小規模多機能型居宅介護(小多機)の科学的介護推進体制加算は、1月につき40単位です。区分はなく1本のみ。利用者ごとのADL値・栄養状態・口腔機能・認知症の状況などをLIFE(科学的介護情報システム)へ提出し、その情報を計画の見直しに活用することが要件です。

令和6年度改定では、この加算に3つの見直しが入りました。もっとも実務に響くのはLIFEへのデータ提出頻度が「少なくとも6月に1回」から「少なくとも3月に1回」に変わったことです。提出の間隔が半分になっています。

算定率は33.3%(令和4年3月サービス提供分・事業所ベース)。40単位という単価に対して、データ提出の手間をどう見るかで判断が分かれてきた加算です。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)小規模多機能型居宅介護費のワ、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 科学的介護推進体制加算の単位数(40単位/月)と2つの要件
  • 令和6年度改定による3つの見直し
  • データ提出頻度が3月に1回へ変更されたこと
  • 他のLIFE関連加算と提出タイミングを揃えられるようになったこと
  • 月末に利用開始した場合の提出期限の特例
  • 期限までに提出できなかった月は算定できないこと
  • 提出が遅れた理由を介護記録に残す必要があること
  • 「提出するだけ」では要件を満たさないこと
  • 要支援でも算定できること
  • 算定率33.3%をどう読むか

要件は「提出」と「活用」の2つ

告示126号の小規模多機能型居宅介護費「ワ 科学的介護推進体制加算」の注は、次の2つを求めています。

  • (1) 提出:利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること
  • (2) 活用:必要に応じて小規模多機能型居宅介護計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、(1)の情報その他のサービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること
項目内容
単位数1月につき40単位
区分なし(1区分)
対象「イ」=小規模多機能型居宅介護費(登録者)
届出必要
「提出するだけ」では要件を満たさない

(2)の活用要件は、実地指導で確認されるポイントです。LIFEにデータを送っているが、フィードバックを見ていない・計画に反映していないという状態は、条文の要件を満たしていません。

小多機の場合、活用先は小規模多機能型居宅介護計画です。事業所の介護支援専門員が計画を作るサービスなので、計画の見直し記録にLIFEの情報を踏まえた記載があるかどうかが、そのまま証拠になります。

令和6年度改定の3つの見直し

厚生労働省の改定資料は、科学的介護推進体制加算について「質の高い情報の収集・分析を可能とし、入力負担を軽減し科学的介護を推進する観点から」次の見直しを行うとしています。

見直しの内容
加算の様式について、入力項目の定義の明確化や他の加算と共通している項目の見直し等を実施
LIFEへのデータ提出頻度について、少なくとも「6月に1回」から「3月に1回」に見直す
初回のデータ提出時期について、他のLIFE関連加算と揃えることを可能とする

イは負担増に見えますが、目的は他のLIFE関連加算(褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算、自立支援促進加算など)と提出頻度を統一することにあります。加算ごとに提出時期がバラバラで管理が煩雑だ、という現場の実態を踏まえた整理です。

複数のLIFE関連加算を取るほど恩恵がある

改定資料は、見直しの趣旨をこう説明しています。

「各加算のデータ提出頻度について、サービス利用開始月より入力を求めている加算もあれば、サービス利用開始後の計画策定時に入力が必要な加算もあり、同一の利用者であっても算定する加算によって入力のタイミングが異なり、事業所における入力タイミングの管理が煩雑となっている

科学的介護推進体制加算だけを算定している事業所にとっては、単純に頻度が倍になる改定です。一方、複数のLIFE関連加算を算定している事業所は、提出タイミングを揃えられるぶん管理が楽になります。

データ提出の期限|1日でも遅れるとその月は算定できない

令和6年度改定に関するQ&A(Vol.1)問171は、提出期限の考え方を明確にしています。

加算の算定についてはLIFEへのデータ提出が要件となっているため、利用開始月の翌月の10日までにデータを提出していない場合は、当該利用者に限り当該月の加算の算定はできない。当該月の翌々月の10日までにデータ提出を行った場合は、当該月の翌月より算定が可能。

  • 原則
    利用開始月の翌月10日までにデータを提出する。
  • 月末に利用を開始した場合の特例
    情報を収集する時間が十分確保できないなどやむを得ない場合は、利用開始月の翌々月の10日までに提出することとしても差し支えない。
  • ただし算定できる月がずれる
    翌々月10日までの提出になった場合、その利用者について利用開始月の加算は算定できない。翌月分から算定可能になる。
  • 理由を記録する
    翌月10日までに提出が困難だった理由を、介護記録等に明記しておく必要がある。
ちびウルフちびウルフ

40単位のために、そこまで期限を気にしないといけないんですか……。

リハウルフリハウルフ

正直なところ、40単位(月400円程度)は小多機の加算のなかでは最小クラスです。登録者25人でも月1,000単位。

ただ、この加算の本体は金額ではなくフィードバックです。LIFEに提出すると、事業所単位・利用者単位の分析結果が返ってきます。ADLや口腔・栄養の状態が同種事業所と比べてどうか、経時的にどう動いているかが見える。

訪問リハの現場から見ても、「利用者の状態を数字で追う習慣」がある事業所とない事業所では、計画の質が違います。40単位を取りに行くというより、計画見直しの根拠を持つための仕組みとして使うほうが実態に合っていると思います。

