「親が認知症と診断されたけど、まず何から知ればいいんだろう」「どう声をかければ本人を怒らせずに済むのか分からない」——そんな不安をかかえて、本屋やネットで認知症の本を探していませんか。

この記事では、訪問リハの現場で多くのご家族と接してきた立場から、認知症をはじめて学ぶ家族・介護者にこそ読んでほしい本を7冊厳選しました。マンガ・図解で読みやすいものから、手続きやお金まで分かる実用書、より深く学べる教科書まで、あなたの段階に合った一冊が必ず見つかります。

この記事でわかること
  • 認知症の本を読むと、家族の不安と対応のしんどさがどう変わるのか
  • 失敗しない認知症の本の選び方(マンガ・図解・実用書の使い分け)
  • 家族・介護者が最初に読むべきおすすめ7冊と、それぞれの向き不向き
  • 本を「読んで終わり」にせず、毎日の接し方に活かすコツ

認知症の本を読むと、家族の「困った」はこう変わる

ちびウルフちびウルフ

ネットで調べれば分かるのに、わざわざ本を読む意味ってあるの?

リハウルフリハウルフ

ネットは断片的な情報が多いんだ。本は「なぜその行動が起きるのか」を順序立てて教えてくれるから、応用がきくようになるよ。

認知症の介護がつらくなる大きな原因は、「本人がなぜその行動をとるのか分からない」ことにあります。同じ話を何度もする、財布を盗られたと言う、夜中に出歩く——理由が分からないまま対応すると、家族はただ我慢するしかなく、心がすり減っていきます。

本を読んで「本人の見ている世界」や「行動の背景」を理解できると、対応は驚くほどラクになります。「困った行動」が「困っているサイン」に見えてくると、声のかけ方も自然と変わり、本人も家族も穏やかに過ごせる時間が増えていきます。これは現場でご家族を見ていて、いつも実感することです。

ポイント 認知症の本は「症状を抑えるための知識」ではなく、本人を理解し、家族の心を守るための知識として読むのがおすすめです。まずは1冊、読みやすいものから始めましょう。

失敗しない認知症の本の選び方【4つの視点】

ちびウルフちびウルフ

種類が多すぎて、どれを選べばいいか分からないよ…

リハウルフリハウルフ

「今いちばん知りたいこと」で選ぶと失敗しないよ。下の4つの視点で整理してみよう。

認知症の本は数えきれないほど出版されています。失敗しないために、次の4つの視点で自分に合うものを選びましょう。

  • 読みやすさで選ぶ:はじめての方はマンガ・図解中心の本が挫折しにくく、内容も頭に残りやすいです。
  • 知りたいテーマで選ぶ:「接し方・声かけ」「手続き・お金」「病気の仕組み」など、今いちばん困っていることに合わせます。
  • 立場で選ぶ:家族向けか、専門職も読む実務書か。深さが大きく違います。
  • 当事者・実体験の有無で選ぶ:当事者や介護経験者の本は、知識だけでは得られない「気持ち」を教えてくれます。
タイプこんな人向け特徴
マンガ・図解はじめて学ぶ家族読みやすく、本人の世界が直感的に分かる
言いかえ・接し方毎日の対応に困っている人そのまま使える具体的な声かけが学べる
手続き・お金の実用書これから介護が始まる人受診・介護保険・費用を辞書的に確認できる
当事者・実体験気持ちに寄り添いたい人本人や家族のリアルな心情が分かる
専門書・教科書深く正確に学びたい人病気の全体像を体系的に押さえられる
注意 「これを飲めば/やれば治る」と断定する本には注意が必要です。認知症の進行には個人差が大きく、医学的に確立された「完治法」はありません。あくまで理解と接し方を助ける一冊として活用しましょう。

認知症を理解する本 おすすめ7選【家族・介護者向け】

リハウルフリハウルフ

ここからは、家族が読みやすい順に7冊を紹介していくよ。気になった1冊から手に取ってみてね。

1. マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界

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文響社
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内容:認知症の人の視点に立ち、「なぜその行動をとるのか」をマンガで描いたシリーズ累計ベストセラーです。家族・ケアする人が見ている世界と、本人が見ている世界を対比して解説します。

おすすめポイント:「同じことを何度も聞く」「財布を盗られたと言う」といったよくある場面の“理由”が本人目線で腑に落ちる一冊。専門知識ゼロでもスッと読めるので、最初の1冊に最適です。マンガのあとに専門家の解説ページがあり、対応のコツも学べます。

2. ボクはやっと認知症のことがわかった

内容:「長谷川式認知症スケール」を開発した精神科医・長谷川和夫氏が、自ら認知症になった経験を語った一冊です。専門家でありながら当事者となった、唯一無二の視点で書かれています。

おすすめポイント:認知症になっても心も感情も生きていることが、当事者の言葉で伝わってきます。「本人はどう感じているのか」を知ると、家族の接し方は根本から変わります。知識の本に疲れたとき、心に寄り添いたいときに読みたい本です。

