老健の初期加算とは?(Ⅰ)60単位・(Ⅱ)30単位の要件を解説【令和6年度改定】
「老健の初期加算って、令和6年度の改定で(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分に分かれたけれど、結局うちはどちらを算定できるの?」——そんな疑問を抱えていませんか。入所初期に毎日加算できる初期加算は、稼働率の高い老健ほど積み上げ効果が大きく、算定もれは年間で大きな機会損失につながります。
この記事では、介護老人保健施設(老健)の初期加算(Ⅰ)60単位/日・初期加算(Ⅱ)30単位/日について、令和6年度(2024年度)介護報酬改定で何が変わったのか、算定要件・期間・注意点を、厚生労働省の改定資料にもとづいて運営者・管理者目線で徹底解説します。届出の判断や算定もれ防止にそのままお使いください。
- 令和6年度改定で初期加算が(Ⅰ)60単位・(Ⅱ)30単位の2区分になった背景
- 初期加算(Ⅰ)を算定するための「空床情報の共有」要件の具体的な満たし方
- 30日以内・過去3月(または1月)入所なし・外泊中は算定不可などの共通ルール
- 急性期一般病棟からの「30日以内」をどの日から数えるかという起算日の考え方
- 初期加算(Ⅰ)を取りに行くべき老健・取らない選択もアリな老健の判断軸
ちびウルフそもそも初期加算って、何のためにある加算なの?
リハウルフ入所したばかりの時期は、アセスメントやケア計画づくり、環境への適応支援など、職員の手間が集中するよね。その初期の負担を評価するのが初期加算なんだ。令和6年度からは「急性期病院からの受け入れ促進」という狙いが加わって、(Ⅰ)が新設されたんだよ。
老健の初期加算とは?令和6年度改定で2区分に
初期加算は、入所者が施設での生活に慣れるまでの初期に必要となる手厚い支援を評価する加算です。入所日から起算して30日以内の期間について、1日につき所定単位数を加算します。
令和6年度(2024年度)介護報酬改定では、「医療機関からの患者受入れの促進」を目的に、従来30単位/日だった初期加算が次の2区分に再編されました。
| 区分 | 単位数 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 初期加算(Ⅰ)【新設】 | 60単位/日 | 急性期一般病棟からの受け入れ+空床情報共有を行う施設を高く評価 |
| 初期加算(Ⅱ) | 30単位/日 | 従来の初期加算に相当(入所日から30日以内) |
初期加算(Ⅰ)60単位/日の算定要件
ちびウルフ(Ⅰ)の60単位は魅力的だけど、誰でも取れるわけじゃないんだよね?
リハウルフそうなんだ。(Ⅰ)には「入所者側の条件」と「施設側の体制条件」の2つが必要だよ。順番に見ていこう。
① 入所者の条件:急性期一般病棟からの退院
初期加算(Ⅰ)の対象となるのは、急性期医療を担う医療機関の一般病棟への入院後30日以内に退院し、施設に入所した者です。急性期病院から在宅復帰のステップとして老健に入る、いわゆる「中間施設」としての役割を評価する位置づけです。
② 施設の条件:空床情報の共有体制(いずれか1つ)
施設側は、次のいずれかの基準に適合している必要があります。
- 施設の空床情報について、地域医療情報連携ネットワーク等を通じて、地域の医療機関と定期的に情報共有している
- 空床情報を施設のウェブサイトに定期的に公表し、急性期医療を担う複数医療機関の入退院支援部門に対して定期的に情報共有を行っている
初期加算(Ⅱ)30単位/日の算定要件
初期加算(Ⅱ)は、従来の初期加算に相当する区分です。入所した日から起算して30日以内の期間について1日30単位を算定します。(Ⅰ)のような急性期病院ルートや空床情報共有の体制要件はありません。ただし初期加算(Ⅰ)を算定している場合は(Ⅱ)は算定しません。
多くの老健にとって、まず確実に押さえるべきは(Ⅱ)です。そのうえで、急性期連携を強化できる施設が(Ⅰ)の上乗せを狙う、という整理になります。
(Ⅰ)(Ⅱ)共通の算定ルールと注意点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 算定期間 | 入所日から起算して30日以内 |
| 再入所の扱い | 過去3月間に当該老健に入所したことがない場合に限り算定可 |
| 認知症高齢者の日常生活自立度 | ランクⅢ・Ⅳ・Mに該当する者は「過去1月間」に入所がなければ算定可(短縮) |
| 外泊中の扱い | 30日間のうち外泊している期間は算定不可 |
| (Ⅰ)と(Ⅱ) | 同日に併算定不可(いずれか一方) |
起算日の考え方:経由があっても「急性期一般病棟への入院日」から30日
ちびウルフ急性期病院を退院して、別の病院や自宅をはさんでから老健に来た場合は、(Ⅰ)はもう取れないの?
