小規模多機能型居宅介護(小多機)に登録すると、併用できる介護保険サービスは4つだけになります。

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 福祉用具貸与

根拠は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の留意事項通知です。「小規模多機能型居宅介護を受けている間については、訪問看護費、訪問リハビリテーション費、居宅療養管理指導費及び福祉用具貸与費を除く指定居宅サービス並びに指定地域密着型サービスに係る費用の額は算定しないものであること。」

訪問介護も、通所介護も、ショートステイも使えません。小多機の「通い・訪問・泊まり」がそれらを代替するからです。そして重要なのが、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)では訪問看護も併用できないという点。同じ通知が両者を書き分けています。

この記事では、当該留意事項通知、告示第126号、省令34号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 小多機と併用できる4つのサービス(通知の原文)
  • 訪問介護・通所介護・ショートステイが使えない理由
  • 看多機では訪問看護も併用できないこと
  • 小多機と看多機で併用可能サービスが違う理由
  • 小多機の登録そのものができなくなる場合
  • 2か所の小多機を同時に使えないこと
  • 月額包括報酬なので限度額の考え方が変わること
  • 週4回未満の利用で70%に減額されること
  • 住宅改修や特定福祉用具販売の扱い
  • 小多機に移るかどうかの判断軸

併用できるのは4サービスだけ

留意事項通知の原文です。

なお、小規模多機能型居宅介護を受けている間については、訪問看護費、訪問リハビリテーション費、居宅療養管理指導費及び福祉用具貸与費を除く指定居宅サービス並びに指定地域密着型サービスに係る費用の額は算定しないものであること。

サービス小多機との併用
訪問看護できる
訪問リハビリテーションできる
居宅療養管理指導できる
福祉用具貸与できる
訪問介護できない
訪問入浴介護できない
通所介護(デイサービス)できない
通所リハビリテーション(デイケア)できない
短期入所生活介護・短期入所療養介護できない
定期巡回・随時対応型訪問介護看護できない
夜間対応型訪問介護できない
認知症対応型通所介護できない
なぜこの4つだけなのか

並べてみると法則が見えます。使えるのは「医療系のサービス」と「モノの貸与」だけです。

小多機は通い・訪問・泊まりを1つの事業所で一体的に提供するサービスです。だから訪問介護・通所介護・ショートステイは、小多機の中身と丸ごと重なります。二重に給付すれば重複です。

一方、訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導は医師の指示や医学的管理にもとづく医療系サービスで、小多機の機能では代替できません。福祉用具貸与は人的サービスではなくモノなので、そもそも重なりません。

看多機では訪問看護も併用できない

ここが本記事の核心です。同じ通知が、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)について別に定めています。

なお、複合型サービスを受けている間については、訪問リハビリテーション費、居宅療養管理指導費及び福祉用具貸与費を除く指定居宅サービス並びに指定地域密着型サービスに係る費用の額は算定しないものであること。

サービス小多機看多機(複合型サービス)
訪問看護併用できる併用できない
訪問リハビリテーション併用できる併用できる
居宅療養管理指導併用できる併用できる
福祉用具貸与併用できる併用できる

違いは訪問看護の1点だけです。理由は明快で、看多機は訪問看護を内包しているサービスだからです。看多機は「小多機+訪問看護」として設計されているため、外から訪問看護を入れる必要がありません。

ちびウルフちびウルフ

看多機のほうが使えるサービスが少ないんですね。損した気分になりませんか?

リハウルフリハウルフ

逆です。看多機は看護が最初から入っているので、外から足す必要がないだけ。使えるサービスの数と、受けられるケアの量は別物です。

実務で意味を持つのは訪問リハビリがどちらでも併用できることです。ここは意外と知られていない。小多機に登録した方でも、訪問リハビリは別建てで入れます。

担当したケースでも、小多機の通いで生活リズムを作りつつ、自宅での動作を訪問リハビリで詰める、という組み方をしたことがあります。「小多機に入ったらリハビリは受けられない」と思い込んでいるケアマネジャーは、けっこう多い。

そもそも小多機を算定できない場合

逆向きの制限もあります。告示第126号 小規模多機能型居宅介護費 注8です。

登録者が短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護又は認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護若しくは複合型サービスを受けている間は、小規模多機能型居宅介護費は、算定しない。

