ショートステイの個別機能訓練加算とは?56単位と居宅訪問要件を解説

短期入所生活介護(ショートステイ)の個別機能訓練加算は、1日につき56単位です。区分はなく1本のみで、特養(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)や通所介護(Ⅰ)イ・ロ・(Ⅱ)のような枝分かれはありません。
単純に見えますが、要件はショートステイならではの厳しさがあります。機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問したうえで個別機能訓練計画を作成し、その後も3月ごとに1回以上、居宅を訪問して説明・見直しを行うことが施設基準に明記されているためです。数日単位で入れ替わる利用者に対して、居宅訪問を組み込む必要があります。
もう1つ、機能訓練体制加算(12単位)と両方を算定する場合、体制加算の常勤専従者を個別機能訓練加算の機能訓練指導員に充てることはできません。実質的に2名の配置が要ります。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注8・注10、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第36号、老企第40号 第二の2(12)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 個別機能訓練加算の単位数(56単位/日)と区分がないこと
- 施設基準4つ(配置・計画作成・訓練の提供・居宅訪問)
- 居宅訪問が計画作成時と3月ごとに求められること
- 特定の曜日だけ配置している場合、算定できるのは誰か
- 訓練は5人程度以下の小集団で、機能訓練指導員が直接行うこと
- おおむね週1回以上という実施頻度の目安
- 短期入所生活介護計画への記載で個別機能訓練計画に代えられること
- 機能訓練体制加算と同時に算定する場合、機能訓練指導員が2名必要なこと
- 生活機能向上連携加算との調整規定
- 看護職員が兼務する場合の人員基準上の扱い
個別機能訓練加算は56単位。区分は1つだけ
告示19号の注10は、次のとおりです。
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った指定短期入所生活介護の利用者に対して、機能訓練を行っている場合には、個別機能訓練加算として、1日につき56単位を所定単位数に加算する。
| サービス | 個別機能訓練加算の構成 |
|---|---|
| 短期入所生活介護 | 56単位/日の1区分のみ |
| 特別養護老人ホーム | (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3区分 |
| 通所介護 | (Ⅰ)イ・ロ、(Ⅱ)の区分あり |
ショートステイは1区分のみです。区分がない代わりに、要件のすべてを満たさなければ0か56かのどちらかという構造になります。
施設基準は4つ。4つ目の「居宅訪問」が最大の関門
告示95号 第36号は、次の4つすべてに適合することを求めています。
- イ 配置:専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置していること
- ロ 計画作成:機能訓練指導員等が共同して、利用者の生活機能向上に資するよう利用者ごとの心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していること
- ハ 訓練の提供:計画に基づき、生活機能の向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、理学療法士等が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること
- ニ 居宅訪問:機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問したうえで個別機能訓練計画を作成し、その後3月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問したうえで、利用者またはその家族に機能訓練の内容と進捗状況等を説明し、訓練内容の見直し等を行っていること
ニは施設基準そのものです。居宅を訪問せずに計画を作った場合、要件を満たしません。
老企第40号(12)⑦は、訪問して確認する内容を「利用者の居宅での生活状況(起居動作、ADL、IADL等の状況)」としています。事業所内での評価だけでは足りず、生活の場を見ることが求められています。
なお、機能訓練体制加算(注9)と違い、この基準に「常勤」の文言はありません。イは「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置」であり、常勤要件は課されていない、というのが条文の読み方です。実際、通知②は特定の曜日だけ配置するケースを想定した記載をしています。
特定の曜日だけ配置している場合、算定できるのは「その曜日に訓練を受けた人」
老企第40号(12)②は、次のとおりです。
例えば、1週間のうち特定の曜日だけ理学療法士等を配置している場合は、その曜日において理学療法士等から直接訓練の提供を受けた利用者のみが当該加算の算定対象となる。ただし、この場合、理学療法士等が配置される曜日はあらかじめ定められ、利用者や居宅介護支援事業者に周知されている必要がある。
- 算定できるのは、その曜日に直接訓練の提供を受けた利用者のみ
- 配置曜日はあらかじめ定めておくこと
- 利用者だけでなく居宅介護支援事業者にも周知すること
ケアマネジャー側から見ると、この周知は使えます。「理学療法士は火曜と金曜」と分かっていれば、機能訓練を目的としたショート利用の日程を、その曜日に合わせて組めるからです。
ちびウルフショートって3日とか1週間で終わる人が多いですよね。3月ごとの訪問って、そもそも成り立つんですか?