リハウルフそこがよく誤解されるところ。全国老人保健施設協会のQ&Aでは、別の医療機関・病棟・居宅等を経由して入所した場合でも、老健の入所日が「急性期一般病棟への入院日」から起算して30日以内であれば算定できる、と整理されているんだ。「直接来たかどうか」ではなく「最初の急性期入院日から30日以内か」で判断するんだよ。
つまり、急性期病院での入院日を起点に30日のカウントが進みます。回復期病棟や別施設、いったん自宅を経由しても、トータルで30日以内に老健へ入所できていれば(Ⅰ)の対象になり得ます。退院支援の連携を組むときは、この起算日を意識して受け入れスケジュールを設計するとよいでしょう。
運営者・管理者が押さえる実務ポイント
運営の視点では、初期加算(Ⅰ)を取りに行くかどうかは「急性期連携でどれだけ入所を確保できるか」という経営判断と直結します。
- 入院日のエビデンスを確実に確保する。診療情報提供書や退院サマリで「急性期一般病棟への入院日」を記録に残し、30日以内であることを根拠づける。
- 空床情報の共有手段を決める。地域医療情報連携ネットワークへの参加、または自施設サイトでの空床公表+複数の急性期病院・地域連携室への定期共有のいずれかを整える。
- 届出と運用ルールを整備する。算定開始前に体制要件を満たし、必要な届出を行ったうえで、外泊中の不算定・再入所の判定など日々の運用に落とし込む。
初期加算の算定シミュレーション(イメージ)
実際の算定がイメージしやすいよう、典型的なケースを整理します(金額は1単位=10円・地域区分等は考慮しない概算)。
| ケース | 区分 | 30日算定時の概算 |
|---|---|---|
| 急性期一般病棟から30日以内に退院・入所。施設は空床情報共有体制あり | 初期加算(Ⅰ)60単位/日 | 60単位×30日=1,800単位(約18,000円) |
| 自宅や他施設からの入所、または体制要件を満たさない | 初期加算(Ⅱ)30単位/日 | 30単位×30日=900単位(約9,000円) |
1人あたりの差は30日で約9,000円ですが、入退所の回転が早い老健では年間の入所者数が積み上がるため、(Ⅰ)の体制を整える経営的なインパクトは小さくありません。急性期病院との連携で安定的に入所を確保できる施設ほど、(Ⅰ)の取得メリットが大きくなります。
よくある質問(FAQ)
初期加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は同じ入所者で日によって使い分けできますか?
外泊した日は初期加算を算定できますか?
同じ方が退所後すぐ再入所した場合も算定できますか?
初期加算(Ⅰ)の「空床情報の共有」は自施設のホームページ掲載だけで足りますか?
- 令和6年度改定で初期加算は(Ⅰ)60単位/日(新設)・(Ⅱ)30単位/日の2区分になった
- (Ⅰ)は「急性期一般病棟からの30日以内の退院・入所」+「空床情報の共有体制(いずれか)」が要件
- (Ⅱ)は従来どおり入所日から30日以内に算定。(Ⅰ)と(Ⅱ)は同日併算定不可
- 共通ルールは「過去3月(自立度Ⅲ・Ⅳ・Mは1月)入所なし」「外泊中は不算定」
- 急性期入院日からの起算なら、経由があっても30日以内であれば(Ⅰ)の対象になり得る
