「介護予防(要支援)の訪問リハビリは、要介護の人と報酬が違うの?」「12月を超えると減算されるって聞いたけど、回避する方法はあるの?」——令和6年度の介護報酬改定で、要支援者への訪問リハビリの基本報酬と減算ルールが大きく見直され、現場で戸惑う声が増えています。

この記事では、現役の理学療法士の視点で、介護予防(要支援)の訪問リハビリテーションの基本報酬と「12月超減算」を、最新の令和6年度介護報酬改定にもとづいてやさしく整理します。読み終えるころには、自分の事業所が減算対象になるのか、どうすれば回避できるのかが具体的に分かります。

この記事でわかること
  • 介護予防(要支援)と要介護の訪問リハビリの基本報酬の違い
  • 「予防訪問リハ12月超減算」とは何か・いくら減算されるか
  • 減算を回避するための2つの要件(リハ会議・LIFE)
  • 起算日の考え方と、令和6年度の経過措置(移行ルール)
ちびウルフ
ちびウルフ

先輩、要支援の人の訪問リハって、要介護と何が違うんですか?

リハウルフ
リハウルフ

いい質問だね。令和6年度の改定で基本報酬に差がついたんだ。まずは金額から押さえていこう。

介護予防(要支援)の訪問リハビリテーションの基本報酬

令和6年度介護報酬改定では、要介護者と要支援者に対する訪問リハビリテーションについて、利用者の状態像に応じたより適切な評価を行う観点から、基本報酬に差が設けられました。その結果、介護予防(要支援)の基本報酬が引き下げられています。

区分基本報酬(1回あたり)
訪問リハビリテーション(要介護)308単位/回
介護予防訪問リハビリテーション(要支援)298単位/回

改定前は要介護・要支援ともに同じ単位でしたが、令和6年度から要支援は1回あたり10単位低い298単位となりました。1単位を約10円とすると、1回につきおよそ100円の差です。月の訪問回数が多いほど、事業所全体の収入への影響は無視できません。

POINT

要支援=介護予防訪問リハ(298単位)、要介護=訪問リハ(308単位)。同じ「訪問リハビリ」でも、認定区分で基本報酬が分かれている点をまず覚えておきましょう。

予防訪問リハ12月超減算とは|30単位/回の減算

令和6年度改定では、介護予防訪問リハビリの長期利用に対する新しい減算が設けられました。これが「予防訪問リハ12月超減算」です。

介護予防訪問リハビリの利用開始日が属する月から起算して12月(12か月)を超えた場合に、後述する要件を満たさないと、次のとおり減算されます。

減算額

要件を満たさない場合 …… 1回につき30単位の減算

改定前の長期利用に関する減算は5単位/回でしたが、令和6年度から30単位/回へと大幅に強化されました。漫然とした長期リハビリを見直し、計画的・自立支援型のリハビリを促す狙いがあります。

ちびウルフ
ちびウルフ

30単位って結構大きいですね…。これは絶対に減算されちゃうんですか?

リハウルフ
リハウルフ

大丈夫、回避する要件がちゃんと用意されているよ。次で2つの条件を見ていこう。

12月超減算を回避する2つの要件

次の2つの要件をいずれも満たしている場合は、12月を超えても減算を回避できます。

  1. リハビリテーション会議を定期開催し、情報共有・計画見直しを行う3月に1回以上リハビリテーション会議を開催し、専門的な見地から利用者の状況等の情報を構成員と共有します。会議の内容を記録し、利用者の状態変化に応じてリハビリテーション計画を見直していることが求められます。
  2. LIFEへ計画書等の情報を提出し、フィードバックを活用する利用者ごとのリハビリテーション計画書等の情報を厚生労働省(LIFE)に提出し、提供にあたってその情報その他の必要な情報を活用していることが必要です。
CHECK

キーワードは「リハビリテーション会議(3月に1回以上)」と「LIFEへのデータ提出・活用」。この2本柱を業務フローに組み込めるかが、減算回避のカギになります。

起算日と「12月超」の数え方

「12月超」は、介護予防訪問リハビリの利用開始日が属する月を起点に数えます。利用開始月を1か月目として12か月を超えた月から、減算の対象期間に入るイメージです。

自社の利用者ごとに「いつから利用開始しているか」を一覧化し、12月を超えるタイミングを事前に把握しておくと、会議やLIFE提出の段取りを前もって組めます。リハ職だけでなく、ケアマネジャーや事務職とも開始月を共有しておくと安心です。

厚生労働省Q&Aと令和6年度の経過措置

制度開始時には、移行のための経過措置が示されました。要点を整理します。

令和6年6月1日時点で12月減算の対象者がいる場合、いつ要件を満たせばよい?

