ショートステイの長期利用減算とは?

ショートステイ(短期入所生活介護)を長く続けて利用すると、基本報酬が2段階で下がります。連続30日超で1日30単位の減算(注22)、連続60日超で基本報酬そのものが低い単位数に置き換わる(注23)という仕組みです。
ここに、もう1つ別の規定が重なります。注21の「連続して30日を超える日以降は短期入所生活介護費を算定しない」という規定です。31日目は保険給付そのものが止まる。「30日を超えると減算」と「30日を超えると算定できない」が同時に存在するため、実務では最も誤解が生じやすい領域になっています。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注21・注22・注23と、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第22号・第22号の2の原文を確認して整理しました。
- 長期利用に関する3つの規定(注21・注22・注23)の違い
- 注22の減算額と対象になる利用者
- 注23の長期利用の適正化で置き換わる単位数
- 注22と注23は併用されないこと
- 「連続して」の数え方に自費利用が含まれること
- 1日空ければリセットされるのかという論点
- ユニット型では単独型と併設型の単位数が同じになること
- 令和6年度改定で導入された適正化の意図
ちびウルフ31日目は算定できないのに、なぜ「連続30日を超えた利用者への減算」があるんですか? 矛盾していませんか。
リハウルフ矛盾していません。注21が止めるのは「連続して」受けている場合の31日目以降です。いったん自費で1日利用し、翌日から保険で再開すれば、保険上の連続日数は切れます。でも同じ事業所に入所し続けている事実は変わらない。注22はそこを見ています。
ショートステイの長期利用減算とは?
短期入所生活介護の長期利用に関する減算は、同じ事業所に長期間にわたって入所し続けている利用者について、基本報酬を段階的に引き下げる仕組みです。告示19号 短期入所生活介護費の注22・注23に規定されています。
ショートステイは、名前のとおり短期の宿泊を前提としたサービスです。在宅生活を続けるための一時的な支援であり、施設入所の代わりに使うことは想定されていません。
ところが実際には、特別養護老人ホームの入所待ちなどを背景に、ショートステイを長期にわたって連続利用する「ロングショート」と呼ばれる利用が生じてきました。この状態は、報酬水準としては施設入所と同等の支援を行いながら、施設サービス費より高い日額報酬を算定していることになります。
長期利用に関する減算は、その乖離を是正するために置かれています。令和6年度介護報酬改定では、従来の注22に加えて注23の「長期利用の適正化」が導入され、60日を超える場合により低い単位数が適用されるようになりました。
長期利用に関する3つの規定
| 規定 | 内容 | 基準となる日数 |
|---|---|---|
| 注21 | 短期入所生活介護費を算定しない | 連続して30日を超える日以降 |
| 注22 | 1日につき30単位を減算 | 連続して30日を超えて同一事業所に入所 |
| 注23 | 基本報酬を別の単位数に置き換える | 連続して60日を超えて同一事業所に入所 |
注21と注22の違い
| 項目 | 注21 | 注22 |
|---|---|---|
| 条文の主語 | 「指定短期入所生活介護を受けている場合」 | 「同一の指定短期入所生活介護事業所に入所している場合」 |
| 効果 | 算定しない(給付対象外) | 1日30単位を減算 |
| 見ているもの | 保険給付の連続日数 | 事業所への入所の連続 |
告示94号 第22号は、注22の対象者を「連続して30日を超えて同一の指定短期入所生活介護事業所に入所(指定居宅サービス等基準第124条に掲げる設備及び備品を利用した指定短期入所生活介護以外のサービスによるものを含む。)している場合であって、指定短期入所生活介護を受けている利用者」と定めています。
かっこ書きが要点です。短期入所生活介護以外のサービス(=自費でのサービス提供)による入所も、連続日数に含めて数えます。
注22 長期利用者に対する減算
22 別に厚生労働大臣が定める利用者に対して指定短期入所生活介護を行った場合は、1日につき30単位を所定単位数から減算する。ただし、注23を算定している場合は、算定しない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減算額 | 30単位 |
| 算定の単位 | 1日につき |
| 対象 | 連続して30日を超えて同一事業所に入所している利用者 |
| 注23との関係 | 注23を算定している場合は算定しない |
減算後の単位数
| 要介護度 | 併設型 | 注22適用後 | 単独型 | 注22適用後 |
|---|---|---|---|---|
| 要介護1 | 603単位 | 573単位 | 645単位 | 615単位 |
| 要介護3 | 745単位 | 715単位 | 787単位 | 757単位 |
