「言語聴覚士として働くのがつらい」「ほかのSTも、こんなにつらいことがあるのかな」——厳しい実習を乗り越え、長い勉強を経て国家試験に合格したのに、いざ働いてみるとうまくいかない。そんな悩みを抱える言語聴覚士(ST)は少なくありません。

つらさの正体は人によって違いますが、多くは「訓練」「待遇」「職場」という3つの領域に分けられます。この記事では、言語聴覚士がつらいと感じる瞬間を11個に整理し、それぞれの背景と乗り越え方を、現場目線でわかりやすく解説します。今つらい人が「自分だけじゃない」と思え、次の一歩を考えるヒントになる内容です。

この記事でわかること
  • 言語聴覚士がつらいと感じる11の瞬間(訓練・待遇・職場の3分類)
  • それぞれのつらさが生まれる背景と、現場での向き合い方
  • つらさを軽くするための具体的な行動・選択肢
  • それでも言語聴覚士が求められ続けている理由

言語聴覚士がつらいと感じる理由は大きく3つ

言語聴覚士がつらいと感じる理由は、突き詰めると「訓練」「待遇」「職場」の3領域に整理できます。まずは全体像をつかみましょう。

分類つらいと感じる主な瞬間
訓練に関すること関係性が築けない/勉強が続く/成果が出ない/責任が重い/需要がないと感じる
待遇に関すること希望の領域で働けない/給料が低く昇給しづらい/残業が多い
職場に関すること職場の雰囲気が合わない/他職種と連携が取れない/孤独を感じる
ちびウルフちびウルフ

つらい理由って、こんなにいろいろあるんだね…。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。でも分けて見ていくと、それぞれに対処法がある。1つずつ確認していこう。

【訓練編】言語聴覚士がつらいと感じる5つの瞬間

まずは、リハビリ・訓練そのものに関するつらさを5つ紹介します。

① 患者さんとの関係性が築けない

よくしたいのに、嫌がられたり怒られたりする。言葉が出ない・うまく飲み込めず肺炎を繰り返している方は、できない自分を見たくなくて訓練を拒むこともあります。訓練の中身を変えてみたり、世間話で距離を縮めたりしながら、少しずつ関係を作っていきましょう。

② 勉強を続けないといけない

言語聴覚士は学び続ける職業です。訓練法や医療知識は更新され続けるため、勤務後や休日に論文を読み、研修や学会に参加します。リフレッシュの時間を確保しながら、無理のないペースで続けることが長く働くコツです。

③ 成果が出ない

患者さんや家族の期待が大きいぶん、成果が出ないとつらくなります。訓練を続けても嚥下機能が上がらず食事形態を変えられない、発語が引き出せない、ということもあります。言語療法はすぐに結果が出るとは限りません。時間をかけて訓練を見直しながら続けていきましょう。

④ 責任が重い

評価や訓練内容によってはリスクが伴います。「食べられる」と評価しても窒息しかけたり、誤嚥から肺炎で入院に至ったりする方もいます。責任は重いですが、食べられなかった方が嬉しそうに食べる姿を見られる、やりがいのある仕事でもあります。

⑤ 需要がないと感じる

「STがいなくても困らない」と感じてつらくなることもあります。たとえば介護施設で機能訓練指導員として雇われ、平行棒歩行やパワーリハビリを担当するケースです。雇用主がSTの役割を理解していないと専門性を発揮できません。自分にできる業務を具体的に伝え、理解してもらう働きかけが大切です。

ポイント訓練のつらさは「すぐに成果を求めない」ことで大きく和らぎます。小さな変化を記録し、患者さん・家族と共有すると、自分の手応えも、相手の納得感も育っていきます。

【待遇編】言語聴覚士がつらいと感じる3つの瞬間

ちびウルフちびウルフ

やりがいはあっても、お給料や働き方の悩みもあるよね?

リハウルフリハウルフ

そこは正直、職場による差が大きいところ。だからこそ「環境を選ぶ」視点が大事なんだ。

① 希望した領域の職場で働けない

求人がない、採用されないと希望の領域では働けません。小児領域で働きたいのに契約社員の求人しかない、言語訓練がしたいのに嚥下評価ばかり、ということもあります。契約社員から正社員登用を目指したり、大学院で専門性を高めたりして希望の領域に進むSTもいます。

② 給料が低く昇給しづらい

能力ではなく一律昇給の職場もあり、1年で1,500円しか上がらないという例もあります。仮に7年働いても上がり幅はわずか、というケースです。給料や昇給に納得できないなら、働き方そのものを見直すサインかもしれません。

③ 残業が多い

働き始めは覚えることや雑務が多く、帰宅が遅くなりがちです。スケジュールを組めず報告書を時間内に書き終えられないこともあります。慣れれば時間の使い方が上手くなり残業は減りますが、難しいときは上司への相談や、同級生に他職場の様子を聞いて改善を目指しましょう。

注意待遇の不満を「我慢」だけで抱え続けると、心身ともにすり減ってしまいます。今の職場で改善できるのか、環境を変えるべきなのかを、一度冷静に切り分けて考えることが大切です。