移行措置として、リハビリテーション会議は令和6年4〜6月の間に1回以上開催していれば要件を満たすとされました。LIFEへのデータ提出は、LIFE登録が令和6年8月1日以降に可能となるため、令和6年7月10日までにデータ提出のための評価を行い、遡り入力対象期間内に提出していれば要件を満たす取扱いとされています。

当初から減算を行わないためには、いつの時点で要件を満たせばよい?

リハビリテーション会議は、減算の適用が開始される月(12月を超えた日が属する月)に会議を行い、継続の必要性を検討した場合に要件を満たします。LIFEへのデータ提出は、減算の適用が開始される月の翌月10日までにデータを提出した場合に要件を満たすとされています。

ちびウルフ
ちびウルフ

会議のタイミングとLIFE提出の期限を、利用者ごとに管理しておくのが大事なんですね。

リハウルフ
リハウルフ

そのとおり。仕組みにしてしまえば難しくないよ。次は現場での回し方を紹介するね。

現場での実務ポイント(PT・OT・ST・看護師向け)

減算回避を「特別な作業」にせず、日常業務に溶け込ませるのがコツです。リハ職・看護師がそれぞれの立場でできることを整理しました。

利用開始月の見える化

利用者ごとの利用開始月をカレンダーや管理表に落とし込み、「12月超」になる月を黄色で強調しておきます。事前にアラートが立つようにすると、会議の招集漏れを防げます。

リハビリテーション会議を形骸化させない

3月に1回以上の会議は、単に開催するだけでなく、利用者の状態変化に応じた計画見直しをセットで行うことが要件です。ADL・IADLの変化、目標の達成度、卒業(終了)の見通しまで構成員で共有しましょう。

LIFE提出をルーティン化する

LIFEへのデータ提出は、提出して終わりではなく「活用」までが求められます。フィードバック票を会議資料に組み込み、計画の根拠として使うと、要件充足とケアの質向上の両立が図れます。

注意

本記事の単位数・要件は令和6年度介護報酬改定にもとづく内容です。加算・減算の運用は自治体(保険者)によって解釈や確認方法が異なる場合があります。実際の算定にあたっては、必ず管轄自治体や最新の厚生労働省通知・Q&Aをご確認ください。

よくある質問(FAQ)

要支援と要介護で訪問リハビリの基本報酬はいくら違いますか?

令和6年度時点で、要介護の訪問リハビリは308単位/回、要支援の介護予防訪問リハビリは298単位/回です。要支援のほうが1回あたり10単位低く設定されています。

12月超減算はいくら減算されますか?

要件を満たさない場合、1回につき30単位の減算となります。リハビリテーション会議の定期開催とLIFEへのデータ提出・活用の2要件を満たせば、減算を回避できます。

12月超減算は要介護の訪問リハビリにも適用されますか?

令和6年度改定で新設された「12月超減算」は、介護予防(要支援)の訪問・通所リハビリを対象としています。要件や対象範囲の詳細は最新の厚生労働省通知でご確認ください。

リハビリテーション会議はどのくらいの頻度で開けばよいですか?

減算回避の要件としては「3月に1回以上」の開催が求められます。あわせて、会議内容の記録と、状態変化に応じた計画の見直しが必要です。

まとめ|介護予防訪問リハの減算は「仕組み化」で回避できる

令和6年度改定で、介護予防(要支援)の訪問リハビリは基本報酬が引き下げられ、12月超減算も30単位/回へと強化されました。とはいえ、要件を理解して業務に組み込めば、減算は十分に回避できます。

この記事のまとめ
  • 基本報酬は要介護308単位/回、要支援(介護予防)298単位/回
  • 12月超減算は要件未充足で30単位/回の減算
  • 回避要件は「リハ会議(3月に1回以上)」と「LIFE提出・活用」の2本柱
  • 利用開始月の見える化と、会議・LIFEのルーティン化が現場のカギ

制度を正しく押さえ、自立支援につながる質の高いリハビリで、利用者にも事業所にもプラスになる運営を目指しましょう。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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