小規模多機能型居宅介護の生活機能向上連携加算とは?100単位・200単位の要件を解説

小規模多機能型居宅介護(小多機)の生活機能向上連携加算は、(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位です。外部のリハビリテーション専門職と連携して、生活機能の向上を目的とした小規模多機能型居宅介護計画を作成した場合に算定します。
単位数だけを見ると(Ⅱ)が2倍ですが、実際の差はもっと大きくなります。(Ⅰ)は初回の月に1回きり、(Ⅱ)は初回の月以降3月間、毎月算定できるためです。合計すると100単位対600単位、6倍の開きになります。
算定率は(Ⅰ)1.9%・(Ⅱ)1.7%(令和4年3月サービス提供分・事業所ベース)。小多機の加算のなかで最も算定されていない部類です。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)小規模多機能型居宅介護費のルを確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員で、訪問リハビリテーションが主戦場です。この加算では「助言する側」に立つことが多い立場から書いています。
- (Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位の違いと、算定できる回数の差
- 合計すると6倍の差になる理由
- 連携先となるリハビリテーション事業所・医療提供施設の範囲
- (Ⅰ)は「助言」、(Ⅱ)は「共同評価」という関与の深さの違い
- 主体が機能訓練指導員ではなく介護支援専門員であること
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できないこと
- 個別機能訓練加算がない小多機での位置づけ
- 要支援でも算定できること
- 算定率2%前後の背景
(Ⅰ)と(Ⅱ)の決定的な違いは算定回数
| 区分 | 単位数 | 算定できる期間 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位/月 | 初回の月のみ | 100単位 |
| 生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位/月 | 初回の月以降3月間 | 600単位 |
告示126号 ルの注1は(Ⅰ)について「初回の当該指定小規模多機能型居宅介護が行われた日の属する月に、所定単位数を加算する」としています。1回で終わりです。
注2は(Ⅱ)について「初回の当該指定小規模多機能型居宅介護が行われた日の属する月以降3月の間、1月につき所定単位数を加算する」としています。3か月にわたって毎月200単位です。
そして注2のただし書きは「(1)を算定している場合は、算定しない」としており、(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できません。
要件の差は「助言をもらうか、一緒に評価するか」です。リハビリテーション専門職に来てもらう手間は(Ⅱ)のほうが大きいものの、報酬は6倍になります。
連携先を確保できるなら、最初から(Ⅱ)を前提に段取りするほうが合理的です。
連携先になれるのは3種類
注1・注2が挙げる連携先は共通しています。
- 指定訪問リハビリテーション事業所
- 指定通所リハビリテーション事業所
- リハビリテーションを実施している医療提供施設
そこに所属する医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が相手方になります。
条文が挙げているのは訪問リハ事業所・通所リハ事業所・医療提供施設です。訪問看護ステーションから訪問しているリハビリテーション専門職は、この3つに当たりません。
在宅ではリハ職の訪問先として訪問看護ステーションからの提供が多いため、ここで連携先を取り違えやすいところです。相手方の事業所種別を先に確認してください。
(Ⅰ)は「助言」、(Ⅱ)は「共同評価」
| (Ⅰ)100単位 | (Ⅱ)200単位 | |
|---|---|---|
| リハ職の関与 | 助言 | 居宅訪問の際に共同で身体の状況等を評価 |
| 訪問の要否 | 条文上、リハ職の居宅訪問は求められていない | リハ職が訪問リハ・通所リハ等の一環として居宅を訪問する |
| 事業所側の動き | 助言に基づき計画を作成 | 介護支援専門員が同行する等により共同評価に参加し、計画を作成 |
| その後 | 計画に基づきサービスを提供 | リハ職と連携し、計画に基づきサービスを提供 |
(Ⅱ)で重要なのは「指定訪問リハビリテーション、指定通所リハビリテーション等の一環として当該利用者の居宅を訪問する際に」という条件です。小多機のために単独で訪問してもらうのではなく、もともとリハ職が入る予定の訪問に同席するという組み立てになります。
ちびウルフ小多機の登録者って、訪問リハや通所リハを併用できるんですか?
