ポジショニングの本は、「食事(誤嚥予防)」「褥瘡予防・拘縮」「車椅子のシーティング」のどれを改善したいかで選ぶのがおすすめです。迷ったら、食事介助の姿勢を整えたい人は『図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 第2版』、褥瘡・誤嚥・拘縮をまとめて考えたい人は『褥瘡×嚥下障害×拘縮 ケアに活かすポジショニング技術』から読んでください。

この記事では、ポジショニング・シーティングの本を「食事と誤嚥予防」「褥瘡予防と拘縮ケア」「車椅子のシーティング」の3つの目的に分けて6冊紹介します。書名・版・発行年は、出版社の紹介ページと国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。

この記事でわかること
  • ポジショニングの本を目的別に選ぶポイント
  • 誤嚥を防ぐ食事のポジショニングを学べる本
  • 褥瘡予防と拘縮ケアを両立させるための本
  • 車椅子のシーティングを学べる本
  • 看護師・介護職・リハ職の読む順番
ちびウルフちびウルフ

ポジショニングって、クッションを置いて寝る姿勢を整えることだよね?

リハウルフリハウルフ

それも大事なポジショニングだけど、それだけじゃないよ。食事のときの座り方や頭の角度、車椅子での座り方もポジショニングなんだ。姿勢を整えるだけで、むせが減ったり、自分で食べられるようになったりすることもあるよ。

ポジショニングの本を選ぶ3つのポイント

ポジショニングの本は、目的によって内容が大きく違います。次の3つの視点で選びましょう。

①改善したい目的がはっきりしているか

同じポジショニングでも、誤嚥を防ぐ食事の姿勢、褥瘡を防ぐ寝る姿勢、長く座るための車椅子の姿勢では、考え方や道具が違います。まずは目の前の利用者さんの困りごとに合わせて、目的に合った本を1冊選びましょう。

②目的どうしがぶつかる場面に触れているか

たとえば、重い嚥下障害のある人のベッド上での食事は頭を30度以上起こすのが基本ですが、褥瘡予防の面からは30度以上に上げる時間を短くしたい、という矛盾が起こります。複数の目的をどう両立させるかまで書かれている本は、現場で迷ったときに役立ちます。

③写真や動画で、手順をまねできるか

ポジショニングは、クッションの位置や角度が少し違うだけで結果が変わります。写真やイラスト、動画で手順を確認できる本を選ぶと、職場でケアの方法をそろえやすくなります。

食事と誤嚥予防のポジショニングの本2選

1. 図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 第2版

迫田綾子氏が編集した三輪書店の本です(2025年2月発行・208ページ)。副題は「食事のはじめからおわりまで」。誤嚥を防ぎ、安全に食べるためのポジショニングを7つのポイントにまとめ、図解でわかりやすく解説しています。

ポジショニングに加えて、口腔ケア、呼吸ケア、食事介助、リスク管理まで、食べるよろこびにつながる食事ケアの技術を、理論的な根拠や事例とともに紹介しています。病院や施設の看護師をはじめとする医療スタッフと、在宅の介護者に向けて改訂された第2版です。食事の姿勢を見直したいときに最初に読む1冊です。

2. 誤嚥予防,食事のためのポジショニングPOTTプログラム

迫田綾子氏・北出貴則氏・竹市美加氏が編集した医学書院の本です(2023年2月発行・180ページ)。POTTプログラムは「ポジショニングで(PO)食べるよろこびを(T)伝える(T)プログラム」の略で、食事のときに適切な姿勢をとりやすくするために開発された技術です。

技術が7つのポイントに分かれているので実践しやすく、食事の姿勢を整える流れが身につきます。Web動画付きなので、職場で研修をするときにも使えます。1の本とあわせて読むと、考え方と手順の両方を押さえられます。

ちびウルフちびウルフ

食事のときの姿勢って、そんなに大事なの?

リハウルフリハウルフ

とても大事だよ。訪問リハで担当した方で、ベッドで食べるときに足元へずり落ちて、あごが上がった姿勢になっていた人がいたんだ。クッションで体を支えて、あごを軽く引いた姿勢に整えただけで、むせがかなり減ったよ。

褥瘡予防と拘縮ケアのポジショニングの本2選

3. 褥瘡×嚥下障害×拘縮 ケアに活かすポジショニング技術

田中マキ子氏が編著し、三鬼達人氏・久松正樹氏が執筆した照林社の本です(2025年9月発行・106ページ)。高齢者ケアの3大課題といえる「褥瘡」「摂食嚥下障害」「拘縮」のポジショニングを、それぞれの専門家が連携して解説しています。

「食事のときのリクライニング角度30〜40度は、褥瘡ができやすい角度では?」「拘縮の強い人が無理なく食事できる姿勢は?」といった、現場で目的どうしがぶつかる場面に答える構成です。褥瘡予防、摂食嚥下ケア、拘縮ケアの3部に分かれていて、3つを同時に満たす「三方よし」のポジショニングを学べます。看護師・介護職・リハ職が一緒に読むのに向いています。

4. QOLを高める!褥瘡予防のためのポジショニングとケア

水原章浩氏が監修したナツメ社の本です(2022年9月発行・127ページ)。看護職・介護職向けに、体の位置を変えることで褥瘡を予防する方法と、褥瘡ができたときのケアを、カラー写真とイラストで解説しています。

「圧力」と「ずれ」の理解から始まり、ベッドや車いすの上でやさしい姿勢をつくる方法、利用者さんの状況に応じた姿勢のつくり方へと進む構成です。介護職が体位変換やクッションの使い方を学ぶのに読みやすい1冊です。

