機能訓練指導員は、資格を取る職種ではなく、決められた8つの資格のいずれかを持つ人が就く「職名」です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師。この範囲は解釈通知で明確に定められていて、介護福祉士や健康運動指導士は含まれません。

この記事では、理学療法士・介護支援専門員として現場に関わってきた立場から、機能訓練指導員になるために必要な資格と、実際の仕事内容を、省令・解釈通知の原文と令和6年度改定資料に沿って整理します。

この記事でわかること
  • 機能訓練指導員になれる8つの資格(通知の原文ベース)
  • はり師・きゅう師だけに課されている実務経験の条件
  • 介護福祉士がなれない理由
  • 配置が必要なサービスの一覧
  • 仕事内容(居宅訪問から計画作成、評価まで)
  • 個別機能訓練加算との関係と、令和6年度改定での緩和
  • 看護職員が兼ねる場合の人員基準上の注意点
  • 1日の流れと、資格ごとの働き方の違い

機能訓練指導員とは

指定居宅サービス等基準(省令)は、通所介護の機能訓練指導員について、「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者」とだけ定めています。この「能力を有する者」の中身を具体的に示しているのが、解釈通知(老企第25号)です。

老企第25号 第三の六の1(3)この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格を有する者(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)とする。

ポイントは、「機能訓練指導員」という資格試験は存在しないことです。上記の資格を持つ人が事業所でその職務に就いたときに、機能訓練指導員になります。生活相談員と同じ構造です。

機能訓練指導員になれる資格【8職種】

理学療法士(PT)条件なし
作業療法士(OT)条件なし
言語聴覚士(ST)条件なし
看護職員(看護師・准看護師)条件なし。准看護師も含まれる
柔道整復師条件なし
あん摩マッサージ指圧師条件なし
はり師実務経験の条件あり(下記)
きゅう師実務経験の条件あり(下記)

はり師・きゅう師だけに条件がある

はり師・きゅう師は平成30年度から対象に加わりましたが、他の6資格とは扱いが違います。他の資格を持つ機能訓練指導員が配置されている事業所で、6月以上機能訓練指導に従事した経験が必要です。

「はり師の資格を取ったので、明日から1人配置の事業所で機能訓練指導員になる」ということはできません。先輩にあたる機能訓練指導員がいる事業所で経験を積む段階が必須になります。就職先を選ぶ順番が変わるので、ここは注意してください。

介護福祉士・健康運動指導士はなれない

通知に列挙されていない資格では、機能訓練指導員として配置できません。介護福祉士、介護職員初任者研修修了者、健康運動指導士、柔道やスポーツの指導歴などは、いずれも要件を満たしません

ただし「レク・行事を通じた機能訓練」は例外同じ通知には、「利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない」と書かれています。集団体操やレクを介護職員が担当することは問題ありません。一方で、人員基準上の機能訓練指導員としての配置や、個別機能訓練加算に必要な訓練の実施は、8資格のいずれかを持つ人でなければできません。

配置が必要なサービス

通所介護・地域密着型通所介護1以上(他の職務との兼務可)
認知症対応型通所介護配置が必要
短期入所生活介護(ショートステイ)1以上(併設本体施設との兼務が認められる場合あり)
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)1以上
介護老人福祉施設(特養)1以上

介護老人保健施設や介護医療院では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がリハビリ専門職として直接配置されるため、「機能訓練指導員」という職名の枠組みとは扱いが異なります。機能訓練指導員という職名が前面に出るのは、通所介護・特養・特定施設・ショートステイだと考えてください。

機能訓練指導員の仕事内容

①利用者の居宅を訪問してニーズを把握する

意外に思われるかもしれませんが、仕事の起点は事業所ではなく利用者の自宅です。個別機能訓練加算の要件として、機能訓練指導員が利用者の居宅を訪問し、居宅での生活状況(起居動作、ADL、IADLの状況)を確認することが求められています。

玄関の段差、トイレまでの動線、風呂の縁の高さ、よく使う椅子の高さ。同じ「立ち上がりの練習」でも、家の環境を見ているかどうかで訓練の中身が変わります。ここが機能訓練指導員の専門性がいちばん出る場面です。

②個別機能訓練計画を作成する

居宅訪問で把握したニーズをもとに、機能訓練指導員等が共同して個別機能訓練計画を作成します。目標、目標を踏まえた訓練項目、訓練実施時間、訓練実施回数を内容とすることが通知で定められています。

目標設定にも条件があります。利用者・家族の意向と介護支援専門員等の意見を踏まえること、長期目標・短期目標のように段階的にすること、そして単に身体機能の向上を目指すことだけを目標としないこと。「膝の可動域を◯度」だけでは要件を満たしません。生活の中で何ができるようになるかまで書きます。

