失語症の本おすすめ7選|家族・専門職別に言語聴覚士が厳選

「失語症のことをきちんと理解したいけれど、どの本から読めばいいのか分からない」——ご家族として、あるいは言語聴覚士(ST)やリハビリ職として、そう感じている方は少なくありません。失語症は「言葉が出ない・理解できない」だけではない奥の深い障害で、入門書から専門書まで一冊ごとに対象も難しさも大きく違います。
この記事では、訪問リハビリの現場でご利用者やご家族と関わってきた視点から、失語症を学ぶうえで定番・人気の本を7冊厳選しました。ご家族・当事者向けの読みやすい入門書から、ST・リハ職向けの評価・訓練の専門書まで、立場と目的別にまとめています。あなたに合う一冊がきっと見つかります。
- 失語症の本を選ぶときの「失敗しない5つのポイント」
- ご家族・当事者向け/ST・リハ職向けに分けたおすすめ本7冊
- 立場や目的に合わせた「読む順番」の目安
- 本だけに頼らない、失語症の方との関わり方のコツ
そもそも失語症とは?本で学ぶ前に知っておきたい基礎
ちびウルフ失語症って「ろれつが回らない」のとは違うんですか?
リハウルフうん、まったく別物だよ。失語症は脳の言語をつかさどる部分が傷ついて、「聞く・話す・読む・書く」という言葉そのものが使いにくくなる状態なんだ。発音の問題(構音障害)とは原因が違うんだよ。
失語症は、脳卒中(脳梗塞・脳出血)や頭部外傷などで、脳の言語領域がダメージを受けて起こります。知能や考える力そのものが失われるわけではなく、「頭の中にある言いたいこと」と「言葉」をつなぐ働きがうまくいかなくなるのが特徴です。だからこそ、本人はもどかしさや不安を抱えやすく、ご家族も「どう接していいか分からない」と戸惑いがちです。
こうした失語症の全体像や、症状のタイプ(運動性失語・感覚性失語など)、回復の見通しは、信頼できる本で体系的に学ぶのが近道です。まずは自分の立場と目的に合った本を選ぶことから始めましょう。
失語症の本の選び方【失敗しない5つのポイント】
ちびウルフたくさんあって、どれを選べばいいか迷っちゃう…
リハウルフまずは「誰が・何のために読むか」をはっきりさせると失敗しないよ。下の5つをチェックしてみてね。
失語症の本は、対象読者によって内容のレベルがまったく異なります。次の5点を意識して選ぶと、自分に合わない難しすぎる本・物足りない本を避けられます。
- 読む立場で選ぶ:ご家族・当事者か、ST・リハ職かで適した本は変わります。
- 目的で選ぶ:全体像をつかみたいのか、評価・訓練の実務に使いたいのかを決めます。
- イラスト・マンガの有無:入門なら図解やマンガが多い本のほうが挫折しにくいです。
- 専門書は「評価から訓練まで」つながる構成か:検査の解釈と訓練立案がセットだと現場で役立ちます。
- 当事者・家族の体験談があるか:気持ちの面での支えになり、関わり方のヒントが得られます。
下の表は、立場と目的から本のタイプを選ぶための早見表です。このあと紹介する7冊も、このタイプに沿って整理しています。
| 読む立場 | 主な目的 | 向いている本のタイプ |
|---|---|---|
| 当事者・ご家族 | まず全体像を知りたい | イラスト入門書・マンガエッセイ |
| 当事者・ご家族 | 家庭で言葉の練習をしたい | 訓練帳・ワーク形式の本 |
| 一般・学び直し | 仕組みを深く理解したい | 新書・教養書 |
| ST・リハ職(初学) | 評価と訓練の流れを学ぶ | 評価・治療の入門専門書 |
| ST・リハ職(実践) | 症例から訓練を組み立てる | 症例ベースの実践書・症候学 |
失語症の本おすすめ7選【立場・目的別】
リハウルフここからは定番・人気の7冊を紹介するよ。各見出しに【家族・当事者向け】【専門職向け】の目印を付けたから、自分に合うものから読んでみてね。
1. 失語症のすべてがわかる本【家族・当事者向け】
講談社「健康ライブラリーイラスト版」の一冊で、失語症の入門書として長く読まれてきた定番です。著者は加藤正弘・小嶋知幸の両氏。豊富なイラストと図解で、失語症がなぜ起こるのか、どんな症状のタイプがあるのか、回復やコミュニケーションの工夫までをやさしく解説しています。「まず1冊だけ読むなら」とご家族に最初におすすめしやすい本です。
2. こう見えて失語症です【家族・当事者向け】
主婦の友社から出ているマンガエッセイ。著者の米谷瑞恵さんは、脳出血で失語症になった夫を支えるなかで、自らも言語聴覚士になったという経歴の持ち主です。あらいぴろよさんのマンガで発症からの日々がユーモラスに、でもリアルに描かれています。「専門書はまだ重い」「同じ立場の体験を知りたい」というご家族に、気持ちの支えとしておすすめできる一冊です。
3. なるほど!失語症の評価と治療【専門職向け】