リハウルフいい質問です。老企第40号(12)①は、この加算の対象を「短期入所生活介護事業所を計画的又は期間を定めて利用する者」としています。
つまり定期的にショートを使う利用者を想定した加算です。毎月決まった日程で利用する方なら、3月ごとの訪問も計画に組み込めます。年に1回だけ緊急で使う方に、この加算を狙う設計は現実的ではありません。「誰に対して算定する加算か」を先に決めるのが実務の順序です。
訓練は「5人程度以下の小集団」。おおむね週1回以上
老企第40号(12)⑥は、訓練の方法まで具体的に定めています。
| 項目 | 通知の内容 |
|---|---|
| 形態 | 類似の目標を持ち同様の訓練内容が設定された5人程度以下の小集団(個別対応を含む) |
| 実施者 | 機能訓練指導員が直接行う |
| 内容 | 必要に応じて事業所内外の設備等を用いた実践的かつ反復的な訓練 |
| 1回の時間 | 個別機能訓練計画に定めた訓練内容の実施に必要な時間を考慮して適切に設定 |
| 頻度 | おおむね週1回以上を目安 |
「個別」という名称ですが、1対1に限定されていません。類似の目標を持つ5人程度以下であれば小集団で構いません。ただし、目標も訓練内容もバラバラな利用者をまとめて行うことは想定されていません。
目標は「1人で入浴ができるようになりたい」のような具体性
通知④⑤は、目標設定について次のように求めています。
- アセスメントでADL・IADLの状況を把握する
適切なアセスメントを経て、利用者のADLおよびIADLの状況を把握する。 - 生活機能の維持・向上に関する目標を設定する
通知が挙げる例は「1人で入浴が出来るようになりたい」。日常生活の場面に結びついた目標であることが求められる。 - 意向と意見を踏まえる
利用者または家族の意向、担当する介護支援専門員の意見も踏まえて策定する。 - 段階的で分かりやすい目標にする
利用者の意欲の向上につながるよう、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標とする。
また通知⑨は、この加算が心身機能への働きかけだけでなく、ADL・IADLなどの活動への働きかけ、役割の創出や社会参加の実現といった参加への働きかけを行い、心身機能・活動・参加にバランスよく働きかけるものだとしています。関節可動域や筋力だけを目標にした計画は、趣旨から外れます。
計画は短期入所生活介護計画への記載で代えられる
老企第40号(12)③は、書類の負担を軽くする規定を置いています。
短期入所生活介護においては、個別機能訓練計画に相当する内容を短期入所生活介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えることができるものとすること。
計画は機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して作成し、目標・実施時間・実施方法等を内容とします。実施後は、効果・実施時間・実施方法等について評価を行います。
説明については通知⑦が、テレビ電話装置等を活用して行うことができるとしています(利用者等の同意が必要)。ただし、これは「説明」の話であって、3月ごとの居宅訪問そのものをオンラインで代替できるとは書かれていません。訪問して生活状況を確認したうえで説明する、という順序は変わらないと読むべきです。
記録は「実施時間・訓練内容・担当者」
通知⑧は、個別機能訓練に関する記録(実施時間、訓練内容、担当者等)を利用者ごとに保管し、常に当該事業所の個別機能訓練の従事者により閲覧が可能であるようにすることを求めています。
あわせて⑦は、評価内容や目標の達成度合いについて担当の介護支援専門員等に適宜報告・相談し、必要に応じて目標の見直しや訓練内容の変更を行うこととしています。事業所内で完結させる加算ではありません。
機能訓練体制加算と両方取るには、機能訓練指導員が2名必要
老企第40号(12)⑨は、機能訓練体制加算(注9)との関係を明確にしています。
注9の機能訓練指導員の加算を算定している場合であっても、別途個別機能訓練加算に係る訓練を実施した場合は、同一日であっても個別機能訓練加算を算定できるが、この場合にあっては、機能訓練指導員の加算に係る常勤専従の機能訓練指導員は、個別機能訓練加算に係る機能訓練指導員として従事することはできず、別に個別機能訓練加算に係る機能訓練指導員の配置が必要である。
| 算定したい加算 | 必要な機能訓練指導員 |
|---|---|
| 機能訓練体制加算(12単位)のみ | 常勤専従1名 |
| 個別機能訓練加算(56単位)のみ | 専従1名(常勤要件なし) |
| 両方 | 体制加算用の常勤専従1名+個別機能訓練加算用に別途1名 |
体制加算12単位は全利用者に、個別機能訓練加算56単位は訓練を受けた利用者に付きます。両方を狙うなら人件費が1名分増えるということなので、利用者数と算定見込みから採算を見て判断することになります。
看護職員が兼務する場合の注意
通知②の末尾には、見落とされやすい規定があります。
短期入所生活介護事業所の看護職員が当該加算に係る機能訓練指導員の職務に従事する場合には、当該職務の時間は、短期入所生活介護事業所における看護職員としての人員基準の算定に含めない。
看護職員に機能訓練指導員を兼ねてもらう場合、その時間は看護職員の人員基準にカウントできません。看護職員の配置がぎりぎりの事業所でこれをやると、人員基準欠如減算のリスクが生じます。看護体制加算の判定にも影響し得るため、時間の切り分けを勤務表で明確にしておく必要があります。
生活機能向上連携加算との調整規定
告示19号の注8は、生活機能向上連携加算について次の調整を定めています。
| 状況 | 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 生活機能向上連携加算(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 個別機能訓練加算を算定していない | 100単位/月(3月に1回を限度) | 200単位/月 |
| 個別機能訓練加算を算定している | 算定不可 | 100単位/月に減額 |
外部のリハビリテーション専門職と連携して計画を作る生活機能向上連携加算は、個別機能訓練加算と趣旨が重なるため、重複部分が調整される仕組みです。個別機能訓練加算56単位/日のほうが、月額では大きくなるのが通常です。
ショートステイの個別機能訓練加算はいくらですか?