③訓練を実施する

個別機能訓練加算(Ⅰ)における訓練の対象者は5人程度以下の小集団または個別とされ、実施者は機能訓練指導員が直接実施することとされています(介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げられません)。

訓練項目は複数の種類を準備し、選択にあたっては利用者の生活意欲が増進されるよう援助することが求められます。20人の集団体操を1回やって終わり、では加算の要件を満たしません。

④3か月に1回以上、評価して見直す

進捗状況の評価は3か月に1回以上行い、その際に利用者の居宅を訪問したうえで生活状況を確認し、本人または家族に進捗状況を説明して、必要に応じて計画を見直します。訪問は初回だけではなく、継続的に必要です

⑤記録・LIFEへの提出

個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定する場合は、LIFE(科学的介護情報システム)への情報提出とフィードバックの活用が必要です。訓練の記録(目標、訓練項目、実施時間、実施者等)は利用者ごとに保管し、事業所の個別機能訓練従事者が常に閲覧できる状態にしておくことも求められます。

⑥他職種との連携・兼務業務

機能訓練指導員は、事業所の他の職務に従事することができるとされています。実際には送迎、入浴介助、レクリエーション、記録業務を兼務している人が多いのが実情です。求人に応募する際は、訓練に充てられる時間がどれくらいあるかを必ず確認してください。

個別機能訓練加算と機能訓練指導員の関係

機能訓練指導員の働き方に直結するのが個別機能訓練加算です。令和6年度改定で、この加算の人員配置要件が緩和されました。

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ56単位/日(変更なし)
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ76単位/日(改定前85単位/日から変更)
個別機能訓練加算(Ⅱ)20単位/月(変更なし。LIFEへの提出等)

(Ⅰ)イは専従の機能訓練指導員を1名以上配置(配置時間の定めなし)。(Ⅰ)ロは、それに加えてもう1名以上を配置します。改定前は(Ⅰ)ロの2人目に「通所介護を行う時間帯を通じて」という縛りがありましたが、これが撤廃されました。

緩和が意味すること:短時間・掛け持ちで働きやすくなった配置時間の定めがなくなったことで、2名以上が配置されている時間帯に機能訓練を受けた利用者について(Ⅰ)ロを算定するという運用が可能になりました。厚生労働省の資料でも、配置時間以外は別の職務に就いたり、別の事業所で資格を生かしたりできるという形で示されています。週に数日・数時間だけ機能訓練指導員として働く選択肢が現実的になった改定です。

なお、1週間のうち特定の曜日だけ配置している場合は、その曜日に直接訓練の提供を受けた利用者だけが算定対象になります。この場合、加算を算定できる人員体制の曜日をあらかじめ定め、利用者と居宅介護支援事業者に周知しておく必要があります。

資格別に見た働き方と注意点

看護職員が兼ねる場合は人員基準に注意

看護職員としてはカウントできなくなる通知には、「指定通所介護事業所の看護職員が当該加算に係る理学療法士等の職務に従事する場合には、当該職務の時間は、指定通所介護事業所における看護職員としての人員基準の算定に含めない」と明記されています。看護師1人体制の事業所で、その人が個別機能訓練加算のための訓練に入ると、その時間は看護職員の配置が空くことになります。兼務でしのごうとして人員基準を割る、という失敗が起きやすい部分です。

PT・OT・STにとっての機能訓練指導員

病院や訪問リハと比べると、1人職場になりやすいのが最大の違いです。相談できる同職種がいない環境で、生活行為の目標設定から家族対応まで自分で完結させる力が要ります。一方で、居宅訪問を含めて生活の場を見ながら関われるため、「機能」ではなく「生活」に向き合う訓練を組み立てやすいのは大きな魅力です。

柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師にとって

介護保険領域への入口として機能訓練指導員は代表的な選択肢です。ただし、個別機能訓練計画で求められるのは「生活機能」の視点であり、施術の延長では書ききれません。ADL・IADLの評価と目標設定の考え方は、意識して学び直す必要があります。

機能訓練指導員の1日の流れ【通所介護】

8:30出勤、申し送り、当日の利用者と訓練予定の確認
9:00送迎(兼務の場合)、利用者の受け入れ
9:30健康チェックの確認、集団体操の実施
10:00個別機能訓練(小集団または個別)、入浴の順番待ちの時間を活用
12:00食事の見守り・介助、休憩
13:30個別機能訓練の続き、記録の入力
14:30利用者宅への訪問(初回のニーズ把握、3か月ごとの評価)
16:00送迎、個別機能訓練計画の作成・見直し
17:00他職種への申し送り、退勤
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結局、1日どのくらい訓練の時間が取れるの?

