「高次脳機能障害の家族を介護しているけれど、もう疲れた……」「この疲れをどうにかする方法を知りたい」——そう感じてこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

高次脳機能障害は外見からは分かりにくく、症状も人によってさまざまです。だからこそ、介護する側は「理解されにくい疲れ」を一人で抱え込みやすくなります。この記事では、高次脳機能障害とは何かをわかりやすく整理したうえで、介護が疲れる理由と、今日から試せる解決策を具体的に紹介します。少しでも心が軽くなるヒントが見つかれば嬉しいです。

この記事でわかること
  • 高次脳機能障害とは何か(4つの主な症状をやさしく解説)
  • 介護が「疲れた」と感じる5つの理由
  • 介護疲れを軽くする具体的な解決策
  • 限界を感じる前に使える相談先・サービス

高次脳機能障害とは?わかりやすく解説

ちびウルフちびウルフ

高次脳機能障害って、そもそもどんな状態のことなの?

リハウルフリハウルフ

事故や脳卒中などで脳の一部が傷つき、記憶や注意、判断などの働きに支障が出る状態のことだよ。見た目では分かりにくいのが特徴なんだ。

高次脳機能障害とは、脳卒中や頭部外傷などによって脳が損傷し、思考・記憶・注意・行動といった複雑な働きに問題が生じる状態をいいます。手足の麻痺と違って外からは見えにくく、本人も自覚しづらいため「見えない障害」とも呼ばれます。主な症状は次の4つです。

症状主な特徴日常での例
記憶障害新しいことを覚えにくい・忘れやすい予定を忘れる、同じ話を繰り返す
注意障害集中が続かない・気が散りやすい作業が途中で止まる、ミスが増える
遂行機能障害段取りを立てて実行するのが難しい料理の手順が分からなくなる
社会的行動障害感情や行動のコントロールが難しい急に怒る、状況に合わない言動

記憶障害

過去の出来事や新しい情報を覚えることが難しくなる症状です。鍵の置き場所を忘れる、予定が抜け落ちるといったことが増えます。本人に悪気はなく、脳が情報を正しく保持できないために起こります。

注意障害

集中力や注意の持続が難しくなる症状です。テレビを見ていて内容が頭に入らない、会話の途中で気が散ってしまうなど、一つのことを続けることに困難を感じます。

遂行機能障害

計画を立てて順序よく実行する力が低下する症状です。料理のレシピを読んでも手順どおりに進められない、電車の乗り換えが追えないなど、段取りが必要な場面で困りやすくなります。

社会的行動障害

感情のコントロールや対人関係が難しくなる症状です。急に興奮したり怒ったり、相手の気持ちを読み取りにくくなったりします。介護者にとって最も対応に神経を使う症状の一つです。

ポイント高次脳機能障害の症状は「本人の性格やわがまま」ではなく脳の損傷によるもの。この理解があるだけで、介護者の気持ちはぐっと楽になります。

高次脳機能障害の介護が「疲れた」と感じる5つの理由

ちびウルフちびウルフ

どうしてこんなに疲れちゃうんだろう……?

リハウルフリハウルフ

疲れるのは当然なんだ。理由をはっきりさせると、「自分が悪いわけじゃない」と気づけるよ。

高次脳機能障害の介護が疲れるのには、はっきりとした理由があります。次の5つに思い当たる方も多いはずです。

疲れる理由介護者にかかる負担
コミュニケーションが難しい意思疎通に神経をすり減らす
感情の起伏が激しい突然の興奮・怒り・涙への対応で消耗する
安全の確保が難しい火の元や服薬を常に見守る緊張が続く
身体的な介助が必要移動・入浴・食事介助で体力を使う
社会的に孤立しやすい外出や交流が減り、孤独感を抱える

コミュニケーションが難しい

言葉の理解や表現が難しくなることで、意思疎通がスムーズにいきません。「何を求めているのか分からない」状態が続くと、介護者の疲労やストレスは静かに蓄積していきます。

感情の起伏が激しい

理由が分からないまま急に興奮したり泣いたりすることがあり、その都度の対応に大きな精神的エネルギーを使います。気が休まらないのが、この介護のつらさの核心です。

安全の確保が難しい

認知機能の低下により、火の取り扱いや誤った服薬などのリスクが生じます。事故を防ぐために常に見守らなければならず、その緊張が心身を消耗させます。

身体的な介助が必要

移動のサポート、入浴や食事の介助など、身体を使うケアも欠かせません。長時間続くと肉体的な疲労がたまり、介護者自身の生活にも影響が出てきます。

社会的に孤立しやすい

介護に時間を取られ、外出や趣味、人との交流が減っていきます。さらに「この大変さは周りに理解されない」という思いが重なり、孤独感が心の負担になります。

高次脳機能障害の介護疲れを軽くする解決策

ちびウルフちびウルフ

疲れちゃったとき、どうやって立て直せばいいの?