1日につき56単位です。特養や通所介護と違い、区分は1つだけです。
居宅を訪問しないと算定できませんか?
できません。施設基準ニが「機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問した上で、個別機能訓練計画を作成し、その後3月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問した上で」説明・見直しを行うことを求めています。
3月ごとの訪問は、どの利用者にも現実的ですか?
通知は対象を「計画的又は期間を定めて利用する者」としています。定期的にショートを利用する方を想定した加算であり、単発利用の方に算定する設計にはなっていません。
機能訓練指導員は常勤でなければいけませんか?
施設基準は「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置」としており、常勤の文言はありません。通知も特定の曜日だけ配置する場合を想定した記載をしています。常勤が必要なのは機能訓練体制加算のほうです。
週2日だけ理学療法士がいます。誰に算定できますか?
その曜日に理学療法士等から直接訓練の提供を受けた利用者のみです。配置する曜日はあらかじめ定め、利用者と居宅介護支援事業者に周知しておく必要があります。
訓練は1対1で行う必要がありますか?
ありません。類似の目標を持ち同様の訓練内容が設定された5人程度以下の小集団(個別対応を含む)に対して、機能訓練指導員が直接行うこととされています。
訓練の頻度に目安はありますか?
おおむね週1回以上が目安とされています。計画的・継続的に行う必要があるためです。
個別機能訓練計画は別に作成が必要ですか?
短期入所生活介護計画のなかに個別機能訓練計画に相当する内容を記載する場合は、その記載をもって作成に代えることができます。
機能訓練体制加算と同時に算定できますか?
同一日でも算定できます。ただし体制加算に係る常勤専従の機能訓練指導員は、個別機能訓練加算の機能訓練指導員として従事できず、別に配置が必要です。実質的に2名の配置が要ります。
看護職員が機能訓練指導員を兼務してもよいですか?
兼務は可能ですが、その職務の時間は看護職員としての人員基準の算定に含められません。看護職員の配置が薄い事業所では、人員基準欠如のリスクに注意してください。
生活機能向上連携加算と両方算定できますか?
個別機能訓練加算を算定している場合、生活機能向上連携加算(Ⅰ)は算定できず、(Ⅱ)は1月につき100単位に減額されます。
説明はオンラインでもよいですか?
利用者等への説明はテレビ電話装置等を活用して行えるとされています(同意が必要)。ただし居宅を訪問して生活状況を確認すること自体を代替できるとは書かれていません。
- ショートステイの個別機能訓練加算は1日56単位、区分は1つのみ
- 施設基準は配置・計画作成・訓練の提供・居宅訪問の4つ
- 計画作成時と、その後3月ごとに1回以上の居宅訪問が必須
- 訪問して確認するのは居宅での生活状況(起居動作、ADL、IADL等)
- 対象は「計画的又は期間を定めて利用する者」で、単発利用は想定されていない
- 機能訓練指導員に常勤要件はない(常勤が必要なのは機能訓練体制加算)
- 特定の曜日だけ配置する場合、その曜日に直接訓練を受けた利用者のみが対象
- 配置曜日はあらかじめ定め、利用者と居宅介護支援事業者に周知する
- 訓練は5人程度以下の小集団でよく、機能訓練指導員が直接行う
- 頻度はおおむね週1回以上が目安
- 目標は「1人で入浴が出来るようになりたい」のように生活場面に結びつける
- 心身機能だけでなく、活動・参加にもバランスよく働きかけることが求められる
- 個別機能訓練計画は短期入所生活介護計画への記載で代えられる
- 記録は実施時間・訓練内容・担当者等を利用者ごとに保管し、従事者が閲覧できる状態にする
- 評価内容や達成度は担当ケアマネジャーに適宜報告・相談する
- 機能訓練体制加算とは同一日でも併算定できる
- ただし体制加算の常勤専従者は充てられず、別に機能訓練指導員が必要
- 看護職員が兼務した時間は、看護職員としての人員基準に含められない
- 個別機能訓練加算を算定すると、生活機能向上連携加算(Ⅰ)は不可、(Ⅱ)は100単位に減額
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「短期入所生活介護費」注8・注9・注10(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第36号(短期入所生活介護費における個別機能訓練加算の基準)、第34号の5(生活機能向上連携加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日老企第40号)第二の2(11)機能訓練指導員の加算について、(12)個別機能訓練加算について(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。居宅訪問の実施方法、テレビ電話装置等の活用範囲、専従・兼務の判断は、都道府県・指定都市によって取扱いが異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。算定対象者の選び方や勤務時間の切り分けに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




