「介護医療院でも認知症短期集中リハビリテーションは算定できるの?」——老健の情報は多い一方、介護医療院の扱いはわかりにくく、現場でも誤解が起きやすいテーマです。結論として、介護医療院でも240単位/日で算定できます。ただし、老健の「実施加算(Ⅰ)(Ⅱ)」とは仕組みが違います。

この記事では、令和6年度(2024年度)改定をふまえ、介護医療院における認知症短期集中リハの単位数・算定要件・対象者・老健との違い・併算定の注意点まで、管理者・経営者が請求漏れと返戻を防ぐために必要な情報を、厚生労働省の告示ベースで正確に整理します。

この記事でわかること
  • 介護医療院の認知症短期集中リハは240単位/日・1週3日まで・入所から3月以内
  • 「特別診療費」という位置づけと、老健の実施加算(Ⅰ)(Ⅱ)との決定的な違い
  • 対象者の要件(認知症の医師判断・MMSE/HDS-Rの目安・生活機能改善の見込み)
  • 短期集中リハや理学療法等との併算定の可否と請求の注意点

介護医療院の認知症短期集中リハビリテーションとは?結論

介護医療院における認知症短期集中リハビリテーションは、1日につき240単位を算定する項目です。施設基準の届出を行った介護医療院で、認知症と医師が判断した入所者に対し、入所した日から起算して3月以内の期間に、1週に3日を限度として、集中的なリハビリテーションを個別に行った場合に算定します。

ちびウルフちびウルフ

老健の認知症短期集中リハと同じ240単位なの?

リハウルフリハウルフ

単位数は同じ240単位だけど、仕組みが違うんだ。介護医療院ではこれは「加算」ではなく、リハビリ等を出来高で評価する「特別診療費」の一項目。だから老健のように(Ⅰ)240・(Ⅱ)120という2区分には分かれていなくて、単一の240単位/日なんだよ。検索では「加算」と呼ばれることが多いけどね。

ポイント介護医療院のリハ関連は、基本報酬とは別に「特別診療費」として出来高で算定します。理学療法・作業療法・言語聴覚療法・摂食機能療法・短期集中リハ・認知症短期集中リハなどが、この特別診療費の体系に含まれます。

算定要件をくわしく解説(240単位/日)

介護医療院の認知症短期集中リハビリテーションを算定するには、施設・対象者・実施方法のそれぞれで要件を満たす必要があります。

項目内容
単位数240単位/日
算定できる期間入所した日から起算して3月以内
算定回数の上限1週に3日まで
施設要件厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、電子情報処理組織を使用する方法で都道府県知事に届出を行った介護医療院
実施者医師、又は医師の指示を受けた理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
実施方法集中的なリハビリテーションを個別に実施

対象となる入所者の要件

対象は、認知症であると医師が判断した入所者で、かつリハビリテーションによって生活機能の改善が見込まれると判断された者です。実務上の認知機能の目安としては、MMSE(ミニメンタルステート検査)またはHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)でおおむね5点〜25点に相当する者が想定されます。

注意過去3月の間にこの認知症短期集中リハを算定している場合は算定できません。また「認知症だから」だけでは対象になりません。生活機能の改善が見込まれるという医師の判断が前提です。記録に判断根拠を残しておきましょう。

老健の「実施加算(Ⅰ)(Ⅱ)」との違い

同じ「認知症短期集中リハ」でも、施設類型で中身が異なります。混同して請求すると返戻の原因になるため、違いを正確に押さえましょう。

比較項目介護医療院介護老人保健施設(老健)
位置づけ特別診療費の一項目認知症短期集中リハビリテーション実施加算
区分単一(240単位/日)(Ⅰ)240単位/日・(Ⅱ)120単位/日
期間入所から3月以内入所から3月以内
上限1週3日まで1週3日まで
居宅訪問の要否要件として規定されていない(Ⅰ)は退所後生活する居宅等を訪問し生活環境を踏まえた計画作成が必要
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令和6年度改定で老健は(Ⅰ)(Ⅱ)に分かれたけど、介護医療院は変わってないの?

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。老健は令和6年度改定で居宅訪問を評価する上位区分(Ⅰ)240が新設されて2区分になった。一方、介護医療院の認知症短期集中リハは特別診療費の単一240単位/日のまま。施設ごとにルールが違うから、自施設がどちらかを必ず確認してね。

短期集中リハ・理学療法等との併算定の注意

介護医療院の特別診療費には、認知症短期集中リハとは別に「短期集中リハビリテーション」(240単位/日)もあります。これは入所から3月以内に、理学療法・作業療法・言語聴覚療法・摂食機能療法を集中的に行った場合の評価ですが、理学療法・作業療法・言語聴覚療法・摂食機能療法そのものを算定する場合には算定できません

ポイント同じ入所者・同じ日に複数のリハ項目を「重ねて」算定できるわけではありません。どの項目で算定するのが要件に合致し、かつ適切かを、入所者の状態と計画に応じて整理することが、請求漏れ・過誤請求の両方を防ぐコツです。

