「訪問看護に回数制限はあるの?」「医療保険と介護保険でルールが違うって本当?」「リハビリ(PT・OT・ST)の訪問にも上限があるの?」——訪問看護の回数制限は、保険の種類や提供者によってルールが分かれるため、現場でも混乱しやすいテーマです。

この記事では、訪問看護の回数制限を医療保険・介護保険・リハビリに分けて、厚生労働省の通知をもとに整理します。週4回以上や毎日訪問が可能になる特例、令和6年度改定で新設された減算ルールまで、現場でそのまま使える形でまとめました。

この記事でわかること
  • 訪問看護(介護保険・医療保険)の回数制限
  • 週4回以上・毎日訪問が可能になる特例
  • 理学療法士等による訪問看護(Ⅰ5)の回数制限
  • 令和6年度改定で新設された減算ルール

訪問看護(介護保険)の回数制限【上限なし】

ちびウルフちびウルフ

介護保険の訪問看護って、週に何回までって決まりがあるんですか?

リハウルフリハウルフ

看護師等による介護保険の訪問看護には、回数制限はないんだ。ただし支給限度額には注意が必要だよ。

看護師等(保健師・看護師・准看護師・助産師)による介護保険の訪問看護には、回数制限はありません。1回の訪問時間は次の区分から選び、訪問回数や時間を決めます。

区分1回の訪問時間
20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上90分未満

介護保険のため、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて提供します。注意点は支給限度額です。

注意支給限度額を超えた分は全額(10割)自己負担になります。回数制限はなくても、限度額の範囲内で計画する必要があります。

訪問看護(医療保険)の回数制限【原則 週1〜3回】

看護師等による医療保険の訪問看護は、1回の訪問時間が30分以上90分以内で、原則週1〜3回までです。介護保険と違い、医療保険には回数の上限が設けられています。

【特例①】週4回以上が可能な場合

次に該当する人は、週4回以上の訪問看護が可能です。

対象内容
厚生労働大臣が定める疾病等(別表第七)末期の悪性腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、重症筋無力症、パーキンソン病関連疾患(一定の重症度)、人工呼吸器を使用している状態 など
特掲診療料の施設基準等・別表第八に掲げる者気管カニューレや留置カテーテルを使用、在宅酸素療法・在宅中心静脈栄養法などの管理を受けている、真皮を超える褥瘡の状態 など
ポイント別表第七(厚生労働大臣が定める疾病等)に該当すると、週4回以上の訪問に加え、複数のステーションからの訪問や長時間訪問など、さまざまな緩和ルールの対象になります。

【特例②】毎日訪問が可能な場合

特別訪問看護指示書の交付を受けた場合は、14日間に限り毎日訪問看護を受けられます。急性増悪などで頻回な訪問が必要なときに用いられます。

訪問看護Ⅰ5(リハビリ・介護保険)の回数制限【週6回まで】

ちびウルフちびウルフ

PT・OT・STが行う訪問看護にも、回数の制限ってあるんですか?

リハウルフリハウルフ

あるよ。理学療法士等による介護保険の訪問看護は、1回20分以上・週6回までが上限なんだ。

介護保険における理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護(訪問看護Ⅰ5)には、回数制限があります。1回20分以上で、1人につき週6回を限度として算定します。

根拠(厚生労働省)理学療法士等による訪問看護は、看護業務の一環としてのリハビリを中心とする場合に、看護職員の代わりに訪問させる位置づけです。1回当たり20分以上を実施することとし、1人の利用者につき週に6回を限度として算定します。

1日2回を超えると減算される

理学療法士等による訪問看護を1日に2回を超えて(3回以上)行う場合は、1回につき所定単位数の90/100で算定します。連続して行った場合だけでなく、午前2回・午後1回のようなケースも同様です。

区分1日3回以上行った場合の算定
訪問看護Ⅰ51回単位数 × 90/100 × 回数
介護予防訪問看護Ⅰ51回単位数 × 50/100 × 回数

介護予防訪問看護Ⅰ5は、令和3年度改定から90/100ではなく50/100に変更されています。法律上は1日6回(120分)まで連続実施しても問題ありませんが、減算により収入が下がるため、実施を控える事業所が多いのが実情です。

【令和6年度改定】新たに加わった減算ルール

最新の注意点令和6年度(2024年度)介護報酬改定で、理学療法士等による訪問看護に新しい減算が加わりました。
対象減算内容
理学療法士等の訪問回数が看護職員の訪問回数を上回っている場合理学療法士等の訪問1回につき8単位を減算
介護予防訪問看護で、利用開始から12月を超えて行う場合1回につきさらに15単位を減算
ポイントこれらは「看護中心の訪問看護ステーション」という本来の趣旨を踏まえた見直しです。リハビリ提供が中心になっているステーションは、訪問計画の見直しが必要になる場合があります。

