介護保険でおむつ代は支給されるのか?専門家が徹底解説!

結論から言います。在宅で使うおむつ代は、介護保険から支給されません。おむつは福祉用具の貸与にも購入にも入っておらず、介護保険の給付対象外です。
ただし、負担を軽くする道は3つあります。①市区町村のおむつ支給・助成事業 ②おむつ代の医療費控除 ③施設入所中は施設サービス費に含まれるという3つです。この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅の現場に関わってきた立場から、それぞれの中身と手続きを、厚生労働省・国税庁の通知にそって整理します。
- 在宅・施設・デイサービスでおむつ代の扱いが違うこと
- 施設とショートステイではおむつ代を徴収できないこと
- デイサービスのおむつ代は実費でよいと省令に書かれていること
- 市区町村のおむつ支給・助成事業の探し方と申請の流れ
- おむつ代の医療費控除の条件(寝たきり度と尿失禁)
- 2年目以降は「おむつ使用証明書」がいらないこと
- 令和6年分以降、1年目も証明書なしで済む場合があること
- 施設入所中のおむつ代も医療費控除の対象になり得ること
介護保険でおむつ代は支給されるのか
場面によって扱いがまったく違います。まずここを整理してください。
| 在宅(自宅で使う) | 介護保険からは出ない。福祉用具貸与13品目にも、特定福祉用具販売の対象にも含まれない |
|---|---|
| 介護保険施設に入所(特養・老健・介護医療院) | 施設サービス費に含まれる。おむつ代は一切徴収できない |
| ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護) | 施設と同じ。徴収できない |
| デイサービス・デイケア | 実費を徴収できる(省令におむつ代が明記されている) |
| 有料老人ホーム・サ高住・グループホーム | 介護保険施設ではないため、施設との契約による |
ちびウルフ同じおむつなのに、場所で扱いが変わるの? ややこしい…
リハウルフ考え方はシンプルで、「そこで生活しているかどうか」です。入所やショートステイは24時間そこで生活しているので、おむつ代まで含めて報酬が設定されています。一方、デイは日中だけ通う場所なので、食費と同じく実費。在宅は生活の場が自宅なので、介護保険は関与しません。この線引きが分かると迷わなくなります。
施設とショートステイではおむつ代を徴収できない
これは知らない家族がとても多い点です。厚生労働省の通知では、次のように定められています。
「おむつは各自持参してください」と言われても、介護保険施設なら本来は不要です。持ち込みを求められた場合や、おむつ代として請求されている場合は、施設に確認し、それでも解決しなければ市町村の介護保険担当課に相談してください。
デイサービスのおむつ代は実費でよい
一方、通所介護については、事業者が利用者から支払いを受けられる費用として、省令に「おむつ代」が明記されています(指定居宅サービス等基準第96条第3項第4号)。食事の提供に要する費用と並んで書かれています。
したがって、デイサービスでおむつ代を請求されるのは正当です。ただし、あらかじめ利用者・家族に内容と費用を説明し、同意を得ることが必要とされています。金額に納得できない場合は、自分で持参できるか相談してみてください。
在宅の負担を軽くする①市区町村のおむつ支給・助成事業
在宅で使えるいちばん直接的な制度がこれです。ただし介護保険の全国共通のサービスではなく、市区町村が独自に行う事業のため、有無も内容も地域によってまったく違います。
| 支給の形 | 紙おむつの現物支給/おむつ券(引換券)の交付/購入費の助成(後払い)のいずれか |
|---|---|
| 対象になりやすい条件 | 要介護3〜5(自治体により要介護1〜2も)/市町村民税非課税世帯/常時おむつを使用している/在宅で生活している |
| 金額の目安 | 月額数千円〜1万円程度の範囲で上限を設けている自治体が多い |
| 入院・入所中の扱い | 対象外とする自治体が多い(在宅生活が前提のため) |
調べ方と申請の流れ
- 自治体名+「紙おむつ 支給」「おむつ券 助成」で検索する/ケアマネジャーや地域包括支援センターに聞くのが最短
- 対象条件を確認する/要介護度、課税状況、在宅であること、常時使用していること
- 申請書を提出する/介護保険被保険者証、印鑑、本人確認書類などが必要なことが多い
- 決定通知・おむつ券の交付を受ける
- 指定業者・登録店で受け取る、または購入後に助成申請する
- 年度ごとに更新する/要介護度が変わったときは再確認する
在宅の負担を軽くする②おむつ代の医療費控除
助成事業がない自治体でも使えるのがこちらです。おむつ代は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。年間の負担が大きい家庭ほど効きます。
基本の条件
- 傷病によりおおむね6か月以上寝たきりの状態にあること
- 医師が、治療上おむつを使う必要があると認めていること
- 領収書を保存していること(レシートで可。氏名・日付・品名が分かるもの)
1年目は「おむつ使用証明書」
1年目は原則として、医師が発行する「おむつ使用証明書」を確定申告書に添付または提示します。かかりつけ医に依頼して作成してもらいます(文書料がかかることがあります)。
2年目以降は証明書がいらない
ここが最も知られていない部分です。国税庁の法令解釈通達により、2年目以降は「おむつ使用証明書」がなくても、市町村が発行する確認書または主治医意見書の写しで代替できます。
| 提出するもの | 市町村が主治医意見書の内容を確認した書類、または主治医意見書の写し/おむつ代の領収書 |
|---|---|