請求・記録の実務ポイント

  1. 施設基準を満たし、都道府県知事への届出(電子情報処理組織を使用する方法)を済ませておく
  2. 医師が「認知症」「生活機能の改善が見込まれる」と判断し、その根拠を診療録・計画に記録する
  3. 入所日を起算日として、3月以内・1週3日以内で実施スケジュールを管理する
  4. 個別・集中的に実施したリハの内容と評価を入所者ごとに記録する
  5. 理学療法等・短期集中リハとの算定整理を行い、二重算定にならないよう請求前にチェックする

介護医療院におけるリハの全体像と認知症リハの位置づけ

介護医療院は、長期にわたる医療と介護を一体的に提供する施設で、入所者は医療必要度が高く、認知症を併せ持つ方も少なくありません。こうした入所者にとって、認知機能の低下に伴う生活機能の落ち込みを食い止め、できることを維持・回復するリハは、生活の質と尊厳に直結します。

介護医療院のリハ関連の特別診療費を整理すると、認知症短期集中リハ(240単位/日)の位置づけが見えてきます。

項目単位数主な内容
理学療法(Ⅰ)/(Ⅱ)123/73単位(1回)個別の理学療法。1日3回・他療法と合わせ4回まで
作業療法123単位(1回)個別の作業療法
言語聴覚療法203単位(1回)個別の言語聴覚療法
摂食機能療法208単位(1日)摂食機能障害者へ30分以上・月4回まで
短期集中リハビリテーション240単位(1日)入所3月以内に集中的に実施
認知症短期集中リハビリテーション240単位(1日)認知症入所者へ入所3月以内・1週3日まで

さらに、令和6年度改定では、リハビリ計画の内容等の情報を厚生労働省に提出・活用した場合のリハビリテーション計画書情報加算(理学療法等の注:33単位/月)や、口腔・栄養と連携する一体的取組の区分(20単位/月)が整備されました。認知症短期集中リハは、この一連のリハ提供体制の中で「入所初期3月間に集中的に立ち上げる」役割を担います。

ポイント認知症短期集中リハは「入所直後の3か月」という限られた期間の評価です。入所時アセスメントから速やかに対象者を見極め、計画を立てて開始することで、算定機会を逃さず、かつ早期の生活機能の立て直しにつながります。

経営視点:認知症短期集中リハを活かす体制づくり

管理者・経営者の視点では、認知症短期集中リハは入所初期に算定が集中する出来高項目です。対象者の見極めと届出、PT・OT・STの稼働設計が整っていれば、適切に収益へつなげられます。逆に、対象者の抽出が遅れたり記録が不十分だと、算定機会を取りこぼします。

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取りこぼさないために、まず何を整えればいいの?

リハウルフリハウルフ

3つだよ。①施設基準の届出を先に済ませておくこと、②入所時に医師・リハ職・看護で対象者をスクリーニングする仕組み、③3月以内・1週3日の算定上限を管理するスケジュール表。この3つがあれば、「対象なのに算定していない」「算定したのに記録がない」という両方の事故を防げるんだ。

注意認知症短期集中リハは認知症ケアそのものを評価するものではなく、生活機能の改善を目的とした個別・集中的なリハを評価する項目です。BPSD(行動・心理症状)への対応や見守りと混同せず、リハとしての目標・内容・評価を明確に記録しましょう。

よくある質問(FAQ)

介護医療院の認知症短期集中リハは何単位ですか?
1日につき240単位です。入所から3月以内、1週3日を限度に算定します。老健の(Ⅰ)240・(Ⅱ)120のような2区分はなく、単一の240単位/日です。
「加算」と「特別診療費」はどちらが正しい呼び方ですか?
介護医療院では制度上「特別診療費」の一項目です。ただし検索や現場では「加算」と呼ばれることも多く、指している中身は同じです。請求・届出の際は「特別診療費(認知症短期集中リハビリテーション)」として扱います。
対象者の認知機能の目安はありますか?
認知症であると医師が判断し、リハで生活機能の改善が見込まれる入所者が対象です。認知機能の目安としてMMSEまたはHDS-Rでおおむね5〜25点に相当する者が想定されます。
理学療法と同じ日に併算定できますか?
関連する短期集中リハビリテーションは、理学療法・作業療法・言語聴覚療法・摂食機能療法を算定する場合は算定しないと定められています。日々の算定整理を行い、二重算定にならないよう注意してください。
3月を過ぎたら認知症のリハは算定できませんか?
認知症短期集中リハは入所から3月以内が対象です。3月経過後は、理学療法・作業療法・言語聴覚療法など他のリハ項目で必要な訓練を継続する形になります。
まとめ
  • 介護医療院の認知症短期集中リハは240単位/日・1週3日まで・入所から3月以内で算定する。
  • 位置づけは「加算」ではなく特別診療費の一項目。老健の(Ⅰ)240・(Ⅱ)120とは異なり単一区分
  • 対象は認知症と医師が判断し、生活機能の改善が見込まれる入所者(MMSE/HDS-Rでおおむね5〜25点が目安)。
  • 施設基準の届出が必要。過去3月に算定していると算定不可。
  • 短期集中リハや理学療法等との二重算定に注意。請求前の算定整理が返戻防止の鍵。

参考:厚生労働大臣が定める特定診療費及び特別診療費に係る指導管理等及び単位数(平成12年厚生省告示第30号・令和6年厚生労働省告示第86号による改正後)別表第二、令和6年度介護報酬改定関連告示・通知。数値・要件は最新の告示・通知でご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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