小規模多機能型居宅介護の看取り連携体制加算とは?64単位と看護職員配置加算(Ⅰ)の要件を解説

小規模多機能型居宅介護(小多機)の看取り連携体制加算は、1日につき64単位です。死亡日および死亡日以前30日以下について算定し、死亡月にまとめて加算します。
同じ64単位でも、サービスによって上限が違います。短期入所生活介護は「7日を限度として」と明記されているのに対し、小多機の条文には日数の限度がありません。30日間サービスを提供していれば、その日数分を算定できる構造です。
ただし入口は狭く設定されています。看護職員配置加算(Ⅰ)=常勤専従の「看護師」1名以上を算定していなければ、この加算は算定できません。准看護師による(Ⅱ)では進めません。
算定率は0.3%(令和4年3月サービス提供分・事業所ベース)。小多機の加算のなかで最も算定されていない部類です。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)小規模多機能型居宅介護費のチ、厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第30号、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(同第94号)第39号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 看取り連携体制加算の単位数(64単位/日)と算定できる期間
- 小多機の条文には日数の限度がないこと
- 短期入所生活介護(7日限度)との違い
- 看護職員配置加算(Ⅰ)が前提条件であること
- 准看護師では算定に進めない理由
- 事業所側の2つの施設基準(24時間連絡体制・対応方針の説明と同意)
- 利用者側の2つの要件(医師の診断・記録を活用した説明への同意)
- 「利用開始の際に」説明・同意が必要であること
- 要支援には存在しないこと
- 算定率0.3%の背景
64単位・死亡日以前30日以下。日数の限度は書かれていない
告示126号の小規模多機能型居宅介護費「チ 看取り連携体制加算」の注は、次のとおりです。
イについては、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った指定小規模多機能型居宅介護事業所において、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者について看取り期におけるサービス提供を行った場合は、看取り連携体制加算として、死亡日及び死亡日以前30日以下について1日につき64単位を死亡月に加算する。ただし、この場合において、看護職員配置加算(Ⅰ)を算定していない場合は、算定しない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1日につき64単位 |
| 算定できる期間 | 死亡日および死亡日以前30日以下 |
| 日数の上限 | 条文上の定めなし |
| 請求のタイミング | 死亡月にまとめて加算 |
| 前提条件 | 看護職員配置加算(Ⅰ)の算定 |
| 対象 | 「イ」=小規模多機能型居宅介護費(登録者) |
| サービス | 単位数 | 期間・上限 |
|---|---|---|
| 小規模多機能型居宅介護 | 64単位/日 | 死亡日以前30日以下(日数の限度なし) |
| 短期入所生活介護 | 64単位/日 | 死亡日以前30日以下のうち7日を限度 |
| 訪問入浴介護 | 64単位/回 | 死亡日および死亡日以前30日以下 |
短期入所生活介護には「7日を限度として」という明文がありますが、小多機の条文にはその記載がありません。包括報酬で日々関わり続けるサービスであることが反映された設計だと考えられます。
看護職員配置加算(Ⅰ)がなければ入口に立てない
ただし書きの条件が、この加算の最大のハードルです。
| 看護職員配置加算 | 単位数/月 | 要件 | 看取り連携体制加算 |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 900単位 | 専従・常勤の看護師1名以上 | ○ |
| (Ⅱ) | 700単位 | 専従・常勤の准看護師1名以上 | × |
| (Ⅲ) | 480単位 | 看護職員を常勤換算で1名以上 | × |
准看護師では(Ⅱ)700単位までで、看取りには進めません。常勤専従の「看護師」を確保できるかどうかが、事業所として看取りに対応するかどうかの分岐点になります。
看護職員配置加算(Ⅰ)の算定率は28.3%です。つまり小多機の7割強は、そもそもこの加算の入口に立てない状態にあります。