| 要介護5 | 884単位 | 854単位 | 926単位 | 896単位 |
注23 長期利用の適正化
23 別に厚生労働大臣が定める利用者に対して指定短期入所生活介護を行った場合は、注1の規定にかかわらず、次に掲げる場合の区分に従い、それぞれ次に掲げる所定単位数を算定する。
告示94号 第22号の2は、対象者を「連続して60日を超えて同一の指定短期入所生活介護事業所に入所している利用者」と定めています。注22と同じく、短期入所生活介護以外のサービスの提供を受けた場合も含みます。
置き換わる単位数
| 要介護度 | 単独型(Ⅰ)(Ⅱ) | 併設型(Ⅰ)(Ⅱ) | ユニット型(単独型・併設型とも) |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 589単位 | 573単位 | 670単位 |
| 要介護2 | 659単位 | 642単位 | 740単位 |
| 要介護3 | 732単位 | 715単位 | 815単位 |
| 要介護4 | 802単位 | 785単位 | 886単位 |
| 要介護5 | 871単位 | 854単位 | 955単位 |
ユニット型では単独型と併設型の差が消える
注23の(3)(単独型ユニット型・経過的単独型ユニット型)と(4)(併設型ユニット型・経過的併設型ユニット型)は、要介護1で670単位、要介護5で955単位と、まったく同じ単位数です。
通常の基本報酬では、単独型ユニット型746単位・併設型ユニット型704単位と42単位の差がありました。60日を超える長期利用になると、その差がなくなります。長期利用は施設入所に近い状態であり、単独か併設かによる運営コストの差を評価する必要がないという整理と読めます。
通常の基本報酬との差
| 類型(要介護3) | 通常 | 注22適用 | 注23適用 |
|---|---|---|---|
| 単独型 | 787単位 | 757単位 | 732単位 |
| 併設型 | 745単位 | 715単位 | 715単位 |
| 単独型ユニット型 | 891単位 | 861単位 | 815単位 |
| 併設型ユニット型 | 847単位 | 817単位 | 815単位 |
併設型では注22と注23の水準が同じ715単位です。一方、単独型ユニット型では注22の861単位から注23の815単位へ、さらに46単位下がります。類型によって60日超の影響の大きさが違います。
注22と注23は併用されない
注22のただし書きは「注23を算定している場合は、算定しない」です。
| 連続入所日数 | 適用される規定 |
|---|---|
| 30日以内 | 通常の基本報酬 |
| 31日〜60日 | 注22(1日30単位減算) |
| 61日以降 | 注23(単位数の置き換え)※注22は適用しない |
30単位の減算と単位数の置き換えが二重にかかることはありません。
長期利用減算の注意点
1日空ければリセットされるか
実務で最も問い合わせが多い論点です。注21の「連続して」は保険給付の連続を見ますが、注22・注23の対象者は「連続して30日/60日を超えて同一事業所に入所している」ことで判定されます。
告示94号のかっこ書きは、短期入所生活介護以外のサービス(自費)による入所も含めると明記しています。したがって、自費で1日挟んで保険給付の連続を切っても、事業所への入所が続いていれば注22・注23の日数は通算されると読むのが自然です。
ただし、いったん自宅に戻った場合に何日空ければ通算が切れるのかは告示本文からは読み取れません。留意事項通知および指定権者の取扱いを確認してください。
ロングショートの是非
担当したケースでも、特養の入所待ちでショートステイを連続利用している方は珍しくありませんでした。家族が介護できない、在宅に戻す先がない。減算の話をする前に、その事情のほうが重い場面が現実にはあります。
とはいえ、長期利用が続く状態は本人にとっても望ましいものではありません。居室が固定されない、荷物を置けない、なじみの職員が変わる。減算は、その状態を放置しないよう促す仕組みでもあります。ケアマネジャーとしては、入所申込の状況確認と並行して、他の選択肢を検討し続ける必要があります。
注23は「注1の規定にかかわらず」
注23は基本報酬そのものを置き換える規定です。減算ではなく、別の単位数を算定するという構造になっています。そのため、率で乗る加算(処遇改善加算など)の基礎となる所定単位数も置き換わった額で計算します。
加算は引き続き算定できるか
注22・注23は基本報酬に関する規定です。個別の加算の算定可否について、これらの注に制限は書かれていません。ただし長期利用の場面で各加算の要件を満たすかは別途確認が必要です。
- 利用者の連続入所日数を、自費利用も含めて把握しているか
- 31日目以降を保険で算定していないか(注21)
- 31日〜60日の期間に注22の30単位減算を行っているか
- 61日目以降に注23の単位数へ切り替えているか
- 注22と注23を二重に適用していないか
- ユニット型では60日超で単独型・併設型の単位数が同じになることを反映しているか
よくある質問
ショートステイの長期利用減算はいくらですか?