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事業所によって差が激しいです。送迎と入浴介助に入る事業所では、訓練に充てられるのが1日2〜3時間ということも珍しくありません。面接では「機能訓練指導員は何名配置していますか」「個別機能訓練加算はどの区分を算定していますか」の2つを必ず聞いてください。(Ⅰ)ロを算定している事業所は2名以上を配置しているので、訓練に集中できる時間が確保されている可能性が高い。求人票の文言より、この2つのほうが実態を映します。

よくある質問
機能訓練指導員になるにはどの資格が必要ですか?
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(看護師・准看護師)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のいずれかです。はり師・きゅう師については、他の資格を持つ機能訓練指導員が配置された事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験が必要です。
「機能訓練指導員」という資格試験はありますか?
ありません。上記8つの資格のいずれかを持つ人が、事業所でその職務に就くことで機能訓練指導員となります。資格ではなく職名です。
介護福祉士は機能訓練指導員になれますか?
なれません。通知に列挙された8資格に含まれないためです。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、事業所の生活相談員または介護職員が兼務して行っても差し支えないとされています。
准看護師でも機能訓練指導員になれますか?
なれます。通知にいう「看護職員」には看護師と准看護師が含まれます。
看護職員が機能訓練指導員を兼ねても問題ありませんか?
兼ねること自体は可能ですが、個別機能訓練加算に係る機能訓練指導員の職務に従事した時間は、看護職員としての人員基準の算定に含めることができません。看護職員が1人体制の事業所では、人員基準を満たせなくなる可能性があるため注意が必要です。
利用者の自宅に訪問する必要がありますか?
個別機能訓練加算を算定する場合は必要です。目標設定にあたって機能訓練指導員等が居宅を訪問して生活状況を確認することが求められ、さらに3か月に1回以上の進捗評価の際にも居宅を訪問して状況を確認し、本人・家族に説明することとされています。
週2日だけの勤務でも機能訓練指導員として働けますか?
働けます。令和6年度改定で個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの配置時間の定めが撤廃され、2名以上が配置されている時間帯に訓練を受けた利用者について算定する運用が可能になりました。ただし特定の曜日だけ配置する場合は、その曜日に直接訓練を受けた利用者のみが算定対象となり、その体制をあらかじめ定めて利用者・居宅介護支援事業者に周知する必要があります。
訓練は集団で行ってもよいですか?
個別機能訓練加算(Ⅰ)における訓練の対象者は、5人程度以下の小集団または個別とされています。実施は機能訓練指導員が直接行い、介護職員等が補助を行うことは妨げられません。
まとめ
  • 機能訓練指導員は資格試験のある職種ではなく、定められた8資格のいずれかを持つ人が就く職名。
  • 対象は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(准看護師を含む)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師。
  • はり師・きゅう師は、他資格の機能訓練指導員が配置された事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験が必要。
  • 介護福祉士や健康運動指導士は機能訓練指導員になれない。ただしレクリエーション・行事を通じた機能訓練は生活相談員・介護職員が兼務可。
  • 配置が必要なのは通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護・短期入所生活介護・特定施設・特養など。
  • 仕事の起点は利用者の居宅訪問。生活状況を確認したうえで個別機能訓練計画を作成する。
  • 目標は段階的・具体的に設定し、身体機能の向上だけを目標としないことが求められる。
  • 訓練の対象者は5人程度以下の小集団または個別で、機能訓練指導員が直接実施する。
  • 進捗評価は3か月に1回以上。その際も居宅を訪問して生活状況を確認し、本人・家族に説明する。
  • 令和6年度改定で個別機能訓練加算(Ⅰ)ロは85単位/日から76単位/日に変更され、配置時間の定めが撤廃された。
  • 看護職員が機能訓練指導員の職務に従事した時間は、看護職員としての人員基準に算入できない。
  • 兼務の範囲は事業所差が大きい。応募時は機能訓練指導員の配置人数と、算定している個別機能訓練加算の区分を確認する。
参考にした情報
  • 指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)第三の六の1(3) 機能訓練指導員ほか
  • 「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第37号)第93条第5項ほか
  • 厚生労働省老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(3.(3)⑦ 通所介護、地域密着型通所介護における個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和及び評価の見直し)
  • 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日老企第36号)第二の7(13) 個別機能訓練加算について

※本記事の資格要件・算定要件は、省令および解釈通知、厚生労働省の令和6年度介護報酬改定資料にもとづいて整理したものです。実際の配置・算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。サービス種別により根拠となる条項が異なり、ここに記載した以外の要件が定められている場合があります。地域区分により1単位あたりの単価が異なるため、金額は単位数から一律には算出できません。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定・通知により取扱いが変わる可能性があります。働き方や求人選びに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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