事業所側の施設基準は2つ
告示96号 第30号が定める施設基準は、次のとおりです。
- イ 看護師により24時間連絡できる体制を確保していること
- ロ 看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に、登録者またはその家族等に対して当該対応方針の内容を説明し、同意を得ていること
ロは看取り期に入ってからではなく、利用開始の時点で説明と同意を求めています。
登録時の契約手続きに、看取り期における対応方針の説明を組み込んでおく必要があります。亡くなる直前に慌てて同意を取る運用では、条文の要件を満たしません。
また「看護師により24時間連絡できる体制」は、看護職員配置加算(Ⅰ)の要件(常勤専従の看護師1名以上)とは別の要件です。配置しているだけでなく、夜間・休日に連絡が取れる体制まで整えてはじめて要件を満たします。
利用者側の要件は「診断」と「同意」
告示94号 第39号は、対象となる利用者を次の両方に適合する者としています。
- イ 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること
- ロ 看取り期における対応方針に基づき、登録者の状態または家族の求め等に応じ、介護職員・看護職員等から介護記録等を活用して行われるサービスについての説明を受け、同意した上でサービスを受けている者(その家族等が説明を受け、同意した上でサービスを受けている者を含む)であること
ロの「介護記録等を活用し」という文言に注目してください。状態の説明は、口頭ではなく記録を示しながら行うことが想定されています。短期入所生活介護や訪問入浴介護の看取り連携体制加算と共通する書きぶりです。
ちびウルフ小多機で看取りって、実際にできるものなんですか?泊まりも通いも訪問もあって、場所が定まらない気がします。
リハウルフむしろ小多機は看取りと相性がいいサービスだと思っています。同じ職員が、家でも事業所でも関わり続けられるからです。
状態が落ちてきたら訪問を増やし、家族が限界なら泊まりで受ける。場所を変えても担当者が変わらないという点は、他のサービスの組み合わせでは作れません。
担当したケースでも、最期の2週間は小多機の泊まりと訪問を行き来しながら、最終的にご自宅で看取ったことがあります。「どこで死ぬか」より「誰が最後まで関わるか」を選べるのが小多機の強みです。
ただし条文が求めるのは看護師による24時間連絡体制です。医療的な後ろ盾がないまま看取りを引き受けるのは、職員にとっても家族にとっても厳しい。加算の要件は、その最低ラインを示しているとも読めます。
要支援(介護予防小規模多機能型居宅介護)には存在しない
指定地域密着型介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第128号には、看取り連携体制加算の規定がありません。前提となる看護職員配置加算も同様です。
| 加算 | 要支援での算定 |
|---|---|
| 看取り連携体制加算 | × |
| 看護職員配置加算 | × |
| 認知症加算・訪問体制強化加算 | × |
| 総合マネジメント体制強化加算・初期加算・科学的介護推進体制加算 | ○ |
算定率0.3%|二重の絞り込みが効いている
| 加算 | 算定率(事業所ベース) |
|---|---|
| 看護職員配置加算(Ⅰ) | 28.3% |
| 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 1.9% |
| 看取り連携体制加算 | 0.3% |
| 認知症行動・心理症状緊急対応加算 | 0.09% |
0.3%という数字は、次の2つの絞り込みが重なった結果です。
- ①事業所の絞り込み
看護職員配置加算(Ⅰ)を算定している事業所は28.3%。残る7割強は入口に立てない。 - ②発生頻度の絞り込み
看取りは、その事業所でその月に死亡した登録者がいた場合にのみ発生する。1事業所あたりの登録定員は29人以下。
つまり算定率の低さは「取りにくい加算だから」というより、対象事象がまれだからという側面が大きい数字です。
この加算の要件のうち、「利用開始の際の説明と同意」は後から取り返せません。看取り期に入ってから体制を整えても、登録時に説明していなければ要件を満たさないためです。
看取りに対応する方針の事業所は、届出と重要事項説明の様式を先に整えておく必要があります。算定できるかどうかは、その時点ですでに決まっています。
小多機の看取り連携体制加算はいくらですか?
1日につき64単位です。死亡日および死亡日以前30日以下について算定し、死亡月にまとめて加算します。
算定できる日数に上限はありますか?