車椅子のシーティングの本2選

5. 目的別車椅子シーティングのススメ

小原謙一氏・藤田大介氏が編集した診断と治療社の本です(2021年7月発行・107ページ)。副題は「『なぜそうすべきか』がわかる!」。書名のとおり、車椅子のシーティングを目的別に、その方法を選ぶ理由とあわせて学べる本です。100ページほどで読みやすく、シーティングの入門に向いています。

6. シーティング技術のすべて

木之瀬隆氏・森田智之氏が編集した医歯薬出版の本です(2020年3月発行・261ページ)。書名のとおり、シーティングの技術を幅広く扱った専門書です。車椅子の選定や調整、クッションの選び方を体系的に学びたいPT・OTに向いています。5の入門書を読んだあとに、より深く学ぶ2冊目として使いましょう。

ちびウルフちびウルフ

車椅子って、座れればどれでも同じじゃないの?

リハウルフリハウルフ

実はぜんぜん違うんだ。体に合わない車椅子だと、骨盤が後ろに倒れてずり落ちたり、体が横に傾いたりして、褥瘡や痛みの原因になる。座り心地が悪いと、座っていられる時間も短くなってしまうんだよ。

職種別のポジショニングの本を読む順番

6冊すべてをそろえる必要はありません。職種ごとに、次の順番で読むと無理なく身につきます。

看護師の場合

  • 『褥瘡×嚥下障害×拘縮 ケアに活かすポジショニング技術』で、3つの課題の関係をつかむ
  • 食事介助が多い職場なら『図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 第2版』で、食事の姿勢を学ぶ
  • 病棟の褥瘡対策や食事支援の手順と照らし合わせて、ケアの方法をそろえる

介護職の場合

  • 『褥瘡予防のためのポジショニングとケア』で、圧力とずれ、クッションの使い方を学ぶ
  • 『図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 第2版』で、食事のときの姿勢を確認する
  • 迷う利用者さんの姿勢は、看護師やリハ職と一緒に写真を撮って共有する

リハ職(PT・OT・ST)の場合

  • STは『ポジショニングPOTTプログラム』で、食事の姿勢を整える手順を押さえる
  • PT・OTは『目的別車椅子シーティングのススメ』で、座り方の評価と調整の考え方を学ぶ
  • 『シーティング技術のすべて』で、車椅子とクッションの選定を深める
在宅のポジショニングは「家族が再現できるか」

在宅では、私たちが訪問していない時間のほうがずっと長いものです。どれだけ良い姿勢を整えても、家族やヘルパーが同じように再現できなければ続きません。クッションの位置を写真に撮ってベッドの横に貼るなど、誰でもまねできる方法で伝えることが大切です。

よくある質問

ポジショニングの本は、最初に何を読めばいいですか?

食事の姿勢を見直したいなら『図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 第2版』、褥瘡・誤嚥・拘縮をまとめて考えたいなら『褥瘡×嚥下障害×拘縮 ケアに活かすポジショニング技術』がおすすめです。目の前の利用者さんの困りごとに合わせて選びましょう。

POTTプログラムとは何ですか?

「ポジショニングで食べるよろこびを伝えるプログラム」の略で、食事のときに適切な姿勢をとりやすくするために開発された技術です。7つのポイントに分かれていて、『誤嚥予防,食事のためのポジショニングPOTTプログラム』で学べます。

食事のときのベッドの角度は何度がいいですか?

嚥下の状態によって適した角度が変わるため、一律には決められません。また、角度を上げると褥瘡の原因になるずれが起こりやすくなります。言語聴覚士や看護師の評価をもとに決め、食事のあとは姿勢を戻すなど、褥瘡予防とのバランスを考えましょう。

介護職に向いているポジショニングの本はありますか?

『QOLを高める!褥瘡予防のためのポジショニングとケア』は、看護職・介護職向けに、カラー写真とイラストで体位変換やクッションの使い方を解説しています。食事の姿勢は『図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 第2版』で学べます。

シーティングとポジショニングは何が違いますか?

ポジショニングは、寝ているときや座っているときの姿勢を整えること全般を指します。シーティングは、そのうち車椅子やいすでの座る姿勢を、車椅子の選定やクッション、調整によって整えることを指して使われることが多い言葉です。

車椅子のシーティングを学ぶ順番は?

まず『目的別車椅子シーティングのススメ』で、目的ごとの方法とその理由を学び、そのあと『シーティング技術のすべて』で車椅子やクッションの選定を体系的に深めるのがおすすめです。

拘縮がある人のポジショニングを学べる本はありますか?

『褥瘡×嚥下障害×拘縮 ケアに活かすポジショニング技術』に拘縮ケアの部があり、拘縮の強い人が無理なく食事できる姿勢なども扱っています。

まとめ
  • ポジショニングの本は「食事」「褥瘡・拘縮」「車椅子」の目的で選ぶ
  • 食事の姿勢は『図解 誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 第2版』
  • 3つの課題をまとめて考えるなら『褥瘡×嚥下障害×拘縮』
  • 車椅子は『目的別車椅子シーティングのススメ』から始める
  • 在宅では家族やヘルパーが再現できる方法で伝える
参考にした情報

※書籍の書名・版・出版社・発行年は、2026年11月3日時点の国立国会図書館サーチの書誌と各出版社の紹介ページで確認したものです。『シーティング技術のすべて』は国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。在庫や価格、新しい版の刊行状況は変わる可能性があるため、購入時に販売ページでご確認ください。食事の姿勢や体位変換の方法は、利用者さんの状態に合わせて主治医や専門職の評価のもとで決めてください。本の選び方や読み方、現場の事例に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味