ショートステイは区分支給限度基準額を使います。しかも1日単位で積み上がるため、消費のスピードが他のサービスとは桁違いです。

要介護3・併設型で1日745単位。10日連続で泊まれば7,450単位です。要介護3の区分支給限度基準額は27,048単位なので、これだけで限度額の約28%を使います。訪問介護や通所介護と組み合わせると、あっという間に上限に届きます。

一方で、食費と滞在費は限度額に含まれません。これらは介護保険給付の対象外の自己負担であり、単位数として計算されないからです。「ショートは高い」という感覚と、限度額の消費とは、必ずしも一致しません。

この記事では、告示第33号(限度額)、告示第19号(単位数)、介護保険法施行規則を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 区分支給限度基準額の単位数(告示の原文)
  • ショートステイの1日あたりの単位数(要介護度・類型別)
  • 要介護度ごとに何日入れられるかの目安
  • 食費・滞在費が限度額に含まれない理由
  • 加算は限度額に含まれること
  • 限度額を超えた分が全額自己負担になること
  • 市町村が独自に上限を設けられる「種類支給限度基準額」
  • その対象にショートステイが含まれていること
  • 月をまたぐ利用の考え方
  • 要介護度が変わった月の限度額の扱い

区分支給限度基準額の単位数

告示第33号(居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額)が定める単位数です。

区分1か月あたりの単位数
要支援15,032単位
要支援210,531単位
要介護116,765単位
要介護219,705単位
要介護327,048単位
要介護430,938単位
要介護536,217単位
(経過的要介護)6,150単位

管理期間は暦月です。介護保険法施行規則第67条は「要介護認定有効期間に係る日が属する月についてそれぞれ当該月の初日からの一月間」と定めています。月の1日から末日までで区切られます。

ショートステイの1日あたりの単位数

告示第19号 短期入所生活介護費(1日につき)です。

要介護度単独型併設型単独型ユニット型併設型ユニット型
要介護1645単位603単位746単位704単位
要介護2715単位672単位815単位772単位
要介護3787単位745単位891単位847単位
要介護4856単位815単位959単位918単位
要介護5926単位884単位1,028単位987単位
ユニット型は1日あたり100単位ほど高い

同じ要介護3でも、併設型745単位に対して単独型ユニット型は891単位。1日で146単位、10日で1,460単位の差が出ます。

限度額が厳しいケースでは、事業所の類型が使える日数を左右します。「どこのショートを使うか」は、居室環境の好みだけの問題ではありません。

要介護度ごとに何日入れられるか

ショートステイだけを使った場合の理論値です(加算・地域区分を除く)。

要介護度限度額併設型で使える日数単独型ユニット型で使える日数
要介護116,765単位約27日約22日
要介護219,705単位約29日約24日
要介護327,048単位約36日約30日
要介護430,938単位約37日約32日
要介護536,217単位約40日約35日

この表を見ると、要介護3以上ならショートだけで1か月分をほぼまかなえるように見えます。しかし現実にはそうなりません。理由は3つです。

  • 連続30日を超えると算定できない(告示第19号 注21)
  • 他のサービス(訪問介護・通所介護・福祉用具貸与など)も限度額を使う
  • 加算も限度額の対象になる

現実的な組み合わせで計算する

要介護3・併設型で、次のようなケアプランを想定します。

サービス回数・日数単位数(概算)
通所介護(7〜8時間)週2回・月8回約6,900単位
訪問介護(身体30分以上1時間未満・387単位)週3回・月12回4,644単位
福祉用具貸与(特殊寝台・車いす等)1か月約1,500単位
小計約13,044単位
限度額の残り約14,004単位
ショートに使える日数(745単位/日)約18日

在宅サービスをある程度入れると、ショートは月18日程度が上限になります。実際には加算も乗るので、さらに減ります。

ちびウルフちびウルフ

要介護1・2の人はもっと厳しいってことですか?

