先に結論をお伝えします。老人ホーム紹介センターが無料で使えるのは、入居が決まったときにホーム側が紹介手数料を払う仕組みだからです。便利な一方で、紹介されるのは原則としてその紹介センターが提携しているホームだけで、地域のすべてのホームから選んでいるわけではありません。複数の相談先を併用し、業界団体の届出公表制度で事業者を確認しておくと安心です。

この記事では、厚生労働省の「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の資料、高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)の届出公表制度、2026年に成立した社会福祉法等の改正の概要を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 老人ホーム紹介センターの仕組みと無料の理由
  • 紹介手数料の決まり方と、業界のルール
  • 使う前に知っておきたい注意点
  • 届出公表制度での事業者の確認方法
  • 2026年の法改正で創設された認定制度
  • 上手な使い方と、相談員に聞きたい質問

老人ホーム紹介センターとは?

老人ホーム紹介センターは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などへの入居を考えている人に、希望に合うホームを紹介する民間の事業者です。厚生労働省の資料では「入居者紹介事業」と呼ばれています。相談の方法は、店舗での対面、電話、Webサイトなど事業者によってさまざまです。

厚生労働省が検討会に出した資料では、入居者紹介事業の仕組みを宅地建物取引業(不動産の仲介)と比べて次のように整理しています。

項目不動産の仲介(宅建業)入居者紹介事業
法規制許可制(宅建士の配置など)なし(業界団体の届出公表制度による自主規制)
利用者との契約・手数料媒介契約・報酬あり契約書なし・手数料なしがほとんど
入居の契約売主・貸主と買主・借主が締結ホームの運営事業者と入居希望者が直接結ぶ

つまり、紹介センターは利用者と契約を結ばず、利用者からお金も取らないのがふつうです。入居の契約は、紹介センターではなくホームと直接結びます。

無料で使える理由は「ホームが払う紹介手数料」

紹介センターの収入は、紹介したホームに入居が決まったときに、ホームから受け取る紹介手数料です。手数料の決め方については、高住連の届出公表制度の遵守項目(2025年1月以降の届出)で、次のように定められています。

高住連 紹介事業者届出公表制度「遵守項目」(2025年1月から)より

手数料の金額の定め(金額の定めにあたっては、家賃・管理費等の自費部分に応じた平均的な紹介手数料から大幅に上振れした金額設定を行わない。特に、社会保障費に応じた金額設定《具体的には要介護や要支援、またはがん末期や別表7などの社会保障給付費をあてにしたとみなされる金額設定》は厳に慎むものとする。)

このルールができた背景には、要介護度の高い人や医療の必要な人ほど手数料が高くなるような、問題のある事例が指摘されたことがあります。厚生労働省の検討会のとりまとめ(令和7年11月5日)でも、課題として「高額手数料など入居者紹介事業の透明性に疑念のある事例」が挙げられ、紹介手数料の算定方法(月あたりの家賃・管理費などの居住費用がベース)を公表する必要性が示されました。

ちびウルフちびウルフ

無料なのはありがたいけど、手数料の高いホームばかりすすめられたりしないんですか?

リハウルフリハウルフ

その心配はもっともです。だからこそ、1つの紹介センターだけに頼らないのが大事なんです。現場でも、ケアマネや病院の相談員の意見と、紹介センターの提案を突き合わせて決める家族のほうが、入居後の「こんなはずじゃなかった」が少ない印象があります。

紹介センターを使う前に知っておきたい注意点

① 紹介されるのは提携しているホームだけ

高住連の遵守項目では、紹介事業者は入居を検討している人に対して、個別に提携しているホームを紹介していること(すべてのホームから紹介しているわけではないこと)を説明するとされています。気になるホームが紹介リストに出てこない場合は、そのホームと提携していない可能性があります。

② お祝い金・キャッシュバックは要注意

同じ遵守項目では、「倫理に反する行為の例示」として、成約後のお祝い金やキャッシュバックなどの名目による顧客誘導、入居希望者の介護度や医療の必要度に応じた手数料の設定、ソーシャルワーカーなどへのリベートの支払いが挙げられています。「入居が決まったら○万円」という誘い文句がある場合は、慎重に判断してください。

③ 不安をあおる勧誘・「全国No.1」の表示

遵守項目では、法令違反となる可能性の例として、必要以上に不安をあおって契約を迫ること、「業界No.1」「すべてのホームを紹介」など合理的な選択を妨げる表示も挙げられています。急かされたと感じたら、一度持ち帰って家族やケアマネジャーに相談しましょう。

④ 入居の契約はホームと直接結ぶ

紹介センターは契約の当事者ではありません。費用や退去の条件などは、ホームが交付する重要事項説明書と契約書で、必ず自分の目で確認してください。

届出公表制度で紹介センターを確認する

高住連(高齢者住まい事業者団体連合会)は、「高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度」を運営しています。遵守項目に同意して届け出た紹介事業者は、高住連のサイトの「届出紹介事業者検索」で探せます。届出は毎年更新で、遵守項目が守られない場合や届出に虚偽があった場合は、公表が取り消されることがあります。