リハウルフいい着眼点です。小多機の登録者が算定できないのは、告示126号の注8が挙げる短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護などです。
訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションは、この列挙に含まれていません。つまり小多機を利用しながら訪問リハを併用することは、条文上は妨げられていません。
実際、私が担当する利用者にも小多機を使っている方がいます。週1回の訪問リハに、小多機のケアマネジャーが同席する――これが(Ⅱ)の典型的な形です。訪問の予定はもともと決まっているので、追加の負担は同席時間だけです。
主体は「介護支援専門員」
他サービスの生活機能向上連携加算と決定的に違うのが、この点です。
| サービス | 計画を作成する主体 |
|---|---|
| 小規模多機能型居宅介護 | 介護支援専門員(指定地域密着型サービス基準第63条第10項に規定する者) |
| 短期入所生活介護など | 機能訓練指導員等が共同して |
小多機では、事業所に配置された介護支援専門員が小規模多機能型居宅介護計画を作成するため、この加算も介護支援専門員が主体になります。
裏を返せば、機能訓練指導員や理学療法士を自事業所に配置する必要がないということです。外部のリハ職と、自事業所の介護支援専門員がつながれば成立します。
小多機には個別機能訓練加算がない
この加算の位置づけを理解するうえで重要なのが、小多機には個別機能訓練加算も機能訓練体制加算も存在しないことです。
| 加算 | 小多機 | 短期入所生活介護 |
|---|---|---|
| 生活機能向上連携加算 | ○(100/200単位) | ○(100/200単位) |
| 機能訓練体制加算 | × | ○(12単位/日) |
| 個別機能訓練加算 | × | ○(56単位/日) |
短期入所生活介護では、個別機能訓練加算を算定していると生活機能向上連携加算(Ⅰ)が算定できず、(Ⅱ)も減額されるという調整があります。小多機にはその調整規定がありません。調整すべき相手がいないからです。
つまり小多機において、リハビリテーションの視点を報酬上評価する仕組みはこの加算だけです。
要支援でも算定できる
指定地域密着型介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第128号にも、介護予防小規模多機能型居宅介護費の生活機能向上連携加算(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位が置かれています。
連携先は指定介護予防訪問リハビリテーション事業所・指定介護予防通所リハビリテーション事業所・リハビリテーションを実施している医療提供施設と読み替えられます。予防版の条文では、医療提供施設について「病院にあっては、許可病床数が200床未満のもの又は当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものに限る」という限定が明記されています。
算定率2%前後|連携先とのつながりが壁
| 加算 | 単位数 | 算定率(事業所ベース) |
|---|---|---|
| 科学的介護推進体制加算 | 40単位/月 | 33.3% |
| 口腔・栄養スクリーニング加算 | 20単位/回 | 5.2% |
| 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位 | 1.9% |
| 生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位/月・3月 | 1.7% |
2%前後という水準は、要件の重さというより連携先との関係が作れていないことを示していると考えられます。
新たに連携先を開拓する必要はありません。登録者のなかに訪問リハや通所リハを使っている方がいれば、そのリハ職が連携先になり得ます。
リハ職の側から見ても、小多機の計画に自分の評価が反映されるのは歓迎すべきことです。通いの日にどう過ごしてもらうか、訪問時に何を見てもらうかを共有できると、在宅生活の支え方が変わります。
担当したケースでも、訪問リハで「立ち上がりは手すりを使えばできる」と評価した内容が小多機の通いに伝わらず、車いす対応が続いていたことがありました。同席して評価を共有するだけで解消する話です。600単位はその副産物だと考えるのが実態に合っています。
小多機の生活機能向上連携加算はいくらですか?
(Ⅰ)100単位、(Ⅱ)200単位です。(Ⅰ)は初回の月に1回のみ、(Ⅱ)は初回の月以降3月間、毎月算定できます。
(Ⅰ)と(Ⅱ)はどちらが有利ですか?
合計額では(Ⅱ)です。(Ⅰ)は100単位で終わりますが、(Ⅱ)は200単位×3月=600単位になります。
(Ⅰ)と(Ⅱ)を両方算定できますか?