要支援でも算定できる

指定地域密着型介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第128号にも、介護予防小規模多機能型居宅介護費の科学的介護推進体制加算(40単位)が置かれています。要件も同じ構造です。

加算要支援での算定
科学的介護推進体制加算○(40単位)
総合マネジメント体制強化加算
サービス提供体制強化加算
初期加算
認知症加算・看護職員配置加算・訪問体制強化加算・看取り連携体制加算×

算定率33.3%|3事業所に1つ

加算単位数算定率(事業所ベース)
認知症加算(Ⅰ)(改定前)800単位/月92.3%
総合マネジメント体制強化加算1,000単位/月90.0%
初期加算30単位/日64.9%
訪問体制強化加算1,000単位/月42.4%
科学的介護推進体制加算40単位/月33.3%
口腔・栄養スクリーニング加算20単位/回5.2%

単位数ベースでは総単位数の0.06%にとどまります。金額としては小さく、算定していない事業所が3分の2という位置づけです。

ただし今後を考えると、LIFEへのデータ提出は他の加算の要件にも組み込まれていく方向にあります。褥瘡マネジメント加算や排せつ支援加算は、看多機には設けられていますが小多機にはありません。小多機でLIFEに触れる入口は、現状この加算だけです。

小多機でLIFEを使う唯一の加算

看多機には褥瘡マネジメント加算(3/13単位)、排せつ支援加算(10/15/20単位)といったLIFE関連加算がありますが、小多機にはありません。

そのため小多機では、科学的介護推進体制加算を算定しない限りLIFEにデータを提出する場面がありません。提出タイミングを揃える改定(ウ)の恩恵も受けられないということになります。

よくある質問
科学的介護推進体制加算はいくらですか?

1月につき40単位です。区分はなく1本のみです。

要件は何ですか?

①利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況等の情報を厚生労働省に提出すること、②必要に応じて小規模多機能型居宅介護計画を見直すなど、その情報を活用すること、の2つです。

令和6年度改定で何が変わりましたか?

①様式の入力項目の定義の明確化等、②LIFEへのデータ提出頻度を少なくとも「6月に1回」から「3月に1回」へ、③初回のデータ提出時期を他のLIFE関連加算と揃えることを可能に、の3点です。

データはいつまでに提出すればよいですか?

原則として利用開始月の翌月10日までです。月末に利用を開始し情報収集の時間が確保できないなどやむを得ない場合は、翌々月の10日まででも差し支えないとされています。

翌々月10日までの提出にした場合、利用開始月の加算は算定できますか?

できません。Q&Aは「利用開始月の翌月の10日までにデータを提出していない場合は、当該利用者に限り当該月の加算の算定はできない」としています。翌々月10日までに提出した場合は、翌月分から算定可能です。

提出が遅れた場合に必要な対応はありますか?

利用開始月の翌月10日までに提出が困難であった理由を、介護記録等に明記しておく必要があります。

データを提出していれば算定できますか?

できません。提出した情報を活用し、必要に応じて小規模多機能型居宅介護計画を見直すことが2つ目の要件です。フィードバックを計画に反映した記録を残してください。

要支援でも算定できますか?

できます。介護予防小規模多機能型居宅介護にも40単位の科学的介護推進体制加算が設けられています。

小多機には他にLIFE関連の加算がありますか?

ありません。看多機には褥瘡マネジメント加算や排せつ支援加算がありますが、小多機に設けられているLIFE関連加算は科学的介護推進体制加算のみです。

40単位のために取り組む価値はありますか?

金額としては小さい加算です。判断材料になるのはLIFEからのフィードバックで、利用者の状態を経時的・相対的に把握できる点です。計画見直しの根拠を持つ仕組みとして評価するかどうかが分かれ目になります。

まとめ
  • 科学的介護推進体制加算は1月40単位、区分は1つのみ
  • 要件はLIFEへの情報提出と、その情報の活用(計画の見直し)の2つ
  • 提出するだけでは要件を満たさない
  • 小多機での活用先は小規模多機能型居宅介護計画
  • 令和6年度改定で様式の入力項目が整理された
  • データ提出頻度が「6月に1回」から「3月に1回」に見直された
  • 初回のデータ提出時期を他のLIFE関連加算と揃えられるようになった
  • 頻度の統一は、複数のLIFE関連加算を算定する事業所の管理負担を減らす趣旨
  • 提出期限は原則として利用開始月の翌月10日まで
  • 月末開始でやむを得ない場合は翌々月10日まで提出できる
  • ただしその場合、利用開始月の加算は算定できず、翌月分から算定になる
  • 提出が遅れた理由は介護記録等に明記する必要がある
  • 要支援(介護予防小規模多機能型居宅介護)でも40単位で算定できる
  • 算定率は33.3%、単位数ベースでは総単位数の0.06%
  • 小多機に設けられているLIFE関連加算はこの加算のみ
  • 看多機にある褥瘡マネジメント加算・排せつ支援加算は小多機にはない
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、改定資料およびQ&Aにもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。地域密着型サービスの指定・指導は市町村が行うため、活用の記録水準やデータ提出の運用が自治体によって異なる場合があります。LIFEの様式・提出方法の詳細は、厚生労働省が別途示す通知および操作マニュアルによります。本記事は告示・改定資料・Q&Aの文言にもとづいて整理しており、留意事項通知の細目までは反映していません。算定率は令和4年3月サービス提供分の数値です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。フィードバックの活用に関する評価は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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