【職場編】言語聴覚士がつらいと感じる3つの瞬間

① 職場の雰囲気が合わない

学んだ内容を試せず、自分のペースで働けないとつらくなります。新しい訓練に消極的な職場では研修の学びを活かせませんし、運動会や社員旅行が多い職場は自分のペースを保ちにくいこともあります。雰囲気が合わないと感じるなら、環境を変える選択肢も検討しましょう。

② 他職種とコミュニケーションが取れない

職種ごとに考え方が違うため、意見を受け入れてもらえないこともあります。それでも「患者さんをよくしたい」という思いは同じです。うまくいかないときはST同士や他職種と話し、日頃からこまめに患者さんの情報を共有しておくと、方向性が大きくずれる前にすり合わせができます。

③ 孤独を感じる

1人職場だと、評価や訓練が本当に正しいのか不安になりがちです。食事形態を上げてよいのか、もっと効果的な訓練はないのか——。協会の研修に参加したり、近くで働く同級生のSTに連絡を取ったりして、つながりを増やすと孤独はやわらぎます。

ちびウルフちびウルフ

1人職場って、相談できる人がいないのが一番つらそう…。

リハウルフリハウルフ

だからこそ、職場の外に相談相手を持っておくといい。研修やSNSでつながった仲間が、心の支えになるよ。

言語聴覚士のつらさを軽くするためにできること

11個のつらさを見てきましたが、対処の方向性はシンプルです。次の手順で、今のつらさを少しずつ整理してみましょう。

  1. つらさを3分類で言語化する。「訓練・待遇・職場」のどこがつらいのかを書き出すと、対策が見えてくる。
  2. 職場内で変えられることを試す。上司への相談、時間の使い方の見直し、情報共有の習慣化など、まずできることから着手する。
  3. 職場の外につながりを作る。協会の研修・勉強会・同級生との連絡で、相談相手と最新知識を増やす。
  4. それでも合わなければ環境を見直す。領域・待遇・雰囲気が根本的に合わない場合は、転職という選択肢も前向きに検討する。
ポイント「我慢を続ける」か「すぐ辞める」かの二択で考えないことが大切です。まず職場内で改善を試し、それでも難しければ環境を変える——この順番で考えると、後悔の少ない選択ができます。

それでも言語聴覚士は社会から求められている仕事

つらさを並べてきましたが、言語聴覚士は言語・嚥下・ことばの発達など、多くの人に必要とされている専門職です。STにしかできない関わりがあり、「食べられた」「話せた」という瞬間に立ち会えるのは、この仕事ならではの喜びです。つらい理由を一つずつ解消しながら、自分らしく活躍していきましょう。

つらさは「環境」で大きく変わる|働き方を見直す視点

ここまで読んで気づくのは、言語聴覚士のつらさの多くが「仕事そのもの」ではなく「働く環境」に起因しているということです。同じSTでも、職場が変わるだけで給料・残業・人間関係・専門性の発揮しやすさは大きく変わります。だからこそ、「我慢して続ける」前に、いまの環境が自分に合っているかを定期的に見直す価値があります。

たとえば、嚥下評価ばかりで言語訓練ができない職場でつらさを感じている人が、回復期リハ病棟や訪問リハに移って生き生きと働くようになる、というのはよくある話です。小児・成人、急性期・回復期・生活期、病院・施設・在宅と、STが活躍できるフィールドは多彩です。今の職場が唯一の選択肢ではないと知っておくだけでも、心はずっと楽になります。

ポイント転職を急ぐ必要はありませんが、求人情報を「眺めておく」だけでも視野が広がります。自分の市場価値や、他職場の待遇・働き方を知ることは、今の職場で交渉・改善する材料にもなります。

言語聴覚士のつらさに関するよくある質問

言語聴覚士はつらいから辞めるべきですか?
必ずしもそうではありません。つらさが職場固有のもの(雰囲気・待遇・人間関係)なら、環境を変えることで解消できる場合があります。仕事内容そのものへの違和感かどうかを切り分けて考えましょう。
1人職場の不安はどう解消すればいいですか?
職場の外に相談相手を持つことが有効です。協会の研修や勉強会への参加、同級生のSTとの連絡などで、評価や訓練の判断を相談できる関係を作っておくと安心です。
給料が上がらない場合はどうすればいいですか?
まず昇給制度を確認し、能力評価が反映されるかを把握しましょう。一律昇給で改善が見込めない場合は、待遇の良い職場への転職や、専門性を高めてキャリアの幅を広げる方法もあります。
成果が出なくてつらいときの考え方は?
言語療法はすぐに結果が出るものばかりではありません。小さな変化を記録して可視化し、患者さんや家族と共有することで、手応えと納得感が育ちます。長い目で訓練を見直していきましょう。
まとめ
  • 言語聴覚士がつらいと感じる瞬間は、訓練・待遇・職場の3領域・計11個に整理できる。
  • 訓練のつらさは「すぐに成果を求めない」こと、待遇・職場のつらさは「環境を選ぶ視点」で軽くなる。
  • 1人で抱え込まず、職場の外に相談相手とつながりを持つことが孤独・不安の解消につながる。
  • つらさはあるが、言語聴覚士は社会から強く求められている専門職。理由を解消しながら活躍していこう。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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