できません。注2に「(1)を算定している場合は、算定しない」とあります。
連携先はどこでもよいですか?
指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所、リハビリテーションを実施している医療提供施設のいずれかです。所属する医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が相手方になります。
訪問看護ステーションの理学療法士でもよいですか?
条文が挙げる3つの連携先に訪問看護ステーションは含まれていません。相手方の事業所種別を確認してください。
(Ⅱ)ではリハ職に単独で訪問してもらう必要がありますか?
条文は「指定訪問リハビリテーション、指定通所リハビリテーション等の一環として当該利用者の居宅を訪問する際に介護支援専門員が同行する等により」としています。もともと予定されている訪問に同席する形が想定されています。
誰が計画を作成するのですか?
小多機の介護支援専門員です。他サービスのように機能訓練指導員等が主体になるのではなく、事業所の介護支援専門員が小規模多機能型居宅介護計画を作成します。
自事業所にリハビリ職を配置する必要はありますか?
ありません。外部のリハビリテーション専門職と、自事業所の介護支援専門員が連携すれば成立します。
小多機を利用しながら訪問リハは使えますか?
告示126号の注8が算定を止めているのは短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護等で、訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションは含まれていません。具体的な取扱いは市町村にご確認ください。
小多機に個別機能訓練加算はありますか?
ありません。機能訓練体制加算もありません。小多機でリハビリテーションの視点を報酬上評価する仕組みは、この加算のみです。
要支援でも算定できますか?
できます。介護予防小規模多機能型居宅介護にも(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位が設けられています。
- 小多機の生活機能向上連携加算は(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位
- (Ⅰ)は初回の月に1回のみ、(Ⅱ)は初回の月以降3月間毎月
- 合計すると100単位対600単位で6倍の差になる
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない
- 連携先は訪問リハ事業所・通所リハ事業所・リハを実施している医療提供施設の3つ
- 相手方は医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
- 訪問看護ステーションのリハ職は条文上の連携先に含まれない
- (Ⅰ)は助言に基づく計画作成、(Ⅱ)は居宅訪問時の共同評価が必要
- (Ⅱ)はリハ職の訪問リハ・通所リハ等の一環としての訪問に同席する形
- 計画作成の主体は機能訓練指導員ではなく介護支援専門員
- 自事業所にリハビリ職を配置する必要はない
- 小多機には個別機能訓練加算も機能訓練体制加算もない
- そのため他サービスにある併算定調整の規定も存在しない
- 小多機でリハビリテーションの視点を評価する唯一の加算といえる
- 要支援(介護予防小規模多機能型居宅介護)でも算定できる
- 算定率は(Ⅰ)1.9%・(Ⅱ)1.7%と小多機の加算では最低水準
- 要件の重さより、連携先との関係が作れていないことが要因と考えられる
- 登録者がすでに使っている訪問リハ・通所リハのリハ職が連携先になり得る
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表「小規模多機能型居宅介護費」ル(生活機能向上連携加算)・注8(給付調整)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表「介護予防小規模多機能型居宅介護費」ト(生活機能向上連携加算)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第63条第10項(介護支援専門員)、第77条第1項(小規模多機能型居宅介護計画)(厚生労働省法令等データベース)
- 社会保障審議会介護給付費分科会(第218回)資料2「小規模多機能型居宅介護」(PDF)小規模多機能型居宅介護の算定状況(介護給付費等実態統計 令和4年4月審査分)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、省令および審議会資料にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。地域密着型サービスの指定・指導は市町村が行うため、連携の実施方法、同行の要否、記録の様式が自治体によって異なる場合があります。本記事は告示・省令の文言にもとづいて整理しており、留意事項通知の細目までは反映していません。小多機と訪問リハビリテーション等の併用の可否は、告示の給付調整規定に列挙がないことからの記述であり、ケアプラン上の適否を含めて市町村にご確認ください。算定率は令和4年3月サービス提供分の数値です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。連携の進め方や現場での効果に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