リハウルフリハウルフ

格段に厳しいです。要介護1の限度額は16,765単位。デイと訪問介護を普通に入れたら、ショートに回せるのは数日分しか残りません。

担当したケースでも、要介護1で「家族の休養のために月に1週間ショートを」という希望が出て、計算したら他のサービスをほぼ止めないと入らない、ということがありました。希望を聞く前に、まず単位数で計算してから話す。順序を逆にすると期待させて落とすことになります。

食費・滞在費は限度額に含まれない

ここが誤解の多いところです。ショートステイの費用は、大きく2つに分かれます。

介護保険給付の対象限度額の対象負担
短期入所生活介護費(基本報酬)対象使う1〜3割
各種加算対象使う1〜3割
食費対象外使わない全額(負担限度額認定で軽減あり)
滞在費(居住費)対象外使わない全額(同上)
日常生活費(理美容代等)対象外使わない全額

限度額は「算定される単位数の合計」で管理されます(告示第33号)。食費・滞在費は単位数として算定されないため、限度額の計算に入りません。

「限度額に余裕がある」=「安い」ではない

限度額を使わないということは、裏返せば全額自己負担だということです。

ショートステイの請求書を見ると、介護保険の1割負担分よりも食費・滞在費のほうが大きい、ということが普通に起こります。家族に説明するときは、限度額の話と実際の支払額の話を分けてください。

低所得の方は、介護保険負担限度額認定を申請することで食費・滞在費が軽減されます。申請していないケースが実際にあるので、確認してください。

限度額を超えた分は全額自己負担

限度額を超えて利用した場合、超えた部分は保険給付されません。1割負担ではなく10割です。

状況負担
限度額の範囲内1〜3割
限度額を超えた部分10割(全額自己負担)

要介護3・併設型で1日超過すると、745単位=約7,450円(1単位10円の地域)が丸ごと自己負担になります。1割負担の方なら、通常の10倍です。

意外と知られていない「種類支給限度基準額」

区分支給限度基準額とは別に、市町村が特定のサービスにだけ上限を設けられる仕組みがあります。介護保険法第43条第4項の種類支給限度基準額です。

介護保険法施行規則第69条は、対象となるサービスの種類を列挙しています。

法第43条第4項に規定する居宅サービス及び地域密着型サービスの種類は、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護及び福祉用具貸与並びに夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護及び地域密着型特定施設入居者生活介護とする。

  • 短期入所生活介護・短期入所療養介護は、種類支給限度基準額の対象に含まれている
  • 設定するかどうかは市町村の判断
  • 設定されている場合、区分支給限度基準額の範囲内でも、そのサービスだけ上限がかかる
  • 管理期間は区分と同じく暦月(施行規則第69条第2項)

「区分支給限度基準額には収まっているのに、ショートが認められない」という場面は、これが原因のことがあります。サービスの供給量が不足している市町村では、実際に設定されている例があります。

設定の有無は、市町村の条例や要綱で確認してください。全国一律ではありません。

要介護度が変わった月の扱い

介護保険法施行規則第68条です。

要介護認定に係る要介護状態区分が変更された場合における当該月の(中略)額は、当該月において最も介護の必要の程度が高い要介護状態区分に応じた居宅介護サービス費等区分支給限度基準額とする。

月の途中で要介護度が変わった場合、その月はもっとも重い区分の限度額が適用されます。要介護2から要介護3に変わった月は、月初から27,048単位で管理できます。

また同第2項は、要支援から要介護に変わった場合について、介護予防サービス費等も居宅介護サービス費等として支給されるものとみなすと定めています。

ケアプランで確認する順序

  • その月の限度額を、要介護度から確認する(月途中の区分変更があれば重いほうを採る)
  • ショート以外のサービスの単位数を、加算を含めて先に積み上げる
  • 残った単位数を、ショートの1日あたり単位数で割って日数を出す
  • 連続30日を超えないか、日程で確認する
  • 市町村が種類支給限度基準額を設定していないか確認する
  • 食費・滞在費を含めた実際の支払額を家族に提示する
  • 負担限度額認定の申請状況を確認する

2つ目を先にやるのがコツです。ショートから先に日数を決めると、他のサービスを削る話になって調整が難航します。在宅生活を支える定期的なサービスを先に固め、残りでショートを組む。この順序が現実的です。

ちびウルフちびウルフ

どうしても限度額に入らないときは、どうするんですか?

リハウルフリハウルフ

選択肢は3つです。①超過分を全額自己負担する、②他のサービスを削る、③別の枠組みに移る。

③がいちばん見落とされます。小規模多機能型居宅介護は月額の包括報酬なので、通い・訪問・泊まりを月額の中で自由に組めます。ショートを頻繁に使う方なら、限度額の管理から解放される場合がある。

あとは区分変更申請ですね。実際の状態が要介護度と合っていないなら、そこを動かすのが本筋です。限度額の中でやりくりする話に閉じないでください。

よくある質問

ショートステイは区分支給限度基準額を使いますか?