また注9は、2か所の小多機を同時に使えないことを定めています。

登録者が一の指定小規模多機能型居宅介護事業所において、指定小規模多機能型居宅介護を受けている間は、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所以外の指定小規模多機能型居宅介護事業所が指定小規模多機能型居宅介護を行った場合に、小規模多機能型居宅介護費は、算定しない。

登録できるのは1か所だけです。事業所を変えるときは、登録の切り替えが必要になります。

月額包括報酬なので、限度額の考え方が変わる

小多機の基本報酬は1月につき定額です。日数や回数で積み上がりません。

告示第126号 注1は、基本報酬について「登録者の要介護状態区分に応じて、登録している期間1月につきそれぞれ所定単位数を算定する」と定めています。要介護度ごとの定額であり、利用回数では変動しません。

  • 基本報酬は登録している期間1月につき算定する
  • 通い・訪問・泊まりを何回使っても、基本報酬は変わらない
  • したがって使えば使うほど「単価」は下がる
  • 区分支給限度基準額の枠内に収まる設計になっている

これが小多機の最大の利点です。ショートステイを頻繁に使う方や、訪問介護を1日に何度も入れたい方は、限度額の管理から解放されます。

使わないと70%に減額される

逆に、あまり使わないと事業所側にペナルティがあります。告示第126号 注7です。

「通いサービス、訪問サービス及び宿泊サービスの算定月における提供回数について、登録者1人当たり平均回数が、週4回に満たない場合は、所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定する。」

登録者全体の平均で判定されるため、ほとんど使わない登録者がいると事業所全体の報酬が下がります。「登録だけしておく」という使い方が想定されていない構造です。

逆に言えば、週4回以上使う見込みがないなら小多機は向いていないということでもあります。

住宅改修と特定福祉用具販売はどうか

通知が除外しているのは「指定居宅サービス」と「指定地域密着型サービス」に係る費用です。

扱い
福祉用具貸与通知が明示的に除外しており、併用できる
特定福祉用具販売居宅介護福祉用具購入費として別建て(支給限度基準額も別)
住宅改修居宅介護住宅改修費として別建て(支給限度基準額も別)

特定福祉用具販売と住宅改修は、そもそも区分支給限度基準額とは別の支給限度基準額で管理されるものです。小多機の登録の有無にかかわらず利用できます。

ケアマネジャーは小多機の事業所が担当する

併用の話とセットで押さえるべきなのが、ケアマネジメントの主体です。指定地域密着型サービス基準(省令34号)第63条第10項です。

指定小規模多機能型居宅介護事業者は、登録者に係る居宅サービス計画及び小規模多機能型居宅介護計画の作成に専ら従事する介護支援専門員を置かなければならない。

さらに第74条は「指定小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は、介護支援専門員に、登録者の居宅サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとする」と定めています。

小多機に登録すると、それまでの居宅介護支援事業所のケアマネジャーからは離れます。併用できる訪問リハビリ等も含めて、小多機のケアマネジャーが居宅サービス計画に位置付けます。この点は別記事で詳しく整理します。

小多機に移るかどうかの判断軸

  • 現在のサービス利用が、通い・訪問・泊まりの組み合わせで代替できるか確認する
  • 週4回以上の利用見込みがあるか確認する(下回ると事業所の報酬が減る)
  • 訪問看護・訪問リハビリを継続する必要があるか確認する(小多機なら併用できる)
  • 現在の限度額の消費状況を計算し、月額包括のほうが有利かを比べる
  • 担当ケアマネジャーが変わることを本人・家族に説明し、同意を得る
  • 現在の訪問介護・通所介護の事業所との関係をどうするか整理する
  • 看護のニーズが大きいなら、看多機も選択肢に入れる

5つ目を軽視しないでください。長年同じケアマネジャーが担当してきた方にとって、担当者が変わることは制度の説明以上に大きな話です。制度上そうなる、で済ませると信頼を損ないます。

ちびウルフちびウルフ

デイサービスだけ今のところを続けたい、というのは無理ですか?

リハウルフリハウルフ

介護保険では無理です。通所介護費が算定できません。小多機の「通い」に移ってもらうしかない。

ここが小多機のいちばんの障壁です。制度としては合理的でも、利用者にとっては通い慣れた場所と人間関係を全部手放すという話になる。

だから私は、小多機を勧めるときは「今のデイをやめる」という部分を最初に、はっきり伝えるようにしています。あとから分かると必ず揉めます。メリットから話し始めない。

よくある質問

小規模多機能と併用できるサービスは何ですか?

訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与の4つです。留意事項通知がこの4つを除く指定居宅サービス・指定地域密着型サービスの費用は算定しないとしています。

訪問介護は使えなくなりますか?

使えません。小多機の「訪問」がこれを代替します。通所介護、通所リハビリテーション、ショートステイも同様です。

訪問リハビリは続けられますか?

続けられます。訪問リハビリテーション費は除外されているため、小多機と併用できます。看多機でも併用できます。

看多機では訪問看護を併用できますか?

できません。通知は複合型サービスについて、訪問リハビリテーション費・居宅療養管理指導費・福祉用具貸与費のみを除外しており、訪問看護費は含まれていません。看多機が訪問看護を内包しているためです。

小多機と看多機で併用できるサービスの違いは?

訪問看護の1点だけです。小多機は併用でき、看多機は併用できません。

2か所の小多機を使えますか?

使えません。告示第126号 注9により、他の小多機事業所がサービスを行っても小規模多機能型居宅介護費は算定されません。登録は1か所のみです。

ショートステイを使うと小多機はどうなりますか?

短期入所生活介護等を受けている間は、小規模多機能型居宅介護費が算定されません(注8)。泊まりは小多機の宿泊サービスを使います。

限度額はどうなりますか?

小多機の基本報酬は1月につきの定額です。通い・訪問・泊まりを何回使っても基本報酬は変わらないため、頻回に利用する方ほど有利になります。

あまり利用しない場合はどうなりますか?

登録者1人当たりの平均提供回数が週4回に満たない場合、所定単位数の70%になります(注7)。登録者全体の平均で判定されるため、事業所全体の報酬に影響します。

住宅改修や福祉用具の購入はできますか?

できます。居宅介護住宅改修費と居宅介護福祉用具購入費は、区分支給限度基準額とは別の支給限度基準額で管理されるため、小多機の登録の有無にかかわらず利用できます。

ケアマネジャーはどうなりますか?

小多機の事業所に配置された介護支援専門員が、登録者の居宅サービス計画を作成します(省令34号 第63条第10項、第74条)。それまでの居宅介護支援事業所からは離れます。

今のデイサービスだけ続けることはできますか?

介護保険では通所介護費が算定できないため、続けられません。小多機の「通い」に移ることになります。この点は事前にはっきり説明しておく必要があります。

まとめ
  • 小多機と併用できるのは訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導・福祉用具貸与の4つ
  • それ以外の指定居宅サービス・指定地域密着型サービスは算定しない
  • 訪問介護・訪問入浴・通所介護・通所リハ・ショートステイはいずれも使えない
  • 定期巡回・夜間対応型・認知症対応型通所介護も使えない
  • 使えるのは医療系サービスとモノの貸与だけ、という法則がある
  • 小多機の通い・訪問・泊まりが、それらのサービスを代替するため
  • 看多機(複合型サービス)では訪問看護も併用できない
  • 看多機は訪問看護を内包しているサービスだから
  • 小多機と看多機の違いは訪問看護の1点だけ
  • 訪問リハビリはどちらでも併用できる(見落とされやすい)
  • ショートステイや特定施設等を受けている間は小多機費が算定されない
  • 登録できる小多機は1か所だけ
  • 基本報酬は1月につきの定額で、回数では積み上がらない
  • 頻回に利用する方ほど限度額の管理から解放される
  • 登録者1人当たり平均が週4回未満なら所定単位数の70%
  • 「登録だけしておく」使い方は想定されていない
  • 週4回以上使う見込みがないなら小多機は向いていない
  • 住宅改修と特定福祉用具販売は別の支給限度基準額なので利用できる
  • 居宅サービス計画は小多機の介護支援専門員が作成する
  • それまでの居宅介護支援事業所のケアマネジャーからは離れる
  • 小多機を勧めるときは「今のデイをやめる」ことを最初に伝える
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、省令および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および保険者(市町村)の解釈をご確認ください。小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導監督は市町村が行うため、運用の細部が市町村によって異なる場合があります。本文中の単位数は例示であり、要介護度・事業所の類型・地域区分・加算の有無により実際の単位数は異なります。基本報酬の具体的な単位数は告示の原文をご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。移行の判断軸や本人・家族への説明の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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