| 主治医意見書の条件 | 「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)」がB1・B2・C1・C2のいずれかで、かつ尿失禁に関する記載があること |
| 確認書に記載される内容 | 主治医意見書の作成日/寝たきり度/尿失禁の発生可能性 |
| 申請先 | 市町村の介護保険担当課(本人の申出により交付される) |
つまり、要介護認定を受けていれば、そのときに主治医が書いた意見書がそのまま証明として使えるということです。毎年、医師に証明書を書いてもらう必要はありません。
施設入所中のおむつ代も対象になる
介護保険施設の場合、おむつ代は施設サービス費に含まれるため別途の支払いはありませんが、施設サービス費の自己負担額そのものが、一定の範囲で医療費控除の対象になります。特養なら自己負担額(食費・居住費を含む)の2分の1、老健・介護医療院なら自己負担額の全額が対象です。領収書に医療費控除の対象額が記載されているので、捨てずに保管してください。
在宅の負担を軽くする③その他の制度
| 障害者総合支援法の日常生活用具給付 | 身体障害者手帳などを持つ人が対象。紙おむつが給付対象になっている自治体がある |
|---|---|
| 高額療養費・高額介護サービス費 | おむつ代自体は対象外だが、医療費・介護費全体の負担軽減として確認する価値がある |
| 介護保険外の生活支援サービス | 宅配や訪問販売の割引など。自治体の社会福祉協議会が案内していることがある |
現場で家族に案内するときのコツ
専門職向けの話です。おむつの相談を受けたとき、「介護保険では出ません」だけで終えないでください。家族が本当に知りたいのは「どうすれば安くなるか」です。
- まず自治体の助成事業の有無を調べて具体名で伝える(担当課名まで言えると親切)
- 医療費控除を必ずセットで案内する。特に2年目以降は証明書不要である点
- 要介護認定の更新時期に合わせて、主治医意見書の記載(寝たきり度・尿失禁)が要件を満たすか意識する
- 施設入所やショート利用中におむつ代を請求されていないか確認する
- サイズ・吸収量が合っていないと使用量が増える。費用の相談は、まず「使い方の見直し」から入ると効果が出やすい
介護保険でおむつ代は支給されますか?
特養や老健ではおむつ代がかかりますか?
デイサービスでおむつ代を請求されました。おかしいですか?
有料老人ホームやグループホームは?
おむつの助成はどこに聞けばよいですか?
おむつ代は医療費控除の対象になりますか?
毎年おむつ使用証明書が必要ですか?
1年目でも証明書なしで申告できますか?
施設に入っている場合、医療費控除は使えますか?
- 在宅で使うおむつ代は、介護保険の給付対象外。福祉用具の貸与にも購入にも含まれない。
- 介護保険施設(特養・老健・介護医療院)とショートステイでは、おむつに係る費用を一切徴収できない。
- 徴収できない範囲には、おむつカバー代とその洗濯代も含まれる。
- デイサービス・デイケアでは、省令に「おむつ代」が明記されており実費徴収が認められる。
- 有料老人ホーム・サ高住・グループホームは介護保険施設ではないため、契約による。
- 在宅の負担軽減は、①市区町村の支給・助成事業 ②医療費控除 の2本立てで考える。
- 助成事業は自治体独自のため、有無も内容も地域差が大きい。担当は高齢福祉担当課であることが多い。
- 窓口では「介護保険で出ますか」ではなく「紙おむつの支給・助成事業はありますか」と聞く。
- 医療費控除の基本条件は、おおむね6か月以上寝たきりで、医師が治療上必要と認めていること。
- 2年目以降はおむつ使用証明書が不要。市町村の確認書か主治医意見書の写しで代替できる。
- その際の条件は、寝たきり度がB1・B2・C1・C2で、尿失禁に関する記載があること。
- 令和6年分以降は、1年目でも主治医意見書での確認が認められる場合がある。
- 施設入所中は、施設サービス費の自己負担額自体が医療費控除の対象になる(特養は2分の1、老健・介護医療院は全額)。
- 厚生省老人保健福祉局企画課長通知「通所介護等における日常生活に要する費用の取扱いについて」(平成12年3月30日老企第54号)
- 「介護保険施設等におけるおむつ代に係る利用料の徴収について」(平成12年11月16日老振発第25号・老健発第94号)
- 国税庁「おむつに係る費用の医療費控除の取扱い(「おむつ使用証明書」に代えた簡易な証明手続等)について(法令解釈通達)」(平成14年6月25日課個2-11)
- 国税庁「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて(情報)」
- 「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第96条第3項
※本記事の内容は、厚生労働省の通知および国税庁の法令解釈通達等にもとづいて整理したものです。市区町村のおむつ支給・助成事業は各自治体の独自事業であり、実施の有無、対象条件、支給額、申請方法はすべて自治体によって異なります。記載した対象条件や金額の目安は一般的な例であり、特定の自治体の制度を保証するものではありません。必ずお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。医療費控除の適用可否および必要書類の判断は税務署が行います。確認書の交付要件や様式は市町村により異なるため、申告前に市町村と所轄税務署にご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改正により取扱いが変わる可能性があります。案内の仕方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。





