主治医意見書の記入例|5項目の書き方と新様式の変更点を解説
「主治医意見書の記入例が知りたい」「どこをどう書けば、利用者の状態が審査会に正しく伝わるのか分からない」——介護保険の主治医意見書を作成する医師、そして記入を支援するケアマネジャーや看護師、リハビリ職にとって、これは毎回つきまとう悩みです。意見書は要介護認定の二次判定を左右する重要書類であり、書き方ひとつで介護度の判定が変わることもあります。
この記事では、主治医意見書の各項目ごとの具体的な記入例を、現場の専門職目線でまとめました。さらに、令和8年4月1日から切り替わった新様式の変更点や、審査会に「介護の手間」を正しく伝えるための書き方のコツまで、最新の制度をふまえて解説します。
- 主治医意見書の役割と、要介護認定での使われ方
- 令和8年4月1日から始まった新様式の変更点(同意欄の削除など)
- 5つの項目それぞれの具体的な記入例(コピーして使える文例つき)
- 介護の手間が審査会に正しく伝わる「特記すべき事項」の書き方
- 記入時によくある疑問とミスを防ぐFAQ
主治医意見書とは?要介護認定での役割
主治医意見書とは、介護保険の要介護認定を申請した人について、主治医(かかりつけ医)が心身の状態に関する医学的な意見を記入する書類です。市町村が主治医に作成を依頼し、その費用は市町村が負担します(申請者の自己負担はありません)。様式は介護保険法に基づき全国一律で定められています。
要介護認定は、認定調査員による「認定調査票」と、この「主治医意見書」の2つを土台に進みます。コンピュータによる一次判定を経て、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会(二次判定)が最終的な介護度を決めますが、その審査の場で重視されるのが主治医意見書です。
ちびウルフ認定調査票があるのに、なぜ主治医意見書もいるの?
リハウルフ認定調査は「ある一日の状態」を切り取ったものなんだ。一方で主治医は、ふだんの経過や病気の見通し、認知症の有無まで把握している。この医学的な裏付けがあるから、審査会は実態に合った判定ができるんだよ。
【最新】令和8年4月1日からの主治医意見書 新様式の変更点
主治医意見書の様式と「記入の手引き」は見直され、令和8年(2026年)4月1日以降、新様式へ順次切り替わっています。記入する立場の方は、まず変更点を押さえておきましょう。主な変更は次のとおりです。
| 変更箇所 | 内容 |
|---|---|
| 申請者情報欄 | 「主治医意見書が介護サービス計画作成等に利用されることへの同意の有無」欄が削除された |
| 5.特記すべき事項 | 注意書きのうち、写しの添付に関する文言の一部が削除された |
| 活用場面の明確化 | 意見書が認定審査だけでなく、介護サービス計画の作成など介護保険事業の適切な運営にも活用されることが手引きに明記された |
| 電子化への対応 | 介護情報基盤の稼働に伴い、意見書の電子作成・電子送信に対応する内容に改められた |
主治医意見書の構成と各項目
意見書は大きく次の5つのブロックで構成されています。記入例に入る前に、全体像を確認しておきましょう。
| 項目 | 主な記入内容 |
|---|---|
| 1. 傷病に関する意見 | 診断名、発症年月日、症状の安定性、生活機能低下の直接の原因となっている傷病 |
| 2. 特別な医療 | 過去14日間に受けた点滴・カテーテル・褥瘡処置などの医療行為 |
| 3. 心身の状態に関する意見 | 日常生活自立度(障害・認知症)、認知症の中核症状・周辺症状、身体の状態 |
| 4. 生活機能とサービスに関する意見 | 移動・栄養・現在生じうる状態、医学的管理の必要性、留意事項、感染症の有無 |
| 5. 特記すべき事項 | 1〜4で書ききれない介護上の留意点や具体的なエピソード |
項目別の記入例(コピーして使える文例つき)
ここからは、各項目の具体的な記入例を紹介します。実際の利用者像を想定した文例なので、表現の参考にしてください(記載は必ず本人の実態に合わせて修正します)。
1. 傷病に関する意見の記入例
診断名は、生活機能低下の直接の原因となっている傷病を「1.」に最優先で記載します。発症年月日が不明な場合は「不詳」で構いませんが、おおよその時期が分かれば記入します。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 診断名1(最も生活機能低下に関与) | 脳梗塞後遺症(右片麻痺) 発症:令和6年8月頃 |
