「主治医が訪問看護指示書を書いてくれない…」——訪問看護ステーションを運営していると、一度はぶつかる悩みではないでしょうか。指示書がなければ訪問看護は提供できず、利用者さんにも迷惑がかかってしまいます。医療業界では立場が上になりやすい医師に対して、催促しづらいという事情もありますよね。

この記事では、主治医が訪問看護指示書を書いてくれない理由を整理したうえで、実際に書いてもらうための具体的な対策を、訪問看護ステーション運営の現場目線でわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 主治医が訪問看護指示書を書いてくれない主な理由
  • 指示書を書いてもらうための具体的な8つの対策
  • そもそも知っておきたい訪問看護指示書の基本ルール
  • トラブルを未然に防ぐ依頼のコツ

そもそも訪問看護指示書とは?基本ルールをおさらい

対策の前に、前提となる基本を確認しておきましょう。訪問看護指示書は、利用者を診察した主治医が訪問看護の必要性を認めたときに、訪問看護ステーション等へ交付する文書です。これがなければ訪問看護は始められません。

厚生労働省の定めにより、指示期間は1か月〜6か月の範囲とされ、6か月を超える期間は無効になります。指示期間の記載がない場合は、原則として交付日から1か月が有効期間です。また指示書は診察にもとづいて交付されるのが大前提で、最近受診していない場合に医師が書けないと言うのは、無責任な交付を避けるための正当な判断でもあります。

ポイント 「書いてもらう」前に、その医師が指示書を出せる状況(直近で診察しているか、指示期間が適切か)を整えておくことが、スムーズに交付してもらう第一歩です。
ちびウルフちびウルフ
そもそも、なんで先生は指示書を書いてくれないことがあるの?
リハウルフリハウルフ
理由はいくつかあるんだ。問題解決は原因分析から。まずは“なぜ書いてくれないのか”を一緒に整理してみよう。

訪問看護指示書を主治医が書いてくれない主な理由

指示書を書いてもらうには、まず「なぜ書いてくれないのか」を知ることが大切です。現場でよくある理由を整理しました。

理由背景
書き方を知らない訪問看護に関わる機会が少なく、様式や記載方法に不慣れな医師がいる
単純に面倒多忙のなか書類業務が後回しになり、依頼が滞ってしまう
最近診察していない直近で受診がなく、責任を持って病状を書けないと判断している
とにかく多忙総合病院の役職医などは窓口で止まり、なかなか手元に届かない

「書けない」には“正当な理由”もある

「最近診ていないから書けない」というのは、むしろ誠実な医師に多い反応です。診察にもとづかない指示書はルール上も望ましくありません。理由が分かれば打つ手も変わります。面倒・多忙が理由なのか、診察の有無が理由なのかを見極めることが、対策選びの出発点になります。

感情的に催促しても逆効果になりやすい

指示書が届かないと焦ってしまいますが、医師や窓口に強く催促を重ねるのは逆効果になりがちです。医師との関係がこじれると、その後の連携全体に響き、利用者さんの不利益にもつながりかねません。「責める」のではなく「書きやすい状況を整える」という姿勢が基本です。なぜ滞っているのかを冷静に確認し、不足している情報や受診の有無など、こちら側で解消できる部分から手を打っていくほうが、結果的に早く交付してもらえます。

訪問看護指示書を書いてもらうための8つの対策

理由を踏まえた具体的な対策を紹介します。状況に合わせて組み合わせて使ってみてください。

  • ケアマネジャーと一緒に依頼する
    担当ケアマネから先にサービスの必要性を主治医へ伝えてもらうと、指示書の話がスムーズに進みます。「一緒にお願いしてもらえますか?」と連携するのが効果的です。
  • 利用者さん・ご家族から頼んでもらう
    患者本人からのお願いなら応じる医師は多いもの。利用者さんと医師の関係が良ければさらに効果的です。「何を言うか」より「誰が言うか」が効く場面です。
  • 時間に余裕を持って依頼する
    「依頼が遅い」と言う医師には早めに。逆にギリギリの方が動く医師もいます。医師ごとの“依頼のクセ”を把握しておくのが事務のテクニックです。
  • 指示書の書き方を案内する
    様式に不慣れな医師には、記載項目をまとめた資料を添えて依頼します。記入例があると一気に書いてもらいやすくなります。
  • 外来の看護師に依頼する
    多忙な医師の場合、付き添いの外来看護師にお願いすると話が通ることがあります。組織として動いてもらう発想です。
  • 受診を促す
    「最近診ていないから書けない」場合は、利用者さんに受診を勧めます。診察→指示書→訪問看護という本来の流れに戻すのが確実です。
  • 日頃から関係を築いておく
    地域連携や普段のやりとりで信頼を積み重ねておくと、「あなたの依頼なら」と動いてくれることがあります。
  • 必要に応じて他の医療機関に相談する
    複数の医療機関を受診している場合、主たる主治医以外に依頼できるケースもあります。あくまで最終手段として検討します。
  • ちびウルフちびウルフ
    いろいろあるんだね!どれから試すのがいいの?
    リハウルフリハウルフ
    まずは“理由”に合わせて選ぶこと。診ていないなら受診を促す、忙しいなら看護師経由、書き方を知らないなら資料を添える。原因に合った一手がいちばん効くよ。

    トラブルを防ぐ依頼のコツ(運営目線)

    そもそも「書いてくれない」状況を生まないために、ステーション運営として仕組みで防ぐことも大切です。

    依頼書のフォーマットを整え、指示期間・傷病名・必要なサービス内容を分かりやすく明記しておくと、医師の負担が減り交付が早まります。医師ごとの依頼タイミングや連絡手段を一覧で管理し、更新期限の管理表をつくっておけば、指示期間切れによる訪問の中断も防げます。事務とケアマネ、看護師が情報を共有し、「組織として依頼する」体制をつくることが、結局いちばんの近道です。

    注意 指示書は診察にもとづく交付が前提です。受診のない利用者に無理に依頼するのは避け、必要なら受診を促してから依頼しましょう。指示期間の上限(6か月)にも注意してください。

    よくある質問(FAQ)

    訪問看護指示書の有効期間はどのくらいですか?
    厚生労働省の定めにより1か月〜6か月の範囲です。6か月を超える期間は無効となり、指示期間の記載がない場合は原則として交付日から1か月が有効期間です。
    最近受診していないと書いてもらえないのですか?
    指示書は診察にもとづいて交付されるのが原則です。直近で受診がない場合は、利用者さんに受診を勧めたうえで依頼するのが確実です。
    主治医がどうしても書いてくれないときは?
    ケアマネや利用者さんからの依頼、外来看護師経由の依頼などを試します。複数医療機関を受診している場合は、他院の医師に相談できるケースもあります。
    依頼が遅いと言われないためには?
    指示期間の更新管理表をつくり、余裕を持って依頼することが基本です。医師ごとの依頼タイミングの傾向を把握しておくと滞りを防げます。
    まとめ
    • 訪問看護指示書は診察した主治医が交付する文書で、指示期間は1〜6か月(記載なしは1か月)。
    • 書いてくれない理由は「書き方を知らない・面倒・未受診・多忙」など。理由に合った対策が効く。
    • ケアマネ・利用者・外来看護師との連携、受診の促し、書き方の案内などを組み合わせる。
    • 依頼フォーマットの整備と更新管理で、そもそも「書いてもらえない」状況を仕組みで防ぐ。

    参考:厚生労働省告示・診療報酬関連資料(訪問看護指示書の指示期間に関する定め)

    ABOUT ME
    リハウルフ
    理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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