公表される項目には、次のようなものがあります。

  • 法人名・運営上の呼称・代表者名・住所・電話番号
  • 総相談員数と相談拠点の数
  • 契約している法人の数とホームの数
  • 紹介できるエリアと、中心となる相談方法(対面・Web・電話)

契約ホーム数は、その紹介センターがどれくらいの選択肢を持っているかの目安になります。ただし、届出は任意の制度で、届け出ていない事業者が違法というわけではありません。

2026年の法改正で認定制度が創設

2026年に成立した「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)では、老人福祉法の改正として、有料老人ホーム協会による入居者紹介事業の優良事業者認定制度の創設が盛り込まれました。あわせて、中重度の要介護者などを入居対象とする有料老人ホームへの登録制の導入なども行われます。

この法律の施行日は令和9年4月1日が原則ですが、改正事項によって異なります。認定制度の具体的な基準や開始時期は、今後の政令や制度設計で決まるため、利用するときは最新の情報を確認してください。

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紹介センターの上手な使い方

  • 先に条件を整理する:要介護度、医療的ケアの有無、月々の予算、エリア、入居したい時期をまとめておく
  • 相談先を1つに絞らない:地域包括支援センターやケアマネジャー、入院中なら病院の医療ソーシャルワーカーにも相談する
  • 紹介センターを2か所程度使い比べる:提携先が違えば、紹介されるホームも変わる
  • 見学は必ずする:職員や入居者の様子は、資料や説明だけではわからない
  • 連絡方法と時間帯を伝える:電話が負担なら、最初に「連絡はメールで」「平日の夕方に」と伝える
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紹介センターに相談したら、もう他では探しちゃダメなんですか?

リハウルフリハウルフ

そんなことはありませんよ。利用者は紹介センターと契約していないのがふつうなので、ほかの相談先を使っても問題ありません。むしろ、地域包括やケアマネの情報と比べながら進めるのがおすすめです。

相談員に聞いておきたい質問

紹介センターの相談員と話すときは、次の質問をしておくと、紹介の中身を判断しやすくなります。

  • このエリアで、提携しているホームはいくつありますか
  • 気になっている○○ホームとは提携していますか
  • 紹介してもらったホームの、月々の総額(家賃・管理費・食費・介護保険の自己負担・医療費の目安)はいくらですか
  • このホームで受け入れられる医療的ケアと、受け入れが難しい状態は何ですか
  • 入居後に合わなかった場合、別のホームを紹介してもらえますか
  • 高住連の届出公表制度に届け出ていますか

よくある質問

老人ホーム紹介センターは本当に無料ですか?

厚生労働省の資料では、入居希望者と紹介事業者の間は「契約書なし・手数料なし」がほとんどとされています。紹介センターの収入は、入居が決まったときにホームから受け取る紹介手数料です。

紹介センターは地域のすべてのホームを紹介してくれますか?

いいえ。高住連の遵守項目では、個別に提携しているホームを紹介していること(すべてのホームから紹介しているわけではないこと)を説明するとされています。

信頼できる紹介センターはどう見分けますか?

高住連の「届出紹介事業者検索」で、届出公表制度に届け出ているかを確認できます。契約ホーム数や紹介できるエリアも公表されています。お祝い金やキャッシュバックで誘う、不安をあおって契約を急がせる事業者には注意してください。

紹介センターと地域包括支援センターはどう違いますか?

地域包括支援センターは、市町村が設置する(または委託する)公的な相談窓口で、介護全般の相談ができます。紹介センターは民間の事業者で、提携しているホームの中から入居先を紹介します。両方を併用するのがおすすめです。

紹介センターを使うと入居の費用が高くなりますか?

紹介手数料はホームが払うもので、入居者が紹介センターに払うものではありません。入居の費用はホームとの契約で決まるので、重要事項説明書で確認してください。

法律で紹介センターの規制はありますか?

現在は法律による許可制はなく、業界団体の届出公表制度による自主規制です。2026年の社会福祉法等の改正で、有料老人ホーム協会による優良事業者の認定制度が創設されました。開始時期は今後の政令などで決まります。

まとめ
  • 老人ホーム紹介センターは、ホームから受け取る紹介手数料で運営されているため、利用者は無料
  • 紹介されるのは原則として提携しているホームだけ
  • 手数料は家賃・管理費などの自費部分がベースで、介護度などに応じた設定は慎むルールがある
  • 高住連の届出紹介事業者検索で、届出の有無や契約ホーム数を確認できる
  • 2026年の法改正で、優良事業者の認定制度が創設された
  • 地域包括やケアマネと併用し、見学と重要事項説明書の確認は必ず自分で行う
参考にした情報

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。入居者紹介事業の仕組み、紹介手数料のルール、届出公表制度、法改正の内容は、厚生労働省の検討会資料と高住連の届出公表制度のページにもとづいて整理しています(2026年10月28日確認)。認定制度の基準や開始時期は今後の政令や制度設計で決まるため、最新の情報は厚生労働省の資料でご確認ください。個々の紹介センターのサービス内容や手数料は事業者によって異なります。上手な使い方と相談員に聞きたい質問に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味