| 診断名2 | 高血圧症 発症:平成30年頃 |
| 診断名3 | 2型糖尿病 発症:不詳 |
| 症状としての安定性 | 「不安定」を選択し、理由欄に「血圧変動が大きく、ふらつき・転倒のリスクが継続している」 |
2. 特別な医療の記入例
過去14日間に受けた医療行為のみにチェックします。「現在は行っていないが以前受けていた」ものは含めません。記入例としては、点滴の管理、中心静脈栄養、透析、ストーマの処置、酸素療法、レスピレーター、気管切開の処置、疼痛の看護、経管栄養、モニター測定、褥瘡の処置、カテーテルなどが該当します。
3. 心身の状態に関する意見の記入例
このブロックは介護度を大きく左右します。とくに認知症高齢者の日常生活自立度と、認知症の周辺症状(BPSD)の記載が重要です。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度) | B1(屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上の生活が主体だが座位を保つ) |
| 認知症高齢者の日常生活自立度 | IIb(日常生活に支障を来す症状・行動が家庭内でも見られ、介護を必要とする) |
| 認知症の中核症状 | 短期記憶「問題あり」/日常の意思決定を行うための認知能力「いくらか困難」 |
| 認知症の周辺症状(BPSD) | 「あり」を選択。幻視・昼夜逆転・介護への抵抗を具体的に記載 |
ちびウルフ身体はしっかりしてるのに、夜中に騒いだり徘徊したりする人はどう書けばいいの?
リハウルフまさに周辺症状の記載が肝心だよ。身体機能だけ見ると軽く判定されがちだけど、夜間対応や見守りの負担は「特記すべき事項」と合わせて具体的に書く。これで介護の手間が審査会に伝わるんだ。
4. 生活機能とサービスに関する意見の記入例
移動手段や栄養状態、今後起こりうる状態、医学的管理の必要性などを記載します。「現在、あるいは今後発生の可能性が高い状態とその対処方針」では、転倒・骨折・誤嚥・褥瘡など具体的リスクを挙げると説得力が増します。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 移動(屋外) | 「車いす使用」にチェック。介助が必要 |
| 栄養・食生活 | 食事行為「全面介助」/現在の栄養状態「不良」 |
| 今後発生しうる状態 | 転倒・骨折、誤嚥性肺炎、褥瘡にチェックし、対処方針を記載 |
| サービス利用による生活機能の維持・改善の見通し | 「期待できる」を選択。リハビリ継続で座位保持・移乗の安定が見込める旨 |
| 医学的管理の必要性 | 訪問診療・訪問看護・訪問リハビリテーションにチェック |
5. 特記すべき事項の記入例
1〜4で書ききれなかった介護の実態を、エピソードで具体的に補う最重要の自由記載欄です。審査会はここを読んで一次判定を修正することがあります。文例は次のとおりです。
専門職が押さえたい記入のコツと連携のポイント
主治医意見書は医師が記入しますが、現場でいちばん本人の生活を見ているのはケアマネジャー・看護師・リハビリ職・介護職です。多職種で情報を持ち寄ることが、実態に合った意見書につながります。
- 受診前に、ふだんの生活状況・困りごと・夜間対応の頻度などを情報提供書やメモにまとめて主治医へ渡す
- 認知症の周辺症状や転倒歴など、診察室では見えにくい情報を具体的なエピソードで伝える
- 医師は受け取った情報も参考に、傷病・特別な医療・特記事項を漏れなく記載する
- 記入後は感熱紙を避け、長期保存に適した用紙で作成(インク・ボールペン使用、または電子作成)
よくある質問(FAQ)
主治医意見書は誰が、いつ書くのですか?
記入例どおりに書けば介護度は上がりますか?
令和8年4月の新様式で、記入の手間は変わりますか?
特記すべき事項には何文字くらい書けばよいですか?
第2号被保険者(40〜64歳)の意見書で特に注意することは?
- 主治医意見書は、要介護認定の二次判定を左右する重要書類。認定調査票と並ぶ判定の土台になる
- 令和8年4月1日から新様式へ移行。同意欄の削除・特記事項の文言一部削除・電子化対応が主な変更点(当分の間は旧様式も可)
- 記入は「傷病」「特別な医療」「心身の状態」「生活機能とサービス」「特記すべき事項」の5項目
- とくに認知症の周辺症状と特記すべき事項は、介護の手間を伝える要。空欄・「特になし」は避ける
- ケアマネ・看護師・リハ職が事前に生活状況を主治医へ情報提供すると、実態に合った意見書になる