金原出版から刊行されている、ST・リハ職向けの定番専門書(小嶋知幸 編)。サブタイトルの通り「検査結果の解釈から訓練法の立案まで」を、基礎・検査・訓練・症例の流れで学べる構成です。検査の点数を取って終わりにせず、「結果をどう読み、どんな訓練につなげるか」を学びたい新人STや学生に特に向いています。
4. 失語症の方のための言語訓練帳【家族・当事者+専門職】
失語症の方が言葉のリハビリに取り組むための、ワーク(訓練帳)形式の教材です。読むだけの本ではなく、実際に手を動かして練習できるのが特徴。ご家庭での自主トレーニングの教材としても、ST・リハ職が訓練の素材を探すときにも活用できます。「読む本」と「やる本」を1冊ずつ持っておくと学びが定着しやすくなります。
5. 言葉と脳と心 失語症とは何か(講談社現代新書 2085)【家族・一般向け】
神経心理学の第一人者・山鳥重氏による講談社現代新書。失語症の代表的な症状を具体的に示しながら、「言葉とは何か」「脳と心はどうつながっているのか」という根っこの部分まで掘り下げた一冊です。新書なので持ち運びやすく、専門書の前に読む教養書として、また学生がもう一段深く理解したいときの読み物としても優れています。
6. 実践!失語症のリハビリテーション ―症例から学ぶ訓練プランの組み立て方―【専門職向け】
タイトル通り、具体的な症例をもとに訓練プランの立て方を学べる実践的な専門書です。「評価はできるけれど、目の前の人にどう訓練を組み立てればいいか分からない」という、現場で多くのSTがぶつかる悩みに直接こたえてくれます。教科書で基礎を押さえたあと、実践力を高めたいリハ職におすすめです。
7. 失語の症候学 ハイブリッドCD-ROM付【専門職向け】
医学書院から出ている、失語の「症候学」を学ぶための専門書(相馬芳明・田邉敬貴 著)。付属のCD-ROMで実際の症例の話し方・聞き取りを確認できるのが大きな特長で、文字だけでは伝わりにくい失語症状を「見て・聴いて」理解できます。失語症のタイプや症状をより深く掘り下げたい、経験を積んだST・リハ職や研究者向けの一冊です。
立場別・読む順番の目安
ちびウルフ結局、どういう順番で読むのがいいの?
リハウルフ立場で変えるのがおすすめだよ。ご家族と専門職、それぞれの目安を紹介するね。
ご家族・当事者の方は、まず全体像と気持ちの面から入ると挫折しにくいです。
- 『失語症のすべてがわかる本』で全体像をつかむ
- 『こう見えて失語症です』で同じ立場の体験にふれる
- 『失語症の方のための言語訓練帳』で家庭での練習を始める
ST・リハ職の方は、評価と訓練の基礎から実践へと積み上げます。
- 『なるほど!失語症の評価と治療』で評価から訓練の流れを学ぶ
- 『実践!失語症のリハビリテーション』で症例ベースの組み立てを身につける
- 『失語の症候学』で症状理解をさらに深める(『言葉と脳と心』も併読がおすすめ)
本だけに頼らない!失語症の方との関わり方のコツ
リハウルフ本で知識を入れたら、次は日々の関わり方が大切。現場で意識しているコツを伝えるね。
失語症は知識として理解するだけでなく、毎日のコミュニケーションのなかで支えていくことが回復の力になります。訪問リハビリの現場でも、ご家族の関わり方が変わるだけで本人の表情が大きく変わることをよく経験します。
- ゆっくり・短く・はっきり話し、一度に多くを伝えすぎない。
- 言葉だけでなく、表情・身ぶり・絵・文字など複数の手段を使う。
- 本人が言葉を探しているときは、急かさず待つ時間をつくる。
- 「言えたこと」「伝わったこと」を一緒に喜び、自信につなげる。
失語症は知的能力が下がったわけではありません。子ども扱いをしたり、本人を抜きにして話を進めたりするのは避けましょう。「分かっているのに言えない」もどかしさに寄り添う姿勢が何より大切です。
関わり方に迷ったときは、自己流で抱え込まず、担当の言語聴覚士やリハビリ職に相談してください。一人ひとりの症状に合わせた具体的な工夫を一緒に考えてもらえます。
よくある質問(FAQ)
失語症の本は、家族でも理解できますか?
専門書と入門書、どちらを先に読むべきですか?
家庭で言葉の練習に使える本はありますか?
失語症は本を読んで練習すれば治りますか?
言語聴覚士を目指す学生にはどの本がよいですか?
- 失語症の本は「誰が・何のために読むか」で選ぶと失敗しません。
- ご家族・当事者は入門書(すべてがわかる本/こう見えて失語症です)から、専門職は評価・治療の専門書から始めるのがおすすめです。
- 『失語症の方のための言語訓練帳』のように、読むだけでなく実際に練習できる本を1冊持っておくと学びが定着します。
- 本で知識を得たら、ゆっくり・複数の手段で関わり、迷ったときは言語聴覚士に相談しましょう。
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