注22は1日につき30単位の減算です。注23は減算ではなく、基本報酬そのものが低い単位数に置き換わります。
注21と注22はどう違いますか?
注21は連続して30日を超える日以降に短期入所生活介護費を算定しないという規定です。注22は連続30日超で同一事業所に入所している利用者に1日30単位を減算する規定です。
注23の対象は何日からですか?
連続して60日を超えて同一事業所に入所している利用者です。61日目以降が対象になります。
注22と注23は両方かかりますか?
かかりません。注22のただし書きにより、注23を算定している場合は注22を算定しません。
自費で利用した日も連続日数に含めますか?
告示94号は、短期入所生活介護以外のサービスによる入所も含めると明記しています。
1日空ければリセットされますか?
保険給付の連続(注21)は切れますが、事業所への入所が続いていれば注22・注23の日数は通算されると読めます。何日空ければ通算が切れるかは告示に定めがなく、指定権者に確認してください。
60日超でユニット型の単位数はどうなりますか?
単独型ユニット型・併設型ユニット型とも、要介護1で670単位、要介護5で955単位と同額になります。
併設型では注22と注23で差がありませんか?
要介護3ではどちらも715単位で同水準です。単独型ユニット型は861単位から815単位へさらに下がります。
注23は減算ですか?
減算ではありません。「注1の規定にかかわらず」別の所定単位数を算定する規定です。率で乗る加算の基礎もこの額になります。
長期利用中も加算は算定できますか?
注22・注23に加算を制限する定めはありません。ただし各加算の要件を満たすかは別途確認が必要です。
なぜ長期利用が問題視されるのですか?
ショートステイは在宅生活を支える一時的なサービスであり、施設入所の代わりとして使うことは想定されていないためです。
注23はいつ導入されましたか?
令和6年度介護報酬改定で長期利用の適正化として導入されました。
- ショートステイの長期利用には注21・注22・注23の3つの規定がある
- 注21は連続30日を超える日以降、短期入所生活介護費を算定しない
- 注22は連続30日超で同一事業所に入所している利用者に1日30単位を減算
- 注23は連続60日超で基本報酬そのものを低い単位数に置き換える
- 注22と注23は併用されない(注22のただし書き)
- 31日〜60日は注22、61日以降は注23が適用される
- 注23は令和6年度改定で導入された長期利用の適正化
- 注22・注23の対象者は「同一事業所に入所している」ことで判定する
- 自費によるサービス提供での入所も連続日数に含まれる
- 注23では単独型ユニット型と併設型ユニット型の単位数が同額になる
- 要介護3の併設型では注22も注23も715単位で同水準
- 単独型ユニット型は861単位から815単位へさらに下がる
- 注23は減算ではなく所定単位数の置き換えで、率で乗る加算の基礎も変わる
- 何日空ければ通算が切れるかは告示に定めがない
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第19号)別表「短期入所生活介護費」注21、注22、注23、イ、ロ(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年3月23日厚生労働省告示第94号)第22号、第22号の2(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第124条(設備及び備品等)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに「連続して」の起算と通算の切れ方(何日在宅に戻れば通算が切れるか)、自費利用を挟んだ場合の具体的な取扱い、長期利用中の各加算の算定可否については告示本文に明記がなく、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。



