位/日より高く設定されています。要件はいずれも個別の担当者を定めることで共通しています。

まとめ
  • 通所リハビリの若年性認知症利用者受入加算は1日につき60単位
  • 算定要件は「受け入れた利用者ごとに個別の担当者を定めていること」の1つだけ
  • 担当者の資格要件は定められていない
  • 人員の上乗せ配置やLIFE提出は不要
  • ただし都道府県知事への届出は必要
  • 通知は担当者を中心とした特性・ニーズに応じたサービス提供を求めている
  • 名簿に名前を書くだけでは趣旨を満たさない
  • 対象は施行令第2条第6号の「初老期における認知症」により要介護者となった者
  • 第2号被保険者の特定疾病の確認が対象者把握の出発点
  • 他の特定疾病で認定後に認知症の診断を受けた人を取りこぼしやすい
  • 算定できるのは65歳の誕生日の前々日まで
  • 年齢は誕生日の前日に1つ上がるため、前日はすでに65歳で算定できない
  • 通所リハビリは日額加算なので、誕生月の月末までという救済はない
  • 月単位加算の救済は小多機・看多機についての取扱い
  • 通所リハビリには認知症加算がないため排他規定もない
  • 通所介護は認知症加算を算定している場合は算定できない
  • 認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは併算定できる
  • リハマネ加算・中重度者ケア体制加算等とも併算定できる
  • 短期入所系・特定施設系は120単位/日で通所系より高い
  • 失敗の型は「見つけられない」と「止め忘れる」の2つ
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、老企第36号の留意事項通知および平成30年度介護報酬改定に関するQ&Aにもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。介護予防通所リハビリテーションにおける65歳到達月の取扱いは、本文で引用したQ&Aが小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護について回答したものであるため、指定権者にご確認ください。届出の様式・提出方法、担当者の定め方の記録上の取扱いは指定権者によって異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。対象者の見つけ方や記録に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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