使います。短期入所生活介護費は介護保険給付の対象であり、算定される単位数が限度額の管理対象に含まれます。

1日あたり何単位ですか?

令和6年度で、要介護3の場合は単独型787単位、併設型745単位、単独型ユニット型891単位、併設型ユニット型847単位です。

要介護3なら何日くらい使えますか?

ショートだけなら併設型で約36日分の単位数がありますが、連続30日の制限と他サービスの利用があるため、実際は月18日程度が目安になることが多いです。

食費や滞在費も限度額に含まれますか?

含まれません。限度額は「算定される単位数の合計」で管理され、食費・滞在費は単位数として算定されないためです。ただし全額自己負担になります。

限度額を超えるとどうなりますか?

超えた部分は保険給付されず、全額自己負担(10割)になります。1割負担の方にとっては通常の10倍の負担です。

加算は限度額に含まれますか?

含まれます。送迎加算や個別機能訓練加算なども単位数として算定されるため、限度額を消費します。

限度額の管理期間はいつからいつまでですか?

暦月です。介護保険法施行規則第67条は「当該月の初日からの一月間」と定めています。

月をまたいで泊まった場合はどうなりますか?

管理期間が暦月なので、月をまたぐ利用はそれぞれの月の限度額で管理されます。ただし連続30日の制限は、暦月ではなく連続日数で判定されます。

市町村が独自にショートの上限を設けることはありますか?

あります。介護保険法第43条第4項の種類支給限度基準額の対象に、短期入所生活介護・短期入所療養介護が含まれています。設定の有無は市町村によります。

月の途中で要介護度が変わった場合の限度額は?

その月において最も介護の必要の程度が高い要介護状態区分に応じた限度額が適用されます(介護保険法施行規則第68条)。

限度額に入らない場合の選択肢は?

超過分を全額自己負担する、他のサービスを削る、小規模多機能型居宅介護など月額包括報酬のサービスへ移る、要介護度の区分変更申請を検討する、といった方法があります。

ユニット型と多床室で限度額の消費は変わりますか?

変わります。要介護3で併設型745単位に対し単独型ユニット型891単位と、1日で146単位の差があります。限度額が厳しいケースでは使える日数に影響します。

まとめ
  • ショートステイは区分支給限度基準額を使う
  • 限度額は要支援1が5,032単位、要介護5が36,217単位(告示第33号)
  • 管理期間は暦月(当該月の初日からの一月間)
  • ショートは1日単位で積み上がるため、消費のスピードが速い
  • 要介護3で単独型787単位、併設型745単位、単独型ユニット型891単位
  • ユニット型は1日あたり100単位前後高く、使える日数が減る
  • ショートだけなら要介護3で約36日分の単位数がある
  • ただし連続30日の制限と他サービスの利用で、実際は月18日程度が目安
  • 要介護1・2は限度額が小さく、ショートに回せる余地が少ない
  • 加算も単位数として限度額を消費する
  • 食費・滞在費・日常生活費は限度額に含まれない
  • 含まれない代わりに全額自己負担になる
  • 「限度額に余裕がある」と「安い」は別の話
  • 低所得の方は介護保険負担限度額認定で食費・滞在費が軽減される
  • 限度額を超えた部分は10割負担になる
  • 市町村は種類支給限度基準額を設定できる
  • その対象に短期入所生活介護・短期入所療養介護が含まれている
  • 設定されていると、区分の範囲内でもショートだけ上限がかかる
  • 月途中で要介護度が変わった場合は、最も重い区分の限度額が適用される
  • ケアプランは、ショート以外のサービスを先に積み上げてから日数を出す
  • 限度額に入らない場合は、小規模多機能や区分変更申請も選択肢になる
参考にした情報

※本記事の単位数・限度額は、厚生労働省の告示および省令にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および保険者の解釈をご確認ください。本文中の日数の目安・組み合わせの計算例は、加算および地域区分を考慮しない概算であり、実際の単位数とは異なります。単位数は1単位10円の地域を前提とした金額換算であり、実際の金額は地域区分により異なります。種類支給限度基準額の設定の有無および設定額は市町村によって異なるため、必ず所在市町村にご確認ください。食費・滞在費の額は事業所が設定し、負担限度額認定の適用の可否は所得等の要件によります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。ケアプランの組み立て順序や家族への説明の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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