小多機の条文には日数の限度が書かれていません。短期入所生活介護には「7日を限度として」という明文がありますが、小多機にはその記載がありません。
看護職員配置加算がなくても算定できますか?
できません。告示に「看護職員配置加算(Ⅰ)を算定していない場合は、算定しない」と明記されています。
准看護師でも要件を満たしますか?
満たしません。看護職員配置加算(Ⅰ)は「専ら当該事業所の職務に従事する常勤の看護師」を求めており、准看護師の場合は(Ⅱ)700単位となるため、看取り連携体制加算には進めません。
事業所側の要件は何ですか?
①看護師により24時間連絡できる体制を確保していること、②看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に登録者またはその家族等に説明し同意を得ていること、の2つです。
説明と同意はいつ行うのですか?
「利用開始の際に」です。看取り期に入ってからではなく、登録時に対応方針を説明し同意を得ておく必要があります。
利用者側の要件は何ですか?
①医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること、②看取り期における対応方針に基づき、介護記録等を活用して行われるサービスについての説明を受け、同意した上でサービスを受けている者であること、の2つです。
24時間連絡体制は看護師が泊まるということですか?
条文は「看護師により24時間連絡できる体制を確保していること」としており、事業所内での勤務を求めるものではありません。ただし具体的な運用は市町村にご確認ください。
要支援でも算定できますか?
できません。介護予防小規模多機能型居宅介護の報酬を定める告示128号に、看取り連携体制加算の規定はありません。
算定率が0.3%と低いのはなぜですか?
前提となる看護職員配置加算(Ⅰ)の算定率が28.3%にとどまることに加え、看取りという事象自体がまれだからです。要件が特別に厳しいというより、対象が限られる加算です。
- 小多機の看取り連携体制加算は1日64単位、死亡月にまとめて加算する
- 算定期間は死亡日および死亡日以前30日以下
- 小多機の条文には日数の限度が書かれていない
- 短期入所生活介護は同じ64単位でも「7日を限度」と明記されている
- 訪問入浴介護は「回」単位で、単位の取り方も異なる
- 看護職員配置加算(Ⅰ)を算定していなければ算定できない
- (Ⅰ)は専従・常勤の「看護師」が要件で、准看護師の(Ⅱ)では進めない
- 看護職員配置加算(Ⅰ)の算定率は28.3%で、7割強の事業所は入口に立てない
- 事業所側の要件は看護師による24時間連絡体制と、対応方針の説明・同意
- 説明と同意は「利用開始の際に」行う必要がある
- 看取り期に入ってから同意を取る運用では要件を満たさない
- 利用者側の要件は医師の診断と、記録を活用した説明への同意
- 要支援(介護予防小規模多機能型居宅介護)には存在しない
- 算定率は0.3%だが、要件の厳しさより対象事象のまれさによる面が大きい
- 算定できるかどうかは、看取り期に入る前の体制整備で決まっている
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表「小規模多機能型居宅介護費」チ(看取り連携体制加算)、ト(看護職員配置加算)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第29号(看護職員配置加算に係る施設基準)、第30号(看取り連携体制加算に係る施設基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第39号(看取り連携体制加算の対象利用者)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)(厚生労働省法令等データベース)
- 社会保障審議会介護給付費分科会(第218回)資料2「小規模多機能型居宅介護」(PDF)小規模多機能型居宅介護の算定状況(介護給付費等実態統計 令和4年4月審査分)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および審議会資料にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。地域密着型サービスの指定・指導は市町村が行うため、24時間連絡体制の水準、算定できる日数の取扱い、記録の様式が自治体によって異なる場合があります。本記事は告示の文言にもとづいて整理しており、留意事項通知の細目までは反映していません。日数の限度については、小多機の条文に明文がないことを示したものであり、実際の算定可能日数は市町村にご確認ください。算定率は令和4年3月サービス提供分の数値です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。小多機と看取りの相性に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。