リハウルフリハウルフ

大事なのは「自分一人で抱え込まないこと」。頼れる方法を知っておくだけで、心の余裕が変わるよ。

介護疲れは、根性で乗り切るものではありません。自分に合った方法を選び、少しずつ負担を分散させていきましょう。

① 介護する自分自身もリフレッシュする

介護者が倒れてしまっては、ケアそのものが続きません。自分をケアすることは、相手をケアすることと同じくらい大切です。

  1. 趣味や興味の時間をつくる……音楽、読書、散歩など、短時間でも気分転換になる活動を意識的に取り入れます。
  2. リラックス法を実践する……深呼吸・瞑想・軽いストレッチなどで、心身の緊張をこまめにほぐします。
  3. 一人で抱えず相談する……家族や友人に気持ちを話す、必要なら専門のカウンセリングを利用します。

② 同じ状況の人と情報交換をする

同じ立場の介護者とつながると、知識やコツを共有でき、何より「分かってもらえる」という安心感が得られます。オンラインの家族会やコミュニティ、専門家によるセミナー・ワークショップなどが交流の場になります。一人で悩む時間を、つながる時間に変えていきましょう。

③ 書籍で高次脳機能障害を理解する

症状や対応法を知ることは、介護の不安を減らす大きな助けになります。医学的に解説した専門書で「なぜこの行動が起こるのか」を学び、当事者や家族の体験談で「自分だけじゃない」と感じる——この両輪が、日々の関わりを少し楽にしてくれます。

注意すべてを完璧にやろうとしないこと。「できないことがあって当たり前」と自分に許可を出すことが、燃え尽きを防ぐ第一歩です。

④ 介護サービスや施設入所も検討する

介護疲れが限界に近いと感じたら、外部の力を借りることは決して「逃げ」ではありません。デイサービスやショートステイで一時的に休む、ケアマネジャーに相談してサービスを見直す、状況によっては施設入所を検討するなど、選択肢は複数あります。プロの手を借りることで、介護者にも利用者本人にも良い結果につながることが少なくありません。

ポイントまずは地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに相談を。公的な窓口は無料で利用でき、利用できる制度やサービスを一緒に整理してくれます。

介護を続けるために知っておきたい相談先・サービス

ちびウルフちびウルフ

困ったとき、まずどこに相談すればいいの?

リハウルフリハウルフ

身近に頼れる窓口がいくつもあるよ。早めに相談するほど、選べる手段も増えるんだ。

介護を一人で背負わないために、頼れる相談先やサービスを知っておきましょう。代表的なものを整理しました。

相談先・サービスどんなときに使えるか
地域包括支援センター介護全般の総合相談。何から始めるか分からないときの最初の窓口
ケアマネジャーサービスの調整やケアプランの見直しを相談したいとき
デイサービス・ショートステイ日中や数日間、介護から離れて休息したいとき
家族会・当事者団体同じ立場の人と悩みや工夫を分かち合いたいとき
医療機関・心の相談窓口気分の落ち込みや体調不良が続くとき

これらの公的な窓口の多くは無料で相談でき、利用できる制度を一緒に整理してくれます。「相談していいのかな」とためらわず、早めに声をかけてみてください。なお、利用できるサービスの範囲は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの市区町村で確認しましょう。

ポイント「もう限界かも」と思ってからではなく、余力があるうちに相談するのが理想。早めの一歩が、介護を長く続ける力になります。

よくある質問(FAQ)

高次脳機能障害は介護保険のサービスを使えますか?
原因や年齢、要介護認定の状況によって利用できる場合があります。40〜64歳でも特定疾病に該当すれば対象となることがあるため、まずは市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認しましょう。
介護疲れで気持ちが沈みます。どこに相談すれば?
地域包括支援センターやケアマネジャー、各地の家族会が相談先になります。気分の落ち込みが続く場合は、早めに医療機関や心の健康相談窓口を利用してください。一人で抱え込まないことが何より大切です。
本人が怒りっぽいとき、どう接すればいいですか?
まずは安全を確保し、刺激を減らした静かな環境を整えます。言い返さず、落ち着いたトーンで短く伝えるのが基本です。対応に悩むときは、リハビリ専門職や医師に具体的な関わり方を相談しましょう。
施設入所を考えるのは「見捨てる」ことになりませんか?
そんなことはありません。専門スタッフによる安定したケアを受けられ、介護者も心身の余裕を取り戻せます。本人にとっても介護者にとっても前向きな選択肢の一つです。
まとめ
  • 高次脳機能障害は脳の損傷による「見えない障害」で、記憶・注意・遂行機能・社会的行動に支障が出る。
  • 介護が疲れるのは、意思疎通の難しさ・感情の起伏・安全確保・身体的負担・孤立感という明確な理由がある。
  • 解決策は「自分をリフレッシュ」「同じ立場の人とつながる」「書籍で理解を深める」「サービス・施設を頼る」。
  • 限界を感じる前に、地域包括支援センターやケアマネジャーへ早めに相談を。
  • 一人で抱え込まないことが、介護を続けるいちばんのコツ。

高次脳機能障害の介護は、症状も環境も人それぞれです。この記事が、あなたの「疲れた」を少しでも軽くするヒントになれば幸いです。頑張りすぎず、頼れるものは頼りながら歩んでいきましょう。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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