訪問看護Ⅰ5の回数制限に関するQ&A(厚生労働省)

1度の訪問で複数回分を算定できますか?
できます。20分以上を1回として、1度の訪問で複数回の実施が可能です。例えば40分以上の訪問を行えば2回分を算定できます。
午前2回・午後1回でも90/100になりますか?
なります。1日に3回以上行う場合は、連続して行ったかどうかにかかわらず、その日の各訪問看護費の90/100で算定します。
理学療法士等の訪問が看護師の訪問回数を上回ってもよいですか?
地域に訪問リハビリ資源が乏しく、その代替として理学療法士等の訪問が過半を占めることもあり得るとされています。ただし令和6年度改定で、看護職員の回数を上回る場合は1回8単位の減算対象になりました。
週6回を超えてリハビリの訪問はできないのですか?
介護保険の訪問看護Ⅰ5は週6回が限度です。リハビリのニーズがそれ以上にある場合は、訪問リハビリテーション(介護保険)など別のサービスの活用をケアマネジャーと検討します。

厚生労働大臣が定める疾病等(別表第七)の一覧

医療保険で週4回以上の訪問や手厚いサービスの対象となる「別表第七」の疾病等は、現場で頻繁に確認する重要なリストです。主なものを整理しました。

分類主な疾病・状態
悪性腫瘍・難病末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病
神経・筋疾患進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(一定の重症度)、多系統萎縮症、亜急性硬化性全脳炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎
代謝・その他プリオン病、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、後天性免疫不全症候群
状態頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態

パーキンソン病関連疾患は、ホーエン・ヤールの重症度分類ステージ3以上、かつ生活機能障害度Ⅱ度またはⅢ度のものに限られる点に注意が必要です。重症度の確認を忘れないようにしましょう。

介護保険の支給限度額との関係

ちびウルフちびウルフ

介護保険は回数制限がないなら、何回でも入っていいんですか?

リハウルフリハウルフ

回数の上限はないけど、要介護度ごとの「支給限度額」という金額の上限があるんだ。ここを超えると全額自己負担になるよ。

介護保険では、要介護度ごとに1か月に使えるサービス量の上限(区分支給限度基準額)が決まっています。訪問看護の回数自体に制限はありませんが、ほかのサービスと合わせて限度額の範囲内に収める必要があります。限度額を超えた分は10割負担になるため、ケアマネジャーと連携して全体のサービス量を調整することが欠かせません。

特別訪問看護指示書による頻回訪問のしくみ

急性増悪や終末期、退院直後など、一時的に頻回な訪問が必要なときは、主治医が特別訪問看護指示書を交付します。これにより、交付日から14日間に限り、医療保険で毎日(週4回以上)の訪問看護が可能になります。

ポイント特別訪問看護指示書は原則として月1回までですが、気管カニューレを使用している人や真皮を超える褥瘡のある人は、月2回まで交付を受けられます。対象者の状態に応じて柔軟に活用できます。

頻回訪問が必要な利用者さんでは、別表第七の該当・特別指示書の交付・介護保険からの切り替えなど、複数の制度が関わります。どの制度を根拠に訪問しているのかを整理しておくと、レセプト返戻や運営指導での指摘を防げます。

訪問看護(リハビリ・医療保険)の回数制限

医療保険の理学療法士等による訪問看護は、看護師等による医療保険の訪問看護と同じルールです。原則は週1〜3回で、別表第七の疾病等や特別訪問看護指示書の条件を満たせば、毎日訪問することも可能です。

訪問看護の回数制限のまとめ(医療保険・介護保険・リハビリ)

提供者・保険回数制限
看護師等/介護保険制限なし(支給限度額の範囲内)
看護師等/医療保険原則 週1〜3回(特例で週4回以上・毎日も可)
理学療法士等/介護保険(Ⅰ5)週6回まで・1回20分以上
理学療法士等/医療保険看護師等と同じ(原則 週1〜3回)
まとめ
  • 看護師等による介護保険の訪問看護は回数制限なし(支給限度額に注意)
  • 医療保険の訪問看護は原則 週1〜3回。別表第七や特別指示書で特例あり
  • 理学療法士等による介護保険の訪問看護(Ⅰ5)は週6回まで・1回20分以上
  • 1日3回以上は90/100(介護予防は50/100)に減算
  • 令和6年度改定で、看護職員より訪問が多い場合は1回8単位の新減算が追加

出典:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」、令和6年度介護報酬改定関連通知・Q&A

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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