3. 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ

内容:認知症心理学の専門家による監修で、ついやってしまうNGな声かけと、本人に伝わりやすいOKの言いかえフレーズを、場面別にまとめています。

おすすめポイント:「ダメ」「さっきも言ったでしょ」を今日からどう言い換えればいいかがすぐ分かります。理屈より「具体的なセリフ」がほしい家族にぴったり。手元に置いて、困ったときにページをめくる使い方がおすすめです。

4. 自分と家族の認知症の介護と手続き 名医が教える最善の進め方Q&A大全

内容:受診・診断から介護保険の申請、お金、各種手続きまで、認知症介護で必要な知識をQ&A形式で網羅した「大全」です。

おすすめポイント:「何から始めればいいの?」という手続き面の不安にまとめて答えてくれる実用書。接し方の本とは別に、辞書のように1冊持っておくと安心です。これから介護が本格的に始まるご家族に特におすすめします。

5. お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ

内容:著者自身の「ダブル介護」の実体験を描いたコミックエッセイです。笑いと本音を交えて、リアルな介護の日常がつづられています。

おすすめポイント:制度や接し方の本では分からない、介護する側の本音と心の揺れに共感できます。「しんどいのは自分だけじゃない」と思えるだけで、ふっと気持ちが軽くなる一冊。介護に疲れたときの心の栄養になります。

6. 認知症診療スタートブック

内容:認知症診療の基礎を体系的にまとめた、医師・専門職向けの入門書です。診断や対応の考え方が整理されています。

おすすめポイント:家族向けの本では物足りない、より正確・専門的に理解したい方に。やや専門的ですが、医療職と話すときの共通言語が身につきます。介護に関わる専門職の学び直しにも役立ちます。

7. 別冊 認知症の教科書 増補改訂版

内容:認知症の種類・症状・治療・ケアを図解で体系的にまとめた一冊です。最新の知見を踏まえた増補改訂版になっています。

おすすめポイント:1冊で認知症の全体像を押さえたい方の保存版。図解が豊富で読みやすく、必要なときに該当ページを開いて確認できます。家庭にも職場にも置いておきたい教科書です。

本を「読んで終わり」にしないための活かし方

ちびウルフちびウルフ

本を読んでも、いざ本人を前にすると忘れちゃうんだよね…

リハウルフリハウルフ

それが普通だよ。だから「全部やろう」とせず、まず1つだけ試すのがコツなんだ。

本で学んだことを毎日の介護に活かすには、現場でも実践している次の流れがおすすめです。完璧を目指さず、できることから少しずつ取り入れてください。

  • 1冊を最後まで読み切る:まずはマンガ・図解の本から。全体像をつかむことを優先します。
  • 「使えそうな声かけ」を1つだけ選ぶ:言いかえフレーズの本などから、今日試す1フレーズを決めます。
  • 実際に試して、反応をメモする:うまくいった・いかなかったを書き留めると、本人に合う対応が見えてきます。
  • 家族や専門職と共有する:ケアマネや訪問スタッフに伝えると、チームで同じ対応ができます。
ポイント 本の内容を介護に関わる人全員で共有すると、本人にとっての「対応のばらつき」が減り、混乱しにくくなります。良かった一冊は、ぜひ家族みんなで回し読みしてください。

よくある質問

認知症の本は、診断前でも読んでいいですか?
問題ありません。むしろ「最近様子がおかしい」と感じた早い段階で読んでおくと、受診や対応の準備ができて安心です。手続き・お金の実用書も早めに目を通しておくと役立ちます。
まず1冊だけ選ぶなら、どれがおすすめですか?
はじめての方には「マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界」がおすすめです。読みやすく、本人の世界を理解する土台ができます。そのうえで、接し方に困っているなら言いかえフレーズの本を足すと実践的です。
専門書(診療スタートブック・教科書)は家族が読んでも分かりますか?
家族向けの本に比べると専門的ですが、図解が多く全体像をつかむのには役立ちます。まず読みやすい本で基礎を作ってから手に取ると、内容がぐっと理解しやすくなります。
本に書かれた接し方を試しても、うまくいきません。
認知症の方への対応に「全員に効く正解」はありません。本の方法は引き出しの一つととらえ、合わなければ別の方法を試してください。うまくいかない日があっても、それはあなたのせいではありません。ケアマネや主治医に相談することも大切です。
電子書籍(Kindle)と紙の本、どちらがいいですか?
辞書的に何度も見返す実用書は紙、すき間時間に読みたいマンガ・エッセイは電子書籍が便利です。介護中は手が離せないことも多いので、スマホで読める電子書籍を併用する方も増えています。
まとめ
  • 認知症の本は「本人を理解し、家族の心を守る」ために読むと対応がラクになる。
  • 選ぶときは「読みやすさ・テーマ・立場・当事者性」の4つの視点で。
  • はじめての家族はマンガ・図解の本から、必要に応じて接し方・手続き・専門書を足す。
  • 読んだら「1つだけ試す→共有する」で毎日の介護に少しずつ活かす。
  • 「治る」と断定する本には注意し、迷ったら主治医やケアマネに相談を。

※価格・在庫はAmazon等の各販売ページの最新情報をご確認ください。医療・介護に関する判断に迷う場合は、主治医・地域包括支援センター・ケアマネジャーにご相談ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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